スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ハイパーメタボリックエンジェルズのようです #5

五話目
とうとう本当の敵の一部(フィギアオタ)が明らかになる!
1.
 おかしな部屋だった。

血のように赤い霞のようなものが満ち満ちて、すぐ先の物すらぼんやりとしか見えない。

霧にはかすかに不快な臭気が含まれていた。

真新しい血のような臭い。


―――霧の流通でありますが、ちと手間取っておりますな


生臭さを微塵も気にしていない様子で、霧の中の誰かが言った。

どこか病的な陶酔感のある、熱に浮いたような口調だ。







ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#5 ロマネスク博士の罠


2.
 別の誰かが答える。


―――俺のやり方が一番正しいって言っただろ?

     麻薬としてバラまけば金儲けも俺たちの目的も両方果たされる、一石二鳥だ


まだ若い男の声だ。

声色は酷薄で、あからさまな冷笑を含んでいる。


―――ドリンク剤の試飲を装うなんて。効率ってもんを考えなかったのか?

―――我が輩はそういうのは専門外である


最初の声は憮然と答えた。


―――刀の方は実験的な意味合いもあったのである

     血の霧をより広範囲に応用すべく……

―――まあ、それはいい。それより気になることがある

3.
二人の男のやりとりにもう一人が割り込んだ。

若い女の声だ。


―――あのクックルとかって奴と刀を破った女のことだろ?

     悪くない使い手だったな。あいつはかなりやるぞ

―――そうだ。それにあいつには明らかに血の霧に関する知識があった

(:::::::::::)「どうやら待ち人が来たようだ」


四つ目の人影が重々しく口を開くと、他の三人は態度を改めて口を開くのを控えた。


(:::::::::::)「我々の計画はこれより第二段階に移行する」

―――それでは、その者が例の……

(:::::::::::)「僕の知人さ。古いふるーい知り合いなんだよ」


 彼は目を細め、背もたれにゆっくりとした動作でもたれかかった。

微かに虚空を仰いで、過去に思いを馳せているように見えた。
4.
(:::::::::::)「さて諸君、血の霧をくれてやった恩は忘れちゃいないよな?

      先鋒を飾ろうって奴はこの中にいないか?」

―――それならば是非、我が輩にお任せを


 最初に霧の効果について口にした男が真っ先に名乗り出た。


―――餌をまきました故、必ず食いついてくるかと

(:::::::::::)「いいだろう、ロマネスク。まずはお前が小手調べと行け」

( ФωФ)「小手調べで終わりにならなけりゃあ良うございますがな」


霧の中から姿を現した男は、そう言って笑った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ここはお馴染みVIPニュータウン。

夕方少し前、ツンとクーは学校からの帰り道を歩いていた。

5.
ξ ´ ~`)ξモシャモシャ「いやあ、下校中に買い食いするからあげクンは格別ですな」

川 ゚ -゚)「油もんばっかり食いやがって。毛穴から脂質が染み出してるぞ」

ξ ´ з`)ξ「そんな時はこれ、油取り紙~」


ドラえもんの真似をしつつポケットから折り畳まれた紙を取り出す。


川 ゚ -゚)「気の利いたもんを持ってるな……ん、何か変だな」

ξ ´ з`)ξ「お菓子の包み紙なんだけど」

川 ゚ -゚)「それ油取り紙じゃなくて油紙だろ」

ξ;´ з`)ξ「え!? 別モンだったのこれとそれ!?」


油紙を唇に当てて息を吐き出し、ブーブー音を出して遊びつつ、途中でクーと別れる。


ξ ´ з`)ξ「じゃあまた明日」

川 ゚ -゚)「明日もお前の出っ腹を見れるのを楽しみにしているぞ。嘲笑的な意味で」


6.
からあげクンの残りを食いつつ歩いていると、妹者が声をかけて来た。


l从・∀・ノ!リ人「先日の刀のことじゃがのう」

ξ ´ з`)ξ「あー、非モテの。大変だったねーあれ」

l从・∀・ノ!リ人「奴の血の霧には不可解な臭いが含まれていた。それも強烈なやつがな」

ξ ´ з`)ξ「?」

l从・∀・ノ!リ人「その臭いを辿れば血の霧の源泉がわかるかも知れんのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「ふむふむ、それを作ってる工場みたいなもんがあるってかい」

l从・A・ノ!リ人「ん~……」


ツンの肩に座ったまま、妹者は何かが納得いかない顔をした。


l从・∀・ノ!リ人「何かおかしいのじゃ。血の霧には本来あそこまで強烈な臭いはない。

         なのに何故こんなわかりやすい証拠をわざわざ混ぜたのか?

