スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

('A`)あらしの鳥、あらしの夢のようです 後編

後編


1.
 翌朝。

 ヌルポ島につくと、ドクオは船を桟橋につけた。

クーと話す口実を考え、荷物から缶詰を三つばかりみつくろった。


('A`)「ちょいと彼女に差し入れしてくらあ」

( ^ω^)「コンビーフ缶はダメだお!」

('A`)「わかってるって、オイルサーディンだよ」


 それらを抱えて島に降り、彼女の小屋に向かった。









('A`)あらしの鳥、あらしの夢のようです 後編

原作 J・G・バラード『あらしの鳥、あらしの夢』(短編集『溺れた巨人』収録)

2.
ドアをノックするが返事がない。

鉄塔のほうに行ってみると、階段の下に彼女がうずくまっていた。


川;> -<)「ゼエ、ゼエ」

(;'A`)「クーさん! どうしたんだ」

川;゚ -゚)「ドクオさん。ちょっと気分が……」


 彼女を抱き起こしたとき、妙な違和感に気づいた。

これまでは気づかなかったが、体型が……太っているとはまた違うような……?

膨らんだ腹を抱えるようする彼女に手を貸し、小屋までつれていってベッドに寝かせた。


川 ゚ -゚)「ありがとうございます」

('A`)「構わんよ。ちょっと待ってろ、薬を持ってきてやる」

川;゚ -゚)「薬ならその棚の箱を……そう、そのボール紙の箱です」


 質素そのものの家だった。

3.
椅子がひとつだけの小さなテーブルがあり、空き缶に花が活けてある。

奥に大きなはた織り機があった。

この孤独な生活で、はたを織るのが彼女にとって唯一の慰めなのだろうか。

 箱を渡すとクーは中から錠剤を取り出し、ドクオが差し出した水差しの水で飲み下した。


川 ゚ -゚)「少し休めば大丈夫。ありがとう、おかげで助かりました」

('A`)「そうか、何かあったら言ってくれよ。これニチャンシティーのお土産」


 クーは苦しげな顔に笑みを作り、礼に代えた。

しばらくすると呼吸が落ち着き、青ざめた顔に赤みが差した。


('A`)「町で光の翼の連中に会ったよ」

川 ゚ -゚)「ペニサスさまにも?」

('A`)「ああ」

川 ゚ -゚)「そうですか」


4.
 彼女は目を閉じた。


川 ゚ -゚)「あなたは運命に選ばれた戦士だと言われたでしょう。

   だけどそんなもの、あなた流に言うなら〝豚に食わせろ〟というところです」

('A`)

