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川 ゚ -゚)ヒート・オブ・ザ・ソウルのようです 第二話

Q.ブージャム・ドールのブージャムって何ですか?
A.知らん。テキトーに思いついた文字を並べただけだよ

1.
 団地の一室のドアをこじ開けたモララーは、タンスやクローゼットを引っかき回していた。

サイズの合うジーンズとハイネックのセーター、ダウンベストを見つけてベッドに放り出す。


( ・∀・)「……?」


 服を脱ぎ捨てた時、ふと、洋服ダンスの鏡を見た。

ほっそりとした体つきの胸板、ちょうど心臓の真上あたりに赤黒い痣がある。

指で撫でながら首を傾げた。


( ・∀・)「こんなのあったっけ……?」






川 ゚ -゚)ヒート・オブ・ザ・ソウルのようです

第二話 ブージャム・ドール


2.
 服を着て部屋を出ると、ドクオがあくびをひとつして立ち上がった。


(U'A`)「じゃ、行くか」

( ・∀・)「おう!」


 背負ったリュックにはかき集めた食料、着替え、ナイフや毛布など必要なものを詰め込んである。

ふと、団地の入り口にある掲示板に目をやった。

避難場所や誰かへの伝言などがびっしり貼り付けられている。


( ・∀・)「どこかで生き延びている人たちがいるのかな」

(U'A`)「恐らくな。今となっては恐竜の化石より珍しくなっちまったが」

( ・∀・)「とりあえず、この避難所っていうとこに行ってみよう。通り道みたいだし」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 準備に手間取り、丘を降りることにはすでに日暮れ近くなっていた。

3.
比較的損傷の軽い住宅を間借りし、その庭で一晩を過ごすことにした。

 拾い集めた廃材で火を起こし、缶詰を食べた。

ドクオにも勧めたが、彼は遠慮した。


( ・∀・)「お前、ヴォイドのこと、がらんどうって言ったな。どういう意味だ?」

(U'A`)「あいつらは魂の熱量を奪われた人間だ」

( ・∀・)「?」

(U'A`)「昔、キリストとか言う奴が言ったそうだな。人はパンだけ食って生きてるわけじゃねえ、って。

   この世は不運と不幸と不公平に凍りついた地獄だ。

   生きていくには希望って言う熱が必要なんだよ。

   それは家族だったり、友人だったり、夢だったり、金だったり……まあ人によって違うが」

( ・∀・)

