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冬だけどホラーのようです

こりゃあすさまじく適当なタイトルだね。
笑えるね。

マイナー作


1.
時計が寸分の狂いもなく鳴っている。

針の音が一秒単位で世界を刻んでいる。

ツンは自宅のベッドで目を覚ました。

目覚めると同時に必ずすることがある。


ξ ゚-゚)ξ「朝七時ちょうど。私は自分の部屋で目を覚ました」


現状の確認。

これを怠らないように医者に言われている。

続いてツンの確認は少しだけ過去を遡った。


ξ ゚⊿゚)ξ「一ヶ月前に退院」

ξ ゚⊿゚)ξ(…)

ξ ゚⊿゚)ξ(バイトに行かないと)



2.
ツンはコンビニのレジ前に立っていた。

客は誰もいない。

カウンターに置かれている軽食を温める機械がかすかなノイズをたてている。

虫の羽音みたいな音。

ジー、という音。


ξ ゚⊿゚)ξ「朝八時。私はバイトでコンビニのカウンターにいる」


ツンは外を見た。

真っ暗だ。

朝八時なのに真っ暗なのはおかしい。

時計を見ると三時だった。

昼の? 違う。夜中だ。


ξ ゚⊿゚)ξ(記憶が混線しているわ…)

3.
たまにあることだ。

いや、よくあることか。

だからいつも確認しなければならない。


ξ ゚⊿゚)ξ(私は夜のシフトではないから、この時間にここにいるのはおかしい)

ξ ゚⊿゚)ξ(これは何かの間違い。これは何かの間違い)


両手で顔を覆い、眼を閉じて静かに息をする。

聞こえる音は肉まんが入っている機械のノイズ音だけ。

他には何も聞こえない。

ツンは手を顔からどけて瞼を持ち上げた。

そこは森の中で、ツンは地下駐車場の入り口前に立っていた。


ξ ゚⊿゚)ξ(ここは…)



4.
暗い森だ。

空は血のような夕焼けに染まっている。

紅と黒の溶け合った色。

風がごうごうと吠えている。他に音は何もしない。

木々には申し訳程度の葉しかなく、すべて茶色くなって枯れ落ちている。

足元には枯れ葉が散らばってツンの足は少しだけそこに沈んでいる。


ξ ゚⊿゚)ξ(私はこの木々が枯れている理由を知っている。

      裏に産業廃棄物が不法廃棄されているせいだわ)


でも何故そのことを知っているんだっけ?

目の前には駐車場の入り口が黒々と口を開けている。

立入禁止の札があるが柵はなく、入り口の両端から切れたチェーンがだらりと下がっていた。


ξ ゚⊿゚)ξ(森の中に何故駐車場の入り口があるんだっけ?)

5.
ツンは帰路についていた。


ξ ゚⊿゚)ξ「私は家に帰るところ。時間は夕方五時」

ξ ゚⊿゚)ξ(仕事に出ていた記憶がない…最近『混線』がひどいわ)

ξ ゚⊿゚)ξ(もう一度病院へ行こう)


自宅に戻ったツンはベッドに腰を下ろした。

家の扉が開いて白い服を着た男と女が入ってきた。


(-_-)「ツンさん、あなたのご病気についてご説明します」

ξ ゚⊿゚)ξ(私の部屋に何故医者が…? 私は自分の部屋に戻ったわけだから…

     ああ、記憶が混線しているんだ。これは前に入院したときの記憶だわ)


