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ハイパーメタボリックエンジェルズのようです #10

こういう狂気じみた世界を書くのが好きなのです。


1.
 霧に満たされた部屋。

ミストライダーは相変わらず揚々としていて、口調に責めるようなところはなかった。


从 ゚∀从「申し訳ない。死にかけの鼎心会があそこまで抵抗するとは……」

(:::::::::::)「あぁ、前にも言ったが、とりあえず妹者たちの相手は今のところ適当でいい。

     いいが……」


だが一度だけ彼は言葉に圧力を込めた。

研ぎ澄まされた凶気を込めて。


(:::::::::::)「工場を潰されたのは痛かったな」




ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#10 悪夢の底へ



2.
ロマネスクが口を挟む。


( ФωФ)「人を散々バカにしといて、お前の軍隊も大したことないであるな」

从 ゚∀从「黙ってろ」


しかしミストライダーの殺気が反れたので、ハインは彼の軽口に感謝した。

 ミストライダーはため息をつき、椅子の上で姿勢を崩した。


(:::::::::::)「君たちは僕を失望させたいのか? “失敗だったかな”ってな。

     血の霧をくれてやってもこの程度か?」

―――まだあたしがいる


三人の中の最後の一人が口を開いた。


―――順番からして次があたしの出番だろ?

(:::::::::::)「ふむ……」


3.
霧の中、おぼろげにミストライダーが手を組むのが見えた。

親指同士をくっつけたり離したり忙しなく動かして、何か思案している様子だ。


(:::::::::::)「お前は切り札として取っておきたいところだな。

     妹者の方はとりあえず様子を見ようか。ハイン、ロマは現状維持に徹しろ」

( ФωФ)「了解」

―――また待機か?

(:::::::::::)「そう不満そうな顔するな」

从 ゚∀从「差し出がましいようだが、霧幻の心臓は……」

(:::::::::::)「ロマ、設計図をやるからお前が作れ」

( ФωФ)「了解」

从 ゚∀从「手ぇ抜くなよ」

(#ФωФ)「お前の為ならともかく主の命令ならせんわ。

        まったく、『塔』の方も予定が遅れてるってのに……」

―――ハイパーメタボリックエンジェルはほっとくのか?
4.
(:::::::::::)「そうだな。あっちは僕のペットに相手をさせよう」


ミストライダーは煙草の煙を吐き出すような仕草でふうっと赤い霧を吐き出した。

中空にわだかまった霧はねじれ、身悶えしながら形を変え、獣の姿になってゆく。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その日の夜、夕食後のツンの部屋。

ツンがベッドに転がって漫画を読みつつ食休みをしていると、妹者がイライラした様子で

あたりを飛び回り始めた。


l从・∀・ノ!リ人「連中、動かんのう」

ξ ´ з`)ξ「れんちゅーって?」

l从・∀・ノ!リ人「血の霧の連中に決まってるのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「F.O.Gも最近静かだしねー。平和でいいじゃない」



5.
l从・∀・ノ!リ人「こうしてる間にも血の霧で何か良からぬことを企んでるに決まってるのじゃ。

         うぬぬ、こっちから仕掛けるか……」


ツンは驚いて漫画雑誌を放り捨て、顔を上げた。


ξ ´ з`)ξ「えー?! だって相手の秘密基地とかそういうのの場所がわかんないじゃん」

l从・∀・ノ!リ人「探る方法ならある。“夢渡り”をやるのじゃ」

ξ ´ з`)ξ「夢……何?」

l从・∀・ノ!リ人「人々の夢の世界というのはすべて一つに繋がってるのじゃー。

         わらわがいつだったかお前の夢の中に入り込んだじゃろ?」

ξ ´ з`)ξ「あー、最初に会った時の……」

l从・∀・ノ!リ人「その方法で人の夢から夢へ渡り歩いて、手がかりを探すのじゃ。

         あの変態博士の夢までたどり着けば、何かわかるかも知れんのじゃー」

ξ*´ з`)ξ「他人の夢を覗き見るなんて……ウフフ、ちょっとワクワクするね」

l从・∀・;ノ!リ人(こいつけっこう悪趣味じゃな)

6.
ξ ´ з`)ξ「そんでー、どうすりゃいいの?」

l从・∀・ノ!リ人「お前は何もせんでええ。普通に寝りゃいいのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「ほい」


 風呂に入り、パジャマに着替え、歯を磨いてツンはベッドに入った。

ヒモを引っ張って電気を消す。

枕に頭を預け、暗闇の中で寝返りを打つことしばし。


ξ - з-)ξ(あー、眠くなってきた……ん?)


