スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

(゚、゚トソンこの世のすべてであるなたのようです 中編


1.
それからわたしは―――わたしは、どうしたんだっけ―――

モララーさんに謝罪しようとして、でも上手く行かなくて。

ああ、違う。あの部屋に戻る勇気がなかったんだ。


(;、;トソン(どうしよう、どうしよう! クビになっちゃう、どうしよう!)


恐怖と当惑でもうむちゃくちゃになって、わたしはハインの部屋に駆け込んだ。









この世のすべてであるあなたのようです 中編


(原作ジム・トンプスン『深夜のベルボーイ』)



2.
从 ゚∀从「ん? どうしたよ」

(;、;トソン「ハインさん! それがその……大変なことに……!!」

从 ゚∀从「落ち着けって、どうしたんだ」


肩を両手で掴まれてがくがく揺さぶられる。

わたしはもつれる舌で何とか説明した。


从 ゚∀从「わかった、任せとけ。とにかくお前はフロントに戻りな。

      ショボンのおっさんが怪しまないうちにな」


部屋を追い出されたわたしはコンパクトを取り出した。

髪型を整え、何とか涙の跡をこすって消し、階段を下りて行く。

果てしなく続くロビーを横切っていく途中、ハインの手下とすれ違った。


( `ハ´)「いやー参った参った、あれがなきゃ困るアル」

<ヽ`∀´>「まったく忘れっぽい奴ニダ。速いとこ取りに行くニダ」
3.
(゚、゚トソン(忘れ物を取りに来たのかな……?)


いや、ハインの部屋を出る前に彼女がケータイを取り出すのが一瞬だけ見えた。

彼女が呼び戻したんだ。


(´・ω・`)「トソン! お前何やってたんだ?!」

(゚、゚;トソン「えと……あの……」

(・ω・`#)「答えるんだ! モララーさんの部屋で何してた!?」


この時は泡食ってて疑問に思わなかった。

わたしは「封筒を届けて来る」としか言わなかったのに、何故ショボンさんが

モララーさんの部屋に行ったと知っていたのか。


(゚、゚;トソン「えと、窓が……窓が開かなかったんです。

     どうやっても開かなくって、それで……」

(´・ω・`)「ほほう、その程度のことで30分もかかったと?」
4.
ショボンさんはわたしを冷たい目で一睨みしてから、電話を手に取った。

わたしはどうすることも出来ず立ち尽くしたまま。


(´・ω・`)「……どうも、モララー様でいらっしゃいますか?

     わたくし夜間のフロント係で御座います。夜分に申し訳ありません。

     ベルボーイが言うには窓が開かなくなったとか何とか……」


ショボンさんの目が変わった。

揺るぎないはっきりとした敵意が、当惑の色へと変わる。


(´・ω・`)「……はい、そうですか。

     何も問題はないんですね? いえ、うちの者が何か失礼をしたのではと……

     お手間をかけました、お休み中のところ大変に失礼を……では」


ショボンさんは電話を切り、それっきり受話器に触ることはなかった。

警察も警備員も呼ぶ気はないみたい。
5.
(-、-トソン(良かった……ハインが何とかしてくれたんだ)


深くて暗い海の底を漂っていたけど、ようやく息継ぎが出来た気分。

一体どんな手を使ったんだろう。

例えばモララーさんが電話を取った時、手下二人と一緒にあの部屋にいたとか。

「おかしなこと言ったら歯を叩き折るぞ」

とか脅して……

とにかくわたしは安堵して、この世のあらゆるものに感謝した。


(゚、゚トソン「言ったでしょう、窓が壊れたんだって。

    いったい何してたと思ったんです?」

(´・ω・`)「……」


首をかしげながらショボンさんは“檻”に戻った。

伝票を拡げて整理を始める。

6.
(´・ω・`)「トラブルメーカーめ。

     お前、この仕事続けてたら必ずそのうち何かやらかすぞ」

(゚、゚トソン「辞めろって言いたいんですか?」

(´・ω・`)「さあな。さあ、整理を手伝ってくれ」

(゚、゚トソン「喜んで」


皮肉っぽく言って何とかやり返し、わたしも“檻”に入った。

仕事を終えて“檻”を出ると、わたしはカウンターに肘をついて考えた。


(゚、゚トソン(モララーさんはきっとわたしを誘ってたんだろうな。

     顔がいいのをひらけかして、わたしを抱こうと……)


指を一本立てて動かすだけで女の子が飛びついてくるとでも思ったのかな。

ビッチ扱いされてわたしは頭に来た。

まるでポテトチップスか何かみたいに“つまみ食い”されそうになったんだ。

7.
それなのに何故か、わたしはモララーさんのことが気の毒だった。


(-、-トソン(今頃モララーさん、ハインの部下にぶん殴られてるかも……)


かわいそうだと思った。

いや、哀れみじゃない。

混同しがちだけど、これは悲しみだ。

わたしは兄さんを……モララーさんを、再び永久に失ったのだと言う悲しみ。

もうどうやったって彼とは顔を合わせられない。


(゚、゚#トソン(あんな男別に……いいえ、でも正直に言えばわたしはやっぱり彼のことが……

      騙された今でも……畜生、何でこんなに気になるんだろ!?)


