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G('A`)A(グランド・ドクオ・オート)のようです

ボツ作品。
GTAバイスシティにハマってた時に書いたやつ。


1.
その日、ドクオは都内の建物から出た。

舌に刺さる冷たい空気は、確かに自由という甘美な味をたっぷり含んでいた。


('A`)「五年か」


ホテルとしては最高だったかも知れないがここで過ごした五年は長過ぎた。

宿泊費・食費ともに完全無料。

全部屋に鉄格子を配備、外からしかかからない鍵のおかげで防犯対策は比類なし。

外に張り巡らされた5mの壁が煩わしい現実社会を完全にシャットアウト。

怒鳴り声と警棒のルームサービス。

∧∧
(,,゚Д゚)「もう来るんじゃねえぞゴルァ」


チェックアウトする際にお決まりのセリフをもらい、ドクオは途方に暮れた。

さて、これからどうする?


2.
ドクオはとりあえずネットカフェに向かった。

パソコンを使い、ニュースサイトを一回りして空白の五年間を補填する。


('A`)「大して変わってねえな、世の中は」


あれこれ見て回った後、ドクオはキーボードに手を置いた。

しばらく悩んだ。動きを止める。

それからようやく指を動かし、ある単語を検索エンジンに打ち込んだ。


『やんよ組』


検索の結果現れた情報は期待を裏切っていた。

所内で聞いた噂はデマじゃなかった。

かつて所属していた組はすでに解体され、なくなっていたのだ。




3.
組長ならびに幹部が大規模な麻薬取引に関わっていたことが露見。

イモヅル式に逮捕されたとある。

ドクオは溜め息をついて頭を抱えた。


('A`)「何故こんなことに…」


やんよ組は古いタイプのヤクザによって統率されていた。

新の意味での極道、つまり男の道を極めんとする者の集まりであった筈だ。

貧しくともプライドを売り払うような奴らじゃなかった。

何故、こんなことに?

ドクオは椅子に背を預けて大きく仰け反り、天井をにらんだ。

真実が知りたい。

だがその前に大きな問題がある。




4.
所内の労働で稼いだカネは浮浪者が鼻で笑うような金額だった。

一体今更どうやってやり直す?

もう若いとは言えない。

完全に一から出直すには人生を背負い込み過ぎた。


('A`)「どうすっかな…」


自分の将来。

家族同然だった組員たちの消息。

焦がれた女。

色々な問題が頭の中でゴッチャになった。

何故かひどくムショが懐かしい。

あそこなら少なくとも明日のことなんか考える必要はなかった。

現在のことだけに集中していれば良かったんだ。


5.
その日はそのまま眠り、翌朝目覚めてからもう一度パソコンを立ち上げた。

仕事を探すためだ。

求人サイトを眺める。


('A`)「肉体労働しかできねえな…」


ドクオは自分の学歴の無さを呪った。

更にこのネカフェは禁煙なのでイライラが余計に募る。

マウスの使い方がだんだん乱暴になってくるのを感じていると、隣のブースから声が聞こえた。

「店員さん、ちょっと来るお、店員さーん!」

「このパソコンいきなりフリーズしたお、店員すわああーーん!!」


('A`)(うるせえ野郎だ! …ってこの声、まさか!?)