そう理解するとすぐに周囲の風景は白い壁に囲まれ、病院の一室となった。




6.
そこは病室と言うよりは独房だった。

白い壁、頑丈なドア、パイプのベッド。

すべてが白く無機質だった。


ξ ゚⊿゚)ξ「私の病気って何なんですか?」

(-_-)「ご自分をもう一度見つめ直す必要がある病気です。じっくりと長い時間をかけて」

ξ ゚⊿゚)ξ「病名はなんて言うんですか?」

(-_-)「今日はここまでにしておきましょう」


医者と看護士は部屋を出ていった。

ドアの鍵が閉まる音がした。

ツンはドアに近寄って耳を押し付けた。

さっきの医者の声が「稀に見る重度の…」という言葉を使っているのが聞こえた。




7.
ツンは自分の部屋で目が覚めた。

ξ ゚⊿゚)ξ「朝七時ちょうど。私は自分の部屋で目を覚ました」


現状の確認。

時計の音。

コンビニへ出勤。

現状の確認。

機械のノイズ音。

現状の確認。

それから仕事を終えた帰り道にカフェへ。


('A`)「まだ悪いのか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさん…私はドクオさんと会っている。夕方6時34分」

('A`)「良くはないみたいだな」


8.
('A`)「実は妻にバレそうなんだ。お前と俺のこと」

ξ ゚⊿゚)ξ「別れてくれるって言ったじゃない」

('A`)「そう簡単には行かないんだ。わかってくれ」


ツンは帰宅し、食事し、入浴した。

現状の確認。

睡眠。

自分の部屋で目を覚まし、病院へ行く。


ξ ゚⊿゚)ξ「私は病院へ来た。朝10時ちょうど」

(-_-)「ツンさん、あなたのご病気についてご説明します」

ξ ゚⊿゚)ξ「あの、先生…」

(-_-)「ご自分をもう一度見つめ直す必要がある病気です。じっくりと長い時間をかけて」

ξ ゚⊿゚)ξ「???」


9.
外来患者の診察室にいるつもりが、そこは自分が入院していた独房のような病室だった。


(-_-)「今日はここまでにしておきましょう」


医者は看護士を連れて出ていった。

ツンはドアに近寄って耳を押し付けた。

さっきの医者の声が「稀に見る重度の…」という言葉を使っているのが聞こえた。


ξ ゚⊿゚)ξ(記憶がどこかで混ざってしまったんだわ)


するとすぐに医者が戻ってきた。


(-_-)「今日で一週間ですか。ご気分は?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ。ところで私の病気は? 一体どういうものなんです?」

(-_-)「どうか落ち付いて聞いて下さい。必ず良くなる病気ですから」



10.
医者は病状について当たり障りのない言葉や妙な言い回し、専門用語などで説明したので

ツンはどういうことなのかまったく理解できなかった。


ξ ゚⊿゚)ξ「よくわからない」

(-_-)「とにかく良くなりますよ、きっと。いや、必ずね」


時計の音がする。

目が覚めた。

現状の確認。

バイトが終わったらドクオと会う。


ξ ゚⊿゚)ξ「ここは森。私はドクオさんといる」

('A`)「どうした?」


目の前には地下駐車場の入り口がある。


11.
('A`)「ここに呼び出す。後は手筈通りに」

ξ ゚⊿゚)ξ「えっ?」

('A`)「お前、大丈夫か? しっかりしてくれ、失敗するわけにはいかないんだぞ」


ツンは両手を顔に当てて眼を閉じた。

風の音がする。

風の音しかしない。


ξ ゚⊿゚)ξ「私はドクオさんといる…何故ここにいるんだっけ? 駐車場に誰を呼び出すの?」

('A`)「何ぶつぶつ言ってんだ。ところでアレは持ってきたか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「えっ? 何のこと?」


顔から手をどけるとドクオがうんざりしたような顔をしている。


('A`)「お前どうかしてるのか!?」


12.
ツンは彼に背を向けて帰宅した。

眠る。

時計の音。

目覚める。

現状の確認。

バイトに行く。


ξ ゚⊿゚)ξ「朝八時。私はバイトでレジに立っている」


そう、今日は何も混線してない筈。

両手を顔に当てようとすると、顔に何か硬いものが当たった。

手に枝切りバサミをぶら下がっていた。

両手で使う大きいものだ。

刃に付着した血が柄を伝い、手元に流れ落ちてくる。


13.
ツンは両手を顔に当てて眼を閉じた。

風の音がする。

風の音しかしない。


ξ ゚⊿゚)ξ「私はドクオさんといる…何故ここにいるんだっけ? 駐車場に誰を呼び出すの?」

('A`)「何ぶつぶつ言ってんだ。ところでアレは持ってきたか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「これのこと?」