(U'A`)「ヴォイドに噛まれた人間はその熱量を失う。絶望に凍え、他人の熱を奪おうとして襲いかかる」

( ・∀・)「あの黒い血が……?」

4.
(U'A`)「そうだ。あれが人間をヴォイド化させるウイルスみたいなもんだ。

   王が箱に願って作り出した。ただ人間を苦しませたいってだけの理由でな」

( ・∀・)「とんでもないサド野郎だな」

(U'A`)「希望がない時間が終わることなく続くってのが、どれだけ人をおかしくするかよーくわかってたのさ」


 モララーは食べ終えた缶詰の空き缶を投げ捨てた。


(U'A`)「両親や友人のこと、心配じゃないか?」

( ・∀・)「うーん……何とも言えない。ろくに思い出せないものを心配するってのも無理があるし」


 ジュースを飲み干し、モララーは火を見つめて眉根を寄せた。


( ・∀・)「親も友達もいたはずなんだけどな。

     不思議だな、あの子……キュートのことだけはすごく強く記憶に残ってる。

     あの柵に腰掛けててさ。確か夕日を眺めてたんだ。手がきれいだった」

(U'A`)「手?」
5.
( ・∀・)「そう。確か……あれ」


 モララーは手で右のこめかみを押さえた。

記憶にかかった霧が僅かに晴れ、その奥にあった映像がおぼろに見えた。


( ・∀・)「手。そうだ、彼女の手を覚えてる。確か……僕、顔を怪我してさ、ここんとこ。

     それで彼女がハンカチで顔を押さえて……くれて……」


 突然、記憶がフラッシュバックする。

友人たち、学園生活、部活、テレビゲーム……だがそんなものは走馬灯のようにおぼろげで、現実感がなかった。

唯一リアリティを伴っているのは、彼女の存在と、その手だけ。


( ・∀・)「手だ。彼女の手……」


 眼を閉じると、まぶたの裏側がチカチカする。

ドクオがからかうように言った。

6.
(U'A`)「要するに変態ってことだろ」

(;・∀・)「何でそうなる?!」

(U'A`)「手フェチの変態」

(#・∀・)「うるせー、バカ! 人の思い出をおちょくりやがって」


 ふてくされたモララーはそっぽを向き、ベンチで毛布にくるまって横になった。

しばらくしてから、彼はつぶやいた。


( ・∀・)「お前は僕が誰だか知ってるのか?」

(U'A`)「かもな」

( ・∀・)「ちぇ、そればっかりだな」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌朝、モララーは寒さで目を覚ました。

荷物をまとめて町に出ると、改めてその様相を目の当たりにし、ため息を漏らした。
7.
( ・∀・)「すごいな、こりゃ」


 ぞっとするような静けさに満ちた町は、おおむね原型を保っている建物が多いが、一部は完全に破壊されてガレキになっていた。

いつかテレビで見た、戦場になった町のようだ。


( ・∀・)「本当に誰もいないんだな」

(U'A`)「ヴォイドに気をつけろ。あいつら、ほとんど気配がしないからな」


 今のところ姿を見せないが、地面のところどころに黒い液体が溜まりを作り、その影を感じさせた。

放置された車の合間をぬって大通りに出ると、横倒しになった戦車を見かけた。


( ・∀・)「自衛隊……?」

(U'A`)「何でも願いが叶う奴に勝てるわけがなかったな」

( ・∀・)「ん」


 鼻先に落ちた白い破片が、たちまち溶けて滴になった。

8.
それを手でこすり、空を見上げる。


( ・∀・)「雪だ……冷えるわけだよ」


 ひとりと一匹は死んだ町を歩き続けた。

ヴォイドの襲撃はちらほらあったがいずれも少数で、モララーの剣を受けて散った。


(゚q 。川 ゴボ……

( ・∀・)「……」


 首を切り落としたヴォイドは少女で、セーラー服姿だった。

地面に転がった頭部のうつろな眼が、黒い血を流してこちらを見ている。


(U'A`)「同情するな。そいつらはこれでやっと苦しみから解放されたんだ」

( ・∀・)「うん」


 食料はほとんど見つからなかったが、あまり腹は減らず、喉の乾きもなかった。
9.
にも関わらずモララーの体は活力にあふれ、一日に何十キロも歩いた。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 団地を出て三日目。

相変わらず空は分厚い雲に覆われ、町にはいかなる生物の息吹も感じられない。

そこにはただ廃墟と、荒涼とした風と、絶望に身をよじるヴォイドの影だけがあった。

モララーは顔すら思い出せない少女の存在だけを希望に、ひたすら前進を続けた。


( ・∀・)(全然近づいて来ないなあ……この調子じゃ一週間くらいかかるんじゃないか)