ドクオは自分のブースを飛び出して隣に行った。


6.
( ^ω^)「来いつってんだ店員ゴルァ! すぐ来ないと店のブログ炎上さすお!」

('A`)「おい」

( ^ω^)「遅いお! 呼ばれたらすぐ来…ありゃ、ドクオさんですかお?!」

('A`)「ああ。昨日出所した」

( ^ω^)「そうですかお! おめでとうございますお」


二人は房を長く共にした仲だった。

内藤は一年ちょいの刑でドクオと同じ房に入り、彼より先に出ていった。

弱肉強食の所内において内藤は両手足を縛ってたき火の上に吊るしたウサギみたいなもんだった。

彼の態度や見た目は「誰でも自由に試食できます」って看板が立ってるのと同じだ。

ドクオは同房のよしみでそんな彼を助けてやって以来、内藤に一方的に好かれてしまったのだった。


( ^ω^)「出所祝いに奢りますお」

('A`)「ありがたい。それじゃラーメン食わせてくれないか?」


7.
('A`)「…これ、お前の車か?」

( ^ω^)「そうですお。今流行りの痛車ですお」

('A`)「そ、そうか。盗まれてもすぐ見つかっていいな」


というかドクオが車泥棒なら例えキーが刺さってても見なかったことにするだろう。

二人は車に乗ってアジア有数と言われる都内の電脳街、荒巻原(アラマキバラ)へ向かった。


('A`)「噂には聞いてたがすごいな。電器屋と…あの何だ? あれは」

( ^ω^)「どれですかお」

('A`)「そこらじゅうにあるやつだよ、中が全体的にピンクと肌色の」

( ^ω^)「あれがオタショップですお。ウチのと似たようなもんですお」

('A`)「そうか。すまんがお前の店ついてもっかい教えてくれないか?」


てっきりパソコンのソフトを売るくらいの店だろうと思っていたドクオは面食らって聞いた。



5.
( ^ω^)「エロゲとかキャラ商品が主力の店ですお」

('A`)「儲かるか?」

( ^ω^)「パイをみんなで分け合って共存してた時代は終わりましたお。

      今は強い奴がどれだけ多くのパイを一人占めできるかですお」

('A`)「どこも一緒だな。お前の店は?」

( ^ω^)「厳しいですお。大手に押されっぱなしですお。だからドクオさんの力が必要なんですお」

('A`)「俺は一介のチンピラだ。もう後ろ盾もない」

( ^ω^)「店をやる上でトラブルは必定ですお。それを解決してもらいたいんですお」

('A`)「どっちかっつうとトラブルを起こすのが俺の仕事だったんだがな」


話をしているうちに内藤の店、ブーン屋についた。

雑居ビルの一階にある割合広い店で、バイトが店番をしている。


ξ ゚⊿゚)ξ「あら店長、お帰りなさい」


6.
店のラインナップは他とほぼ同じ。

キャラグッズ、ゲーム雑誌、漫画、エロゲ、同人系。

特にエロが絡む、いわゆる「肌色系」と呼ばれるものが陳列棚の八割を占めている。


('A`)「い…いい店だな。借金したのか?」

( ^ω^)「フヒヒ、例のブツの売上をはたいたんですお」


内藤は秘蔵のコレクションを転売した罪でムショに入っていた。

詳しく言えばつまり、児ポ法施行前のブツだ。

モザイクも墨入れもなかった時代のソレをCD-Rに焼いて同好の志に売ったのである。

それがどこからか足がついて内藤は逮捕され、裁判長は悪質と判断して実刑に踏み切った。


('A`)「なるほどな。ところで今日どっかに泊めてくれないか?」

( ^ω^)「店の二階に仮眠室がありますお。良かったら使って下さいお」



