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ゆびさきとミルクティーのようです

これもマックスペインの影響強し。
ロックスターゲームスはいいゲーム作るなー。


1.
三時に会う予定だったギコは大分遅れてやってきた。

山ほど砂糖とミルクを流し込んだ紅茶をすすっていた俺は顔を上げ、彼を席に迎えた。


(,,゚Д゚)「ミルクはともかく砂糖は減らせよ。医者に何か言われたんだろ?」

('A`)「ほっとけよ」

(,,゚Д゚)「ミルクティーなんて」


ギコはもう一度あざ笑うような素振りを見せる。


(,,゚Д゚)「ガキや女の飲み物だ」

('A`)「コーヒーは体に悪い。心臓病を誘発させる。だが紅茶はガン細胞を殺すんだぜ」

(,,゚Д゚)「いつから医学博士になった? ん?」

('A`)「TVの受け売りさ」






2.
俺たちはカフェを出て車に乗り、現場へ向かった。

ニューソク街42番地。

この街の治安の悪さはもはや慢性的な病だ。

暴行、強姦、麻薬、殺人。

しつこい水虫みたいに絶対に治りゃあしない。

間違ってもピクニックに来る場所じゃないが、俺たちがここへ来たのにはワケがある。


二週間ほど前、俺たちが「指野郎」とアダ名をつけていた連続殺人犯が逮捕された。

指野郎。

最初にそう呼んだのは確か副所長ジョルジュだったと思うが、ひどいセンスだ。

まあそれはともかく普警やら善良なる市民やらの協力のおかげでそいつを暗くて冷たいホテルへ

ぶちこむことができたんだが、これで一件落着とはいかないのがサイコ野郎相手の商売の辛いところだ。






3.
二週間前の取調室。


( ^ω^)「…」


こいつが指野郎、内藤ホライゾン。

売春婦ばかりを四人も殺した素敵なキチガイだ。


('A`)「もう一度聞く。残り一つの死体と指をどこへやった?」

( ^ω^)「…」

('A`)「死体三つは見つかったが全部指がなかった。どこへ隠した?」

( ^ω^)「…」


黙秘権ってのは実際のところ根性の座ってる奴しか行使できない。

内藤は自分が殺したことは白状したが、死体についてはついに一言もゲロしなかった。





4.
俺たちがこうして「宝探し」に乗り出したのはこんなわけだ。

内藤の頭ん中を覗いた精神分析医殿は、この手のサイコ野郎は儀式的に同じような場所を選んで

死体を隠すと言っていた。

奴が殺した死体のうちの三つはこのスラムの寂れた倉庫で見つかっている。


('A`)「もう倉庫と名の付く場所はシラミ潰しに探したぞ。次はどこを探すんだ?」

(,,゚Д゚)「倉庫みたいな場所さ。廃墟のガレージとか、地下の駐車場とか」

('A`)「指もそこにあると思うか?」

(,,゚Д゚)「さあな」


俺たちは高いとは言えない革靴の底を存分にすり減らしたが、結局この日は無駄足に終わった。

それにしてもなんだって内藤は死体の指を切り落としたりしたんだろう?