         まるであえて追跡されることを望んでいるみたいなのじゃ」

7.
ξ ´ з`)ξ「あー、何か不測の事態で混ざっちゃったんじゃないのー」

l从・∀・ノ!リ人「かも知れんが、罠という可能性もあるのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「どっちみち行くしかないんでしょ?」

l从・∀・ノ!リ人「まあ他に手がかりもないしのう。心して行くのじゃ! 今夜仕掛けるぞ」

ξ ´ з`)ξ「明日は休日だし別にいいよー」

l从;・∀・ノ!リ人「気の抜けるやつなのじゃ。夜遊びに行くんじゃないんだぞえ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 夕食後、ツンはすぐに二階に上がった。

階段を上がり際、居間の二人に声をかける。


ξ ´ з`)ξ「もう寝るからうるさくしないでねー」

J( 'ー`)し「はいよ。明日は早起きなのかい?」

ξ;´ з`)ξ「ええと、そんなとこ」

8.
('A`)「ケーキ屋で特売でもやるんだろ」


 部屋にこもると右手を伸ばし、手の甲に意識を集中させる。


ξ ´ з`)ξ「メタボリックチェンジ!!」


シルクハットとステッキを抽象化させたメダルの文様が浮かび上がって来て、手の中から飛び出し、

光を放って炸裂した。

自分の体が砕けるような感覚があり、すぐに飛び散った全身がまた戻ってきて一か所に固まる。

光が収まると抜群のスタイルにぴったりフィットしたタキシード姿のツンが現れた。

頭の上には小さなシルクハットが乗っている。


ξ ゚⊿゚)ξ「愛と勇気と痩身の戦士、ハイパーメタボリックエンジェル参上~!」


頭から生えたウサミミをピクピク動かしてみせ、キメる。


l从・∀・ノ!リ人「相変わらずセンスのないキメゼリフなのじゃー」
9.
ξ;゚⊿゚)ξ「ほっといて下さい……」


 窓から飛び出し、ベランダから自宅の屋根に上がる。


l从・A・ノ!リ人 クンクンクン

ξ ゚⊿゚)ξ「どう?」

l从・∀・ノ!リ人「あっちなのじゃ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「よーし、そんじゃ行ってみよー!」


寝静まった夜の町を、満月をバックに屋根から屋根へと飛び移る。

住宅街を出て川沿いに走るとやがて町の明かりが途絶え、工業地帯に入った。

夜間は完全に無人になる工場ばかりの地区で、風の音以外は何もしない。


ξ ゚⊿゚)ξ「随分遠くまで来ちゃったなー。まだ?」

l从・∀・ノ!リ人「近いぞ、そろそろ地上に降りるのじゃ。目立たんように近づくのじゃー」


10.
駐車場に下り立ち、フェンスを飛び越えて工場の敷地内に入る。

建物の合間にある狭い路地を通り抜けると、スピーカーが四方に付いた大きな鉄塔のある広場に出た。

 静寂に包まれているが、どこか人の気配がある。


l从・∀・ノ!リ人「このへんなのじゃ。何かあやしいものはないか?」

ξ ゚~゚)ξ「ん~……あ、あそこ! 光が漏れてる」

l从・∀・ノ!リ人「むっ。人がいるのかえ?」


倉庫だか何だかのバラックで、窓辺をチラチラと人影が通り過ぎるのも見えた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その工場の奥、工場長の事務室では、ロマネスクがフィギア作りに没頭していた。

美少女の形に削り出したパテの塊に絵筆で着色してゆく。




11.
(*ФωФ)「ククク……このパンツのシワの作り込み、まさに芸術であるな。

      我が輩の技術力だからこそ成せる技よ」


今まさに最も重要な部分、スカートの中を塗っていると、ドアがノックなしに開いた。

工員の服を着た、どこか目の虚ろな男が入ってくる。


(゚q 。)「博士」

(#ФωФ)「フルスクラッチの最中であるぞ! 入るでない!」

(゚q 。)「例の物が完成しましたが」

( ФωФ)「む、そうか」


ロマネスクは手を休めかけたが、すぐに作業を再開した。


( ФωФ)「今ちょっと手が離せん、待ってるのである」

(゚q 。)「了解」


12.
( ФωФ)「それから残った部品をちゃんと検品しとくのだぞ。

        次に何か作る時に必要であるからな、何事も節約であるぞ」

(゚q 。)「人手が足りませんが……」

( ФωФ)「バイトを残業させるのである」

(゚q 。)「了解」


工員が出て行くとロマネスクは着色に戻った。


(*ФωФ)「お尻の丸みを柔らか~く見せる為にはグラデに気を使って……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンは窓の一つに近づき、ちょっとだけ開けて中を覗き込んだ。


(゚q 。)アーアーウーウー

(゚q 。)ウボァーウボァー

13.
工員たちが変な唸り声を上げながら機械の整備をしている。

よく見ると皆一様に目つきが虚ろで、しかもまったく同じ顔立ちをしている。

特徴らしいものがないマネキンみたいな顔だ。


ξ;゚⊿゚)ξ「な、なにあれ、ゾンビ?」

l从・∀・ノ!リ人「ありゃミストドールじゃな。血の霧から作り出された人形なのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「何やってんだろ」

l从・∀・ノ!リ人「わからん。とにかく何であれ阻止せねばならんのじゃ!