7.
翌朝、ドクオは内藤の呼ぶ声で目を覚ました。

まぶしげにまぶたを持ち上げると窓から差し込む朝日をバックに内藤が立っている。

朝日を浴びてきらきら輝くオタク。

嫌な光景で目が覚めてしまった。


('A`)「もう少し寝かせろよ。シャバの布団は柔らかくて格別だ…」

( ^ω^)「起きて下さいお。イベントに遅れますお」

('A`)「イベントって?」

( ^ω^)「夕食のときに話したやつですお」

('A`)「ああ、コミケとかってやつか?」


正確に言えばコミケを模倣した小規模な即売会だ。

二人は昨晩コンビニ弁当を突付きながらそのことを少し話した。

まずはこの界隈の住人に顔を売りに行かねばならない。


8.
荒巻原にあるイベント会場を訪れるとすでに幕は上がっていた。

500人も入れば一杯の場内は人に溢れている。


( ^ω^)「小さいイベントだけど荒巻原の顔役はみんな集まってますお」

('A`)「お前んとこは?」

( ^ω^)「僕の店はイベントに出せるほど大きくないんですお…」

('A`)「すぐにでかいブースを持てるようになるさ。さあ、変人どもを紹介してくれ」


目の前にはテレビで見た光景が広がっている。

折り畳みのテーブルには冊子が山積みにされ、来客はその品定めに余念がない。

漫画やアニメの二次創作、つまるところ他人様のキャラを勝手に使用して描かれた

著作権無視のブツが圧倒的多数だが、端っこの方では完全な創作や手芸・旅行記などの

オリジナル作品をメインとしたサークルが細々と店を開いている。




9.
( ^ω^)「あそこで腕振ってる人がいるでしょう。あの一際デカいブースですお」

('A`)「ん? ああ」

( ゚∀゚)「おっぱい! いっぱい!」

( ^ω^)「あれがここらで最大手のサークル『オパイイパイ』のジョルジュさんですお」

('A`)「羽振り良さそうだな」

( ^ω^)「エロ同人が売れに売れてるんですお。年収二千万円って言ってましたお」

('A`)「すげえな、シャブの売人並みじゃねえか」

( ^ω^)「あっちの悲しげな顔のおっさんがショボンさんですお」

('A`)「なんかテーブルに銃を並べてるが…」

(´・ω・`)「木グリいらんかねー。手作りだよー」

( ^ω^)「モデルガンショップの店主なんですお。違法改造で一度起訴されてますお」

('A`)「前科モン仲間か。仲良くなれそうだ」




10.
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「初心者向けパソコン自作本出したよー」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「低価格で思うがままのパソコンが作れるよー」

( ^ω^)「あれは電子部品とか中古パソコンの店をやってる流石兄弟ですお」

('A`)「ハッカーってやつか?」

( ^ω^)「弟の方はそうみたいですお。兄は前に時限爆弾の製作本を出して警察に怒られてましたお」

<ヽ`∀´> 「ホルホルホル! みんなウリのところで新作を買うがいいニダ!」

('A`)「あの『金欲の豚』とかそんな感じのニックネームが似合いそうな奴は?」

( ^ω^)「うっ…商売敵ですお。ケンチャナヨ屋のニダーですお」

('A`)「ありゃ企業ブースか。随分派手にやってるじゃないか」

( ^ω^)「ウチとは資金力が段違いなんですお…うぐぐ、憎いお!