川 ゚ -゚)「運命はあなた自身が選択するのです。

   夫の頭を真っ二つになるまで灰皿で殴ったとき、わたしは……」

('A`)「おい、よしてくれよ」

川 ゚ -゚)「自分はなんてひどい運命のもとに生まれたのだと思いました。

   けれど、違った。それは確かにわたしが自ら選んだ道だったのです。

   別の選択肢を取る勇気がなかったから……あんなことに……」


 クーの目元には光るものがあった。


川 ゚ -゚)「嵐が近づいています」

('A`)「いい天気に見えるが」
5.
川 ゚ -゚)「あなたは選択を迫られるでしょう。以前のわたしと同じように」

('A`)「……」


***


 船に戻ったドクオは、甲板の寝椅子に仰向けになった。

煙草に火をつけ、雲ひとつない空を見上げる。

ブーンは例によって釣りに励んでいた。


('A`)「ブーン、お前、運命とか信じてるか?」

(;^ω^)「光の翼の連中に洗脳されたかお」


 釣り糸を垂れながら、ブーンはちょっと考えてから答えた。


( ^ω^)「うーん。この世には食えるもんと食えないもんしかないお。

   運命は食えないお。よってぼくには大して価値のあるもんでもないお」

('A`)「デレちゃんとの出会いは?」
6.
( ^ω^)「兄貴、適当に入ったレストランが、偶然にも超うまい飯を出す隠れた名店だったとするお。

   これは運命かお?」

('A`)「まあ……そう言ってもいいんじゃないの?」

( ^ω^)「違うお。それはぼくのうめえもんを食いたいという思いが、うめえ料理を作るコックとめぐり合わせたんだお」

(;'A`)「どうもよくわからんが……」

( ^ω^)「ぼくは運命なんて信じちゃいないけど、人には人を引き寄せる力みたいなもんがあると思うお」

('A`)「人間そのものが運命、ってなことを言いたいわけ?」

( ^ω^)「そういうこと……お、イサキが釣れたお」


 それじゃデレちゃんはお前の片思いだったらどう説明するんだと思ったが、酷な質問なのでやめておいた。

煙草に火をつけ、ごろりと横になる。


('A`)「俺は鳥をぶっ殺すだけが仕事さ。救世主がどうとか、そんなの知ったことじゃねえ」


***


7.
 翌朝。

迷い鳥の一匹も姿を見せず、そろそろ銃声が恋しくなってきた。

甲板でブーンの釣った魚を食べていると、鉄塔の足場にクーの姿が見えた。


(;'A`)「あぶねえなあ、もう。何やってんだいつも……」


 後でまた様子を見に行くかなと思っていると、地平線に暗雲が立ち込めているのが見えた。


( ^ω^)「あー、こりゃ嵐になりますお」

('A`)「マジかよ~……雨漏り、直ってっかな?」


 船を湾内に停泊させ、甲板の余計なものを船内に運び込む。

準備に追われているうちにも、暗雲はみるみる広がってゆく。

 しかし、何かがおかしい。

甲高い喚き声が聞こえる。


('A`)「……?」
8.
 双眼鏡を覗いてみると、そこにあるのは嵐ではなく、鳥の大群だった。

空を真っ黒になるほど埋め尽くし、鳴き声が濁った雷鳴のようにとどろいている。

これまで島に襲いかかってきた数の比ではない。以前の大攻勢に匹敵する。


(;゚A゚)「マジかよ……?! あれ、全部鳥だぞ!!」

(;゚ω゚)「ええええええ?!」


 無線機の呼び出し音が鳴っている。

ブーンに双眼鏡を押し付け、ドクオは船内に飛び込んだ。

スピーカーから緊急回線で一斉放送が入っている。


***「全海域の兵に告ぐ、鳥の大軍隊がニチャンシティーに接近している。

   ただちに寄港し防衛に参加せよ。これは最優先任務である!

   繰り返す、全海域の兵に告ぐ……」

(;'A`)「うお、あっちもか!」

( ^ω^)「兄貴……」
9.
('A`)「準備しろ、ブーン! ズラかるぞ!」

(;^ω^)「わ、わかったお!」

('A`)「俺はクーさんを連れて来る」


 船を桟橋につけ、鉄塔に走った。

ちょうど彼女は地面に降りてきたところだった。


川;゚ -゚)「ハァ、ハァ、とうとう嵐が……」

('A`)「ヨタ話に付き合ってる暇はねえんだ、逃げるぞ! ついてこい」


 彼女は静かに首を振った。


川 ゚ -゚)「わたしはここを動きません」

(;'A`)「何だって?!」

川 ゚ -゚)「来るべきときが来たのです」

(#'A`)「いい加減にしろよ!! ワケのわかんねえ話はもううんざりだ!」

10.
 そのとき、甲高い口笛の音がした。

船のほうを見ると、ブーンが甲板で海軍式の手旗信号を送っている。


( ^ω^)(斥候が来ている)


 すでに島の上空には先遣隊が到着し、例の耳障りな鳴き声をあげて旋回を始めていた。

 肩の階級章を手で掴みながら、ドクオはあたりをうろうろした。


(;'A`)(ツンちゃん……俺、どうすればいい? 俺は……)

川 ゚ -゚)


 意思を固めた。

 彼女の手を引いて鉄塔の通信施設へ連れていくと、鍵束の鍵でスチールのドアを開いた。


('A`)「ここは鳥対策ででかなり頑丈に作ってある。いいって言うまで出るなよ」

川 ゚ -゚)「あなたは?」

(#'A`)「こうなったらやるしかねえだろうがよ!」
11.
川 ゚ -゚)「それでいいのですね?」

('A`)「勘違いすんなよ、俺は生き延びられる可能性が高いほうを選んだだけだ!」


 ドアを叩きつけるように閉め、船に走った。

桟橋を駆け抜けてタラップをよじのぼる。


( ^ω^)「兄貴! 急がないと」

('A`)「いや、とどまって戦う」

(;^ω^)「何言ってんだお!? あれだけの数、どうやって相手にすんだお!!」

('A`)「よく聞け、ブーン。今からニチャンシティーに向かっても、必ず途中で追いつかれちまう。

   何もない海の上で360度鳥に囲まれて、生き延びられると思うか?!

