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ハイパーメタボリックエンジェルズのようです #6

何かハインが長岡とかって呼ばれてるね。
ハインはハインリッヒ高岡でしたねさーせん!
1.
(;ФωФ)「申し訳御座いません、我が力及ばず……」

(:::::::::::)「とりあえずのところは構わん。小手調べってとこだ」


 撃退失敗の報告を耳にしてもミストライダーはそれほど気分を害さなかったので、ロマネスクは

心から安堵した。


(:::::::::::)「奴を倒すこと自体は今の段階じゃあそれほど重要じゃない。

     だがこれで全員わかっただろう」


ミストライダーはロマネスクと他の二人に強調した。


(:::::::::::)「絶対にナメてかかるな」



ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#6 百人組手


2.
―――確かに容易い相手じゃねえだろう

―――燃えるね。久々に熱い戦いが出来そうじゃない


ロマネスク以外の二人がそれぞれ答える。

 ミストライダーは溜め息をつき、両手の指を組んで椅子に沈み込んだ。


(:::::::::::)「しかし妹者がそんなことをね……」


しばらく物思いに沈んでから、男に聞く。


(:::::::::::)「血の霧の流通は?」

―――そこそこ順調です

(:::::::::::)「そこそこ?」

―――今ちょっと組織の方が立て込んでましてね

     流通を完全に仕切るには町を掌握しなけりゃあならないんだが、問題が……

( ФωФ)「個人的な問題を持ち込むのはご法度であるぞ」
3.
―――能無しは黙ってな

(#ФωФ)「……!!」

―――すぐに済みます。これが片付けば町をジャンキーだらけに出来ますよ

(:::::::::::)「まあ、いいだろう。ハイン、お前に任せる」


霧の切れ目に男の素顔が垣間見えた。


从 ゚∀从「御意」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その日、ツンはお気に入りのパン屋、渡辺ベーカリーのショーウィンドウに鼻っ面を押し付けて