体が何か妙に重い。

睡魔に押し潰されるような気だるい感じではなく、物理的に重いのだ。


ξ;´ з`)ξ「あれっ……あれ!?」


慌てて毛布をめくると、体がベッドの中に沈んでいた。

マットレスが泥沼のような底無しになり、ツンの体を引きずり込んでゆく。
7.
ξ ; з;)ξ「ひいい! 妹者ちゃーん!」

―――落ち着け、溺れたりはせんわい


どこかで妹者の声がして、ツンの体は完全にベッドの中へ没した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 初めて妹者の声を聞いた時と同じく、ツンは果てしなく深い底へと沈んでいく感覚に

身を委ねていた。

底についた時、意識が覚醒する。


ξ ´ з`)ξ「う、う~ん……」


仰向けになった自分の顔の上に何かが乗っていて、それが呟いた。


l从・∀・ノ!リ人「ここも久し振りじゃのう」

ξ;´ з`)ξ「人の顔の上に座るのやめてください……」

8.
l从・∀・ノ!リ人「ほれ、とっとと起き上がって変身するのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「へいへい」


 妹者が宙に浮かんでその場を退くと、ツンは起き上がった。

指を伸ばして右手を突き出し、手の甲に意識を集中させる。


ξ ´ з`)ξ「愛! 勇気! そして痩身!」


シルクハットとステッキを抽象化させたメダルの文様が浮かび上がって来て、手の中から飛び出し、

光を放って炸裂した。


ξ ´ з`)ξ「メタボリックチェーンジ!」


自分の体が砕けるような感覚があり、すぐに飛び散った全身がまた戻ってきて一か所に固まる。

光が収まるとバニーガールとタキシードを合体させた格好をまとったツンの姿が現れた。

頭の上には小さなシルクハットが乗っている。


9.
ξ ゚⊿゚)ξ「ハイパーメタボリックエンジェル参上でございます!」

l从・∀・ノ!リ人「誰に自己紹介しとるんじゃー。とっとと行くぞ」


 妹者は懐に手を入れてごそごそやると、ストローを一本取り出した。

その一端を口に付けて息を吹くと、もう一端でシャボン玉が膨れ上がる。


l从・ 3 ・ノ!リ人 フゥ―――

ξ ゚⊿゚)ξ「おお?」


大の字になったツンが中に入れるくらいまで大きくなると、パチンと弾けた。

中からスチールで出来た、あまり高級でないマンションで良くみるタイプのドアが現れる。


l从・∀・ノ!リ人「こっから他人の夢にアクセス出来るのじゃー。まあ入ってみい」


 ツンがノブを回してドアをくぐると、その向こうにはまったく別の空間が広がっていた。

周囲には団地の棟がドミノみたいに整然と並んでいる。


10.
ツンがいるのは棟と棟の間にある小さな広場で、何もない空間に自分が今入って来たドアが

立っていた。


ξ;゚⊿゚)ξ「な、何かシュールレアリズムの絵画みたいなとこね」


白い棟はどっちを向いても地平線まで続いている。

地面もまた同じ白で、まるでコピー&ペーストを延々繰り返して作ったような風景。

真上を見てもそこに空はなく、はるか頭上には自分が今立っているのと同じような場所が

逆さまに見えた。

鏡映しのように空にも地面があるのだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「あっちにもある……どうなってんの?」

l从・∀・ノ!リ人「夢と夢の狭間なのじゃー。現実とは別の理屈で成り立ってる世界なのじゃ。

         考えても無駄だから考えんでええ」

ξ;゚⊿゚)ξ「その方がいいみたいね」


11.
l从・∀・ノ!リ人「絶対にはぐれてはならんのじゃー。

         迷子になったらこの世界を永久に彷徨い続けることになるのじゃ」

ξ;゚⊿゚)ξ ゴクリ


 妹者は人差し指をピンと真っ直ぐ真上に立てると、そこにシャボン玉を作ったストローを

平行に置いた。


l从・~・ノ!リ人「ムムム……」


ストローは方位磁石の針のようにクルクル回転すると、微妙に震えながらも一定の方向を差した。


l从・∀・ノ!リ人「あっちなのじゃ! 行くのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「何があるの?」

l从・∀・ノ!リ人「とりあえずお前の夢ん中に行ってみようかのう」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしの……?」