 坂道の上でふと立ち止まり、地図と遠くの城とを見比べる。

町を出て郊外の住宅街に入ると、ヴォイドの襲撃が頻繁になった。


( ・∀・)「もうすぐ掲示板に書いてあった避難所だけど……あ、ここだ」


モララーは広大な駐屯地の前で立ち止まった。
10.
避難民たちを収容していたらしく、周囲をぐるりとバリケードに囲まれている。

その奥にプレハブの住居がいくつもあり、ヴォイドたちがあてもなく歩き回っているのが見えた。


(U'A`)「ま、こうなってることは予想がついたな」

( ・∀・)「うん……」


 モララーは身を屈め、見つからないように通り過ぎた。

ヴォイドを恐れてはいなかったが、いい加減相手するのにうんざりしていたのだ。

駐屯地からしばらく歩いた時、突然遠くで甲高い銃声が聞こえた。


( ・∀・)「!!」

(U'A`)「基地からだ」

( ・∀・)「誰かがあそこに……?!」

(U'A`)「ヴォイドが銃を暴発させただけだろ。あの中でまともな人間が生き残ってると思うか?」

( ・∀・)「でも、もしかしたら……」

11.
 そこで再び、もう一発。


( ・∀・)「やっぱり見に行く!」

(U'A`)「やれやれ」


 来た道を駆け戻った。

バリケードを乗り越えて駐屯地に飛び込む。

 防水布のテントを迂回して仮設住宅の方に走ると、銃声を聞きつけたヴォイドたちがそちらに向かって殺到していた。

手あたり次第に切り捨てながらそちらに向かう。


( ・∀・)「誰かいるのか?」


 返事はなかったが、プレハブの合間を駆け抜ける人影がちらりと見えた。

数え切れないほどのヴォイドがその後を追っている。


(;・∀・)「くそっ、多いな……ん?」

12.
 視界の隅を何か大きな影がかすめた。

ドクオがこの時ばかりは犬らしい仕草で鼻を鳴らし、空気中の臭いをかぎ分けた。


(U'A`)「ブージャム・ドールだ」

( ・∀・)「そりゃいったい何……」


 言い終わらないうちに、背後にそれが降り立った。

とっさに振り返る。


( <●><●>)ゼエー、ゼエー


 マネキンのようにのっぺりした顔の人形が、首を傾げながら不思議そうにこちらを見下ろしていた。

人間の上半身と四本の足を持つ長い胴、両腕は長大な刃という、カマキリに似た姿をしている。

ぜぇー、ぜぇーと喘息のような苦しげな呼吸音を上げていて、目鼻と口からは黒い血があふれていた。


( <●><●>)ゴボッ

13.
(;・∀・)「うわっ!?」


 片腕の鎌を振り下ろした。

とっさにかわしたモララーの体を長大な爪がかすめてゆく。


(;・∀・)「こいつは?!」

(U'A`)「ブージャム・ドールっていう、ヴォイドの親玉だ。こいつは〝マンティス〟だったかな。噛まれるなよ」


 相手は図体に反して恐ろしく俊敏だった。

猫のような身のこなしで素早く位置を入れ替えながら、鞭のように腕をしならせて攻めてくる。

長い腕に阻まれて防戦一方となり、モララーは徐々に追いつめられていった。


(;・∀・)「クソッ、こいつはひと味違うな」


 息を切らせながら、間合いを取って構え直す。

その時、背後であのゲロが喉に詰まったような音がした。

14.
振り返った瞬間、忍び寄った自衛隊員のヴォイドが後方から飛びついてきた。


(゚q 。)ゴボゴボ

( ・∀・)「うわ、やば……」


 何とかお互いの相手に剣を割り込ませたものの、その隙を突いてマンティスが鎌を横薙に払って来た。


( <●><●>)

(;・∀・)「クソッ!!」


とっさに伏せてかわすと、ヴォイドのマシンガンを持つ手を掴んだ。

引き金を引いてマンティスの顔面に弾丸を浴びせかける。


( <●><●>)「!!」


 ひるんだところでヴォイドを引きはがして斬り捨て、返す刀でマンティスに一刀を浴びせる。

相手の右腕が跳ね、顔面から胸にかけて銀光が一閃した。
15.
真っ黒な血が吹き出し、相手は凄まじい金切り声を上げた。


( <●><●>)ギャアアアアア

( ・∀・)「どうだ……あっ」


 左の鎌の切っ先が伸び、モララーの肩に突き刺さった。

そのまま建物の壁に押しつけられる。


(;・∀・)「うっ!?」

( <●><●>)


 すぐさま相手は噛みつきにかかってきた。

耳まで裂けた口が開かれ、上下にびっしり並んだ乱杭歯が覗く。

とっさに剣の柄を噛ませて防いだが、凄まじい怪力で迫ってきた。


(#・∀・)「この、野郎……!!」

16.
( <●><●>)