悶々としてるといつの間にか夜が明けていた。

早番の昼勤スタッフが出勤すると、ホテルV.I.P.の一日が始まる。

朝は忙しい。色々な用を仰せつかって物思いにふけっていられなくなる。
8.
(´・ω・`)「トソン、152室の客がチェックアウトしたいとさ。荷物を持ちに行け」

(゚、゚トソン「はい、すぐ行きます」


煙草、朝刊、洗面用具を届けにホテルの中を行ったり来たりする。

あとちょっとで勤務時間が終わるという時、わたしがフロントに戻ると、モララーさんがいた。


( ・∀・)

(゚、゚トソン


唇の端がかすかに切れてるように見えた。

やっぱり殴られたのかな……


<ヽ`∀´>( `ハ´)


彼の前後、やや離れた場所にハインの手下がいる。



9.
何気ない様子で、偶然そんな格好になったって感じだけど、あれは明らかにモララーさんが

逃げられないように挟んでる。

何故かものすごく不吉な予感がした。


(゚、゚;トソン(殴るだけじゃ済まないのかも……)


モララーさんの表情はうかがえない。

わたしはこんな無表情を見たことがなかった。

ハインの部下に挟まれたままチェックアウトし、ホテルを出てゆくのを呆然と見送る。


从 ゚∀从


振り向くとハインの姿があった。制服姿で学生鞄を手にしている。


从 ゚∀从「行って来まーす」


意味ありげにわたしに人差し指を向け、ウインクして彼女も出て行った。
10.
ちょうど部下とモララーさんを追う形だ。


(゚、゚;トソン(どうする気?)


追い駆けたかったけどそんなこと出来るわけない。

わたしは死ぬ気で自分に言い聞かせた。


(-、-トソン(もう関係ないでしょう。これでトラブルの元は消えたんだから……

      あんな性欲だけで生きてるような男!

      わたしはこの仕事をクビになるわけにはいかないのよ)


何だか複雑な気分。

溜息をついて顔を上げると、今度はショボンさんと眼が合った。

彼も今の光景を見ていて、何が起きたかわかってしまったみたい。

つまり、モララーさんがハインたちに連れ出されたこと。


11.
(゚、゚;トソン「な……何ですか?」

(・ω・`;)「お前は……お前、わたしを恨んでないよな?」

(゚、゚トソン「?」

(・ω・`;)「わたしはお前に良くしてやっただろ?

     最近はその……そうでもなかったかも知れないが……」

(゚、゚トソン(何言ってんのかな?)


ちょっと考えたらすぐわかった。

ああ……そうか。

トソンが何かやらかしてホテルがスキャンダルに巻き込まれたりしたら、彼女の素行を

見て見ぬフリをしてたショボンさんにもまったく責任がないってことにはならないからか。


(・ω・`;)「た、頼むよ、トソン。わたしは……」

(゚、゚トソン(情けない人)


12.
わたしは笑って見せ、フロントを出た。


(゚、゚トソン「時間ですので。お先に失礼します」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ショボンさんをオタオタさせることが出来てちょっとだけ気分が良くなったけど、

それも部屋に帰るまでのことだった。

カタワーが来ていて相手をさせられたから。


(^p^)「姉ちゃんwwww姉ちゃんwwww」

(-、-;トソン「ああ……うん」

(^p^)「俺学校でねwwwwあのねwwww」


トラブルを無限に生み出す水道の蛇口がくっついてる存在。

人は池沼が何かしでかすと本人には責任がないと言い、家族がそれを取れと言う。

13.
すべての責任を他人に負わせて生きてる存在。

いない方がいい……こんな奴、生まれて来なければ……


(-、-;トソン(おっとっと。疲れてるな)


頭を振っていけない考えを振り払い、わたしは彼に小遣いを多めに渡した。

彼の為ではなく、自分の為だとわかりながら。


(゚、゚トソン「ほら、これでおいしいものでも食べなさい」

(^p^)「ありがと姉ちゃんwwwwありがと姉ちゃんwwww」

(゚、゚トソン「そろそろ休ませてね。もうヘトヘトなのよ」

(^p^)「わかったwwwwお休み姉ちゃんwwww」


彼を追い出すと着替えてベッドに横になった。

弟に対する憎しみ。

そしてそんな感情を抱かずにいられないことへの、胸が痛くなるほどの良心の呵責。
14.
(゚、゚トソン(また眠れない……)


仰向けになって煙草に火を点け、わたしは兄さんのことを思い出した。

そもそもの始まり、わたしの人間性の出発点へと。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


わたしと兄さんには血の繋がりが半分しかなかった。

母親は二人とも一緒だけど、父親が違ったの。


(´<_` )