l从・∀・ノ!リ人「夢と言うより意識の中と言うべきかのう。ほら、ついた」

12.
割とすぐ近くにストローが示す場所があった。

とある棟の一つに入り、階段を上がって廊下を歩く。

 部屋番も何もないドアの前で先導する妹者が止まった。


l从・∀・ノ!リ人「ここなのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしの中身かあ。どれどれ」


中に入る。

中は外観からは想像もつかないほどねじくれた構造になっていた。

天井にコーヒーテーブルと椅子があったり、床にドアがあったり、壁面を色んなぬいぐるみが歩き回ったりして

いる。


ξ;゚⊿゚)ξ「こ、これ、わたしの頭の中?」

l从・∀・ノ!リ人「まあ人間の意識ってのは基本的にカオスじゃからのう」


部屋自体の間取りもメチャクチャで、四角形に球体やら三角形やらを適当に組み合わせた形状だ。

まともな建築家なら酔っぱらってたってこんな設計にはしない。
13.
 ツンはキョロキョロしながら、壁に横向きに取り付けてあった本棚に歩み寄った。


ξ ゚⊿゚)ξ「これは?」

l从・∀・ノ!リ人「お前の記憶の断片じゃな」


アルバムらしいものを引っ張り出して開く。

すると飛び出す絵本のように中から皿に乗った菓子パンが飛び出した。


ξ ゚⊿゚)ξ「うわっ! ……ってこれ、昼間食べたアップルパイじゃん」

l从・∀・ノ!リ人「ってことはこの棚にあるのは比較的新しい記憶かのう」

ξ*゚⊿゚)ξ「おいしそー。どれどれ」


パイを千切って口に運ぶ。


ξ*゚~゚)ξ ムシャムシャ「ん、おいちい。ちゃんと食べられるじゃない」

l从・∀・ノ!リ人「つまみ食いしとる場合か。先に行くぞえ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ちょっと待ってー。他にも何か……」
14.
アルバムをめくってもめくっても食べ物が尽きることなく出てくる。

とうとう去年のクリスマスに食べたビンテージ物のアイスケーキが出てきた。


ξ*゚⊿゚)ξ「あっ、これ渡辺ベーカリーでクリスマスしか売りに出さないやつ!

       去年は一時間も並んだんだから!」

l从#・∀・ノ!リ人「ツン!」

ξ*゚~゚)ξモシャモシャ「クリスマスを待たずに食べられるとは夢じゃないかしら」

l从;・∀・ノ!リ人「夢だってのにこのアホ」

ξ ゚~゚)ξ「……」

l从・∀・ノ!リ人「?」


ツンはケーキの切れ端を思い切り吐き出した。

その破片を浴びないように妹者が慌てて逃げる。


ξ;>⊿<)ξ「ブヘッ! 何これ、味しない!」


15.
l从・∀・ノ!リ人「味を忘れてしまったってことなのじゃー。

         それにしても食べ物ばっかりじゃなお前の記憶は」

ξ;゚⊿゚)ξ「ほっといて下さい……」

l从・∀・ノ!リ人「さ、遊んどらんでそろそろ目的を果たしに行かねばのう」


 妹者は再びストローに道しるべをさせた。

先端は天井のドアに向く。


l从・∀・ノ!リ人「あそこじゃな」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうやって行くのさー」

l从・∀・ノ!リ人「壁に向かってジャンプしてみるのじゃ。あそこが地面って感じでな」

ξ;゚⊿゚)ξ「こ、こうかな?」


 無重力状態の宇宙飛行士のようにぽーんと跳ねて壁に捕まる。

すると一瞬内臓が持ち上がるような不快な浮遊感があり、重力の働く方向が変わった。


16.
ξ ゚⊿゚)ξ「うひー、すごいなあ」


 天井のドアをくぐると今度は何もないだだっ広い部屋で、床にも壁にもそこらじゅうに

落書きがしてあった。

良くみるとそれぞれに写真がついている。


ξ ゚⊿゚)ξ「……あ、クーちゃんの写真」

l从・∀・ノ!リ人「お前の中の人間関係の相関図じゃな」


落書きのようなものはメモで、ツンがその人物に対し知る限りの情報が書き込まれている。

クーなら美人、モテる、スタイル良し、性格はサディスト、小学校以来の友人、その他彼女との

様々な思い出。

後からどんどん書き足したり消したりしてあり、科学者の計算ノートみたいだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「二年生の時にカバンにカエル入れられて泣かされたことまで」


キャプションと写真は丸で囲まれ、線で別の人物情報へと繋がっている。
17.
線には友人だとか夫婦だとかいがみ合ってるとか、人間関係についてのメモがあった。


l从・∀・ノ!リ人「さて、ここからあのミストキャリアーをたどるのじゃ」

ξ;゚⊿゚)ξ「知り合いの知り合いの知り合いの……って感じに?