鑑識の話では

殺す→手の指十本をすべて切り落とす→犯す→死体を捨てる

の順番だったらしいが…

5.
次の日も、その次の日も俺たちはスラムを犬のように嗅ぎ回った。

袖を引く街娼やチンピラをいなしつつ聞き込みを続ける。


('A`)「姉ちゃん、ちょっといいか」

ζ(゚ー゚*ζ「あら、いい男。お金は持ってる? 先払いよ」

('A`)「そうじゃねえ、俺たちは刑事だ。話を聞きたい」

(,,゚Д゚)「この顔に見覚えないか?」


ギコが内藤の写真を見せる。

それにしても写真写りの悪い野郎だ。五割り増しで凶悪に見える。


ζ(゚ー゚*ζ「ニュースでなら見たわよ」

(,,゚Д゚)「生では?」

ζ(゚ー゚*ζ「ないわね。こんなツラ一度拝んだら忘れないわ」


もっともな話だ。

6.
この日も空振りに終わった。

夜遅くに署へ戻り、砂糖とミルクを嫌ってほど入れた紅茶を飲み干す。

ギコにバカにされてもこれだけは止められない。

仮眠室で一休みだ。

家に帰れるのは内藤の溜め込んだムナクソ悪くなるお宝を拝んでからになるだろう。

その晩、俺は普段めったに見ない夢を見た。

疲れが溜まっていたせいだろうか。


( ^ω^)「僕が殺しましたお」

('A`)「それはもうとっくにわかっている。死体をどこへやった?」


これは…ああ、内藤を逮捕してすぐの取調べか。

俺のあのツラを見ろよ、緊張してるってでっかく書いてある。





7.
( ^ω^)「僕の話を聞いてくれますかお」

('A`)「聞くとも。いくらでも話せ」


犯人ってのは大抵最初は黙秘を通すもんだ。

だがこいつは違った。

何故かいきなり自分の生い立ちを語り始めた。

まるで俺こそが自分のすべてを理解してくれる聖母マリアか何かだとでも言わんばかりに。


( ^ω^)「指ですお」

('A`)「?」

( ^ω^)「六歳の頃に実母が死んで義母が来たんですお。

      義母は僕に対して…何て言うのか…今にして思えば、虐待って奴ですお。

      機嫌が悪くなると適当に怒る理由をつけて僕の体を掴むんですお」





8.
('A`)「掴む? 叩くんじゃなくてか?」

( ^ω^)「ええ。こう、ギューッて。多分叩くと虐待になると思ってたんですお…

       僕からすれば一緒だけど。

       母親は爪をいつも伸ばしていたから体中に引っかき傷ができて血が出るんですお。

       折檻の後は気の狂った猫と一緒に檻に閉じ込められた後みたいになりましたお」


内藤は下を向いたまま話し続けた。

そう言えば俺とはこの部屋に入ってから一度も視線を合わせていない。


( ^ω^)「それ以来、僕はずっと女性の指に固執するようになったんですお」


分析医は憎悪と母親への依存が入り混じった感情を持っている、というようなことを言っていたな。

その時、よしときゃいいのに俺は内藤の顔を覗き込んだ。

奴もこちらを見た。




9.
あの時のやつの目を俺は生涯忘れないだろう。

同じ人間でありながらまったく異なる、いわば奇形の魂の持ち主。

汗びっしょりで眼が覚めた。


(,,゚Д゚)「お目覚めかい?」

('A`)「ん? ああ…」

(,,゚Д゚)「内藤を見たって男が見つかった。行くぞ」

('A`)「その前に紅茶を一杯」

(,,゚Д゚)「まったく! イギリス人か、お前は…」


甘ったるい紅茶を飲んだら眼が覚めた。

というか、さっきまで展開していた光景が夢だとようやく確信できたと言うべきか。

さあ、目撃者に会いに行こう。





10.
(´・ω・`)「ええ、見ましたよ、確かに」

(,,゚Д゚)「この写真の男で間違いないな?」

(´・ω・`)「こいつだ。このツラは忘れられん」


そのホームレスの男は小銭を掴ませると途端に愛想を良くした。

今なら初めてオカズにしたポルノ女優の名前だって言うだろう。


('A`)「どのへんをうろついてた?」

(´・ω・`)「あそこらへんかな」


男は路地裏を指差した。

俺とギコは彼に礼を言ってそこへ向かった。

陰惨な雰囲気のする廃墟の扉が口を開けている。

長年の刑事のカンでなんとなくわかった。ここには何か良くないものがある。

紅茶が欲しくなってきた。


11.
俺たちは二人とも拳銃を取り出し、弾丸が装填されていることを確認した。

犯人はもう捕まってるだろって?

スラムにはまだ捕まってない別の悪い奴が腐るほどいる。


('A`)「行くぜ」

(,,゚Д゚)「ああ」


深呼吸をしてから中に入った。

人の気配はない。

というよりはこの建物はまるでこれまで一度も人が入ったことがないかのようだ。

墓地のように静かだがどこかからか下水道のドブネズミも朝食を戻しそうな悪臭がしてる。

嗅ぎ慣れた屍の腐臭だ。

周囲の安全を確かめながら俺たちは臭いを追ってゆく。





12.
臭いの元は一番奥の部屋にあった。

元は寝室だったとおぼしき場所で、朽ちかけたベッドが置いてある。


(,,゚Д゚)「ヒデエ臭いだ…うわっ」


部屋に入ろうとしたギコがつまづく。

腐り果ててドロドロになった死体の足がベッドの下からはみ出していた。


(,,゚Д゚)「畜生」

('A`)「その箱は?」


ベッドの横の小テーブルの上に小箱があった。

宝石箱みたいな細工物の木の箱だ

俺は屍の足をまたぎ、小箱の蓋を開いた。

死体をまたぐのは縁起が悪いって? あいにく俺は無神論者だ。



13.
中には思った通り指が入っていた。

まるで小さな女の子がオモチャの宝石でも詰め込むように、一杯に。

腐って肉が剥がれ、ドス黒い紫色に変わっている。


部屋全体がまるでわけのわからない悪魔を祭る祭壇のようだ。

ここが内藤の頭ん中ってことになる。

俺が奴の顔を覗き込んだときに感じた恐怖…まるでメデューサが鏡を見たときみたいな。

俺の中にも確実にあいつと同じ怪物が潜んでいる。

人間などみな心に制御不能の悪魔を飼っているのだ。

それを開け放しちまった奴を見る時、人はまた自らのうちに眠るその存在に気付く。


('A`)「本部に連絡を」

(,,゚Д゚)「ああ」


畜生、紅茶が飲みたい。


おしまい

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完全犯罪(カンザイ)
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