(゚、゚トソン


彼は死ぬほどわたしを愛してくれた。

いつも相手をしてくれて、わたしの言うことは何でも真剣に聞いてくれた。



15.
ほとんど親に愛されず、わたしが生まれつき抱え続けていた正体不明の絶望が、

兄さんといるときだけは薄らいだ。

あの時のことは……そう、確か、両親が旅行に出てた時の日……

カタワーがまだ施設に入ってて……それで、わたしが12歳になった時だった。


(う、`トソン「ん……」


小雨が降りしきる朝、目覚めると隣で兄さんが眠っていた。

確か昨日の夜、ずっとお喋りしてて、そのまま眠ってしまったんだ。


(゚、゚トソン「ん」

(´<_` )


兄さんは夢現のような眼で、わたしの胸に手を置いた。

大きな、心地良い熱を持った手。

最初は何気ないと思っていたその手がわたしのシャツの上を伝い、その下へ……
16.
お腹よりもっと下に行っても、わたしは嫌じゃなかった。

あらゆる倫理や固定観念、意地とかそんなものを捨てて本心だけで言えば、兄さんと

こうなりたいと思ってたから。

指先が下着に入ろうとした時、兄さんは突然体を引いた。


( <_  )「すまないトソン、俺は……別に……」

(゚、゚トソン「ううん」


静かに呼吸しつつ、ややあってからわたしは答えた。

逃げて行った彼の手を優しく捕まえ、手繰り寄せる。


(゚、゚トソン「わたし、わたしは……今、兄さんと……」


幼かった。

はっきり求めていることをしてくれとは言えなかった。


17.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(゚、゚トソン「おっと」


煙草の灰が何時の間にかフィルターまで来てる。

ベッドから起き上がって灰皿に押し付け、もう一本点けた。

ふかしながら再び目を閉じ、瞑想のように回想を続ける。


(-、-トソン(わたしがこれまで男性に興味を持てないでいたのは……だから……

    兄さんだけがわたしにとっての男性だったから……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


そのことが終わってしまってから、兄さんは半ば恐慌を来してた。


(´<_`;)「俺は……俺は、何てことを……」

(゚、゚トソン
18.
(;<_; )「許してくれ、トソン! 俺は……」

(゚、゚トソン「何を許して欲しいの? わたし……わたしは……嬉しい」

(´<_` )「……」


彼が自分を責めたのはその時だけ。

その後……この関係が続くようになってから……しょっちゅうではないけど、わたしを

非難することがあった。

今にして思えば、兄さんは恐れてたんだ。

血の繋がった妹と許されざる関係になってしまって、そのことで自分のあらゆるすべてが

ムチャクチャになってしまうんじゃないかと……


(´<_`#)「俺にまで股を開くのか、このビッチが!!

      お前は要求されりゃ誰にだってそうするのか、相手が犬か馬でもか!?

      大体お前さえいなければカタワーは……」

(;、;トソン
19.
カタワーが生まれつきのに加えて例の事件で更に障害を負い、それまで“少しおかしい”

だったのが“かなりおかしい”になってしまうと、兄さんはわたしから離れていった。

愛と憎悪は表裏一体なんてものじゃなくて、実はコーヒー牛乳みたいに混ぜこぜになっている。

“ここからここまでが愛情、そっちからそっちまで憎悪”なんて線引きは出来っこない。


(;、;トソン(だって最初にわたしの胸に手を置いたのは兄さんじゃない!!

      あなたからわたしを求めてきたのに!!)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(゚、゚トソン(そうよ、悪いのは兄さんじゃない。

     わたしは応じただけなのに……)


過去を思い出して一つ一つの出来事を検証してみると、少しスッキリした。

筋の通らないことはいっぱいあるけど。

どっちみち今更自分の人生に筋を通すなんか無理じゃない?
20.
何だかんだあったけど、今ではもう兄さんには愛情しか感じてない。

死ななければ……彼が自殺なんかしなければ、わたしはきっと今も彼を好きだった。


(-、-トソン(モララーさんにだってそうだ。今はもう会いたいとしか思えない。

     明日、ハインに彼の行き先を聞き出そう……)


わたしはモララーさんに会わなくてはならない。

わたしの精神にある空洞にはただ一人の男性しかぴったり収まることはない。

以前は兄さんだったそれが、今はモララーさんだ。間違いなく。

会いたい……どうしても会いたい、どうしても……


(゚、゚トソン(ん? 何か鳴ってる……)


ようやくウトウトしてきたところで、ケータイが鳴った。

画面にはハインの番号が表示されている。

わたしは受信ボタンを押した。
21.
(゚、゚トソン「はい」

从 ゚∀从「よー、よー、よー!! ハインでございますぅ。

      お休みのとこ悪かったかな?