       それって果てしなく時間がかかると思うんだけど」

l从・∀・ノ!リ人「ある程度の経路はもう明らかじゃろ。

         ほれ、あの石頭……トソンって言ったかのう、あの娘じゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あっ、そうか! トソンちゃんのお兄さんはあの工場で働いてたから……」

l从・∀・ノ!リ人「工場を根城にしとったあやつと繋がりがあるかも知れんってわけじゃ」


部屋の真ん中、ツンの写真を中心に放射状に線が伸びている。

そこから辿ってツンは内藤の写真を見つけた。


[( ^ω^)]

ξ ゚⊿゚)ξ「これだわ」

l从・∀・ノ!リ人「引っ剥がしてわらわに貸すのじゃー」
18.
ξ ゚⊿゚)ξ「ほい」


妹者はツンから受け取った写真を片手に、またシャボン玉からドアを作った。

出来あがったドアに写真を張り付ける。


l从・∀・ノ!リ人「これでいいのじゃ。ドアを開けてみるのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「はいよ。……ん?!」


押しても引いてもビクともしない。

鍵がかかっているようだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「あれ、開かないよ!」

l从・~・ノ!リ人「うーん、あの男とはそれほど親しくないからのう。

         心の鍵が開いてないのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「どうするのさ」



19.
l从・∀・ノ!リ人「別の近しい人物の部屋からでなければそのドアは開かないのじゃ。

         経路を練り直す必要があるのう」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、荒巻さんの写真もある……こっからハインを辿った方が早くない?」

l从・∀・ノ!リ人「ハインとロマネスク、どっちのが組み易いと思う?」


ツンは考えた。

ハインは手ごわそうだが、ロマネスクは弱点だらけのイメージだ。


l从・∀・ノ!リ人「あの変態博士のが付け込みやすいと思わんかえ」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、う~ん。確かにそんな感じだよね」


別の経路に考えを巡らせる。


ξ ゚⊿゚)ξ「えっと……そうだ、クーちゃんがトソンちゃんの近所に住んでるって言ってた」

l从・∀・ノ!リ人「そこから攻めるか。クーの写真を寄越すのじゃ」


[川 ゚ -゚)]
20.
 クーの写真をドアに貼ると今度は抵抗なく開いた。

それをくぐると別の団地(といってもみんな同じなんだが)の棟の中らしい場所で、廊下の

突き当たりにあるドアの真ん前に出る。


ξ ゚⊿゚)ξ「これがクーちゃんの部屋かあ。ドキドキするなー」

l从・∀・ノ!リ人「人の部屋の中をあんまり荒らすでないぞ。

         プライバシーってもんがあるのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「わかってるよー」


 部屋の中はツンと同じく妙な間取りだ。

壁に様々な種類の武器がかけてある。

乗馬用ムチ、クギと鉄条網つきバット、鎖と手錠、やたらトゲトゲしい形状のナイフ……


ξ;゚⊿゚)ξ

l从・∀・ノ!リ人「あいつのサディズムの象徴じゃな」


21.
壁の方には「言葉責めメモ」がびっしり貼り付けてあった。

ゴミ箱にクシャクシャのメモ用紙が詰め込まれているのを見て、ツンはそれを拾い上げてみた。


ξ;゚⊿゚)ξ「“ボンレスハム”“歩くエンゲル係数”“養豚場”」


どれもこれも一度は聞いたことがある言葉だ。

“使用済み”って事らしい。


ξ;´⊿`)ξ「まだこんなにあるってことは、これからも毎日毎日あの挨拶を聞かされるのね……」


壁の方を見て思わずブルーな気分になるツン。


l从・∀・ノ!リ人「ん、こっちじゃな。来るのじゃツン」

ξ ´⊿`)ξ「はーい」


ツンのと同じような人物相関図部屋に入る。

ただし中央に据えられた写真はクーだ。

22.
ツンは何となく自分の方へ伸びているラインのメモに目をやった。


ξ ゚⊿゚)ξ「“親友”」


その言葉は赤線の二重丸で囲まれていた。


ξ*//⊿//)ξ「も、もうっクーちゃんってば! ツンデレなんだからっ!」

l从・∀・ノ!リ人「下に小さく“兼奴隷”って書いてあるぞ」

ξ*゚⊿゚)ξ「ほんとはいい娘なのよー」

l从・∀・ノ!リ人「あーきっとそうなのじゃー(なげやり)」


内藤あるいはトソンと繋がりはあるが、ラインのメモはほとんどない。

彼女はあの二人に対してあまり関心がないようだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「どうする?」

l从・∀・ノ!リ人「しょうがない、少しでも二人に近い人物を片っ端から当たってくのじゃ」


23.
 ツンと妹者は色んな写真をドアに貼り付けてはくぐり、少しずつ二人に近づいて行った。

友達の知り合いの同僚の両親の親戚の恋人の、そのまた親戚の上司が昔付き合っていた人物の、

よく行く居酒屋の店主の仕入先の……


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ξ;´⊿`)ξ「疲れたー。まだかなあ」

l从・∀・ノ!リ人「気合いを入れんかい、もう少しなのじゃー」


 とある人物の相関図に、ようやくトソンと太いラインで繋がっているのを見つけた。

トソンとの関係には“母子”とある


ξ ゚⊿゚)ξ「トソンちゃんのお母さんかあ。両親はいないみたいだったけど……」

l从・∀・ノ!リ人「死人の部屋には入れんから、生きてるってことじゃな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ん……?」