顔面を平らにしていた。

ガラスの向こうには焼き立てのレモンピールパイが積まれている。


ξ ´ з`)ξ「ムム! これは新作ですな」

4.
川 ゚ -゚)「うむ、悪くなさそうだ。何せレモンピールだからな」


その隣ではクーが同じくガラスに顔をくっつけている。


ξ ´ з`)ξ「レモンピール……レモンはともかく、ピールって何?」

川 ゚ -゚)「知らん」


 食えばわかるという結論に達し、二人は店に入って同じものを頼んだ。

飲食スペースで同時にかじる。


ξ ´ ~`)ξムグムグ「外はさっくり中はしっとり~」

川 ゚~゚)モシャモシャ「お、レモンの欠片が入ってる」

从'ー'从「レモンピールってレモンの皮のことだよ~。甘く煮込んだやつ~」


カウンターのところにいる店主が説明した。


从'ー'从「ジャムにもよく使うよね~」
5.
ξ ´ з`)ξ「ほんのりとした酸っぱさが爽やかですなー」

川 ゚ -゚)「これはうまいな。お気に入りリストに入れよう」


甘露を楽しむ至福の時を過ごしていると、ショーウィンドウ越しに黒塗りの車が見えた。

いかにもガラの悪い感じだ。

スピードを落とし、店の前まで来ると、パワーウィンドウが下りた。


ξ ´ з`)ξ「ん?」


店に面していない反対側の座席にいた男もハコ乗りの要領でこっちに身を乗り出している。

彼らは手にした空きビンを一斉にこちらに投げつけて来た。


ξ;゚ з゚)ξ「ひいい、なんですかーっ!?」

川;゚ -゚)「うわっ!!」


ウィンドウにぶつかったビンが砕け散ってあたりに破片をまき散らす。

6.
もちろん店の中には届かなかったが、ツンは思わず後ろに引っくり返った。


<ヽ`∀´> ホルホルホル

( `ハ´) シナシナシナ


 その様子をあざ笑うと、車はすぐに姿を消した。
 
 彼らが行ってしまうと、パン籠を頭に被ってカウンターに伏せていた渡辺が顔を上げる。


从'ー'从「大丈夫だった~?」

ξ ´ з`)ξ「ふぇ~い」

川 ゚ -゚)「くそ、パンを落っことしてしまった」

从'ー'从「もう一個奢るから許してね~。もう、ひどい事するな~あいつら」


店を出る渡辺についていき、ガラス片を片付けるのを手伝う。

ショーウィンドウに目立つ傷が出来ていた。


7.
从;ー;从「ふぇぇ、高かったのに~。ポスターでごまかせるかな~」

川 ゚ -゚)「イタズラにしちゃ度が過ぎてるな」

ξ ´ з`)ξ「ていうかさっきの人たちは見た目からして、そのー……」

从'ー'从「“ショバ代を払え”ってしつこいんだよ~。断ったら嫌がらせして来るの~」

川 ゚ -゚)「見ケ〆ってやつか」

ξ ´ з`)ξ「え? 文字バケ?」

川 ゚ -゚)「みかじめって読むんだよ。ヤクザ用語でショバ代のことだ」


 掃除を終えると渡辺は礼にレモンピールとパンの耳のカリントウをくれた。

それを食いつつ帰路につく。


ξ ´ з`)ξ「おヤクザさんかー。確かになんか、ちょっと増えたような気もするけど」

川 ゚ -゚)「んー……」


町はいつも通りのように見えるが、最近チンピラの姿が目立つ。

8.
裏路地の奥を覗き込むと、裏口のところでショバ代を巻き上げられている店を見かけた。

あれはゲームショップ「いとこのゆうたろう」の店主だ。


|  ^o^ |「みかじめ もらいます」

| ^o^ |つ・「あげます」

|  ^o^ |「それは みじんこ です」

/^o^\「兄貴! こいつナメてますぜ、やっちまいましょうや」

「みじんこパンチ」|  ^o^ |つ)^o^ | 「ぐはあ」


立ち止まるツンの背中をクーが押した。


川 ゚ -゚)「じろじろ見るな。言いがかり付けられるぞ」

ξ ´ з`)ξ「ああ、うん」


だがちょっと遅かったようだ。

気が立っていたらしい二人はこっちに目をつけ、裏路地から出て来た。
9.
/^o^\「姉ちゃんたち、何見てんだい? 失せないと痛い目見るぜ」

|  ^o^ |「つぎは わたし の みじんこキック が さくれつしますよ」

ξ;´ з`)ξ「ひいい、すぐどっか行きまーす」
         テイシンカイ
川 ゚ -゚)「お前ら鼎心会の連中だろ」


ツンが慌てて逃げようとするのに対し、クーは二人に敢然と立ちはだかった。


川 ゚ -゚)「いつからこんなシノギになったんだ?」

ξ;´ з`)ξ「クーちゃん、やめなって! 香港に売られるよー」

川 ゚ -゚)「お前は行け。わたしはこいつらに聞きたいことがある」


押しても引いてもクーは頑として動かず、彼女はツンの顔面に掌を押しあてて引っ剥がした。

何か様子がおかしい。

まるで彼らと知り合いのような……



10.
/^o^\「鼎心会? あんなショボイ組織はもう潰れちまったぜ。
              フ ォ グ
    これからは俺らF.O.Gの時代だ」

|  ^o^ |「みじんこキック は みじんこパンチ の にせんばいの いりょくですよ」

/^o^\「おうおう、ブームの兄貴を怒らせたらもう止まんねえ!」


兄貴と呼ばれている大柄な方の手がクーに伸びた時。

その背後に忍び寄った店主が、不意を突いて彼の頭にゴミバケツを被せた。


|  ^o^ |「く くらい そして くさい」

/;^o^\「兄貴ィー!!」

| ^o^ |「みかじめ は こんごいっさい はらいません」


店主はゴミバケツを被って右往左往しているチンピラを思い切り突き飛ばした。

チンピラは派手に倒れ、生ゴミをまき散らしながらゴロゴロどこかへ転がってゆく。


|  ^o^ | ごろごろ
11.
/;^o^\「待って下さい兄貴、兄貴ィー!! 畜生お前ら、覚えとけ!」


舎弟もそれを追って姿を消す。


| ^o^ |「たすかりました ありがとう」

川 ゚ -゚)「わたしは別になんにも」

ξ*´ з`)ξ「あー恐かった。クーちゃんかっこよすぎー」

川 ゚ -゚)「ふふん、もっと褒めてもいいんだぞ。それよりフォグとかってのは?」

| ^o^ |「鼎心会を つぶして たいとう してきた そしきです

     くわしいことは わたしも しりません」

川 ゚ -゚)「潰した?」


 店主は頷いた。


| ^o^ |「F.O.G が このあたりを しはい するようになってからは むちゃくちゃです

     すくなくとも 鼎心会 の ころ は いまみたいな こと は しなかった」
12.
川 ゚ -゚)「……」

ξ;´ з`)ξ「ねークーちゃん、もう行こうよー。

         あいつら戻って来るかも知れないよー」

川 ゚ -゚)「そうだな。ゆうたろうさん、色々ありがとう」

| ^o^ |「いえいえ。あなたこそ きをつけて」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 クーと別れ、帰宅する。

自分の部屋に入るとカバンから抜け出してきた妹者が宙に浮かび上がり、腕を組んだ。


l从・∀・ノ!リ人「あいつ妙に気にしてたのう」

ξ ´ з`)ξ「えー? 何の事?」

l从・∀・ノ!リ人「クーのことなのじゃー。ほれ、あの疲れる話し方をするおっさんに色々と聞いてたのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「ああ、ゆうたろうさん」