 もう目と鼻の先に真っ黒な口がある。


(;・∀・)「うああああ畜生―――!!」


相手が柄ごと口を閉ざそうとした時、誰かがモララーの頭の後ろに腕を滑り込ませ、肩を組むような格好になった。


川 ゚ -゚)「動かないで!」

( ・∀・)「?!」


 ぴったりモララーの隣にくっつくと、誰かはマンティスの口に銃身の短いショットガンを突っ込んだ。

銃声が轟音を上げる。

一発で上顎の半分が吹っ飛んだ。


( <●>;; ;; #)グオ……

川#゚ -゚)「くたばれ!」
17.
すぐにもう一丁のショットガンを抜いて更に一発を食らわせると、完全に首から上がなくなった。

マンティスはゆっくりと右側に傾ぎ、倒れた。


(;・∀・)「うおお、耳が! キーンて……」


 モララーは耳を塞ぎながら隣を振り返った。

髪の長い女の子で、分厚いパーカーの上に弾帯を二重に巻いている。

腰に巻いたガンベルトにはショットガンが差してあった。


( ・∀・)「君は……?」

川 ゚ -゚)「ここを出るのが先。ついてきて」


 残りのヴォイドたちがこちらの様子を窺っている。

彼女についてモララーは走り出した。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

18.
 追撃を振り払い、ふたりと一匹は町に出た。

モララーは途中彼女に話しかけたが、彼女は「ここは危ないから」と言っただけだった。

 コンクリートの壁に囲まれた貸しコンテナ倉庫にまでやってくると、彼女は門の隣にあるドアの鍵を開けて中に入った。

そこでようやく一息ついた。


川 ゚ -゚)=3「ふーっ! 死ぬかと思った」

( ・∀・)「君は?」

川 ゚ -゚)「わたしはクー」


 よく見るとモララーと同い年くらいだ。


川 ゚ -゚)「強いんだね、驚いたよ。あなたは?」

( ・∀・)「モララー」

川 ゚ -゚)「肩の怪我、大丈夫?」


 モララーは言われて初めて、マンティスの鎌を受けたことを思い出した。
19.
ぎょっとして触れるが、傷はない。

服には血がついているにも関わらずだ。


(;・∀・)「ん……?! いや、服だけだったみたい」

川 ゚ -゚)「そっか、良かった。医療品があんまりないから」


 奥へと歩いてゆく。

 そこはひとつの町になっていた。

積み上げられたコンテナに足場と階段があり、それぞれが住居や倉庫として使われているようだった。

人々がこちらをうかがっている。


( ^ω^)「……」

( ・∀・)「どうも、こんちは」

( ^ω^)