トソンとこの部屋の主を繋ぐラインには他にも色々書き込まれている。
24.
だがそのほとんどは上書きに上書きを繰り返され、めちゃくちゃに混ざって見えなかった。

まるで憎しみと執念に狂うがままに書き綴った呪いの言葉。

ツンはそこに何かドス黒いものを感じ、急に不安になった。


l从・∀・ノ!リ人「どうしたのじゃ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん? ううん。何でもない」


ツンにトソンの写真を拾い上げさせ、妹者はそれをドアに貼った。

 ドアを開けて一度団地に出、それから彼女の部屋の前に立つ。

目の前にはスチールのドアがある。

しかしツンはそれを握ることを躊躇った。

何か不安を感じる。踏み込んではいけない何かがこの先にある気がする。


ξ;゚⊿゚)ξ「……」


意を決して開けようとした瞬間、掴んだドアノブが勝手に回転を始めた。

25.
カチャカチャと金属が噛み合う音を不気味に響かせながら。


ξ;゚⊿゚)ξ「ひゃあっ!?」

l从・∀・ノ!リ人「……?」


思わず手を離して飛び退くが、すぐさまドアが開いて中から噴き出してきた闇がツンを捕らえた。


l从;・∀・ノ!リ人「いかん! ツン、下がるのじゃー!!」


もう遅い。

闇は枝別れして沢山の触手になり、彼女と妹者を絡めてドアの中へと引きずり込んだ。


ξ;゚⊿゚)ξl从;・∀・ノ!リ人「ぎゃあああああああああああ!!」


 二人が悲鳴を上げて中へと消えると、ドアは開いた時と同じくひとりでに閉じた。

ドアノブがさっきとは逆に回転を始め、それもやがて止まる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――
26.
 ツンは暗闇の中で翻弄され、上になったり下になったりしていた。

まるで稼働中の洗濯機の中に放り込まれたみたいだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「わああああああ―――!!」


やがて外にガムみたいにペッと吐き出される。

そこはどこかの屋外で、ツンは顔面から地面に着地して転がった。


ξ >⊿<)ξ「あだだっ」


しばらく目が回って立ち上がれず、倒れたまま三半器官の暴走がおさまるのを待つ。

 ややあってから擦りむいた鼻をさすりながら立ち上がった。

場末の臭いがする。

風溜まりが溜め込んだ汚水と腐敗の臭い。


ξ ゚⊿゚)ξ「妹者ちゃん……? おーい」


27.
返事がない。

どこかではぐれたらしい。


ξ;゚⊿゚)ξ「えーと……」


 そこはどこかの路地のようだった。

寂れ切っていて人の気配はない。

何かの工場とを隔てる有刺鉄線やバラックが曲がりくねった迷路を形作っている。

 空を見上げれば血よりも尚赤く、闇より尚暗い夕焼けの色。


ξ ゚⊿゚)ξ(ここがあの子の部屋?)


視界が変だ。

古いビデオみたいに物体の輪郭が時折ブレて、二重になって見える。

 ツンは当てもなく歩き始めた。

あたりは身が凍るほどの静けさに満ちている。

28.
ツンの足音だけが虚空に吸い込まれては消えた。


ξ ゚⊿゚)ξ(とにかく妹者ちゃんを探さないと)


 やがてツンはその路地が極めて複雑に絡み合っていることを知った。

不法投棄された粗大ゴミで行き止まりになっていたり、廃墟を横切る抜け道があったりして、

すぐに方向感覚がおかしくなった。

自分がどっちから来て、今自分がどこに向かっているのかもわからない。


ξ;゚⊿゚)ξ(どうなってんのかなこりゃ?)


頭上の街灯はところどころ切れていて、不安げにチカチカと明滅している。

 ツンは十字路のところで立ち止まってあたりを見回した。

頭に手をやって髪をクシャクシャに掻きむしる。


ξ ゚⊿゚)ξ「どーっちに行ーったらいーいーのーかーなーっと」


29.
終わりのない悪夢に閉じ込められているような気がして来て、わざとふざけた口調で言ってみた。

妹者のセリフを思い出す。

“迷子になったら二度とここから抜け出せない”……

胸の奥底に居座っていた不安の粒が、猛烈な勢いで膨張してゆく。

ガタン!