        見つからんように忍び込むのじゃー」


 警備の薄いところを探し、近くにあったドアの方へ行く。

僅かに隙間を作って中の様子を窺おうとした時、ツンの足元でかすかにキーキーという、

小動物の鳴き声がした。


ξ ゚⊿゚)ξ「ん?」

14.
ツンのお尻についてるふわふわのバニーの尻尾を、でっかいドブネズミがかじっている。

顔から音を立てて血の気が引いて行くのを感じた。


ξ ⊿ )ξ


一瞬が経ち、胃袋の底から金切り声が飛び出す。


ξ ;皿;)ξ「ふんぎゃあああああああああ!!」


ツンは悲鳴を上げて飛び跳ねながら、バレリーナのようにくるくる回った。


l从;・∀・ノ!リ人「あっ、バカ! 何騒いでるんじゃー!」

ξ ;⊿;)ξ「だってネズミ! ネズミがああああ!!」


ドブネズミは口にしているものが食べ物でない上にツンが大暴れを始めたので、さっさと

咥えていたものを放して走り去って行った。

それを見送り、バクバク心臓が鳴る胸を手で押さえる。
15.
ξ;゚⊿゚)ξ「あービックリした、あービックリした」

(゚q 。)(゚q 。)(゚q 。)「!?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、もしかしてバレた?」

l从#・∀・ノ!リ人「バレたに決まってんのじゃこのボケ!」


 倉庫内で作業していたミストドールたちは突然の騒動にドアの方を見ていたが、すぐに状況を理解した。

両腕を掲げると手首から先が霞み、霧散して長く伸びる。

霧から固形に戻った時には、両腕は巨大な出刃包丁みたいになっていた。


(゚q 。)ナニモンダー


複数のミストドールがドアに殺到した瞬間、ドアの方が外から蹴破られて飛んできた。

ズガァン!!


弾丸のような勢いで飛んできたドア板に三人ほどが巻き込まれ、反対側の壁まで吹っ飛んで押し潰される。


16.
l从・∀・ノ!リ人「ほら、面倒なことになったのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「フンだ、こっちの方が手っ取り早くていいわ!」


ドアを蹴り破った足を地面に下ろすと、ツンは建物の中に入った。

残りのミストドールに取り囲まれたが、余裕で手招きする。


ξ ゚⊿゚)ξ「かかってらっしゃい。ハイパーメタボリックエンジェルがお相手するわ」

(゚q 。)アー!


 真っ先に動いたのは真正面の一体で、大上段から唐竹割りに斬りかかって来た。


ξ ゚⊿゚)ξ「!」


バチン!

その刃が空中で停止する。


(゚q 。)「!?」
17.
ツンはその場から微動だにしていない。

左手を腰に当てたまま、人差し指と中指の間に刃を挟み込んで受け止めている。


ξ ゚ー゚)ξ


 別のもう一体がツンの左側に迫り、横薙ぎに斬り付ける。

ツンはやはりその場から動かず、右手と同じように左手の二本の指でそれを挟んで止めた。

バチン!


:(゚q 。): ウ……

:(゚q 。): ウ、ウボァ……

ξ ゚ー゚)ξ「ほーれほれ、どうした」


両方とも渾身の力を込めている素振りなのに、ピクリとも動かない。

 手も足も出ない状況になると、ようやく自分の反対の腕もまた刃になっていることを思い出した。

二体同時に残りの刃を振り被る。
18.
(゚q 。)(゚q 。)ウボァァー!


 突きと薙ぎ払い、その二つをツンは身を捻りながら真上に跳ねてかわした。

二体の刃は手の中に捕らえたままだ。

空中で頭を逆さにする姿勢になると両足を180度開脚し、プロペラのように回転して

それぞれの足で両側の頭を蹴り飛ばす。


(*)゚q 。)ガッ

(゚q 。(*)ボヘッ


二体とも吹っ飛んでコンクリートの床に転がると、作業服だけ残して霧のように掻き消えた。

 ツンは舞うようにひらりと着地し、両手の指に残っていた折れた刃を捨てた。

それもまた霧に帰って消える。


ξ ゚ー゚)ξ「スピニングバードキック、なんつって」

(゚q 。)アー!
19.
密かに背後に回り込んでいた一体がツンの背中に斬りつけてきた。

それをスピンしながらしゃがんでかわし、遠心力を利用した強烈な足払いで相手の軸足を薙ぐ。


(゚q 。)ウボァッ!?


凄まじい威力にすっ転ぶどころか、腹を中心に空中で半回転して頭が下になる。

ツンは回転の勢いをそのまま使い、宙に浮いてる相手の胴体に裏拳を叩き込んだ。

スパァン、という激しい打撃音。

 跳ね飛ばされたミストドールは奥のダンボールの山に突っ込んで姿を消し、ややあってから

霧の切れ端が立ち上って消滅したことを告げた。


(゚q 。)アアー!!


 残った最後の一体が真っ直ぐに突いて来た一撃を身を横に泳がせてかわすと、ツンは

相手の腕を両手で抱え込んだ。

同時に相手の体に片足を押し当て、その腕を力づくで引っこ抜く。
20.
ξ#゚⊿゚)ξ「オンドリャー!」


ブチン!