   島を盾にして戦ったほうがまだ望みはある!」

( ^ω^)「だって、弾が足りるかどうか……」

('A`)「夜が来るまで持ちこたえるんだ!」

(;゚ω゚)「まだ昼にもなってないお!?」

12.
('A`)「ブーン、お前は通信施設んとこに隠れてろよ。あの日に助けられた命、今日返してやる」


 彼は頭をかきむしった。


(;´ω`)「あああああ、もう!! いいお、ぼくも残るお」

('A`)「すまねえ、ブーン」

( ^ω^)「いいってことよ。兄貴はぼくがいないとダメだし」


 船を岬の近くに移動させ、断崖絶壁を背にする形で陣取った。

これで少なくとも全方向から攻撃されることはない。

 機銃の周囲にはすでにブーンがありったけの弾薬箱を積み上げていた。

 ドクオは肩章を掴んで目をぎゅっと閉じた。


(-A-)(ツンちゃん、俺は君が思ってるような男じゃないんだ。

   君なしじゃ何にもできない、ただのチンケな弱虫なんだよ)

( ^ω^)「兄貴、来るお!!」

13.
 耳をつんざくすさまじい鳴き声とともに、暗雲と化した鳥たちが島に到来した。

日が翳り、夜のようにあたりが真っ暗になる。

第一陣が降下を始めた。


(;A;)(だから俺を守ってくれ! 君がいなくちゃ何もできないんだ!)

(#゚A゚)「うおおおお、来やがれ鳥ども!! 地獄の炎でローストチキンにしてやるぜェェ!!」

(#^ω^)「鳥は豚に食わせろおおおおおおおお!!!!」

(#゚A゚)「おうよ! 鳥は豚のエサだああああああああ!!!!」


 機銃の咆哮が鳥の鳴き声をかき消した。

豪雨のように降り注ぐ弾丸を浴びた鳥たちが悲鳴をあげ、ばたばたと湾内に落ちてゆく。


(#゚A゚)「テメエらは自分からオーブンに飛び込んだチキンどもだオラアアアアアア!!」


 ものの数分もしないうちに湾内は真っ赤に染まった。

ブーンに「リロード!」と叫んでから、弾薬箱から弾帯を取り出して機銃にセットし直す。

14.
 再び銃口が火を噴き始める。

すぐに鳥の死骸が湾内を埋め尽くしたが、それでも数が減ったようには見えない。

相変わらず空は鳥で真っ黒のままだ。


(;'A`)「多すぎるぜ、チクショウ!!」


 続いてブーンがリロードの合図をすると、ドクオはいっとき引き金を引くのをやめて叫んだ。


('A`)「ブーン、こいつぁやっぱし弾薬が持たねえ! ある程度数を減らしたら施設に立てこもろう!」

( ^ω^)「わかったお!!」

(;'A`)(とは言え、どこまで減らせるもんか……ん!?)


 上空の鳥の動きが変わった。

無秩序に飛び回っていたのが一ヶ所に固まっている。

ひときわ大きな鳥が甲高い鳴き声を上げて飛びまわり、その動きを指示しているかのようだった。


('A`)「ありゃ何だ……?」
15.
 イワシのように巨大な球状の群れと化している。まるで輪郭のあやふやな黒い月だ。

そこから一本の激流と化した鳥たちが飛び出した。

ムカデのように身をくねらせながらこちらに迫ってくる。


(゚A゚)「やべえ!! ブーン、なんかにつかまれ!!」

(;゚ω゚)「ひいいい?!」


 さっきのひときわ大きな鳥を先頭に、猛烈な勢いで船にぶつかって来る。

瞬時にふたりは嵐の中に飲み込まれた。

鳥たちはまるでパイプから吐き出された濁流のように、ぶつかっては周囲に飛び散ってゆく。

 船体がきしみ、装甲板に激突する音が頭を割らんばかりに響いた。


( ;ω;)「うわああああああ兄貴ぃいいい!!!」

(;゚A゚)(船が砕けちまう!)