13.
l从・∀・ノ!リ人「鼎心会だとかF.O.Gだとか。何か関係があるのかのう」

ξ ´ з`)ξ「あの子、気ぃ強いからなー。危ない目に遭わないといいんだけど」


だんだん心配になってきた。

私服に着替え、地階に降りて戸棚を漁る。


ξ ´ з`)ξ「ぬれせん発見。これ持ってこ」

J( 'ー`)し「どっか行くのかい」

ξ ´ з`)ξ「ちょっとクーちゃんちに遊びに行ってくるよ」

('A`)「ほほう、俺の修業の成果を試す時が来たらしいな」

ξ;´ з`)ξ「あんたはいいの。じゃあ行ってきます」


 家を出てクーの家に向かう。

ここらで一番高級ででかいマンションの一番上が彼女の住居だ。


l从・∀・ノ!リ人「これまたどでかい建物なのじゃー。親は社長かえ?」
14.
ξ ´ з`)ξ「なんかお母さんが元モデルの服飾デザイナーだとか言ってた。

         お父さんの方は知らないなー」

l从・∀・ノ!リ人「美貌と気の強さは母親譲りかのう」


一階の入口に併設されている詰め所の警備員に挨拶し、インターホンでクーの部屋に繋ぐ。

本人が出た。


川 ゚ -゚)「はい」

ξ ´ з`)ξ「ちわっす。遊びに来ちゃいました」

川 ゚ -゚)「ん、あー……ツンか。ああ、うん」


気まずげと言うか、場違いな客に困惑してる様子だ。


ξ ´ з`)ξ「あ、忙しいんなら明日でもいいけど」

川 ゚ -゚)「いや、いいんだ。ちょっと待っててくれ、今出る」


15.
 オートロックの前でしばらく待っていると、中から男が二人やってきた。

どっちもスーツ姿だが明らかにカタギの雰囲気じゃない。

ツンは思わず壁に張り付き、道を譲った。


/ ,' 3「すまんのう」


先導していたのは真っ直ぐに伸ばした長い白髪を肩に垂らした年配の男だ。

老人と言ってもいい年齢なのだが、若く溌剌とした雰囲気が老いを感じさせない。

高そうなスーツをネクタイなしで着込み、肩にロングコートを引っかけている。


(-@∀@)「どうも」


眼鏡の男がそれに続く。

こちらは至って普通のビジネスマン風だが、目付きがやっぱり普通じゃない。

人の二、三人は海の底に沈めてそうな感じだ。


16.
ξ;´ з`)ξ「うわー、すごいなあ。ありゃヤクザだよ間違いなく」

l从・∀・ノ!リ人「F.O.Gとか言う連中の仲間じゃないかえ」

ξ ´ з`)ξ「そうかも。クーちゃんのマンションに何の用かな」


思わず二人の行く手を視線で追う。

彼らはマンションの前に止めてあった車(似つかわしくない、至って普通の大衆車だ)の運転手と

何か話し合い、それから老人だけこっちに戻って来た。


ξ;´ з`)ξ「やばっ、聞こえたかな」

l从・∀・ノ!リ人「落ち着くのじゃー。いくらヤクザでもいきなり襲いかかって来たりせんわい」


だが老人はツンの前を再び通り過ぎた。


/ ,' 3「むぅ……」


 インターホンの前で口髭を撫でながら悩む素振りを見せ、番号を打ち込む。

17.
その様子を見ているとやっとクーが来た。


川 ゚ -゚)

ξ ´ з`)ξ「ういっす」


クーはツンの目の前を通り過ぎると、インターホンの前にいた老人に封筒を差し出した。


/ ,' 3「ああ、ちょうど今お前んとこに連絡しようと……」

川 ゚ -゚)「忘れ物」

/ ,' 3「いや、それはお前に……」

川 ゚ -゚)「いらない。間に合ってるから」

/ ,' 3「そうか。ああ、いや、すまん」


 出る幕じゃなさそうなのでツンは引っ込んでいたが、その封筒には目が釘付けだった。

あの膨らみ方はもしや。


18.
ξ;´ з`)ξ(あ、あれはもしや札束では!? 100万はありますぞ)


クーの一切を受け付けようとしない、決然とした拒絶に老人はうろたえ、封筒を受け取った。

それを懐に入れて車に戻る。

ツンにはそのいかつい背中が少し寂しそうに見えた。

 車が出るとツンはクーに詰め寄った。


ξ;´ з`)ξ「あばばば、あばばばば!」

川 ゚ -゚)「聞きたいことは色々あるだろうけど」


日本語になってないツンの質問だが、クーには通じたらしい。


川 ゚ -゚)「あの人のことはよしてくれないか」

ξ ´ з`)ξ「はい。えーと、今日の下着の色は?」

川 ゚ -゚)「代わりの質問がそれか?」

ξ ´ з`)ξ「……」
19.
川 ゚ -゚)「……黒だ」


 何となく部屋でお喋りするって感じでもなかったので、二人は連れ立って歩き出した。

日は傾きかけ、東の空は赤みを帯びている。


ξ ´ ~`)ξモッシャモッシャ「ぬれせん食べる?」

川 ゚ -゚)「もらおう。……ツンの父さんってどんな人?」

ξ ´ з`)ξ「え? えーと、お人好しでややデブい」

川 ゚ -゚)「お前は父親に似たんだな」

ξ;´ з`)ξ「それはどっちのことを言いたいんですか……」

川 ゚ -゚)「まあ、何だ。家族は一番最初に出会う他人という言葉があるだろ」


夕焼けを浴びて深く陰影を刻んだ彼女の顔には、ツンが初めて見る表情があった。

大人びていて、どこか疲れている顔。



20.
川 ゚ -゚)「だけどもし、父さんが本当に他人だったらどうする?

     全然知らない人だったら」

ξ ´ з`)ξ「それってもしかしてさっきの人のこと? あの白髪の」

川 ゚ -゚)「ん……」

ξ;´ з`)ξ(シリアスな会話は苦手だなー)


幸福な家庭に育ったツンは、こういうとき相手にどう共感したらいいかわからない。

ただ張り子の赤ベコのように頷くばかりだ。

 見かねた妹者がアドバイスを囁く。


l从・∀・ノ!リ人「こういう時はこっちから下手に何か言わんほうがええ。

         相手の気持ちの整理がつくまで聞き手に徹するのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「お、年の功」

l从#・∀・ノ!リ人「わらわはまだ19歳なのじゃー!」

ξ;´ з`)ξ「え、ああ、そうだったの? やたらババくさい喋り方するからてっきり」
21.
川 ゚ -゚)「ん? どうした、何か言ったか?」

ξ ´ з`)ξ「いやあ何でもないよー。まあ、何でも相談してよ。聞くからさー」

川 ゚ -゚)「ありがとう。そろそろ帰るよ」

ξ ´ з`)ξ「ほい。そんじゃあまた明日ね」


 二人は別れ、それぞれの方向に歩き出した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌日、土曜日のクーのマンション。