(゚q 。)アンマリダァァア!!

l从;・∀・ノ!リ人(あいつの戦い方は小さなお友達向けじゃないのう)


切断部から血液のように赤い霧を噴き出しながら、何が起きたか理解できないまま仰け反る

そいつに対し、切り取った腕をヌンチャクのように振り回す。


ξ#゚⊿゚)ξ「ほわちゃあああ!!」


ピュピュピュピュピュン!

凄まじい速度で刃が飛び交い、先端が空気を切り裂く。

最後にくるくる回して腰の後ろに構えると、目の前のミストドールの全身に線が走った。


(//゚//q//。//)ウボ……ア……
21.
 シュレッダーにかけられたように小刻みに輪切りにされ、バラバラになって崩れゆく。

それぞれが地面にぶつかると粉々に霧散し、ツンの手の中の刃の腕と一緒に消えた。

 ツンは得意になってガッツポーズをキメて見せた。


ξ ゚ー゚)ξ「素敵に無敵! どんなもんだい」

l从・∀・ノ!リ人「うむ。ちとパワーに頼りすぎだが、悪くないスーツの使いこなしっぷりなのじゃー」

(゚q 。)ナニヤッテハルンデスカ!?

ξ ゚⊿゚)ξ「ん!? 新手かっ」


 通路の入り口から別のミストドールが顔を出したが、さっきまで仲間が入っていた筈の作業服が

あちこちに散らばって無残な姿を晒しているのを見遣ると、すぐに顔を引っ込めた。

建物の奥へと走っていく足音が響く。


ξ ゚⊿゚)ξ「あっ、逃げた!」

l从・∀・ノ!リ人「仲間を呼ぶ気じゃ、追うのじゃー!」

22.
(゚q 。)マジヤベー マジヤベー


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一方、工場長の事務室では。


(*ФωФ)「ケツと並んで大事なのがこのオパーイの膨らみであるぞ、ヌフフフ……」 


ロマネスクはフィギア作りに熱中していた上にラジオをつけっぱなしにしていたため、

騒動にはまったく気付いていなかった。

 声優のラジオ番組に耳を傾けつつ、片目をつぶって全体的な色調に狂いがないか調べる。


( -ωФ)「おお、神秘の双丘! う、美しい……」

(゚q 。)「博士! 大変でずばらっばべ!!」


ドアが突然開くや否や、ミストドールが錐揉みしながらロマネスクの机に吹っ飛んできた。

ガーシャン!
23.
(;ФωФ)「ほげぇぇ!?」


ビックリして思わず椅子ごと後ろに倒れる。

 ミストドールが机の上で霧になって消えゆくと、そいつと一緒に飛んできた消化器が消火液を吐き出した。

これを誰かに投げつけられたらしいがそんなことはどうでもいい。


(;ФωФ)「フィギア! 我が輩のフィギアどこ行った!?」


ロマネスクは消火液まみれになりながら、ゴキブリのように床を這い回った。


(;ФωФ)「製作に一か月もかかったのに……おお!」


机の下に落ちている。幸い目立った損傷はなく、無事だ。

安堵の溜め息をつき、一安心してそちらに這って進む。

しかしその時、机の上で空になった消化器がゴロリと転がり、下に落ちて来た。


( ФωФ)「あ」
24.
グシャッ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ξ ゚⊿゚)ξ「ふふん、大命中☆」


 振り抜いた姿勢から戻り、胸を張る。

妹者は眉根を寄せて険しい顔になると、周囲の気配に神経を集中させた。


l从・∀・ノ!リ人「いるぞ、ミストドールでない上位クラスの奴が。

        血の霧の保有者、ミストキャリアーなのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「クックル先生みたいな?」

l从・∀・ノ!リ人「あんな急ごしらえのパチモンではないのじゃー。

         血の霧にも適正があり、ない奴は大した力は得られない。

         クックルはそこそこ、あの強盗に至ってはほとんどなかったのじゃ」


25.
妹者はツンの顔の前までやってくると、人差し指を立てて忠告した。


l从・∀・ノ!リ人「適合者はパワーはもちろん、それを使いこなすだけの理性をも保つ。

         心するのじゃ、これまでの雑魚とは桁違いの能力の持ち主なのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「いよいよ本当の敵ってわけね、緊張するなあ……」


 部屋の中からゆらりと消火液まみれの男が姿を現した。

痩せ気味の長身にネクタイ姿で、上に白衣を羽織っている。

彼は両手を合わせて器を作り、その中に置いたものを見下ろしていた。

肩が微かに震えている。


( ФωФ)「我が輩の……この杉浦ロマネスク様の……」

ξ;゚⊿゚)ξ ゴクリ

(#ФωФ)「ゆ、許さん……絶対に許さんぞ、我が輩の初音ミクを……」

ξ ゚⊿゚)ξ「へ?」

26.
(#ФωФ)「しまパンのシワ一本一本にどれほどの情熱をかけたかわかるかこのボケェ!!

        見ろ、この股間とケツへの食い込みを! ゴムによって沈み込んだ下腹部の肉を!