ツンは手にした枝切りバサミを見せた。

新品だ。

錆びていない。

刃もきれいだ。


('A`)「あ、ああ…まあ、それでもいい。殺せるんなら」



14.
森の中には地下駐車場の入り口がある。

ツンは目の前にぽっかり開いたその中を覗き込んだ。

反響を繰り返して何重にも聞こえる足音が近付いてくる。

誰かがこっちへやって来る。

息の詰まるような生臭さが押し寄せてきた。

血の臭いだ。

それもさっき噴き出したばかりの新鮮な血だ。


ξ ゚⊿゚)ξ(私とドクオさんは誰かを呼び出し、ここで殺したんだわ。

     でも違う…記憶が混線しているけれど、それは違う気がする)


何かがハッキリしない。

頭の中で大事なことが引っかかって出てこない。




15.
ツンは地下駐車場の入り口から出てくる人物を見ようと待っていた。

足音はどんどん近付いてくる。

足音はドアの前で止まり、医者と看護士が入ってきた。

そこは独房のような病室でツンはベッドに腰を下ろしていた。


(-_-)「どうも、ツンさん。ご気分は?」

ξ ゚⊿゚)ξ「私の病気はどういうものなんです?」

(-_-)「今日はその話はしません。こちらの方が別のことを聞きたいそうです」


今日に限って医者と看護士に加え、背広の男が一人いた。


(´・ω・`)「あんたが隠したものについて聞きたいんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「私は隠し事なんかしてないわ」

(´・ω・`)「いいや、一つ隠している。とても大事なものをだ」



16.
隠したもの? この男は何を言っているのだろう。

ツンは両手を顔に当てて眼を閉じた。


ξ ゚⊿゚)ξ(ちょっと一度、整理してみよう。

     1.私は一ヶ月前まで何かの病気で入院していた。

     2.退院してからアパートを借り、バイトをして暮らしている。

     3.ドクオさんと出会い付き合った。

     4.私とドクオさんは誰かを殺す計画を立てた。

     5.地下駐車場に呼び出した(誰を?)。

     一番新しい記憶が5ということは、今自分がいる時間にもっとも近い場所がそこ)


ところどころで大事な記憶が欠落している気がする。

今は何時だろう?

本当はどこにいるんだろう?


17.
翌朝、ツンは自分の部屋で目が覚めた。

時計の音がする。

現状の確認。

シャワーを浴び、着替え、朝食を取る。

病院へ向かう。

病院の一室で馴染みの医者と向かい合った。


(-_-)「ツンさん、どうも。もう一ヶ月になりますか。具合はどうです?」

ξ ゚⊿゚)ξ「記憶の混線がまだひどくて」

(-_-)「そうですか。貴方にとっても辛いことだったでしょうから」

ξ ゚⊿゚)ξ(辛いこと…入院中のことを言っているのかしら)

(-_-)「長い入院期間でしたが人生はまだまだやり直せます。焦らずに行きましょう」





18.
翌朝、ツンは自分の部屋で目覚めた。

時間を確認し起床しバイトへ行く。

帰り際にカフェへ寄った。ドクオと会う為だ。


ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさん…私はドクオさんと会っている。夕方6時34分」

('A`)「良くはないみたいだな。…実は妻にバレそうなんだ。お前と俺のこと」

ξ ゚⊿゚)ξ「別れてくれるって言ったじゃない」

('A`)「そう簡単には行かないんだ。わかってくれ」


ドクオは何か大事なことを口に出そうとして苦心している。

大きなものが喉につかえてなんとか吐き出そうとしているみたいに。

カフェに他に客はいない。

コーヒーメーカーがコポコポ言う音だけが聞こえる。

コーヒーメーカーがコポコポ言う音しか聞こえない。


19.
('A`)「クーを殺そう」


ドクオは決心してぼそりとそう言った。


ξ ゚⊿゚)ξ「貴方の奥さんを?」

('A`)「そうだ。失踪したように見せかけるんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「うまく行くかしら」

