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スイーツ・オブ・ザ・デッド7

 そのまま振り返らずに走り出す。

背後からレイジの悲鳴とオヤジの肛門からコーラが噴き出す音だけがいつまでも追って来た。


ヨーコ「誰か、誰かー!!」


 声を枯らして叫んでも答える者は誰もいない。

灰色の街に彼女の声は砂漠に垂らした水滴のように染み込んで消えていった。

いつも登校途中に前を通りかかるコンビニも交番も空っぽだ。

 だが彼女は新たな気配を感じていた。

暗がりだ。暗がりに、かすかに動く人影が群れている。

 彼らはヨーコの声に昆虫のように反応はするが、木陰から、裏路地から、車の下から出てこようとはしない。

理由はわからない。

活ける死者たちはただ暗い場所からヨーコを眺めていた。

あのおぞましいうなり声を上げながら。

 家に帰りたい。だが電車に乗るのはためらわれた。


ヨーコ「どうしよう、どうしよう、どうしよう。こんな時NOスイーツNOライフなら何て……」


 雑誌を広げるが人を食う死体が現れた場合のことは何も書かれていない。

 ページをめくりながら混乱して走っていると、何かにつまずいた。

自転車が歩道の真ん中に倒れている。鍵はついたままだった。

持ち主がどうなったかはわからない。わかりたくもないけど。

 ヨーコはそれに乗り二駅分を過ぎて自宅へ向かった。

両親や妹が無事か、それを考えると息が詰まりそうになる。

自宅のドアを開け、恐る恐る声を上げた。


ヨーコ「ママ? レイカ?」


 腐臭はますますひどくなっている。

ヨーコは恐る恐る部屋の奥へ入ってゆく。

 静かだ。耳が痛くなるくらいの静寂が満ちている。

二人を呼びながらヨーコは自分の部屋の向かいにあるレイカの部屋を覗いた。

 ベッドの毛布が不自然に膨らんでいる。


ヨーコ「レイカ? 寝てるの?」


 まるで足音を悪魔か何かに聞かれまいとするかのように、静かに一歩ずつベッドへ近付いてゆく。

その道のりは恐ろしく長く感じられたが、すぐにたどりついた。

 毛布を剥ぎ取ろうと震える指先を伸ばす。

その腕を突然毛布の中から伸びてきた冷たい手が掴んだ。

悲鳴が凍り付いて出てこない。

だが毛布のふちが少しだけめくり上がり、ぼんやりした顔のレイカがこちらを見ていた。

 ヨーコはほっとして胸に手を当てた。


ヨーコ「バカ、脅かさないでよ!!」


 レイカは何も答えない。ずっとヨーコの手首を握ったままだ。

 どこかで女の声がする。

レイカの声じゃあない。彼女の唇はぴくりとも動いていない。


???「スイーツぅう……スイーツぅぅう……」


 それと一緒に、何かをじゅるじゅると吸い込むような音。

ヨーコは何かに操られるかのようにもう片方の手で毛布を剥ぎ取った。

 レイカには下半身がなかった。

千切れた胴体から溢れ出す内臓を、四つんばいになった母親がすするようにして口へ運んでいる。

今度こそヨーコは悲鳴を上げた。


ママ「スイーツぅぅ……スイーツぅうう……」

ヨーコ「ママ、それスイーツやない! レイカやないか!」


続く……

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