 途方もなく長い時間に感じられたが、実際は一分もなかっただろう。

16.
嵐が晴れたとき、ボコボコに凹んだ船と、壁の一部をもぎ取られた船橋があった。

 散り散りになった鳥たちは再びリーダーの指示のもと集まり、球体へと変貌しつつある。


(;゚A゚)「やべえ、次食らったら沈むぞ!!」

( ^ω^)「動き回っていたほうが良くないかお」

('A`)「いや、壁を背にしてたほうがいい」


 機銃を見ると銃身が曲がり、ロータリーが破壊されていた。

 
(;'A`)「くそ!! ブーン、そっちの銃は?」

( ^ω^)「ダメだお、やられちまったお」


 向こうはもっとひどく、ロータリーから引っ剥がされて甲板に倒れていた。


(;'A`)「施設に立てこもるしかねえな」

( ^ω^)「兄貴、来るお!!」


17.
 再び突撃が始まった。

リーダー格が率いる群れが砲弾の連射のようにぶつかってくる。

ブーンは船室に逃げ込んだが、ドクオは間に合わず、鳥のくちばしを背中に浴びた。

 全身が痺れるような苦痛が走り、衝撃に息が詰まった。

かろうじて入り口のふちに捕まり、木の葉のように揺れる船から振り落とされるのをこらえる。


(;^ω^)「兄貴いいいい!!」

(;'A`)「うわああああああああ!!」


 メキメキと音を立て、突風にあおられた掘っ立て小屋のように船橋の屋根や壁板が吹っ飛んでいく。

永遠とも思えるほど長い時間が過ぎた。


('A`)「ああ……くそ……」


 耳の奥で激しく耳鳴りがした。

鳥の嵐が通り過ぎ、浸水警報が鳴る中、ドクオは船に影が差したのを感じた

18.
( ゚∋゚)


 翼の音を立て、リーダーの巨鳥が覆いかぶさるようにして現れた。

ドクオはとっさにホルスターに手をやった。


(;'A`)(銃……あれ、ない?!)


 揺られている間に落としてしまったらしい。


( ゚∋゚)ギャアアアアアアア 

(;゚A゚)「うわあああああああああ!!」


 鳥がくちばしを打ち下ろそうとしたとき、ブーンがモリ撃ち銃をぶっ放した。

杭の先端が胸に突き刺さると、鳥は耳をつんざくすさまじい悲鳴を上げた。


( ゚∋゚)ギィヤァアアアアアアアア

( ゚ω゚)「くたばれやこのチキン野郎があああ!!」

19.
 銃のワイヤのもう一端は、奥のドアのバルブに縛り付けられていた。

血を噴き出しながらも鳥は上昇し、湾内で船をイカリごと引きずり回した。


( ^ω^)「兄貴!」

('∀`)「へへ、まったくこの世にお前より頼るになる奴ぁいねえよ」


 彼を抱き起こそうとブーンがこちらに歩き出そうとしたとき、別の鳥がさっとドクオの目の前をよぎった。

その後にはもう、ブーンの姿はなかった。


(゚A゚)


 一瞬、何が起きたかわからなかった。

ふと向こうの空を見上げると、鳥が我先にと集まり、人の形をするものを食いちぎっている。


('A`)「ブーン……」

(;A;)「うっ、うっ……うわああああああああ!!」


20.
 立ち上がったドクオは絶叫しながら船室に入った。

背中が焼け付くように痛み、あふれ出す血がシャツをぐちゃぐちゃに濡らしている。


(;A;)「ブーン! ちっくしょう、ブーン……!!」


 倉庫からプラスチック爆弾を山のように持ってくると、機関室に入った。

燃料タンク付近に残らずそれを設置し、信管を差す。

 ふと、バカな考えが浮かんだ。

この船がなくなったら……何年もともに過ごした海上の故郷がなくなったら、ブーンが本当にもう戻って来ないような……


(;A;)「くそっ! ツンちゃん、助けてくれ、ツンちゃん……!」


 その考えを振り払い、ゼンマイ式タイマーを一分後に合わせ、甲板へと飛び出した。

意を決し、浮き輪を掴んで海へと身を投じる。


( ゚∋゚)ギャアギャア

(゚A゚)「ローストチキンになれやああああああ」
21.
 海中に没すると同時に、頭上の海面で爆炎が炸裂した。

燃料に引火して二次爆発を起こし、裂けた船体から赤々とした炎が噴き出すのが海中からでも見えた。

 背中の苦痛に邪魔されながらも、浮き輪にしがみついて浮かび上がる。


('A`)