('A`)「行くさ。殺すにはいい場所がある。あそこなら誰も来ない」


ツンは枝切りバサミを手に地下駐車場へ入っていった。

暗い。

体に絡み付くほどに重く粘りのある闇だ。

淀んだ空気を掻き分けて進む。

そこに誰かがいた。

ツンは枝切りハサミをその人物に思い切り突き立てた。

20.
甲高い悲鳴を上げうつ伏せに倒れたところで、足首にハサミをあてがい切断する。

人の肉は映画のようにスパンとは切れない。

ジャキンでもザックリでもない。

筋が一本ずつ切れてゆく「ぶちぶち」という音がもっとも的確だ。

ぶちっ

ぶちっ

ぶちっ

最後に骨が切断されるバキンという音がして足は取れた。

ツンはいまだかつてない悲鳴を聞いていた。

猿を酸の風呂に投げ込んだらこんな声を出すんじゃないかって悲鳴だ。

とにかくこれでクーは逃げ切れない。

ツンは彼女の胴を足で踏みつけて押さえ、首にハサミをあてがった。




21.
首を切るのは足を切るより大変だった。

両手で柄をしっかり掴み、思い切り両側から内側に向かって押し込む。

噴水のように血が跳ねてツンはそれを顔に浴びた。

今度はぶちぶちという音に加えてごぼごぼという音がした。


川 ゚ -゚)「がぼっ! ごぽ、ごぽっ」


気道に血が流れ込んで詰まりがちな排水口みたいな音を立てているらしい。

ツンの足に踏みつけられたままクーは死にかけの虫みたいに手足をばたつかせた。

ぶちっ

ぶちっ

ぶちっ

バキン

それから、ゴロリと丸く重いものが硬いアスファルトの上を転がる音。


22.
女の腕でよく切れたものだと思った。


ξ ゚⊿゚)ξ(テレビで見たわ…そう、確か火事場の馬鹿力ってやつ。

      人間は極度の緊張状態になるとアドレナリン…麻薬物質が分泌されて、

      痛みや恐怖が麻痺するって)


枝切りバサミをベルトに挟んで両手を自由にすると、ツンはクーの死体を片付けにかかった。

人間の腐敗臭は強烈だ。

こんな地の底であってもすぐに地上に漏れ出すだろう。

場所を変えねばならない。

クーの足首をポケットに突っ込み、左手に頭、右手にクーのくっついてる方の足を持って引き摺ってゆく。

それほど重たくも感じられない。

まだアドレナリンが駆け巡っているのだろうか。




23.
ふとツンは立ち止まった。

両手に持ったそれぞれの物を取り落とし、手の平を顔に被せて眼を閉じる。


ξ ゚⊿゚)ξ(ドクオさんと二人で殺す予定の筈…あの人はどこに?)


風の音が聞こえる。

目前に迫った地下駐車場の出入り口から吹き込んでくる風だ。

少しだけ見える空はツンが全身の浴びた血のように赤い。

ツンは地下駐車場を出た。

次の瞬間ツンは駐車場の入り口を覗いている自分になっていた。

別の記憶の自分と移り変わったのだ。

ツンはクーの頭と体と足を引き摺って出てくる自分を見ていた。

猛烈な生臭さを放っている。

血の臭いだ。


24.
ツンは殺しを終えたもう一人の自分を見ていた。

彼女は死体をあらかじめ用意しておいたらしいビニール袋に詰め、大きなダンボールに入れた。

それからもう一度駐車場の中へ入ってゆき、同じように死体を引っ張り出してきた。

ドクオだ。

クーと同じように頭と右足を切られている。

血の跡を道筋のように残しながら引き摺ってくると、その死体もクーと同じく梱包した。

車を持ってきて二つのダンボールを運び込み、姿を消す。


ξ ゚⊿゚)ξ(ドクオさんも死んでいる…? 私がやったの? 何故?)