クーは居間でコーヒーテーブルに頬杖を突きながら、ぼんやりテレビを眺めていた。

隣では母親がパソコンをいじっている。

仕事の残りを片づけているようだ。


('、`*川 カチカチ カタカタカタ カタカタ カチカチ カタカタ

川 ゚ -゚)「母さん」
22.
('、`*川「なにー?」

川 ゚ -゚)「荒巻さんには奥さん以外の女の人がいっぱいいたってほんと?」

('、`*川 カタ


 淀みなく響いていたマウスとキータッチのリズムに狂いが生じる。


川 ゚ -゚)「母さんはそのうちの一人だったって」

('、`*川「誰に聞いたの」

川 ゚ -゚)「荒巻さんが自分で言ってた」

('、`*川「あー、あの人って女の人に嘘つけないからねー」


リズムがまた元に戻る。


('、`*川 カタカタカタ カチカチ カチッカチッ カチ カタカタカタ

川 ゚ -゚)「母さん」

('、`*川「んー」
23.
川 ゚ -゚)「仕事するフリしてネトゲーやるのはやめてくれ」

('、`;川「バレたか」


ログオフしてパソコンを閉じると、母親はため息をついた。

テーブルの上のコーヒーを口に含む。


('、`*川「先に言っとくと、わたし別に恨んでないわ。今でもあの人が好き。

     前にも話したと思うけど、売れないモデルだったわたしをね……」

川 ゚ -゚)「バックアップしてくれたんだろ」

('、`*川「あの人いつも言ってた。“わしは若い頃に女を不幸にしすぎた。

     だから埋め合わせをしなきゃ天国に行けねえ”って」

川 ゚ -゚)「今でも十分不幸にしてるじゃないか」

('、`*川「アハハ、違いないわー。あの人ホンットに不器用なのよー」


父親のことを離す彼女は何時も楽しそうだ。

24.
クーにはそれがいまいち理解できない。


('、`*川「不幸な女の人を見るとほっとけないのよ。

     それで同情が恋愛に横滑りして、ってのを工場のライン作業みたいに繰り返してんの。

     あんたはあの人が憎い?」

川 ゚ -゚)「……ちょっと」

('、`*川「そう。ま、正直一緒になるべき男じゃないとは母さんも思う。

     あんたも将来、間違ってもあんな男を捕まえちゃダメよ」

川 ゚ -゚)「……???」


だんだん混乱してきた。母親の言う事は矛盾している気がする。

好きだと言ったり一緒になっちゃいけないと言ったり。


('、`*川「“変な奴”ってことよ。あんたの父さんはそういう人なの」

川 ゚ -゚)(全然わからない……)

25.
首をひねるクーに母親はそう言って、最後に笑った。

 その時、部屋のチャイムが鳴った。

マンション入口のインターホンを通していないから、お隣さんか管理人だろう。


川 ゚ -゚)「わたしが出る」

('、`*川「ん」


玄関に行き、レンズを覗いて外の様子を窺おうとした時、ドアと壁に狭間にバールの歯が

食い込んで来た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 特にやることもなかったツンはゲームショップに向かった。

自転車に乗って街を走る。




26.
ξ ´ з`)ξ「アイマスDSを買おうかしらwwwww

         涼ちんをイジリ回しちゃうでござるwwwブヒヒwww」

l从・∀・ノ!リ人「キモイのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「ドクオの真似~」

l从・∀・ノ!リ人「クーと通信対戦できるやつのが良いんじゃないかえ」

ξ ´ з`)ξ「む、それもいいなー」


ゲームショップゆうたろうの近所まで行くと、黒煙が上がっているのが見えた。

消防車が店の前に止まって放水し、警官が野次馬を下がらせている。


| ^o^ |「ぼーぼー」

ξ;´ з`)ξ「うわっ、店が燃えてる!」

| ^o^ |「まいしょっぷ  もえりんぐ」


右往左往する店主のそばに渡辺の顔が見えた。

27.
从;ー;从「ひどいことするよね~、火炎瓶投げ込まれたんだって~」

ξ ´ з`)ξ「あ、渡辺さん」

从'ー'从「ふええ~、ツンちゃ~ん。これ絶対F.O.Gって人たちの仕業だよ~」

ξ;´ з`)ξ「これってもしかして、見せしめ……?」

l从・∀・ノ!リ人「間違いないのじゃー。外道なマネしおるわ」


 ツンは何だか急に胸騒ぎがして来た。

クーのことが妙に気にかかり、いてもたってもいられなくなる。

虫の知らせってヤツだ。


ξ;´ з`)ξ「ちょ、ちょっとクーちゃんちに行ってみよう」

l从・∀・ノ!リ人「え? 何でなのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「とにかく行かなきゃ」