      大体あいつんとこは悪い噂で持ち切りなんですお、やり方がえげつなさすぎるんですお」

('A`)「熱くなるな。とりあえずお前の知り合いのとこに挨拶へ回ろう」



11.
それからドクオは内藤に連れられて各ブースで挨拶を交わした。

人込みを歩き回って程よく酸欠になった頃、ドクオは外の空気を吸いに喫煙所へ出た。


('A`)「あー、疲れた。つくづく変態ばっかりだな」

( ^ω^)「フヒヒ、そういう僕らもすでに同類ですお」

('A`)「まあな」


冷たいアイスコーヒーが火照った体に染みる。

内藤と雑談していたドクオは不意にざわりとうなじの毛が逆立つような気配を感じた。

振り向くと通りすがりの男がこっちを見ている。


('A`)「何だ?」

( ・∀・)「ん? ああ、ジュースを買いたいんだけど」

('A`)「こりゃ失礼」


ドクオが場所を空けるとその男は自販機で缶コーヒーを買い、去って行った。
12.
彼が去ってすぐにドクオは内藤に聞いた。


('A`)「あいつは?」

( ^ω^)「さあ…そう言えばたまにイベントで見かけますお」

('A`)「カタギじゃねえな」

( ^ω^)「え!? ヤクザですかお?」


確かに一見すればとてもそんな風には見えない。

だがどれだけ目立たないような格好をしていようともドクオは本能で同じニオイを感じていた。

向こうがこちらを見ていたのも同じ理由に違いない。

ほんの二呼吸ほどの時間だったが彼らはお互いの正体を見破ったようだった。


('A`)「ヤクザが即売会に何の用だ?」

( ^ω^)「それを言ったらドクオさんだって…」

('A`)「俺は『元』だよ。もう代紋背負ってねえ」

13.
翌日の昼頃に目を覚ましたドクオが店に下りると、内藤とバイトが困り果てた顔をしていた。


( ^ω^)「あ、ドクオさん」

('A`)「景気の悪い顔してどうした?」

ξ ゚⊿゚)ξ「人気のエロゲが入荷できなくなっちゃったんです。明日発売なんですけど…」

( ^ω^)「ニダーんとこが嫌がらせしてるに違いないお!」

('A`)「落ち付け、どういうことだ?」

( ^ω^)「さっき問屋からCDに傷があるとかないとかって連絡が来たんですお。

      全部製造所に注文し直すから出荷できないって」

('A`)「それが何でニダーんとこが関係してくるんだ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「そのソフト、ウチも他所も軒並み入荷できないのにケンチャナヨ屋だけ並んでるんです」

( ^ω^)「タダでさえ人気で品薄のやつなのに…」

('A`)「なるほど。ちょっと様子を見に行くか」



14.
ケンチャナヨ屋は大通りに面した場所にあった。

四階建てのビルすべてが店で各階ごとにジャンル分けがしている。

店の前では早くも徹夜組が行列を作っていた。


('A`)「なるほど、こりゃでかい」

( ^ω^)「悪いことして得たカネで…ムキー!」

<ヽ`∀´> 「おやおや、内藤がウチに何の用ニダ。『cross2channel』予約しに来たニカ?

      自分の店のはどうしたニダ」

(;^ω^)「う、うぐぐ…」

<ヽ`∀´> 「アイゴー、そう言えば貴社のは工場から届かないんだったニダ。失礼したニダ」

(#^ω^)「ム、ムキー!! このキムチ野郎!」

('A`)「落ち付け。帰って対策を練ろう」

<ヽ`∀´> 「ホルホルホル!」



15.
( ^ω^)「どうするつもりですお」

('A`)「ないもんはあるとこから貰う。警察手帳は手に入るか?」

( ^ω^)「え? 確かコスプレショップの知り合いが売ってくれますお」

('A`)「よし。じゃあショッピングと行こう」


背広と警察手帳を二組手に入れたドクオは流石兄弟の店へ向かった。

電子部品の店を積み木みたいに組み合わせて作ったようなビルにその店はあった。

  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああ、あんた昨日の」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「これ買わないか? チンコ型マウス、アメリカ製」