ξ;゚⊿゚)ξ「はっ!?」


奥の方でした物音が物思いを断ち切った。

自分の足音と街灯のノイズ音以外に初めて聞く音だ。

 しばらく呼吸をするのも忘れていたが、ツンは唾を飲み込み、そっちに行ってみた。

角のところからそっと通路の様子を窺う。


ξ ゚⊿゚)ξ「誰かいるの? 妹者ちゃん?」


袋小路になっていて、奥に誰かがいる。

30.
ツンはそこへ忍び寄った。

 ふと、地面に目が行く。

そこに空の夕焼けのように赤黒い染みがあることに気付き、ぎょっとして飛び退く。


ξ;゚⊿゚)ξ「血……かな」


小さな染みは点々と袋小路へと続いている。

ツンは勇気が挫けそうになり、思わずその場の壁に寄り掛かって捕まった。


ξ;゚⊿゚)ξ(ううん、行かなきゃ。妹者ちゃんが怪我したのかも……)


首を振って弱気を出す自分を振り払い、ツンは奥へ入った。

 微かにすすり泣くような声が聞こえた。

小さな女の子の声だ。

この静寂に閉ざされた世界でそれは木霊のように響き、ツンの周囲を取り巻いた。


ξ;゚⊿゚)ξ(妹者ちゃんじゃないな)
31.
 身構えながらそっと袋小路に歩み寄る。

行き止まりのところで何かがうずくまっていた。

ツンよりもずっと小さく、か細い人影だ。

少女のようだった。


ξ ゚⊿゚)ξ「あなたは……?」


その子はサイズの合っていない薄汚れたシャツ一枚の姿で、素足のままだった。

路地を駆け回ったのか足の裏から血を流している。

伸び放題の髪が体に垂れており、長い間放っておかれたことが窺えた。

誰かに見限られ、そのまま道端に放り捨てられた存在。


ξ ゚⊿゚)ξ


 その子が振り返り、ツンを見た。

その瞳の中に自分の姿が映り込んだ瞬間、再びツンは闇が押し寄せて来るのを感じた。

32.
この部屋に入り込んだ時と同じ、枝別れした闇の触手がうねりを上げて襲い掛かってくる。

 抵抗しようとしたがまったく無駄だった。


ξ;゚⊿゚)ξ「また!? ぐっ……」


スーツが身体能力を何十倍にも高めていることが嘘のようだ。

ツンはその闇の前で完全に無力だった。

 目の前の子はただこっちを見ている。

すべてに無反応なその様子は闇に囚われたツンを嘲笑っているようにも見えた。


ξ ;⊿;)ξ「た、助け……誰か……」


闇は凍り付いた夜気のように冷たく、ツンの体から感覚を奪って行く。

全身を包み込まれて闇の底へ引き込まれようかという時……


l从・∀・ノ!リ人「ツン!!」

ξ ゚⊿゚)ξ「!?」
33.
ガリッ!

懐かしくすら感じる妹者の叫び声がして、突然左耳に苦痛が走った。

そこを基点に全身に電流のように感覚が戻り、闇から放たれる。

ハッと気が付くとツンは袋小路で棒立ちになっている自分に気付いた。


ξ;゚⊿゚)ξ「あれっ? あれ……いてて、いてててて!!」


左を見ると妹者が自分の耳に噛み付いていた。


l从・∀・ノ!リ人「おお、気付いたな」

ξ#;⊿;)ξ「痛い!! 何やってんのよー!?」

l从・∀・ノ!リ人「何言っとるんじゃ、お前を助けてやったのじゃー」


耳から口を離すと、妹者はツンの目の前に浮かび上がった。


l从・∀・ノ!リ人「やっと見つけたのじゃー。平気か?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたが噛んだとこ以外はね。まあ、とにかくありがとう。あの子は?」
34.
l从・∀・ノ!リ人「うむ……」


妹者は袋小路の方を見た。

今は誰もいない。

子供の姿は煙のように掻き消えていた。


l从・∀・ノ!リ人「お前はあの娘が抱える闇に囚われたのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「闇?」

l从・∀・ノ!リ人「悪意や憎悪とも言うかのう。とにかくここを出てから話すのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「うん、まあ、わたしもここには長居したくないかな……」