 炎上した船が、海中へ引きずり込まれるようにして沈んでゆく。

リーダーを失った鳥たちは混乱を来たし、突然、仲間割れを始めた。

鳥同士が空中でぶつかりあい、おたがいの肉をくちばしでついばみ合っている。

波間に漂いながら、ドクオはその光景を唖然として眺めていた。


('A`)「何だ……? 何が起きてる?」


 いや、よく見ると違う。

見たことのない、白鳥のように真っ白な鳥の群れが島を訪れ、戦いを挑んでいる。

数は白い鳥のほうが圧倒的に少なかったが、青黒い鳥たちは統率を失っており、すぐさまばらばらに逃げ散った。

22.
('A`)


 相手を追い払った白い鳥たちはゆっくりと、大きく円を描いて島の周囲を旋回している。

よく見るとそれは島ではなく、鉄塔を中心にしているのだとドクオは気づいた。

 やがて、波打ち際に流れ着いた。

鉛のように重い体を引きずって鉄塔へ向かう。

階段とはしごを上がって一番高い場所の足場に行くと、クーがそこにいた。

 手すり越しに鳥たちを見つめ、こちらに背を向けている。


川 ゚ -゚)

('A`)


 ドクオはそこにあるものに気づいた。

大きな鳥の巣だ。

壊したパーゴラや木の枝などに、白い羽根が織り込んである。


23.
川 ゚ -゚)「あなたは本当の戦士です」


 膨らんだ腹を手で抱えながら、ひどく苦しげに彼女は言った。


(゚A゚)「ふざけんじゃねえ!! てめえらの……てめえらが……とにかく、ブーンは死んだんだぞ!!」


 クーは振り返ることなく、ローブを脱ぎ捨てた。

その下にあるのは、鳥の羽を編み込んで作った純白のドレスだった。

両手を大きく広げ、風にすそをはためかせたその姿は、彼女自身が鳥であるかのようだった。


川 ゚ -゚)「ブーンさんのことは残念です……ごらんなさい」

('A`)「?」


 水平線に、また別の白い鳥の一団が現れた。

それが近づいて来るにつれ、鳥たちが囲むようにして守っているものに気づいた。

 背に白い翼を持つ人々だった。

 音もなく優雅に足場に降り立つ。
24.
全部で五人、全員羽衣のような背が開けた服を着ていた。

だがそのうちのひとりの男は目を縫い合わされ、背に翼をもぎとられた古傷がある。


( -∀-)


 その男とクーは抱き合った。ふたりとも涙を流していた。

彼らが何をささやきあったのかはわからない。


( ;∀;)

川 ; -;)


 やがて別の女性ふたりがクーを鳥の巣に運び、寝かせた。

ひとりがひざまずいてクーを背中から抱き、もうひとりが開かせた股の前にかがみこむ。


川  - )「ウッ……ウウッ」


 長いあいだ、彼らが励ましと何かの指示をささやきあうのを、ドクオは呆然と見ていた。

25.
川; - )「ウッ、アアッ……!!」


 クーが産み落としたものを、産婦の女性がすぐに毛布で包み込む。

驚いたことに、それはふたつあった。双子だったのだ。

 ふたりの女性は消耗し切ったクーを手厚く毛布で包み、抱き上げた。

彼女がふたりに何か言うと、布に包まれたものの片方が彼女の夫に渡された。

別の女性が盲目の彼に手を貸し、ドクオの前へと導いた。


( -∀-)


 彼は大切そうに抱きしめていたそれを、名残惜しげにドクオに渡した。

彼は思わず受け取ってしまった。 


('A`)「お、おい……これ、どうしろってんだ?」


 彼は何も答えず、微笑んだだけだった。

数人が手を貸し、クーとその夫を抱き上げ、音もなく浮かび上がった。
26.
(;'A`)「待ってくれ!! 世界は……変わるのか!? 戦争が終わるときが来るのか?!」

川 ゚ー゚)