        完成間近だったのに、それを……それを……うう!!」


憤怒に顔を真っ赤にし、眼には涙を溜めている。

手の中にはバラバラになった作りかけの美少女フィギアがあった。


ξ;゚⊿゚)ξ「あれが桁外れの能力の持ち主?」

l从;・∀・ノ!リ人「いや、えーと……その筈なのじゃ」

(#ФωФ)「かくなる上は貴様の型をシリコンか石膏で取って等身大フィギアを作ってくれよう!」


その男、ロマネスクの頭の周囲に血の色をした霧が漂い始めた。

雰囲気が変わる。


l从・∀・ノ!リ人「むっ、本気を出すようなのじゃ! 気を付けろ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「よっしゃあ、かかって来い!」
27.
(#ФωФ)「おんどりゃああ!」


ロマネスクは突然踵を返し、建物の奥へと走り去った。

身構えていたツンたちは思わず呆気に取られ、それを見送る。


ξ;゚⊿゚)ξ「あっ……こ、こら! 逃げるなああ!!」


 建物の中は迷路のように入り組んでおり、ツンはすぐに相手を見失ってしまった。


ξ ゚⊿゚)ξ「妹者ちゃん!」

l从・∀・ノ!リ人「えーと……あっちなのじゃ!」


妹者が血の霧の臭いを手繰り、ツンを案内する。

 通路を走り回るうちに、やがて二人は空っぽの倉庫の中に出た。


l从・∀・ノ!リ人「誘い込まれたな。罠なのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「そんなの最初からわかってるでしょ。どっち道その上でここへ来たんだから!」
28.
l从・∀・ノ!リ人「しかしあいつは一体どこへ……」


 突然、地響きのような衝撃音がして、奥の壁が大きく内側に凹んだ。

もう一度衝撃が壁を貫き、コンクリートを粉砕して瓦礫が飛び散る。

壁に穴を作って中から現れたのは、二足歩行の人型ロボットであった。

爪先から頭のてっぺんまで6mはあるだろうか。


ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ、でかっ!!」


全身の油圧ポンプと歯車を軋ませながら、ツンの目の前にまでやって来た。

一歩前進するごとに地響きのような足音が倉庫を揺るがす。

 強化ガラス越しに、コックピットで操縦桿を握ったロマネスクの姿が見える。


( ФωФ)「あの刀が残したニオイに誘われて来たんであるな」


コックピットが開き、ロマネスクは白衣のポケットから取り出したビンを相手に投げ渡した。

29.
妹者がそれを受け取って臭いを嗅ぐ。


l从・∀・ノ!リ人「ん、このニオイなのじゃ。ニンニクドリンクかえ」

( ФωФ)「それを血の霧に混ぜ込んでおいたのである。

        グフフ、バカめ! すべて罠とも知らずにな!」

ξ ゚⊿゚)ξ「いや、知ってたけど」

( ФωФ)「あそう。まあどうでもいい!

        安心しろ、なるべく原型は残してやるのである!

        行けィ、出来たばかりの我が最高傑作、ウォーカータンクよ!!」


コックピットのカバーが閉じ、ロマネスクが操縦桿を引いた。

ウォーカータンクの巨大な握り拳がツンに向けられる。

ドォンという砲声のような音がして特大の薬莢が飛び出すと同時に、その大きな拳がツンに向かって

飛んできた。

古典的兵器、ロケットパンチだ。
30.
ξ;゚⊿゚)ξ「おっと!」


一瞬前までツンがいた場所に突き刺さり、コンクリートの床が砕け散る。

チェーンを巻き戻してロケットパンチを元に戻しつつ、横っ飛びにかわしたツンに向かって、

今度はウォーカータンクの左腕に装着されたミサイルポッドが火を噴いた。


ξ#゚⊿゚)ξ「やられてばっかじゃないわよ!」


 ツンは相手に向かってジャンプした。

途中こちらに飛んできたミサイルを踏み台にして更に高く跳び、タンクの胸板に肉薄する。

背後で壁に着弾したミサイルが爆発するのを聞きつつ、飛び蹴りを放つ。


ξ ゚⊿゚)ξ「どっせい!!」


ガンという重たい金属音がして弾き返される。

相手は蚊に刺されたほどにも感じていないようだ。

31.
( ФωФ)「なかなかすばしっこいな。これはどうであるかな?」


 ツンが反動を利用して間合いを取り直すと、相手の左腕の別の砲門が火を噴いた。

六つの砲門を一つに束ねたガトリング砲が低いモーター音を上げて回転を始める。


ξ;゚⊿゚)ξ「ひえええ!」

( ФωФ)「ふはははは、逃げろ逃げろ、フィギアの恨みィーッ!!」


絶え間なく連続して吐き出される砲声はほぼ一つに聞こえた。

弾丸の豪雨が降り注ぎ、逃げ回るツンを追って地面に次々に穴が開く。

まるで筆で弾痕の線を引いているみたいに。


ξ ゚⊿゚)ξ「むっ」


 行く手に空っぽのドラムカンがある。

ツンはそれに飛び付くと、サッカーボールの要領で相手に向かって蹴飛ばした。

32.
ガン!