      あたしとあんた、ちょこっとばかし話し合う必要があると思わない?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ポッツヴィル島の東端にある、人気のない岬で彼女と会った。

灯台の根本にあるコンクリートの台座に腰かけた彼女は、真っ昼間からビールを

グビグビやっていた。


从 ゚∀从「ああ、ビールがうめえ!! あんたもどう?」


挨拶代わりに勧められたビンを丁重に断る。

遠慮でなくて、わたしは本当にアルコールは全然ダメなの。


22.
(゚、゚トソン「ありがとうございます。でも、飲めないんです」

从 ゚∀从「飲まなきゃやってらんねえぜ、こんなクソ学園はよ!」


差し出した手を引っ込め、ハインはビンの栓を引っこ抜いた。


从#゚∀从「何で学校でイジメが起きるか知ってるか?

      人間だけじゃねえ、豚でもガチョウでも閉鎖環境に閉じ込められるとな、

      真っ先に弱い奴に食ってかかるんだとよ。

      地球上にこんだけ人間が溢れてんだ、もうどこもかしこも閉鎖環境さ!」

(゚、゚;トソン(暑いせいでイライラしてるな)


わたしから話を切りだすことにした。


(゚、゚トソン「あの、話ってどういう……」

从 ゚∀从「お前もよく知ってる話さ」

(゚、゚;トソン「……あ、あれはだって! 彼の方から誘ってきて、わたしは襲われそうになって」
23.
从 ゚∀从「そうかい? あの兄ちゃんはそうは言ってないぜ」


彼女は空きビンを投げ捨てた。

『ゴミは持ち帰りましょう』という看板にぶつかって砕け散る。


从 ゚∀从「あいつはれっきとした体験入学生だよ。まったく後ろ暗いところはないな。

      たまーにいるような……わたしもだけど、ポッツヴィルって言う

      オイシイ市場にヤクザが送り込んでくる売人の類じゃねえ。

      となるとヤバくないか、ええ?」

(゚、゚トソン「……」

从 ゚∀从「あの兄ちゃんは警察に行っても自分自身がヤバイことにならないんだよ。

      となりゃ、お前。通報に躊躇はしねえだろ」


彼女の考えていること、言わんとすることがすぐにわかった。


(゚、゚;トソン「ダ、ダメですよ!? 殺すなんて……!!」
24.
从 ゚∀从「そうも言ってられねえがな。

      誘拐・暴行で逮捕、あたしは一巻のお終い。

      だけどわたしも手下もそこまでやりたくないんだよ」

(゚、゚;トソン「ど……どうすれば……」

从 ゚∀从「200万用意できないか?」

(゚、゚;トソン「にひゃ、200万!?」

从 ゚∀从「うーん。実はなあ、金がないんだよ」

(゚、゚トソン「え? あんなに羽振りが良かったのに?」

从 ゚∀从「実はまあ、何と言うか。

      警察に嗅ぎ付けられててさー、商売も潮時なんだよね。

      そろそろ店じまいしてバックレたいんだけど」

(゚、゚;トソン(何か話が変な方向に……)




25.
从 ゚∀从「次の商売を始めるまでに、元手が100万あれば十分足りる。

      残りの50万で手下と手を切って、もう50万を口封じに使おう。

      つまりあの兄ちゃん、モララーの口止めに使うわけね。

(゚、゚トソン「わたしにそのお金を用意しろって言うんですか?! 無茶言わないで下さい」

从 ゚∀从「まあ落ち着けって。実は計画があるんだ。

     とっておきのがね。それに協力してくれりゃ、たんまり金が手に入るのさ」


何かおかしい。

まるで最初からわたしをその計画とやらに巻き込むつもりでいたかのようだ。

わたしが疑いを持ち始めたのを悟ったのか、ハインはこんな話題を持ち出した。


从 ゚∀从「あの兄ちゃんだけどさ、あんたのことちっとも恨んでないみたいよ。

     おかしな話じゃん? むしろあんたのこと好きみたい」

(゚、゚トソン「それは本当なんですね? まだ殺してない?」

从 ゚∀从「あたしを信じろって。そんなことするかよ」
26.
(-、-;トソン(わたしに言うことを聞かせるための人質ってわけか。畜生!)


一瞬、彼女を裏切ろうかと考えた。

適当な返事をして部屋に戻り、警察に通報するの。

でも……それをやってしまったら、彼が……モララーさんが……!

彼を永遠に失って、それで前の生活に戻るの?

カタワーにすべてを吸い取られる灰色の毎日に?


(-、-;トソン

从 ゚∀从

(゚、゚トソン「協力したら、モララーさんに会わせてくれるんですね?」

从 ゚∀从「もちろん」

(゚、゚トソン「わかりました。何でもあなたの言う通りにします」

从 ゚∀从「よーしよし!! そうこなくっちゃあ」


27.
ハインは計画の説明を始めた。

彼女の話を聞きながら、わたしはもう後戻りできないことを感じていた。

あの時、ハインに貸しを作ってしまった時……ううん、もっと前から。

モララーさんと出会ってしまった時……いいえ。もっと。

兄さんがわたしのお腹に手を置いたあの瞬間からだ。

あの時からわたしはもう、後には戻れなくなったんだ。


(゚、゚トソン(もう後戻りとか、そんなことは忘れよう。

     わたしは何が何でも絶対にモララーさんを手に入れる)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


この季節になるとホテルV.I.Pには身なりのいい夫妻が詰めかけてくる。

良家や資産家の子向けの特別学科、ポッツヴィル学園名物の通称“エリートコース”の

説明会があるせい。

28.
ホテルの部屋のほとんどが埋まり、わたしは忙しい毎日を過ごした。


(゚、゚トソン「おはようございます、ショボンさん」

(´・ω・`)「……」

(゚、゚トソン(なんか最近妙に無口だな)