 重たい体を揺すり、息を切らせて彼女のマンションまで自転車を漕ぐ。

28.
マンションの入口のところに昨日のあの男たちがいて、何かモメていた。

眼鏡の男が激怒する老人を羽交締めにして押さえている。


/ ,' 3「離せええええ!! あいつら撫で斬りにしてくれる!」

(;-@∀@)「落ち着いて下さい、おやっさん! 今動いたら連中の思う壷だ!」

/ ,' 3「溜まり場はわかっとるんだ、あそこしかない! 行かせろ!」

(-@∀@)「策を練ってそれから奪還しましょう、とにかく今はマズイ!」

ξ;´ з`)ξ「え、え~と……」


とても事情を聞ける状態じゃない。

誰か説明してくれないか視線を巡らせると、マンションの警備員が入口の階段のところに座り込んでいた。

鼻血を垂らし、腫れ上がった頬を手で押さえている。


ミ*)゚Д゚彡「イテテ……」

ξ ´ з`)ξ「何があったんですか?」

29.
ミ*)゚Д゚彡「ん? ああ、そのおっさんの知り合いがさらわれちまったみたいなんだ。

       ヤクザの連中が押しかけて来てなー。

       俺は抵抗したんだが、銃を突き付けられてどうしようもなくて……」

ξ;´ з`)ξ「それって素直クールって人!?」

ミ*)゚Д゚彡「ん? ああ、そうだ。素直さんちの娘さん」

(-@∀@)「すまんがお嬢さん、警察への連絡は待ってくれ! 我々が何とか……」

/ ,' 3「うおおお!!」


眼鏡の男がツンの方に意識を移した瞬間、老人は縛めをほどいてそこから逃れた。

車に飛び乗ってエンジンを入れ、急発進する。


(;-@∀@)「おやっさん、やめてくれ!!」


 一方、ツンも走り出した。


ξ;´ з`)ξ「こりゃいかん、えらいこっちゃ」
30.
l从・∀・ノ!リ人「しかしおかしいのう、あの爺さんF.O.Gとか言うのの仲間じゃないのかえ。

         クーをさらった奴は何者なのじゃー?」

ξ ´ з`)ξ「今はそんなんどうでもいいよー!」


マンションの裏手にちょうど人目につかない物陰があった。

そこに入り、手の甲に意識を集中させる。


ξ ´ з`)ξ「メタボリックチェンジ!!」


シルクハットとステッキを抽象化させたメダルの文様が浮かび上がって来て、手の中から飛び出し、

光を放って炸裂した。

自分の体が砕けるような感覚があり、すぐに飛び散った全身がまた戻ってきて一か所に固まる。


ξ ´ з`)ξ三ξ ´⊿`)ξ三ξ -⊿-)ξ三ξ ゚⊿゚)ξ「―――!!」


光が収まると抜群のスタイルにぴったりフィットしたタキシード姿のツンが現れた。

31.
膝下丈のスラックスからは細く真っ直ぐな足が伸び、頭の上には小さなシルクハットが乗っている。


ξ ゚⊿゚)ξ「LOVE,COURAGE&DIET! ハイパーメタボリックエンジェル見参!」


頭に生えたウサミミをピクピク動かしてキメる。


l从・∀・ノ!リ人「そろそろ変身シーンがコピペって気付く読者が現れるかのう」

ξ;゚⊿゚)ξ「それは言わないお約束……」


 ツンはジャンプして建物の屋根に飛び乗ると、あの老人の車を探した。

遠くで更に彼方へ消えてゆく姿がかすかに見える。


ξ ゚⊿゚)ξ「ん、いた。あれだ!」

l从・∀・ノ!リ人「追うのじゃー」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


32.
 老人を乗せた車は、町はずれにある廃墟ビルの真ん前で乱暴に停車した。

車から降りた彼は両手に白鞘の刀を下げている。


/ ,' 3「荒巻スカルチノフが挨拶に来たぞォ、出迎えんかいィイ!」


地響きみたいな声で叫ぶと、鞘を両脇に挟んで刀を抜いた。

二刀を両手に引っ下げて鞘を落とすと、ビルの中から数人男たちが顔を出す。


<ヽ`∀´>「おっさん、そんなもん持って何の用ニダ」

( `ハ´)「ここがF.O.Gのもんだと知っていて……」

/ ,' 3「おおおお!!」


返事を待たず、荒巻と名乗った老人は切りかかった。

思わず懐からドスを抜いたF.O.Gの二人が、両側から振り下ろされた刃をそれぞれ受け止める。




33.
<ヽ;゚∀゚>「アイゴー?!」

(;`ハ´)「アイヤー!?」


しかし怒涛のような圧力にあっさり負け、両側に吹っ飛ばされる。

 荒巻が勢いに任せてビルに突撃する頃、ツンたちが彼に追いついた。


l从・∀・ノ!リ人「おお、元気な爺さんなのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしたちは裏手に回ろう。クーちゃんを探さないと!」