(;ФωФ)「うぐっ!?」


コックピットを直撃する。ダメージはなかったが一瞬ロマネスクの視界を塞いだ。

ツンはその隙に再び間合いを詰めると、相手の目前で跳ね上がった。


ξ ゚⊿゚)ξ「ハァアア……!!」


空中で圧倒的な熱の籠った気迫を吐き出し、拳を握り締める。

全身のエネルギーを爆発的に燃焼させ、ウォーカータンクの胸板に両拳の連打を浴びせかけた。


ξ#゚⊿゚)ξ「ドラララララララララララララ……!!!」


ガガガガガガガガン!

金属を衝撃が震わせる音が銅鑼のように響く。

トドメに一撃、渾身のストレートを放つ。
33.
ξ#゚⊿゚)ξ「ラァアッ!!」


だがウォーカータンクは僅かに後ろによろけただけだ。

正面装甲には傷すら付いていない。


ξ;゚⊿゚)ξ「マジすか」

( ФωФ)「効かん、効かんぞ!!」


あまりにも強固な守りに呆然としていると、相手の手が伸びてきた。

がしっ。

体を掴まれて動きを封じられる。


ξ;゚⊿゚)ξ「あ、しまった!」

( ФωФ)「我が輩のウォーカータンクはそれしきでは破れんぞ。

        見るがいい、我が主から賜ったこの血の霧を!」


34.
ウォーカータンクの排気口から排ガス代わりに血の霧が放たれた。


( ФωФ)「我が輩の能力は科学力と血の霧との合併である!

        こいつは血の霧を原動力にすることでかつてない戦闘力を得た究極兵器なのだ!」


縛めを跳ね除けるべく両腕両足に力を込めようとした瞬間、ツンの体はウォーカータンクの拳ごと

倉庫の壁に叩き付けられた。


ξ;>⊿<)ξ「あぐっ!?」


鉄筋コンクリートがひしゃげ、穴が開く。


( ФωФ)「地獄行き超特急の発進であるぞ!! ハハハハ!!」


拳を壁に突っ込んだまま、ロマネスクは壁沿いにウォーカータンクを走らせた。

ツンの体で壁を引き裂いてゆくその様は、障子紙に指を突っ込んで破いているみたいだ。


35.
ξ;>⊿<)ξ「あばばばばばば!!」


壁が終わり倉庫の隅が近づいて来たところで野球のボールみたいに投げ捨てた。

向かいの壁を突き破り、ツンの体はどこかへ飛んで行く。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ここはツンとロマネスクが死闘を繰り広げているところからちょっと離れた別の倉庫。

アルバイトの内藤ホライゾンは検品の作業に追われていた。


( ´ω`)「四番ネジが十四箱、六番ネジが十三箱」


部品を数えて手にしたクリップボードの書類に書き込んでゆく。

 途中少し手を休め、凝り固まった首と肩をひねってコキコキ鳴らした。


(;´ω`)「うひい、全然終わらないお。僕はバイトなのに何で残業なんか……」

(゚q 。)「サボるなボケェ、給料払わんぞ」
36.
( ´ω`)「はーい。ですお」


渋々作業に戻る。

ふと果てしなく繰り返される退屈な日常にうんざりして、内藤は思わず呟いた。


( ^ω^)「あーあ。空から美少女が降って来て恋が始まったりしないかお……ん?」


どこかでドコンドコンドコンと何かを次々に突き破っている音がする。

そしてその音はどんどん近く、大きくなって来る。


( ^ω^)「ん? もう夜中なのにまだ機械使ってんのかお」

ξ ゚д゚)ξ「ほげええええええええ!!」


何かが内藤のすぐ後ろの壁を突き破って飛び込んできた。

コンクリの欠片をまき散らしながら部品の棚に突っ込み、すべてを巻き込んで停止する。


(;゚ω゚)「なななな何だお!?」
37.
ξ´⊿`)ξ


棚から落ちた部品の山の中に、奇抜な格好をした少女が埋もれている。

内藤は身を竦めながら恐る恐る彼女を覗き込んだ。


ξ´⊿`)ξ「う、うう……」

(;^ω^)「一体何がどうなってんだお」


 ざりっ、と地面を踏む音が背後でした。


(゚q 。)

( ^ω^)「あっ、チーフ。この人向こうから飛んできましたお!」

(゚q 。)ウーウー

( ^ω^)「見て下さいお、トンネルみたいになってますお」


少女は建物数件の壁を突き破りまくって飛んできたらしい。

38.
穴を覗き込むとずっと向こうまで続いている。

 だが内藤の上司はそんなことには気を配らず、少女の方だけを見ている。


( ^ω^)「……チーフ?」

(゚q 。)

(;^ω^)(立ったまま寝ちまったのかお、このおっさん)


上司は両手を持ち上げた。

その手の輪郭が急にあやふやになり、霞のように溶けて伸びる。

再び輪郭を取り戻した時には二つの剣になっていた。


(゚q 。)ジャキッ!