ツンは地下駐車場に入ってみた。

手の中には大きな枝切りバサミがある。

少し行ったところに先に入ったドクオがいてツンを待っていた。


('A`)「クーはすぐに来る。呼び出したのが十分ちょい前だから、もうそろそろ…」

25.
ツンは腰を落として構え、ドクオの腹に枝切りバサミを突き立てた。

クーを殺す手順をべらべら喋っていたドクオは言葉と一緒に血を吐いた。


('A`)「ゴヘッ!!」


ハサミは刃を開いた形で突き刺さっている。

ツンはそのまま思い切り柄に力を込めて刃を閉じた。

ぶちっ

ぶちっ

ぶちっ

ずたずたになった腸が腹腔からずり落ちる。

それはドクオが落としたケータイの画面の光に照らされ、ぬるぬる光っていた。

ツンはハサミを引き抜いて今度はドクオの足にあてがった。

もう彼が動けないことは明白だが、万が一にも逃がしたくはなかった。


26.
ドクオは血を吐いた。

蛇口の壊れた水道みたいに吐き続けた。

吐瀉物もいくらか混ざっている。

さっきカフェで食べたサンドイッチの欠片だろうが、全部ミートソーススパゲティのように見えた。

ドクオはそれらと一緒に何か言っている。

命乞いか罵倒かはわからない。

ツンは彼の体を片足で踏み付けて固定し、首の切断にとりかかった。

男の筋肉は女とは比べようもなく硬かったが切れなくはなかった。


ξ ゚⊿゚)ξ(クーより大変だったわ)


ツンはその自分の考えを変に思った。

クーはドクオよりも後に殺した筈なのに。




27.
はみ出した腸を掻き集めて腹の中に詰め戻し、ツンは死体を運び出した。

車の前にはすでに運び出したクーの死体がダンボールに梱包されている。


ξ ゚⊿゚)ξ(また混線している…クーはまだ殺していない筈じゃ?

      ううん、もう殺していたけれどそれは記憶の混線のせいで…)


悩んだが答えは出ない。

どうでも良くなってダンボールを車に積み込んだ。

一度帰宅する。

シャワーを浴び着替える。

それから死体を郊外の山奥へ埋めに行った。

すべてを終えてから再び家へ。

明かりを消してベッドに入った。

時計の音だけがしている。


28.
目が覚めた。

現状を確認する。


ξ ゚-゚)ξ「朝七時ちょうど。私は自分の部屋で目を覚ました」


ベッドの隣で裸のドクオが眠っている。

毛布をめくってみる。

腹はどうともない。切り裂かれた痕跡はない。

ツンは両手で顔を覆って眼を閉じた。


ξ ゚⊿゚)ξ(これは二人を殺す前の記憶だわ)


手をどけて瞼を持ち上げる。

枕元にドクオのケータイがあった。

何となく手に取って開く。


29.
メールボックスを開く。

ツンやクー、仕事先や友人などとのやり取りがある。

その一つ一つを開いて見ていくと、こんなメールがあった。


『次の日曜の夕方にやる ナイフを忘れるな』


クーに向けられたものだ。

ツンは隣に眠っているドクオの肩を揺すった。


ξ ゚⊿゚)ξ「ドクオさん、奥さんを殺すのっていつだった?」

('A`)「う、うーん、何だ? 寝かせてくれ…」

ξ ゚⊿゚)ξ「奥さんを殺す日にちよ」

('A`)「日曜日だろ。夕方」

ξ ゚⊿゚)ξ(奥さんに教えている…? それにナイフって?)