 妹者がストローを指先に置くと、くるくる回り始めた。

先端が袋小路の更に奥へと向く。


l从・∀・ノ!リ人「向こうに兄の写真があるのじゃ。取りに行こう」

ξ ゚⊿゚)ξ「おっけーおっけー」

35.
袋小路の壁を飛び越え、その奥にある空き家を通り抜ける。

更に路地を進むと薄汚れたアパートの前に出た。

六世帯が入っている小さな建物で、壁にはヒビが入り、手すりはすべて錆びていた。


ξ;゚⊿゚)ξ「ここ? なんかいかにもガラ悪いけど」

l从・∀・ノ!リ人「一階の104号室なのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほい」


 ドアに鍵はかかっていなかった。

開けるとあらゆる悪臭が押し寄せて来る。

            オ ヘ ヤ
ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ、汚部屋!」


部屋中にコンビニ弁当の空き箱やペットボトルが山積みになり、シンクには洗い物が山積みだ。

そのすべてから腐敗臭がする。

小バエの飛び回る部屋を土足のまま、つま先で色んなものを掻き分けて中に入る。

36.
部屋は荒れ果てていたが、別に泥棒が入ったわけではなく、持ち主の気質によるものだろう。


ξ;゚⊿゚)ξ「ほんとにここにあるの?! うわっ、なんか踏んだっ!」

l从・∀・ノ!リ人「間違いないのじゃ。あの洗濯物の山があやしいぞえ」

ξ;゚⊿゚)ξ「うわ~、カビ生えてるよ……っていうかキノコじゃない、これ?」

l从#・∀・ノ!リ人「文句言っとらんでとっとと探すのじゃー!」

ξ;´⊿`)ξ「もー、自分は命令するだけなんだからなー」


 足で蹴っ飛ばして山を崩し、その下を調べる。

するとクッキーの缶が出てきた。

蓋を開くと中には写真の束があり、輪ゴムでくくってある。

ゴムを取って拡げてみると内藤の写真が見つかった。


ξ ゚⊿゚)ξ「あった! けど他の人の人間関係ルームと大分違うなあ」

l从・∀・ノ!リ人「稀におるのじゃ、こういう変わり者がのう」


37.
彼女に限っては写真の裏に関係のメモが描かれている。

そのほとんどが乱暴な殴り書きで、ツンには読めなかった。

 写真を手に部屋を出ようとした時だった。


―――返……て……


ξ ゚⊿゚)ξ「ん?」


振り返るとそこにあの少女がいた。

開け放されたドアのところに突っ立っている。


―――それ……返し……て……


ξ;゚⊿゚)ξ「さっきの……!」


ザワザワという草むらが風に波立つような音がする。

周囲のゴミがそれに呼応して震え、糸で吊られているみたいに宙に浮かび上がった。

38.
 少女の体のあちこちでブチュッ、ブチュッと肉が潰れるような音がする。


―――返して!


ところどころが弾け、血の代わりにヨーグルトみたいな粘っこい闇が噴き出した。

闇が床を伝い、こちらに這い上がってくる。


l从・∀・ノ!リ人「逃げるのじゃ、ツン!!」


妹者が言うが早いか、ツンはベランダの窓を頭から突き破って部屋を飛び出した。

その場から飛び退くと同時に少女の放った闇が間欠泉のように噴き出し、骨ばった巨大な手になって

さっきまでツンがいた中空を掴む。

 外に飛び出したツンは路地をがむしゃらにひた走った。


ξ;゚⊿゚)ξ「なんか写真を返した方がいいみたいだけど!」

l从・∀・ノ!リ人「これがなきゃわらわ達だってここから出られんのじゃー」


39.
 少女は二人の後を執拗に追って来た。

ツンの背中に闇の手が迫り、その手中に収めようと閉ざされる。

バクン!


ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ!!」


肉食獣の顎じみたそれを横に逸れてかわす。

すかさずツンは左手に意識を集中させ、その手の甲にステッキのメダルを浮かび上がらせた。

メダルは手から飛び出して実体化し、ポンと弾けて実物のステッキとなる。

 反転して急停止すると、ツンはステッキに仕込まれた刀を抜き様に斬り付けた。


ξ#゚⊿゚)ξ「せぇええい!!」

l从;・∀・ノ!リ人「あっ、バカ……」


銀光が一閃して闇を切り裂くが、しかし手応えがない。

闇の手は切り口から血のように闇の飛沫を噴き出している。

40.
だがほとんど抵抗なしにツンの刀を通過させていた。


ξ;゚⊿゚)ξ「あ、あれっ!?」


続けざまに斬撃を浴びせかけるが、ほとんど水を斬っているようなものだった。

手が溶けて触手になりかけたのでツンは慌てて飛び退いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「斬れないよ!?」

l从・∀・ノ!リ人「この世界はあいつのフィールドなのじゃ、倒すのは無理なのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「って事は……」