 階段に座っていた男に挨拶をしたが、返事はなかった。
20.
無気力によどんだ目はモララーを見ているようでいて、どこも見ていない。


( ・∀・)「……?」

川 ゚ -゚)「その人たちはいいんだ。ほっといて」


 クーはコンテナのひとつにモララーを案内した。

ランプの明かりを付け、ガンベルトを外して壁にかける。

それからぱんぱんに膨らんだリュックを下ろし、中身を机の上に並べ始めた。

ほとんどは食料で、その他燃料、銃弾、医療品など雑多な物資が山を成す。


川 ゚ -゚)「外で生きてる人間なんか久しぶりに見た」

( ・∀・)「僕は初めて見たよ」

川 ゚ -゚)「座ったら?」


 それもそうだとモララーは荷物を置き、壁に取り付けられたベッドに腰を下ろした。

 彼女は彼が壁に立てかけた剣を見た。
21.
川 ゚ -゚)「剣を振り回す人なんて始めて見たけど。どこから来たの?」

( ・∀・)「丘の上の団地。知ってる?」


 彼女は目を見開いた。


川;゚ -゚)「あのヴォイドの巣から?! よく生きてたね」


( ・∀・)「まあね。えっと……どう説明したもんやら」


 ちらりとドクオを見下ろした。


(U'A`)「ありのままを話したらどうだ?」


 戦利品を整理していたクーの手が止まった。

目をぱちくりさせながらドクオを見下ろす。


川 ゚ -゚)「今……あなた、何か言った?」

22.
( ・∀・)「ん? ああ、えっと、こいつは……」

(U'A`)「犬も喋るさ、こんな世の中ならな」


 彼女は驚きのあまり椅子から立ち上がり、気味悪げにドクオを見た。


川;゚ -゚)「何、それ……ヴォイドの仲間じゃないよね?」

( ・∀・)「実のところ、僕もよくわかんないんだよね。まあ、こいつはとにかくこういうやつなんだ」

(U'A`)「そういうことだ」

川;゚ -゚)「そ、そう……そっか」


 彼女が椅子に座り直すと、今度はモララーが質問を始めた。


( ・∀・)「君はずっとここにいるの?」

川 ゚ -゚)「うん。終末戦争からずっと」

( ・∀・)「ひとりなの? つまり……家族とかは?」

川 ゚ -゚)「ううん。父さんと弟と一緒。父さんは……去年、食べ物を探しに行って、そのまま戻って来なかった」
23.
( ・∀・)「そっか。ごめん」

川 ゚ -゚)「弟はブージャム・ドールに連れ去られた」

( ・∀・)「さらわれた?」


 彼女はうなずいた。


川 ゚ -゚)「何のためかは知らないけど、時々生け捕りにして人をさらっていくの。

    ヴォイドにするわけでも、殺すんでもなく。

    その時、父さんがいなくて……わたし、どうすることもできなかった」

( ・∀・)「さっきのあいつに……?」

川 ゚ -゚)「いや、頭がふたつある奴だった」

(U'A`)「王が作ったブージャム・ドールは百体いるんだ。そのうちの何体が今でも動いてるかはわからんが」

川 ゚ -゚)「ちょっと仕事があるんだ。そっちであなたのことをもっと話して」


 クーは荷物をまとめて席を立ち、ガンベルトを肩に担いでコンテナを出た。

24.
隣のコンテナに移動し、ドアの鍵を開く。

彼女に続いてモララーが中に入ろうとしたとき、後ろでギシッというロープがきしむ音がした。


( ・∀・)「あ……!」


 振り返ったモララーは、思わず声を上げた。

向こうの足場から首にロープをかけた男が飛び降りたところだった。

体を激しく痙攣させながら、ゆらゆらとぶら下がっている。


(  ω )

(;・∀・)「自殺……?」

川 ゚ -゚)「またか」


 クーはうんざりした口調でつぶやいた。


川 ゚ -゚)「誰が片付けると思ってるんだ、まったく」

25.
( ・∀・)「よくあるの?」

川 ゚ -゚)「感じない? この臭いっていうか、空気」

( ・∀・)


 他の住人たちは、大して興味もなさそうにぶら下がっている男を見ている。


J( 'ー`)し

/ ,' 3

(,,゚Д゚)


 彼らがヴォイドと同じ目をしていることに、モララーは今更気付いた。

絶望が蔓延し、誰もが無感覚で無関心になっている。


(U'A`)「まあ、正気を保つのが難しい世の中だしな」

( ・∀・)「……」


26.
 コンテナに入った。

見慣れない道具がテーブルに並べられている。


( ・∀・)「これは?」

川 ゚ -゚)「父さんはリロードベンチって言ってた」


 彼女は戦利品の弾層を取り出し、一発ずつ弾丸を取り出した。

慣れた手つきで道具を使って弾丸を分解し、弾頭、薬莢、弾薬、雷管に分ける。

モララーはテーブルに置いてあった、単発式のショットガンを手に取った。


( ・∀・)「これ、もしかして手作り?」

川 ゚ -゚)「そう」


 短く切った鉄パイプに、木製のストックを配管テープで固定しただけのものだ。

クーはパイプの尻の部分のねじ蓋式のキャップを外して見せた。

キャップには小さな穴が開いていて、そこに釘が差し込んである。
27.
川 ゚ -゚)「この釘が撃針。雷管を叩くやつね」


 コの字型の金具がゴムで固定してあり、親指で持ち上げて弾くと、金具がかちんと釘の頭を叩いた。


川 ゚ -゚)「父さん、戦前は鉄工所に勤めてた技師だったから。こういうの得意だったんだ」


 モララーは弾をひとつ手に取った。

厚紙の筒に火薬と雷管、散弾を詰め込んだもので、湿気らないようにグリースを塗りたくってある。


( ・∀・)「みんな手作りなんだ」

川 ゚ -゚)「ちゃんとした弾はもうとっくに尽きちゃったから。

    自衛隊の7.62mm弾を分解してショットシェルに作り直してるの」

( ・∀・)「なぜそのまま使わないの? 銃を見つけてくればいいじゃないか」

川 ゚ -゚)「オートマチックの銃はちゃんと整備しとかないとすぐダメになっちゃうんだけど、わたしはそんなの出来ないし。

    それにヴォイドにはほとんど効かないから」

(U'A`)「人間なら誰だって撃たれたら痛みで動けなくなるが、あいつらはそういうのがないからな」
28.
 テーブルに手をかけて後ろ立ちになったドクオが、パイプの臭いを嗅ぎながら言った。