30.
ツンはベッドを出てシャワーを浴び、朝食を取ってバイトに向かった。

カウンターに立つ。

現状の確認。

肉まんをあっためる機械のノイズ音だけがする。

カウンターは木製になっていた。

全然知らない人間が突然ツンの疑問に答えた。

∧∧
(,,゚Д゚)「つまり被害者である鬱田ドクオと鬱田クーは、共謀して被告ツンを殺そうと…

     鬱田ドクオは被告には妻を殺すと言って地下駐車場に呼び出し…

     だが被告はそれをケータイを見てあらかじめ察知しており…

     逆に二人を…」


ひどく遠くに聞こえる。

要所要所で何を言っているかがわからない。


31.
最後に裁判長がこう言ったのだけは良く聞こえた。


「責任能力無しと判断」

「起訴を却下」

「被告は治療を旨とした施設へ…」


ツンは白い壁に囲まれた独房のような病室に送られた。

窓はなく扉には三重に鍵がつけられている。

ぼそぼそと話し声が聞こえる。

ツンはそっと扉に近づき、耳を押し付けた。


(-_-)「稀に見る重度の分裂病ですね。日本でこんなにひどい症例は始めてだ」

(´・ω・`)「分裂病ってのは?」

(-_-)「夢とか妄想とか、過去の記憶とかが全部ゴッチャになって現実と区別がつかなくなるんです」



32.
(-_-)「話はできますが、恐らく支離滅裂かと…」

(´・ω・`)「死体の一部がどうしても見つからないんだ。遺族に申し訳が立たない」

(-_-)「聞いても無駄だと思いますがね。じゃあ開けますよ、刑事さん」


扉が開いた。

刑事と医者の二人は聞き耳を立てていたツンと鉢合わせになる形となった。

ぎょっとした表情の二人にツンは聞いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「分裂病? それが私の病気なんですか?」

(-_-)「何言ってるんです? さあ、ベッドに戻って。起きちゃダメですよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「私の病気はどういうものなんです?」

(-_-)「今日はその話はしません。こちらの方が別のことを聞きたいそうです」

(´・ω・`)「あんたが隠したものについて聞きたいんだ」




33.
ツンは両手で顔を覆って眼を閉じた。

怖い。

恐怖で冷たい汗が噴き出す。

心臓に太い氷柱が突き刺さっているみたいだ。


ξ ゚⊿゚)ξ(1.私は一ヶ月前まで分裂病で入院していた(とても長い期間)。

     2.退院してからアパートを借り、バイトをして暮らしている。

     3.ドクオさんと出会い付き合った。

     4.私とドクオさんは奥さんを殺す計画を立てた。

     5.地下駐車場に呼び出した(奥さんを)、しかし私は二人を殺した。

     6.警察に露見し私は捕まった。

     7.どこかの病院に送られた。

     8.私は一ヶ月前まで分裂病で入院していた(とても長い期間)。

     9.退院してからアパートを借り、バイトをして暮らしている)

34.
ξ ゚⊿゚)ξ「10.ドクオさんと出会い付き合った。

     11.私とドクオさんは奥さんを殺す計画を立てた。

     12.地下駐車場に呼び出した(奥さんを)、しかし私は二人を殺した。

     13.警察に露見し私は捕まった。

     14.どこかの病院に送られた。

     15.私は一ヶ月前まで分裂病で入院していた(とても長い期間)。

     16.退院してからアパートを借り、バイトをして暮らしている)

     17.ドクオさんと出会い付き合った。

     18.私とドクオさんは奥さんを殺す計画を立てた。

     19.地下駐車場に呼び出した(奥さんを)、しかし私は二人を殺した。

     20.警察に露見し私は捕まった。

     21.どこかの病院に送られた。

     22.私は一ヶ月前まで分裂病で入院していた(とても長い期間)。

     23.退院してからアパートを借り、バイトをして暮らしている)
35.
出口がない。入り口もない。

どこから始まってどこで終わっている?

時計の音がする。

風の音がする。

機械のノイズ音。

コーヒーメーカーのコーヒーが沸き立つ音。

ドクオとクーの悲鳴。

気管に血が詰まる。ごぼごぼ。

肉が切れる。ぶちぶち。

何も聞こえない。

また時計の音。

また風の音。

また機会のノイズ音。


おしまい


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完全犯罪(カンザイ)
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