( ^ω^)「へあっ!?」

(゚q 。)アーアー

ξ ゚⊿゚)ξ「ハッ!?」

39.
 ツンが正気に戻った時にはもう、ミストドールは彼女の喉元に向かって突きを繰り出していた。

すかさず白刃取りで受け止めにかかるが……


ξ;゚⊿゚)ξ(うっ、間に合わな……)

( ゚ω゚)「何すんだおこの野郎!!」


その時、内藤が横からミストドールの頭をレンチでぶん殴った。


(゚q 。)ブゴッ

(;^ω^)「あっ、まずいお! 頭に当たっちゃったお!!」

(゚q 。)


ミストドールは一瞬だけ彼の方を見たが、すぐに床に倒れた。

霧と化して消えて行く。 


( ゚ω゚)「え……? あれ? 何なのこれ? 人間じゃないのかお?」

40.
ξ;゚⊿゚)ξ「いたた、いたたたた……」

l从・∀・ノ!リ人「こっぴどくやられたのう。腐ってもミストキャリアーじゃな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほんと、オタの癖に手ごわいわ」

(;゚ω゚)「に、人形が宙に浮いて喋ってるお……」


とにかく立ち上がって体の埃を払う。


l从・∀・ノ!リ人「あの装甲では恐らくカロリーブレイクすら効かんのじゃー。策を練らんとな」

( ^ω^)「あ、あの~、あんたたちは一体……」


ツンは振り返り、そこで初めて内藤に気付いた。


ξ;゚⊿゚)ξ「あれっ!? 内藤さんじゃないですかっ」

( ^ω^)「え? 僕のことを知ってるのかお」

ξ ゚⊿゚)ξ「そりゃ前に……」


41.
慌てて妹者がツンの口を塞ぎ、ヒソヒソと耳打ちする。


l从・∀・ノ!リ人「こらこら、こいつと知り合いなのはもう一人のお前じゃろ」

ξ;゚⊿゚)ξ「あ? ああ、うん。そうだった。

      えーと、えーとね、インターネットとかでそりゃもう内藤さんは有名だから!」

( ^ω^)「え? ああ、そうなの……」

ξ ゚⊿゚)ξ「今ちょっと忙しいの。また後でね!」


 ツンは屈み込んでスチールの棚を掴んだ。

床にネジで固定されていたが、思い切り引っ張るとそれが弾け飛んで持ち上がる。

金属の部品を満載した、100キロはあろうかという棚がだ。


(  ω )      ゚ ゚

ξ ゚⊿゚)ξ「ちょっとこれ借りるわね。よっしゃあ、第二ラウンドだ!」


担いだ棚から部品を落としながら、壁の穴から外に出る。
42.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 倉庫から出たロマネスクはウォーカータンクのライトをつけ、ツンを探していた。


( ФωФ)「随分遠くまでぶっ飛ばしてしまったのである。

        原型が残ってるといいんだが……あ?」


ライトの明かりが空高く投げ上げられた棚を照らし出した。

すぐにツンも一緒に飛んできて、オーバーヘッドキックで棚をウォーカータンクに蹴り飛ばす。


ξ ゚⊿゚)ξ「それっ」

(;ФωФ)「おお!?」


ガン!

予想外の攻撃が胴体に直撃する。

ひるんだ隙にツンが飛び出して来て、ウォーカータンクに突進をかけた。

43.
l从・∀・ノ!リ人「正面から攻撃しても無駄なのじゃ、装甲のない場所を狙え!」

ξ ゚⊿゚)ξ「おっけー」


走りながら左手の甲に意識を集中させ、ステッキを取り出す。

ウォーカータンクの股の下を潜り抜け際、抜き放たれた刃が宙空を数度に渡って舞い、

闇の中に銀の糸を引いた。


ξ#゚⊿゚)ξ「でえええええい!!」


ギギギギギン、と金属を金属が弾く音。


(;ФωФ)「こいつ、生きてたのか!? なんちゅう頑丈な奴であるか」


内部骨格が僅かに露出している膝の部分に多少傷を付けたが、ダメージがあるようには見えない。


ξ;゚⊿゚)ξ「くっ……これならどうだ!?」


44.
 ウォーカータンクがこちらを追って振り返った瞬間、ツンは急停止して思い切り地を蹴った。

走ってきたのとは逆方向に跳ねてタンクに飛びかかる。

ステッキの柄頭に左手の平を押し当て、体ごとぶつかるように渾身の突きをコックピットの

強化ガラスに放った。


(;ФωФ)「おお!?」


切っ先が僅かにガラスの中に沈み込み、数ミリほどコックピット内に食い込む。

だがそこで停止した。


( ФωФ)「フ、フハハハハ!! 何だそりゃあ、ペーパーナイフであるか? ん?」

ξ;゚⊿゚)ξ「くっ……ダメだ、貫けない!」

(;ФωФ)(でもちょっとびびったのである)


こちらを掴もうと両側からタンクの手が迫ってくる。

ツンは両足でコックピットのガラスを蹴って刀を引き抜きつつ、後方に飛んでそれから逃れた。
45.
ξ;゚⊿゚)ξ「八方塞がりだわ、どうしよー」

l从・∀・ノ!リ人「諦めるでないのじゃー。コックピットの強化ガラスはそれほど分厚くないのじゃ!