('A`)「アメリカンサイズだな。それは今度でいい。スタンガンはあるか?」
  ∧_∧
兄( ´_ゝ`)「ああいうのは取り扱いがうるさいんだ。面倒な許可がいる」

('A`)「くそ…足のつかないルートで手に入らないか?」
  ∧_∧
弟(´<_`  )「待てよ、ウチにないとは言ってないぜ。兄者が自作したやつならある」


16.
流石兄弟が売ってくれたスタンガンは見た目は悪いがかなり強力そうだ。

分厚いジャンパーの上からでも無理なく通電すると二人は自慢げに語った。

次にドクオはショボンの店に入った。


(´・ω・`)「やっぱり来たね。あんたは銃が好きな顔してるよ」

('A`)「まあな、現役時代はハワイに出張して撃ちまくったもんだ。いいのあるか?」

(´・ω・`)「どういう意味で『いいの』かな?」

('A`)「そりゃあいいのさ」

(´・ω・`)「改造モデルガンの時代はとっくに終わっとるよ。

      …待て、いいものがある」

('A`)「?」

(´・ω・`)「ここじゃマズイ。裏に来い」





17.
店の奥にある物置に入ったショボンは色々なものを掻き分け、大型のエアガンを取り出した。

要所要所が金属のパーツと交換されて補強されている。


('A`)「これは?」

(´・ω・`)「ガスガンだ。改造を重ねて限界まで威力を上げてある。発射するのはこいつだ」


そう言って彼は紙箱を取り出した。

蓋を開くと金属製のBB弾がジャラジャラ入っている。いわゆるメタル弾というやつだ。


(´・ω・`)「特別なガスだから強力だぞ。ゴムタイヤを撃ち抜くくらいは朝飯前だ」

('A`)「いい腕してるな。貰おう。いくらだ?」

(´・ω・`)「今回は代金はいらんよ。持って行きな」

('A`)「いいのか?」

(´・ω・`)「その代わり何かこっちでトラブったら来てくれ」



18.
翌日の早朝、背広に着替えたドクオと内藤は車の中にいた。

運転席ではバイトのツンがハンドルを握っている。

車は路肩に寄せて停止している。

三人は道路の流れを睨んでいた。


( ^ω^)「そろそろ時間だお…あっ、あの軽トラだお!」

('A`)「よし、追ってくれ」


三人を乗せたレンタカーは狙ったトラックの前に出て停止した。

ドクオと内藤が車を下り、トラックを両側から挟む形で接近する。

まずはドクオが落ち付いた様子で運転席の窓をノックし、警察手帳を取り出した。


('A`)「警察だ。荷物を改めたい」

(;><)「えっ!? け、警察?! 別に危ないものは運んでないんです」



19.
('A`)「ワイセツ物陳列罪になるようなもんを積んでると情報が入ったんでな」

(;><)「わ、わかったんです。今、荷台を開けるんです」


運転手が下りた瞬間、ドクオは彼の体を抱き寄せて腹にスタンガンを押し付けた。

バチンという音がして一気に運転手の体から芯が抜ける。


( ><)「あばばばば!!(ドサッ)」

('A`)「内藤!」

( ^ω^)「こ、こっちもいいですお」

('A`)「よし、乗れ」


助手席を下りたもう一人も内藤が何とか気絶させていた。

手際良く乗員を片付けた二人はトラックに乗って走り出した。


( ^ω^)「ふう、思ったより簡単に済んで良かったお」


20.
('A`)「そうでもなさそうだ。見てみろ」

( ^ω^)「へっ?!」

('A`)「パトだ」


運悪く強奪の現場に居合せたパトカーがサイレンを鳴らして追ってくる。

連絡を受けたのかすぐにもう二台がパレードに加わった。

図体のでかいトラックでは逃げ切れそうにない。


( ^ω^)「ひいいい追ってくるおー!」

('A`)「パニクんなボケッ! 運転を代われ」


内藤と座席を入れ代わるとドクオは懐から調達してきたガスガンを抜いた。

窓から身を乗り出し、後ろのパトカーに狙いをつける。


('A`)「カーブん時に気を付けろよ、減速しないと横転すんぞ」


21.
バスッ!

