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スイーツ・オブ・ザ・デッド2

 次の駅。

駅の医務室でヨーコは駅員に顔面にバンドエイドを貼ってもらっていた。

 むっつりとしたヨーコは豚のようなわめき声でひたすらあたりのものを怒鳴りまくる。

豚と言ってももちろんセレブなヨーコの場合はセレブな豚だから。セレ豚だから。


ヨーコ「だからあのオヤジを逮捕しろっつってんだし! まじうぜーし!」


 その場には駅員と駅長と警官がいたけど、誰もヨーコを相手にしてないようだった。

かわいそうなヨーコは鼻血を噴き出しながら必死にうったえた。


ヨーコ「あのオヤジがいきなり蹴ったんだし! 私の顔を蹴ったんだし!」

駅員「京都のお祭りで出るのは?」

駅長「山車だし」

警官「ああ、名古屋名物の」

駅長「赤出汁だし」

駅員・駅長・警官「ぶわっはっはっはっは」


大人ってキタナイ、大人ってヒキョウ。ヨーコはそう思った。


警官「だがちょっと待って欲しい。こうは考えられないだろうか? つまり…『君はオヤジに蹴られたのではなく、たまたまオヤジの足が放たれた方に君の顔面があった』」

ヨーコ「フザケんなよ! あんた頭おかしいじゃない?」

駅長「大体なんで床に座っていたんですか?」

駅員「事件性なしですね。一軒落着、寿司でも食い行っかぁ~」


 どうしようもないやり切れなさだけがヨーコの中に残った。

アタシは何にも悪くないのに。

 ヨーコは荷物から愛読している雑誌「NOスイーツNOライフ」の今月号を取り出した。

万引きするのに手間取っただけあって今月号は特に貴重なもののように感じられる。

 次の電車が来るまでの間、ヨーコは嫌な気分を振り払おうとそれを読みふけった。

 今月号では「プチうつ」が特集されていた。
まさに今のヨーコにぴったりな特集。


ヨーコ「ふむふむ…プチうつとは…」

ヨーコ「…」

ヨーコ「長いなあ。読む気しない」


 三行以上の文章を読むとめまいがする。この読めるのはガリベンとオタクだけだと思う。

もちろんケータイ小説は読むけどファッションとメイクにも気を使うヨーコはセレブだけど。

 そんな読者にも気を使っているらしく、その記事の下にはこんなことが書いてあった。


『頭が弱い人向けに一行で解説…自分のことだけ考えてろ』


 なるほど、わかりやすい!

頭が弱くてほんとに良かったとヨーコは思った。

 ヨーコは自分のことを考えた。

でもいつも自分のことばっかり考えてるからあんまり意味なかった。

 いつもNOスイーツNOライフに書いてある通りに自分を大事にしてるしアタシってマジで愛され系だと思う。

 そんなことを考えてると少し気分が良くなってきた。

真っ赤なったティッシュの鼻栓を詰め替え、ヨーコは電車に乗った。

 そうだ、明日はこの理不尽なゲンジツのボーリョクに耐えた自分へのご褒美を買っちゃおう。


続く……

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