ショボンさんは必要な時以外はまったく口を利かなくなってしまった。


(゚、゚トソン(どうってことない)


わたしは自信を持ってそう思えた。

本当にそんなこと、どうってことない。

モララーさんを手に入れると誓ってから、わたしの中には初めて自信と呼べるものが生まれた。

彼のためなら何でも出来るつもりでいた。

仕事を終えて部屋に戻ると、電話がかかって来た。


29.
('A`)「やあ、どうも」

(゚、゚トソン「ドクオさん」

('A`)「ちょっと話したいんだが、いいかな? 今から」

(゚、゚トソン「ええ。大丈夫です。今出ますので」

('A`)「悪いな。じゃあホテルの近所の喫茶店で会おう」


どうってことない。

今のわたしならあの弁護士と話すことくらい、本当にどうってことない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


わたしが行くとすでにドクオさんは喫茶店の奥のブースにいた。


('A`)「どうもどうも。悪かったかな、呼び出したりして」

(゚、゚トソン「いえ、こちらこそわざわざ出向いてもらって……」


30.
オレンジジュースを注文し、わたしは彼が口火を切るのを待った。

何の話だろう?


('A`)「ずーっと前から聞きたかったことがあってね。

   このずるずると延長戦に延長戦を重ねた訴訟だが。

   わたしも少なからず色々調べてみたのだよ」

(゚、゚トソン「?」

('A`)「どうもねえ。やっぱりありえないよ、絶対にありえないんだ。

   イジメっ子グループがカタワー君を階段から蹴り落としたなんてありえない」

(゚、゚トソン「え? だってこの前……じゃあ一体、誰が?」

('A`)「俺の目の前にいる女の子かな。間違いないね」


心臓を撃ち抜かれるとはこのこと。


(゚、゚#トソン「な……何を言ってるんですか?! わたしが、弟を!?」

31.
('A`)「ある時、カタワーくんを問い詰めたときのことだ。

   誰がやったのか思い出せないのか? ってね。

   彼はこう言った。“彼女はやってない”」

(゚、゚;トソン

('A`)「変じゃないか? 何だってまた、“彼女”だなんて言い間違いを?

   イジメっ子グループは全員が男だろ。

   そのうちの誰かと間違えたなんて絶対にありえない」

(゚、゚;トソン「それは……彼の障害のせいで……」


ドクオさんの目がみるみる険しくなった。猛禽のように。


('A`)「障害障害と言うがな、彼は立派な男だぞ。

   だから俺は仮説を立てたのさ。

   彼ほどの男が……優しい、いい男が一体何故犯人を庇っているのか?

   その犯人とは、彼にとって絶対の存在なのではあるまいか?」
32.
ドクオさんは軽く掌でテーブルを叩いた。ポン、と。

でもわたしの肩は銃声を聞いたみたいに真上に跳ね上がった。


('A`)「俺をナメるんじゃないぜ、お姉さん。

   君は弟さんを憎んでいた。恥だと思ってたんだ。違うか?」

(゚、゚トソン「バカなことを……」

('A`)「はっきりこう考えたんだろ? “死ねばいいのに”」

(゚、゚#トソン「ふざけないで下さい!

     大体そこまで言うなら証拠があるんでしょうね?」

('A`)「あの日の放課後、ちょうど事件が……カタワーくんが蹴り落とされた時間に、

   君の姿を見た者は誰もいない」

(゚、゚トソン「だからって何故わたしがやったことに!?」

('A`)「君以外の誰が、何故そんなことをするんだ、ええ?」


わたしは膝の上で自分の拳が震えているのを感じていた。
33.
強く握り締め過ぎて爪が掌に食い込んでいる。


('A`)「この事件はもうどうしようもない。

   ただカタワーくんをこれ以上傷つけないように静かに忘れ去られて欲しいんだ。

   だが次に彼に何かしてみろ。

   俺が相手になるってことを忘れるな。この俺がだぞ」

(゚、゚トソン「バカバカしい! あなたはわたしを脅そうとしてる」

('A`)「?」

(゚、゚トソン「弟からお金を巻き上げられなくなったのを悟って腹を立てたんでしょう。

     ふざけないで下さい」

('A`)「金だって? おい、俺は……」


わたしはテーブルにジュース代を叩き付け、喫茶店を飛び出した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