l从・∀・ノ!リ人「とにかく逃げ回ってわらわがドアを作り出す時間を稼ぐのじゃー」


 ツンは抵抗をやめ、再び逃げの一手になった。

攻撃をぎりぎりでかわしながら建物を通り抜け、柵を飛び越えて走り回る。

とうとう二人は少女の視界から外れ、粗大ゴミの物影に隠れてやり過ごした。


ξ;゚⊿゚)ξ「ふう」
41.
l从・∀・ノ!リ人「諦めたりはすまい。早いとこ逃げ出すのじゃ」


妹者は物影から路上に出るとストローを口に付け、シャボン玉を作りだした。

玉が弾けて中からドアが現れる。

そこに内藤の写真を貼り付け、ドアノブを握った瞬間……


ξ ゚⊿゚)ξ「?」

l从・∀・ノ!リ人「どうした? 早く行くのじゃー」


ツンは地面に落ちた自分の影を見ていた。

それに水滴が落ちたかのように波紋が広がっている。

不思議に思って覗き込むと、いきなり影が三次元的に盛り上がった。


ξ;゚⊿゚)ξ「しまった、影の中に……!!」

l从;・∀・ノ!リ人「ツン!!」


影は流動的にうねって形を変え、ツンの両側に伸びて巨大な顎となった。
42.
それが彼女を両側から挟み込む。

バクン!!


l从;・∀・ノ!リ人「ツン……ツ―――ン!!」


 妹者は呆然としてツンが飲み込まれるのを見ていた。

闇の顎は一つに組み合わさって今は渦の柱のようになっている。

どうすることも出来ないまま目の前の現実を見つめていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 暗く冷たい闇の中へと沈んでゆく。

あらゆる感覚が剥ぎ取られてゆく。

極寒の北海に落ちて死ぬ漁師も、今の自分みたいな気分を味わうのだろうか。


ξ ⊿ )ξ(寒い、寒いよ……)


43.
 ゆるやかに落下してゆく浮遊感を味わいながら、ツンは両腕で自分の肩を抱き寄せた。

両足を畳み、身を縮めて何とか体温をとどめようとするが、それも虚しい足掻きだった。


―――わたしは……


ξ ⊿ )ξ(声がする。さっきの女の子の声だ)


ツンはぼんやり闇の底に視線をやった。

どこかにあの女の子がいる。

はるか遠くにいるようにも見えたし、すぐ間近のようでもあった。


―――助……


彼女がこっちに手を伸ばす。

その手がこちらに届こうかという時、ツンの体を更なる悪寒が駆け抜けた。

あの子はこの世界に自分を取り込もうとしている。

ここにいちゃいけない!
44.
ξ ゚⊿゚)ξ「!!」


ありったけの力を振り絞る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


―――カロリーィィイ……!!


l从・∀・ノ!リ人「!?」


 妹者は高らかに響くツンの声を聞いた。
 
カッ!

闇の柱の隙間から光が溢れ出す。


―――クラッシュ!!


 内側で爆発した光によって闇は風船のように膨張し、そして破裂した。

散り散りになって消えてゆく闇の破片と一緒に、ツンが飛び出してくる。
45.
ξ ゚⊿゚)ξ「よっと」


膝を突いて地面に着地すると、妹者がその頭に抱き付いた。


l从;∀;ノ!リ人「ツ―――ン!! ああ、良かった良かった!

         消化されたかと思ったのじゃー!」

ξ;゚ー゚)ξ「いやあ、わたしももうダメかと思ったけど、何とかねー」


 地面に残った闇の残骸みたいなものは、苦しげに蠢きながらも、再び元の形状に戻ろうと

周囲に飛び散った自分の破片を掻き集めている。


ξ;゚⊿゚)ξ「げっ、生きてる!」

l从・∀・ノ!リ人「言ったじゃろ、ここであいつを倒すことは出来んのじゃ。逃げるのじゃー」


二人は内藤の写真を張り付けたドアに飛び込んだ。

 ツンはドアをくぐり際、一瞬だけ背後を振り返った。

暗く、陰鬱で、住人の心と同じく荒れ果てた世界。
46.
―――……


あの少女が角のところでこっちを見ていた。

ツンはその瞳に憎悪や怒りよりも、それをはるかに上回る悲しみを見た気がした。


ξ ゚⊿゚)ξ(わたしはあの子の闇の中で、彼女の悲しみに触れた気がする……)


あの子は憎しみから自分たちを攻撃したのではなく、救いを求めて手を差し伸べていたような

気すらした。

ドアが閉ざされ、風景を立ち切る。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 殺風景な団地のどこかに出ると、ようやく深呼吸が出来た。

やれやれと肩を撫で下ろす。


l从・∀・ノ!リ人「あいつの闇の中で何を見た?」

47.
ξ ゚⊿゚)ξ「真っ暗で何にも見えなかったけど……でも、何か……」


ツンはあそこで見たものを口にしようとしたが、思い直した。


ξ ゚⊿゚)ξ「曖昧で良くわかんなかったわ」

l从・∀・ノ!リ人「そうか。まあいい、とにかくようやく目的地なのじゃ!」


二人は内藤の部屋に向き直った。













つづく……


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