敷地の裏に回り、バラックで仕切られた粗末な壁を飛び越えると、廃車やドラムカンが転がる空き地に出た。

そこらじゅうスプレーで落書きがされている。

 敷地は外から見るよりかなり広く、廃墟や崩れかけた車庫が点在している。


ξ ゚⊿゚)ξ「うひー、思ったより広いなあ……」

l从・∀・ノ!リ人「こりゃ探すのに手間取るぞえ。急がんとあの爺さんがやられてしまうのじゃー」

ξ#゚⊿゚)ξ「ええい、めんどくさい! 適当に締め上げて吐かせよう」
34.
 向こうにボロボロの倉庫だか車庫だかの建物があり、男たちがたむろしていた。

荒巻の襲撃で浮足立っている中、一人がツンの姿を見つける。


(゚q 。)アーアー

l从;・∀・ノ!リ人「ありゃ!? 見ろツン、ミストドールなのじゃー!」

ξ ゚⊿゚)ξ「え!?」


 一応ヤクザらしい服を着ているが、あの焦点の定まってないマネキン顔は間違いようがない。

たちまち奥からバラバラと出て来てツンを取り囲む。

だが中には数人、本当の人間らしいのもいた。


<ヽ`x´>「お前も荒巻の仲間ニカ?!」

( ^Д^)「いや……間違いねえ、こいつ社長の行ってたガキだ!」

<ヽ`x´>「ああ、ウリたちの商売の邪魔をしてる奴ニダ! 仲間をもっと呼ぶニダ!」


一人が仲間を呼びに行っている間、残ったチンピラたちは懐から小さなビンを取り出した。
35.
蓋を親指で弾いて開け、中身を口の中に流し込む。

ドライアイスの煙がこぼれるように、口元をわずかに赤い霧が伝った。


<ヽ`x´>「ホルホルホル! こいつを飲みゃあ敵なしニダ」


黒い瞳が赤みを帯び、顔に狂犬じみた表情を浮かべる。

明らかに雰囲気が非人間じみたものに変わった。


l从・∀・ノ!リ人「なるほど、こいつら血の霧の一味だったのじゃー。

         ミストキャリアーには及ばんがあの霧ドリンクで多少は強化されとるな」

ξ ゚ー゚)ξ「ふふん、それ聞いて安心したわ」


ツンは指を組み合わせ、関節をゴキゴキ鳴らした。


ξ ゚ー゚)ξ「多少ぶん殴っても死なないわね。手加減は苦手なのよー」

<#゚x゚>「フオオオオ!!」

36.
血の霧が混ざった吐息を吐き出しながら、ドスを抜いた男がまっすぐに突いてくる。

ツンは軽くジャンプすると右足のつま先でそのドスを弾き上げ、すかさず残った左足で相手の顎を

蹴り上げた。

空中で自転車をこいでるような仕草からバイシクルキックと呼ばれる技だ。


<ヽ゚x゚>「ブゲェ?!」


男の体は真後ろに一回転し、地面へと落ちる。

 着地したツンは残りの全員に向かって咆哮した。


ξ#゚⊿゚)ξ「女の子をさらっちゃうような連中には、まとめて地獄を見せてあげる!」


ミストドールと血の霧のジャンキーたちは怒号を上げ、一斉に飛びかかってきた。

ツンは真っ直ぐにそこに突っ込んでゆく。


ξ#゚д゚)ξ「どるぁああ!」

37.
( ゚Д゚)「オブォ?!」


正面切った一人の顔面に靴底を叩き込む形で飛び蹴りを入れつつ、そこを足場に空中へ飛ぶ。

空中で左手の甲に意識を集中させ、ステッキを取り出した。

人垣の後ろ、集団の背後に着地すると、まだ自分に背を向けている一人の首に後ろから

ステッキの取っ手のフックになってるところをひっかける。


(゚q 。)アフンッ?!

ξ#゚⊿゚)ξ「んどぉおりゃああああ!」


石突を掴んでジャイアントスイングの容量でそいつをブン回し、周囲の敵を巻き添えにして薙ぎ倒す。


(゚q 。(*)(゚q 。(*)(゚q 。(*)ホゲガガガガ


ある程度回したところでパッと手を離すと、男の体は回転しながらすっ飛んで行き、更に敵を巻き込んだ。

 ツンの背後、死角にいた一人が彼女の背中に組み付いた。

38.
羽交締めにして動きを止める。


(゚q 。)ウボァー!!

ξ;゚⊿゚)ξ「うっ!?」


すかさずそこに正面から一人、腰の高さにドスを持った男が突っ込んで来る。

ツンは自由な両足で地を蹴って下半身だけでジャンプすると、そいつの胸板にドロップキックを放った。


(゚q 。)グゲッ


着地と同時に背後に仰け反る形で頭突きを放ち、羽交締めにしている奴の鼻っ面を叩き潰す。

縛めが緩むと逆に相手の首を腕の中に抱え込んだ。


(゚q 。)ウッ!?

ξ ゚⊿゚)ξ「行くわよ、最近見た映画で覚えた必殺技……」


ジャンプして体を地面と平行にし、突っ込んできた男の顔面に蹴りを入れる。
39.
ツンはそのまま頭を抱え込んだ男の体を支柱にして回転しながら、次々に飛びかかって来る

男の頭をまるで空中を走るようにして踏み付けて行った。


ξ#゚д゚)ξ「ロミオ・マスト・ダーイ!!!」


ドガガガガガ!!

ツンは人の波を薙ぎ倒して回転するプロペラと化した。

ミストドールの山を雑草を刈り取るかのように打ち倒してゆく。

 周囲の連中を粗方始末してしまうと勢いを更に付け、頭を抱え込んでいる相手の真上に逆立ちするような姿勢になる。


ξ#゚⊿゚)ξ「フンヌ!!」


そのまま錐揉み状に回転し、勢いに任せて腕の中にあるミストドールの首をねじ切る。


(゚q 。)コキャッ


40.
ミストドールの頭は三回転ほどして胴体から取れた。

 着地したツンはまだ残っている雑魚の山の中にその頭を投げ付けて牽制しつつ、構え直す。


ξ ゚ー゚)ξ「ふふん、泣いて謝るなら今のうちよ」


―――こっちだ、来い!

―――もっと仲間を呼べ、逃がすんじゃねえぞ!