34.
その日が来た。

ホテルの食堂では子女をエリートコースにと望む親族が集められ、学園が主催する軽めの

歓迎パーティが開かれた。

といってもいつもより少しいい料理と、お酒がちょこっと出るだけ。

それが済むといくつかのグループに別れて各部屋に行き、学園の生徒自身がここの良さを

アピールする懇談会みたいなのが開かれる。

夜中になってそれが済むとホテルはいつも通り静けさに包まれた。


(´・ω・`)「231号室ミルナ夫妻。食事代が……ルームサービスで……」


二人で“檻”に入って仕事を淡々とこなしてゆく。

わたしは時計をちらりと見た。

午前二時半。


(゚、゚;トソン(遅いな、ハインたち。何やってんのかな……)

35.
ここへ来て急に自信がなくなってきた。

不安が増大して胸を締め付ける。


(゚、゚トソン(落ち着いて。警備員はいつも通りどっかにサボりに行っちゃったし、

     フロントにはショボンさんとわたししかいない)


それにしても遅い。

二時半にはもうここへ来てなきゃいけないのに。


(´・ω・`)「おい、トソン」

(゚、゚トソン「え? あ、はい」


そわそわしてるのを見抜かれたんだろうか。

わたしは言い訳を考えた。


(´・ω・`)「お前、帰れ」

36.
(゚、゚トソン「え……?」

(´・ω・`)「今からお前がしようとしてることはとんでもない過ちだぞ。

      病欠にしといてやるからすぐに帰れ。それで寝てしまえ」

(゚、゚;トソン「な……一体、何を言ってるんです……」


もしかしてショボンさんは、このことを……

これから起こることを……

階段をどたどたと下りてくる足音がした。


从 ゚∀从

<ヽ`∀´>

( `ハ´)


手下の片方とハインが檻の出窓にやってきた。

もう片方はホテルの玄関のところで待っている。

37.
从 ゚∀从「どーもどーも! こんばんわでございますぅ」

<ヽ`∀´>「ちょっといいかニダ」

(´・ω・`)「はい、何で御座いましょう」

<ヽ`∀´>「うーん……それが、ちょっと。大声では言いにくいニダ……」

(´・ω・`)「?」


人差し指をくいくいやって耳打ちの仕草をする。

ショボンさんが窓口に近寄ると、手下は腕を突っ込み、唖然としている彼の胸倉を掴んで

引っ張り寄せた。

片手に持ったナイフを喉に突き付ける。


(・ω・`;)「!?」

从 ゚∀从「こいつは冗談じゃねーぜ、マジだぞ!!

     トソンちゃん、貸金庫を開けな」


38.
彼女“檻”の窓口カウンターに鍵を数個、叩きつけるようにして置く。


(゚、゚;トソン「えっ……ええ!?」

<ヽ`∀´>「早くするニダ! こいつをぶっ殺すニダ!!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


数日前。


从 ゚∀从「計画はこうだ。懇談会は知ってるな?」

(゚、゚トソン「ええ。五組か六組に分かれて、各部屋で……確か、生徒が自主的に……」

从 ゚∀从「それそれ。手回ししてあたしがそれに助手役で出ることになってる。

      で、飲み物に睡眠薬を混ぜるとかしてそいつらから貸金庫の鍵を奪うんだ」

(゚、゚;トソン「で、でも知ってるでしょう、鍵は二つが揃わないと……

      組み合わせはショボンさんしか知らないんですよ?」

从 ゚∀从「奴にやらせるさ。とにかく言うことを聞くようにするから」
39.
(゚、゚トソン「……」

从 ゚∀从「お前があいつの何を知ってんだって顔だな。

      あたしはお前よりあいつのことをよく知ってんだぜ」


ビールをガブガブ飲みながらハインは続けた。


从 ゚∀从「あいつは元は筋モンなんだよ。組のカネ持ち逃げしたんだ。

      あたしの後ろ盾が教えてくれたんだけどね」

(゚、゚トソン「後ろ盾……やっぱりヤクザなんですか」

从 ゚∀从「まーな。で、もし奴の居場所を過去にモメ事を起こした組に知らせれば……」

(゚、゚;トソン「えっと、もしかしてあの投書は……」

从 ゚∀从「そ。ちょこっと脅しをかけてやったってワケ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(゚、゚;トソン「ショボンさん……ショボンさん!!」
40.
(´・ω・`)「あ? ああ……」

(゚、゚;トソン「貸金庫の鍵の組み合わせを教えて下さい、殺されますよ!」

(´・ω・`)「……」


彼は目の前で起きている現実を拒否しようとするかのように目を閉じた。

わたしはホテル側の鍵束と客側の鍵を手に、もう一度叫ぶ。


(゚、゚トソン「ショボンさん!!」

(´-ω-`)「わかった。客側の鍵のナンバーを読み上げろ」

(゚、゚トソン「ええと……8番」

(´-ω-`)「12の鍵だ」


ガチャ。


(゚、゚トソン「22番」

(´-ω-`)「21番」
41.
ガチャ。


(゚、゚トソン「15番」

(´-ω-`)「6番」


ガチャ……

壁から引き抜いた貸金庫の鉄の箱から、中身を取り出して並べる。

腕時計、貴金属、現金、キャッシュカード、その他諸々。


从 ゚∀从「よーしよーし、じゃあ次はそれをこのバッグに詰めな」


ショボンさんの体を邪魔そうにどけると、ハインは無理やりバッグを窓口に押し込んだ。

わたしは金品の山をかき集めてその中に詰め込む。


(゚、゚;トソン(全部でいくらくらいだろう? 軽く200万は超えてると思うけど……)