 クーはうなずき、微笑んだ。

 彼らは白い鳥を引き連れ、水平線へと去ってゆく。

まったくの静けさの中、ドクオはそれを長いこと見送っていた。

彼らの姿が消えたあとも、ずっと。














 ……腕に抱いた毛布の中で、大きな卵がびくんと胎動するのを感じた。

1.
エピローグ

 新しくあてがわれた船はやっぱりボロで、次こそ戦艦に乗れるというドクオの望みはふたたびついえた。

彼は相変わらず、壊れた鉄塔しかないヌルポ島を守っている

 その日も、一日の始まりは砂糖のどっさり入ったコーヒー、煙草、そして……


('∀`)「フフフ、軍隊暮らしも長くなると技を覚えるってなもんよ」


 保存食を調理した料理を庭先のテーブルに並べた。

元はクーの家だった小屋は、今では彼が使っている。


('A`)「おーい、朝メシだぞ~」


 鉄塔に向かって声を張り上げると、てっぺん近くにいた少女が中空に身を踊らせた。

十分な勢いがついてから、背の翼を広げて滑空する。

 少女は庭に滑り込むと、ホバリングしながらゆっくり降下して席についた。


ノパ⊿゚)「……今日のはちゃんと食べられるよね、父さん」
2.
(;'A`)「うむ、こないだのは我ながらヒドかった。今回は改良したぞ」

ノパ⊿゚)「うん、見た目はまあ……いただきます」

('A`)「おう、いただきます」


 あれから一年、彼女はすでに12才の少女とほぼ同じくらい成長している。

ドクオが自ら仕立て直した軍服姿で、背中に開けた穴から折りたたんだ翼が覗いていた。


('A`)「そうそう、ニチャンシティーで手紙を受け取ってきたぜ」

ノパ⊿゚)「誰から?」

(;'A`)「口をふけよ、もう。みっともないな」


 口の周りにソースをいっぱいつけている娘に、布巾を投げてやった。

手紙の束を広げて封筒を見つけ出し、中身を取り出して広げる。






3.
('∀`)「ブーンからだよ。傷痍軍人手当が少ないって愚痴ってるけど、何とかレストランを開けたとさ」

ノパ⊿゚)「ホント?! 行きたい!」


 彼女は身を乗り出して手紙を取った。

左足を義足、左腕を義手にしたブーンが、妻のデレと一緒に自分の店の前で笑っている写真が一緒に入っていた。

あの日、波打ち際を漂っているのを見つけたときは、絶対に死んでいると思ったものだが。


('A`)「うーん、翼をどうにかして隠す方法を考えなきゃな」

ノパ⊿゚)「ん。町の復興、どうだった?」

('A`)「どうだかな、軍部は軍の強化のほうに力入れてるし。ん、今日のは割りと食えるだろ」


 いつか光の翼と彼女を引き合わせなければならないだろう。

 娘に本当に世界を変える力があるのか、本当の親そして兄弟あるいは姉妹と再会できるのか。

ドクオとしては、その日が来るのが複雑な気分だった。




3.
('A`)(俺を父さんって呼んでくれなくなっちゃうのかなあ……)

ノパ⊿゚)「父さん!」

(*'∀`)「何だね、娘よ」

ノパ⊿゚)「まずい!」

(;'A`)「……そうか」













おしまい





J・G・バラード
『溺れた巨人』 
あらしの鳥、あらしの夢

原作から借りたのはほぼ設定のみとなってます。
巨鳥と戦い続ける人類、岬を守る貨物船を改造した警備船、湾内を埋め尽くす鳥の死体、羽で巣を作る女など。
主人公は鳥のコスプレしてたらクーに当たる女に撃ち殺されて終わります。
な……何を言ってるかわからねーと思うが(ry
この結末はぜひ自分で本を読んで確かめてくれ!
スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

モヤモヤ感少なくハッピーエンドって珍しいな
俺が10時間王とトンプソンシリーズばっか読み返してたからそう感じるのかしらん
面白かったよ乙

No title

面白そうでポチッちまったじゃねーかよどうしてくれんだ
積んでる本まだいっぱいあんのに…
プロフィール

(゚q 。川カンザイ

Author:(゚q 。川カンザイ
完全犯罪(カンザイ)
プラネットライカは隠れた名作

最近のコメント
最近の記事
月別アーカイブ
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。