(U'A`)「ちまちま穴を開けるより、吹っ飛ばす方が確実ってこった。ところでこれは?」

川 ゚ -゚)「パイプ爆弾だよ」


 彼女はそれを手に取った。

25センチほどの長さのパイプにテープで大量の釘が巻きつけられ、導火線が伸びている。


川 ゚ -゚)「火をつけると、爆風がこの釘を四方八方に撒き散らすってわけ」

(;・∀・)「すげえな……」

川 ゚ -゚)「手伝ってくれたら夕食を奢るけど」

( ・∀・)「やるよ」


 モララーは弾丸の弾頭を鍋で溶かして散弾を作る仕事を任された。

溶けた鉛を型に流し込み、パチンコ玉よりやや小さいくらいの玉をたくさん作った。


29.
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 日がとっぷり暮れると作業が終わった。

モララーが外に出て火を起こしていると、クーが食糧倉庫から大きな瓶を持って来た。

瓶詰めした後に丸ごと鍋で熱して滅菌した保存食だ。


川 ゚ー゚)「とっておきのビーフシチュー」

(*・∀・)「おお、牛肉!! すげえ、久しぶりだ」


 並んで食事を終えたあと、モララーは興味深げにクーを眺めた。


( ・∀・)「これからどうするの?」

川 ゚ -゚)「君は?」

( ・∀・)「僕は城に行く」


 彼女は目をぱちくりさせた。

30.
川 ゚ -゚)「王の?」

( ・∀・)「そうだ。そこに僕の記憶の手かがりがある気がするんだ」


 モララーは自分の事情のあらましを説明した。


( ・∀・)「……ってわけ。僕は自分の記憶を取り戻したいんだ」

川 ゚ -゚)「それだけ?」

( ・∀・)「え?」

川 ゚ -゚)「何でも願いが叶う箱の話は聞いたことある。王が持ってるって。

    何でもだよ? それを手に入れたら、やりたいこととかないの?」


 モララーは考え込んだ。


( ・∀・)「うーん……ちょっと思いつかないな。

     僕は世界の王とか、億万長者になんかなっても仕方ないし。

     もっとさ、欲しいものは別にあるんだ」
31.
川 ゚ -゚)「それは?」


 モララーはキュートのことを話した。


( ・∀・)「不思議だよね。家族とか、友人のことはほとんど記憶になくて、夢みたいなのに。

     なぜか彼女のことだけは本当に……本当に、僕の一部だったって気がするんだ」

川 ゚ -゚)「……ふーん」


 クーは「変な奴」というふうにモララーを見た。


( ・∀・)「君はどうするの?」

川 ゚ -゚)「同じ」

( ・∀・)「え?」

川 ゚ -゚)「今日で必要なぶんの物資が集まったから、城に行く」

( ・∀・)「もしかして、弟さんを助けに……?」

川 ゚ -゚)「そう」
32.
(U'A`)「ブージャム・ドールが人間を城に連れ去っているという噂を信じてるのか?」

川 ゚ -゚)「うん」


 彼女はきっぱりと言った。


川 ゚ -゚)「あの子だけがわたしの生き甲斐なんだ」

(U'A`)「生きてるとは思えんがな」

川 ゚ -゚)「それでも行かなきゃ。だって……あの子を諦めたとして、それで、明日から何をすればいいの。

    何のために生きていく?」


 ちらりと、幽霊のようにこちらを見ている他の住人たちに目をやる。


川 ゚ -゚)「わたしはあんなふうになりたくない」

( ・∀・)「……」


 たき火の炎がぱちんとはぜた。

33.
( ・∀・)「そういうことなら、お互いに協力しようよ」

川 ゚ー゚)「いいよ。君、けっこう強いみたいだし」


 ふたりは握手を交わした。


( ・∀・)「改めてよろしく、クー」

川 ゚ -゚)「こちらこそ、モララー。と、ワンちゃん」

(U'A`)「ドクオだ。名前くらい覚えろ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌日。

リュックを背負ったクーは装備を点検した。

体の前で交差するようにたすきがけにした二本の弾帯には約八十発の弾丸があり、更にバッグには予備がある。

腰に巻いたガンベルトには手作りのショットガンが六丁と、パイプ爆弾が二つ。

 家を出る前、ふとテーブルの上の写真立てを手に取った。
34.
自分と弟、それに両親が写っている。


川 ゚ -゚)「行ってきます。必ず帰るから」


 彼らに囁くと、コンテナを出た。


川 ゚ -゚)「行こう」

( ・∀・)「よし、出発だ!」













つづく……
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