从 ゚∀从「いいぜ。そっから出てこっちへ持って来い」

42.
バッグが膨れ上がると、もう窓口から出すのは不可能だった。

わたしはバッグを抱えて“檻”から出た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


从 ゚∀从「いいか、わたしたちはその金をホテルから持ち出さない」

(゚、゚;トソン「え!?」

从 ゚∀从「こうするんだよ、いいか?

      ホテルには荷物の一時預かり所があるよな」

(゚、゚トソン「え、ええ……」

从 ゚∀从「そこにバッグを置くんだ。預かり証のタグをつけて堂々とな」

(゚、゚トソン「……つまり、ほとぼりが冷めたら取りに来るってこと?」

从 ゚∀从「その通り! 頭が回るようになってきたじゃん。

      この手の証拠品ってのはな、持ち歩くのが一番危険なのさ。

      それにしばらくは手元に金がない方がいい」
43.
(゚、゚トソン「?」

从 ゚∀从「手下どもが欲に目がくらんで何か仕出かさないとも限らない」

(゚、゚;トソン「えっと……預かり所にバッグを隠すわけですよね。

      でも、だってショボンさんに見られてたら何の意味もないでしょう」

从 ゚∀从「バカお前、“檻”の中からじゃ何してるか見えないだろ。

      こっそり入って置いて来るんだよ、タグの番号忘れんじゃねーぞ」

(゚、゚トソン「見えないって……そんなの、だって……」

从#゚∀从「奴はスタンガンで眠らせるとかするから! ちっとはわたしを信じろよ」

(゚、゚トソン(確かに警察もまさか奪われたものが現場に残ってるなんて考えないだろうし……

     安全な手ではあるかも知れないけど……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


急いで預かり所に行こうとした時、ショボンさんの切羽詰った声が聞こえた。


44.
(・ω・`;)「トソン!! 聞いてくれ、わたしの―――」

从 ゚∀从「黙らせな」

<ヽ`∀´>「ホルホルホル! お前はもう用済みニダ」


声はそこで途切れた。

後は一瞬だけ、尾を引かない短い悲鳴が……


(´゚ω゚`)「ぐあっ」


スタンガンを使ったんだろう。

わたしは一時預かり所に急いで入り、バッグにタグをつけて棚に置いた。

番号は一番憶えやすいのを選んだ。


(゚、゚トソン(123-2233。これにしよう)


客側の控えを破り捨ててゴミ箱に放り込む。

45.
これでこのバッグは書類上では持ち主が存在しない。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(゚、゚トソン「でも、どうやって持ち出すんです?」

从 ゚∀从「『控えはなくしたけど番号は覚えてるから荷物を返してくれと』か言うさ」

(゚、゚トソン「そしてその相手がわたしなら……」

从 ゚∀从「『中身を確認していいですか?』なんて聞いたりしない。な?」


相当入念に練られた計画だ。

多分、ずっと前から考えていたんだろう。

わたしが彼女のことを友達だと感じ始めるより前から。


(゚、゚トソン(あのフレンドリーさも計画のうちか……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

46.
預かり所を出るとハインがすぐそこで待っていた。


从 ゚∀从「タグの番号は?」

(゚、゚トソン「123-2244です」

从 ゚∀从「よし、じゃ“檻”の方に行きな。

      いいか、お前は“檻”を出てあたしらにバッグを渡した。

      そいで刺された」

(゚、゚トソン「刺され―――何ですって?」


わたしは扉が開いたままの“檻”を見た。

僅かにショボンさんの手が見えている。

床に横たわった彼の手。血の海に沈んでゆく、血の気の失せた白い―――


( 、 トソン「こっ……殺したんですか……」

从 ゚∀从「何事にも例外はあるさー。なあニダー」

47.
<ヽ`∀´>「ういっす。姉ちゃん、動くなニダ。ほんの軽い傷で済ませるニダ」

(;、;トソン「は、話と違……誰も殺さないって……!!」

从#゚∀从「腹くくれ!! もう進むしかねーんだよ!