声を掛け合い、更に建物の中から人波が現れる。

一体どこにこんな人数が収容されてたんだってくらい物凄い数だ。


ξ;゚д゚)ξ「うわっ。ま、まだこんなにいんの?!」

l从・∀・ノ!リ人「一人一人は雑魚とは言え、こりゃちょっと不利かのう」

ξ;゚⊿゚)ξ「ちっくしょー!」


 向こうはこちらの体力の回復を待ってはくれない。

41.
両腕を剣に変えたミストドールが、両の剣で挟み込むようにして斬り付けて来た。

ツンは右足を跳ね上げ、残像が見えるくらいの速度でその両方の剣の腹を順番に蹴り上げた。

ギギン!!


(゚q 。)!?


傍目には金属音は一つに聞こえ、ほぼ同時に剣が真上に跳ね上がったように見えただろう。

ほぼ同時に胸板にも蹴りを叩き込む。

 
(゚q 。)グガァア!!


相手は後続を巻き込みながら真後ろに吹っ飛んだ。

 右側から同じく腕を剣に変えたミストドールが突きを放ってくる。


ξ#゚⊿゚)ξ「映画で見た技その二ぃぃいっ!!」

                                  ミネ
ツンは上体を反らしてそれをかわすと、素早くその剣の刀背と相手の肘を手に取り、突いて来た
42.
ミストドール自身の脳天に刀身を返した。


ξ#゚⊿゚)ξ「ケイシーッ!!」

(゚q// 。)ライバックッ!?


自分自身の腕の刃に頭部を両断され、そのまま霧と化して消える。

 その霧を切り裂き、突き破る形で別のミストドールが斬りかかってきた。

両腕の刃を頭上に揃え、真上から斬り下ろす形だ。


ξ;゚⊿゚)ξ「うぐっ……」


かわすには遅すぎた。

咄嗟に両手の指をチョキの形にし、人差し指と中指の間で二つの刃を挟み込む。

バチン!!




43.
(゚q 。)ウボァ

(゚q 。)ウボァアア―――!!


白刃取りでお互いの動きが止まると同時に、両側から二人斬りかかってきた。


ξ#゚⊿゚)ξ「甘いっ!」


真上にジャンプして空中で180度開脚し、左右両側に蹴りを放って迎撃する。

更にそのまま刃を受け止めている相手を引き込む形で後ろ側に倒れ込み、胴を両足で蹴り上げた。

柔道で言うところの巴投げの要領だ。


(゚q 。)ウボッ!?

(゚q 。)ウボァッ!?


背後に投げ捨てて、後ろにいた新手にぶつける。

すぐにヘッドスプリングで跳ね起き、二人重なって倒れているミストドールの真上にジャンプした。

44.
ξ#゚⊿゚)ξ「せぇぇええい!」


両足を真下に揃えてつま先を穂先とし、己の体を一本の槍と化して突き立てる。

ミストドールは二人まとめて串刺しとなり、霧になって消えた。

 どこかでダーンという間延びした破裂音がした。


ξ ゚⊿゚)ξ「!?」


殺気、いや戦慄が一本の線となってどこからか伸び、自分の眉間に照準を定めている。

ツンはほとんど反射神経と本能のみで右手を中空に翳し、自らに向かって放たれた“それ”を

手の中に握り込んだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「アチッ、アチチチッ!!」


あまりの熱さにすぐ手の中からとりこぼす。

銃弾だ。

45.
l从・∀・ノ!リ人「狙い撃ちしてるやつがいるのじゃー!」

ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ、とっ、とっ!!」


続けざまに降り注ぐ弾丸を鉄塊と化している廃車の影に飛び込んでやり過ごす。


ξ ‐⊿‐)ξ


頭のウサミミに意識を集中させる。

金属部品がスライドするシャキッという音、そしてコンクリートの床に空薬莢が落ちる甲高い音。


ξ ゚⊿゚)ξ「あそこだ!」


近くの廃屋の二階の窓にライフルを構えた人影があった。


ξ#゚⊿゚)ξ「遠くからコソコソ狙いやがって、このやろー!

      ウボォーギンの気持ちが良くわかるわー! ムカツクー!」


46.
 廃車のフロントを掴み、力尽くでジャイアントスイングして勢いを付ける。

十分に遠心力が溜まったところでそれをスナイパーに向かって投げつけた。


ξ#゚⊿゚)ξ「んおおおんどりゃあああ室伏アタ―――ック!!」

<;`A´>「うわあああああっ!?」


ズガァン!

廃車は鉄筋コンクリートを突き破り、建物の窓辺に突き刺さった。


ξ ゚ー゚)ξ=3「ふふん、大命中☆」

l从;・∀・ノ!リ人「イイ気になってる場合じゃないのじゃー! ツン、後ろー!」

ξ ゚⊿゚)ξ「へ?」

(゚q 。)ウボァー(゚q 。)ウボァー(゚q 。)ウボァー

ξ;゚⊿゚)ξ「うひいいい!?」


残った連中が一斉にツンに飛びかかってきた。
47.
荷物が投げ積みされるかのごとく次々に彼女の上に覆い被さり、小さな山を作る。

ツンはその下に押し潰された。


ξ;>⊿<)ξ「むぎゅうぅうう! 死ぬ、死ぬぅうう……!!」


跳ね除けようにもみじろきすら出来ない。

圧力は徐々に増し、息苦しさに加えて肋骨が軋み始めた。


―――やれやれ、油断するのはお前の悪癖なのじゃー


自分だけ逃れたらしい妹者の声が外でする。


ξ;>⊿<)ξ「い゛も゛じゃぢゃん゛、だずげでぇ……!!