撃ち出されたメタル弾がパトカーのタイヤを突き破る。

風船に針をぶっ刺した音を百倍強力にしたような音がした。

制動を失ったパトカーはたちまちスピンして後続を巻き込み、視界から遠ざかって消える。


('A`)「すげえ! あのジジイ、恐ろしいもんを作るな」

( ^ω^)「ドクオさん前! 前!」

('A`)「ん? …う、うおおおお!?」


路肩で荷物の上げ下ろしをしていた別のトラックと横っ腹を擦りながらすれ違う。

窓から身を乗り出していたドクオは間一髪で体を引っ込めた。

もう少しで上半身が千切れるところだ。


('A`)「もっと早く言えドアホ!」

( ^ω^)「ひいい、こっちもいっぱいいっぱいなんですおー」

22.
残るパトカーは二台。


('A`)「次を曲がれ、多分この先はもう渋滞してる」

( ^ω^)「え!? どうやって逃げるんですかお」

('A`)「地下街の入り口がある筈だ。そこへ」

( ^ω^)「正気ですかお!」

('A`)「軽なら何とか入れる筈だ。ガキとか轢くんじゃねえぞ」


トラックは火のついたネズミ花火みたいにくるくる走り回った。

地下街の入り口に飛び込み際にドクオがもう一台のパトカーにメタル弾を食らわせる。

スピンしたパトカーは縁石に乗り上げ、死んだカエルみたいに引っくり返った。

逃げ惑う人々を掻き分けてトラックは地下街を突き抜ける。

まるで海を割って進むモーゼだ。

パトカー最後の一台もさすがに地下街の中までは追って来なかった。


23.
適当な出口から飛び出す。警察の目はないようだ。

立体駐車場に入り、そこで用意しておいた別のトラックに荷物を移し変えた。

内藤の店のガレージへ入ると全身から力が抜けた。


( ^ω^)「エロゲの為に死ぬところだったお…」

('A`)「誰にも同情されない最期だな。さあ、お宝を拝見しよう」


狙い通りのソフトが荷台に山盛りになっている。

しかも仕入れ値はゼロだからこれはまさに宝の山と言っていいだろう。

もっともこれらを店頭で売るのはほとぼりが冷めてからで、まずはダミー会社を通じた通販や

複数のネットオークションなどで売られることになる。

出所が一ヶ所だと悟られないために分散するわけだ。


('A`)「…ん? 何だこりゃ」



23.
ドクオはダンボールに張り付いている紙切れのようなものを見つけて手に取った。

切手に似ているがその半分ほどの大きさだ。

縁がギザギザなのはこれが元はシート状で、そこから千切り取られた一枚だからだろう。

表には何か二次美少女の眼と思わしいものがプリントされている。


('A`)「これ何のキャラだ?」

( ^ω^)「え? さあ…これっぱかしじゃ何とも言えないお」

('A`)「チラシの切れ端か何かか」


ドクオは何気なくそれを上着のポケットに入れ、そのまま忘れてしまった。

この切手こそが後に荒巻原とそれを取り巻く人間を大事件へと導いてゆくことになる。


( ^ω^)「ドクオさん、ニダーの店を見に行きましょうお」

('A`)「いいな。あいつの吠え面拝みに行くか」



24.
<;`Д´> 「ヒイイ、だから運送中の事故で…」

(`・ω・´)「ふざけんな! こっちは徹夜してんだぞ」
∧∧
(,,゚Д゚)「今更販売中止ってのはどういうことだゴルァ!」

\(^o^)/「転売の計画オワタ」


今にも暴動が起きそうな光景を二人は微笑ましいものでも見るかのように眺めた。

BGMは子犬のワルツ。


( ^ω^)「いやー、嫌いな奴の不幸ってほんっとーにいいもんですね」

('A`)「シベリア超特急ぅー」


ニダーがこっちを見て何か言いたそうにしている。

二人は笑って手を振っておいた。

さて帰るか、というときにドクオはあの男を見付けた。



25.
( ・∀・)「…」

('A`)「あいつは…」

( ^ω^)「どうしたんですかお」


男はタクシーから降りるとケンチャナヨ屋に入り、すぐ姿を消した。


('A`)(ケンチャナヨ屋の人間だったのか? にしちゃ少し妙だが…)

( ^ω^)「ドクオさん、そろそろ戻りましょうお」

('A`)「ん? ああ、そうだな」


とにかく初仕事はうまくいった。

戻ったらツンにもボーナスをやらないと。





mission completed!

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完全犯罪(カンザイ)
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