     いいか、警察に聞かれたらこう答えろ……」


説明が済むと手下はわたしの体が動かないように掴んで固定した。

わたしは恐怖で固まってどうすることもできない。

そのナイフはまだショボンさんの鮮血が残っていて、わたしの肩の肉に突き立てられると

かすかに温もりを感じた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


多分、本能的にナイフを避けようとしたんだと思う。

切っ先は肩よりやや鎖骨に近い場所に刺さり、おかげでその下を通る血管を傷つけて

死ぬところだった。……って、医者が言ってた。

48.
(-、-トソン(まあ、本当に殺されかけたように見えるけど)


ポッツヴィル学園の病院では治療が間に合わず、わたしは応急処置を施されて翌日に

本土の病院に入院することになった。

ま、軽傷だったけどね。

ホテル側はわたしに同情的で、九日間の入院期間を有給扱いにし、治療費も負担してくれた。

今日は退院の日。

病室を引き払う支度をしていると、彼のことが思い浮かんだ。


(゚、゚トソン(ショボンさん……)


まさか殺すなんて。

彼がおとなしくハインの言うことを聞いていれば、わたしも巻き込まれることはなかった。

……ううん、もしかしたらハインの当初の計画じゃ、わたしが死んでショボンさんを

生かしておく予定だったのかも。

49.
もし窓口で捕まったのがわたしで、「はい、お疲れさん。これでお前は用済みだ」とか

言って喉を切り裂かれていたら?

ぞっとする。

荷物をまとめ終わると、また刑事が来た。

九日間わたしに付きっ切りだった、この事件の担当者だ。


( ´∀`)「どうもモナ。退院おめでとうモナ」

(゚、゚トソン「ありがとうございます。おかげさまですっかり良くなって」

( ´∀`)「んー、もっかいだけ話を聞いてもいいモナ? しつこくて悪いけど……」

(゚、゚トソン「そんな。いいんですよ、何でも聞いて下さい」

( ´∀`)「えーと、ショボンさんと強盗の最後のやりとりをもう一回頼むモナ」

(゚、゚トソン「ええ。強盗とショボンが何か言い合ってたんです。

    『話が違う』とか『これがお前の取り分だ、死ね』とか」

( ´∀`)「うーん……やっぱりショボンは強盗と内通してたのかモナ」

50.
(゚、゚トソン「間違いないと思います。そうでなければ、あの会話はありえません」


知っての通り、本当はわたしもなんだけど。

ショボンさんが思い通り動かなかったから、ハインはわたしが必要になったんだ。


( ´∀`)「まとめてみると……

      強盗、ハインたちは強盗計画の為、ショボンを引き込もうとした。

      だけど奴は前の事件、組から金を持ち逃げしたことがあったわけで、

      あまり目立つことはしたくなかった。

      だがハインは怪文書を送ったりして奴に圧力をかけ、無理矢理動かした。

      奴らは金を奪い、ショボンは後は分け前のことだけ考えときゃいいってとこで

      殺された」

(゚、゚トソン「ショボンさんはすごく真面目な人でしたから、誰も疑わなくて。

     クレーマーがやったのかと……それがまさか、あんな……まさか」


刑事はため息をついて髪を掻き上げた。

51.
( ´∀`)「まあ、こちらでも出来る限りのことはするモナ。

      君の肩に穴開けた奴はもう天罰を食らったみたいだけど……」

(゚、゚トソン「え?」

( ´∀`)「おっと、朝刊を見てないモナ?」


病室を一旦出ると、彼はすぐ戻ってきた。

隣の部屋かどこかで借りてきたらしい新聞をわたしに見せる。

ハインの手下、ニダーとシナーが死体で発見されたとある。


(゚、゚;トソン「!!」

( ´∀`)「死亡推定時刻からして、強盗事件の後すぐに殺されたモナ。

      体内から毒物とビールが見つかったモナ」

(゚、゚;トソン(分け前を節約したってわけか。あの女、掛け値なしの悪党ね)

( ´∀`)「悪党の最期なんかこんなもんモナ。

      じゃ、また何か思い出したら連絡してくれモナ」
52.
(゚、゚トソン「わかりました。色々ありがとうございました」


頭を下げて彼を見送り、身支度を再開する。

それがすっかり済むとわたしは部屋を出、医者に挨拶しに行った。


('(゚∀゚∩「何度も言うようだけど、まだ完全に治ったわけじゃないからね。

     肩が上がるようになるまでしばらくかかるよ」

(゚、゚トソン「はい。お世話になりました」


病院を出る。

往来の激しい出入り口のところで、逆光を背に誰かが立っている。

わたしを待ち構えているかたちだ。


(゚、゚;トソン(カタワーかな。絶対来るなって電話しといたんだけど……)


薄汚い格好で来られて恥をかくのはわたしだから。

53.
(-、-トソン「う……」


しばらくろくに体を動かせなかったせいで不意にクラッと来た。

わたしがよろめいて転びそうになったところを、その人が抱き抱えて支えてくれた。


( ・∀・)

(゚、゚トソン「!!」

( ・∀・)「退院おめでとう。家まで送るよ」


瞳に体中の感情が集まって来て涙になる。

ようやく彼に会えた。今、本当の意味で。


(;、;トソン




つづく
スポンサーサイト
プロフィール

(゚q 。川カンザイ

Author:(゚q 。川カンザイ
完全犯罪(カンザイ)
プラネットライカは隠れた名作

最近のコメント
最近の記事
月別アーカイブ
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。