―――いい機会だからお前にもう一つ技を授けるのじゃ

     カロリーブレイクの要領で全身にパワーを溜めてみるのじゃー

ξ;>⊿<)ξ「え゛……」

48.
―― 爆発的にパワーを高めることで一瞬だけ全身をエネルギーの塊に出来るのじゃー

     今度は指先でなく、全身からパワーを放出するのじゃ!


 ツンは言われた通り、カロリーブレイクを撃つ時と同じように、体全体が熱の塊になるのをイメージした。

全身をエネルギーが循環するのを感じ、血が漲ってくる。


―――新必殺技、カロリークラッシュなのじゃー!

ξ ゚⊿゚)ξ クワッ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


l从・∀・ノ!リ人「おお!」


 外で様子を見守っていた妹者の眼を光が射抜いた。

人の山の合間から光が溢れ出す。


―――カロリィィイ……!!
49.
山の周囲の地面がひび割れ、砕けて空中へと浮かび上がる。

エネルギーの鼓動が大気を震わせた。


―――クラッシュ!!


ズン!

地響きがして、人の山が内側から吹っ飛んだ。

ミストドールたちがまるで木の葉のように高く舞い上がり、飛び散る。


ξ;゚⊿゚)ξ ハァ……ハァ……


地面に小さくクレーターが出来ていて、その中心にツンが立っていた。

両足で地面を踏み締め、両手を天に向かって真っすぐ伸ばしている。


l从・∀・ノ!リ人「うむ、よく使いこなしたのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「死ぬ気になりゃあ結構何でも出来るわね、うん……」

50.
前屈みになって両手を下ろし、膝を掴んで息を整える。

 とりあえずこれで周囲に立っている者はツン以外誰もいない。

やっとで向こうもタマ切れってワケだ。


ξ;´⊿`)ξ「あーしんど。あのおじいさん生きてっかな」

l从・∀・ノ!リ人「ん、あれを見るのじゃ」


奥の建物からこちらと同じく、ボロボロになって息を切らせた荒巻が現れた。

向こうは向こうで死闘を切り抜けて来たようだ。


/ ,' 3「む……これは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、どうも。ハイパーメタボリックエンジェルでーす」

/ ,' 3「ハ、ハイパー……? ここはお前さんが?」

ξ ゚⊿゚)ξ「ええ、まあ、ちょっと手間取ったけどね」

/ ,' 3「そうか、いきなり連中の数が減ったからおかしいと思ったが……」

51.
こっちに駆り出されてたワケだ。

 ツンは視界の隅に、地面を這ってコソコソ逃げようとしているチンピラを見つけた。

彼を追い、足を掴んで逆さ吊りに持ち上げる。


(;^Д^)「ひ、ひいっ!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「クーちゃんはどこ?」

( ^Д^)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「おじいさーん、千切りと微塵切りどっちが得意?」

/ ,' 3「タンザク、イチョウ、桂剥きもイケるぞ」

(;゚Д゚)「わかった、言う、言うよ!! 地下駐車場のワゴンの中だ!」

/ ,' 3「どこのだ?」

( ^Д^)「こっから出て100mくらい行ったとこににあんだろ、廃墟デパートの」

ξ ゚⊿゚)ξ「ありがと」


男を投げ捨てると、荒巻は彼女を待たずすでに車に向かって走っていた。
52.
ツンはその後ろを追おうとし、ふと思い立って引き返す。


(;^Д^)「ひいっ」

ξ ゚⊿゚)ξ「あんたも来なさい、嘘だったら許さないわよ」


再びその足を掴み、男を引きずりながらデパートの方へ走り出す。


(;^Д^)「あばばばば! せめて頭の方を持ってくれえええ!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 建物の入口まで来た時、荒巻がクーを抱いて駐車場の入口から出てきた。


川  - )

ξ ゚⊿゚)ξ「クーちゃん!」

/ ,' 3「無事だ、ちょっと朦朧としとるがな。緊張が続いて疲れてるだけだ」

ξ ´⊿`)ξ「そう。良かった……」
53.
l从・∀・ノ!リ人「とりあえずのところは一件落着なのじゃー。警察が来る前に行くかえ」

/ ,' 3「何者か知らんがとにかく世話になった。

    この荒巻スカルチノフ、報恩の時が来るまであんたのことは忘れん」


慇懃に頭を下げる荒巻に対し、ツンは照れ臭そうに手を振った。


ξ*゚⊿゚)ξ「別にいいって。その子のこと、大事にしてあげてね」


建物の屋根に飛び上がり、その場を離れる。

 ふと手の中のものを思い出し、近くの廃車置き場に投げ捨てた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ああ、あんたもういらんわ」

(;^Д^)「ギャース!?」


男の体は廃材に突っ込み、色んなものが折れたり割れたりする音がした。



54.
 荒巻はしばらく彼女の消えた方向を眼で追っていたが、パトカーのサイレンが近づいてくると我に返り、

踵を返して車に向かった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 同じ頃、都心のとある商社ビル。

ビジネススーツ姿の男が数人、ホワイトボードの前で事業について話し合っていた。

入口のところで控えていた男のケータイが鳴る。

彼は二言、三言受話器の向こうの相手と言葉を交わしてから、自分の雇い主を呼んだ。


(‘_L’)「長岡社長」


名を呼ばれた男が周囲に「失礼」と言ってその場を離れる。

ケータイを持った男は彼に耳打ちした。


从 ゚∀从「どうした」

55.
(‘_L’)「ボソボソ……失敗……荒巻はまだ生きて……ボソボソ」

从#゚∀从「……クソ!」




















つづく……



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