         奴の動きを止めてもう一度死ぬ気で突けば穴を開けられる筈なのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「動きを止めてって、あんなのの動きをどうやって止めるのよ!?」

l从・∀・ノ!リ人「あれを見るがええ」


妹者の指さす方向にはスピーカーの取り付けられた鉄塔がある。

ツンはすぐに彼女の言わんとすることを理解した。


ξ ゚ー゚)ξ「なーるほどね」

( ФωФ)「そろそろ深夜アニメが始まる時間なのであーる!

        終わりにしてやろう!」


ウォーカータンクの両腕がこちらを向き、ガトリング砲が無慈悲な機械音と共に回転を始める。



46.
ξ ゚⊿゚)ξ「まずは何とかして隙を作らないと。

       あっ、そうだ、シルクハット! 何か役に立つものは……」


頭の上から四次元シルクハットを取り、中に手を突っ込む。

中を探ると手応えがあった。


ξ ゚⊿゚)ξ「こ、これは!」

( ФωФ)「蜂の巣にな……」

ξ#゚⊿゚)ξ「でぇい!」


その薄力粉の袋を引っ張り出し、相手に投げつける。

袋は空中でガトリングの砲弾を受けて弾け飛び、中身をまき散らして周囲を白く陰らせた。


(;ФωФ)「おお、煙幕!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「今だっ!」


47.
ウォーカータンクの脇を通り抜け、鉄塔に向かってひた走る。

 ロマネスクはすぐにその姿を見つけて操縦桿を倒した。

ロケットパンチ、ミサイル、ガトリング砲とあらゆる搭載兵器をまき散らして後を追う。


(#ФωФ)「逃げられると思うでないぞ! フィギアの恨み晴らさでおくべきか~!!」


 降り注ぐ攻撃を間一髪でかわしつつ、ツンはとうとう鉄塔に辿り着いた。

その下を潜り抜けながら刀を抜き放ち、土台の足を四つとも切断する。

切り口を斜めにして、任意の方向に倒れるようにだ。

その方向とはもちろん……


( ФωФ)「おあっ?」


ツンの後を追って来たロマネスクは真上を見た。

各接合部が軋む不気味な唸り声を上げて、鉄塔がまっすぐこちらに向かって倒れてくる。


48.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一方、ツンは斜めに傾きつつある鉄塔に飛び乗り、上を目指して駆け上っていた。


ξ ゚⊿゚)ξ ハァッハァッ


崩れ落ちる寸前に地面を蹴り、空中に逃れる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(;ФωФ)「うわああああ?!」


 ロマネスクは操縦桿を倒し、すかさずウォーカータンクの両腕で鉄塔を抱き抱えるようにして

受け止めた。

ズン!

重量と衝撃に踏み締めているアスファルトが砕け、わずかに沈み込む。

さしものウォーカータンクも限界を超えたパワーを要求されて呻きを上げた。
49.
(#ФωФ)「何のこれしき!! パワー全開なのである!」


更に操縦桿を倒して鉄塔を押し戻そうとした時、ロマネスクは頭上の満月の中に点を見た。

それはどんどん大きくなり、やがて刀を真下に構えた少女の輪郭となる。


ξ ゚⊿゚)ξ「せやああああああああああああ!!!」

(;ФωФ)「!!」


ドカッ!


(;ФωФ)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ


 時間が静止していた。

頭を傾けて寸前のところでかわしたロマネスクの真横、シートのヘッドレストの部分に、

強化ガラスを貫いたツンの刀が突き刺さっている。

50.
冷や汗を顔中から吹き出したロマネスクはそっと眼球を動かしてそっちを見、ゴクリと唾を飲んだ。


(;ФωФ)「フ、フヒッ! 惜しかったな、もう10センチ横なら……」

ξ#゚⊿゚)ξ「んぐぐぐぐぐぐ……!!」


 彼がセリフを吐き終わらないうちにツンは刀を思い切り捻った。

突き刺した刀身が横向きになるまで力づくで回転させて穴を拡げ、刀を引き抜いて捨てる。

すかさず両手を組み合わせて銃の形を作り、指先をその穴に突っ込んだ。


ξ ゚⊿゚)ξ「カロリィィー……!!」

(;ФωФ)「あっ、ヤバッ! ちょっ、ちょっと待っ……!!」


ツンの指先にエネルギーが収束し、光の弾丸が出来上がる。


ξ ゚⊿゚)ξ「ブレイク!!」


光が炸裂する。
51.
膨れ上がったウォーカータンクの全身の隙間から光が吹き出し、そして爆発した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


ξ ゚⊿゚)ξ「よっ!」


 爆発に巻き込まれないよう、一瞬早く跳んで逃げていたツンが地面に降り立つ。

どっと疲労が押し寄せて来て溜め息が出た。


ξ ゚⊿゚)ξ「ま、こんなもんでしょ」

l从・∀・ノ!リ人「うむ、よくやった。ミストキャリアーと渡り合って互角以上の戦いをするとはのう」


 炎上するウォーカータンクの残骸の中から、黒コゲになったロマネスクが這い出して来た。

ツンと妹者はそっちへ向かって歩いて行く。


(;ФωФ)「ゲホッゲホッ、おのれ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「フィギアの事は悪かったわ」
52.
(#ФωФ)「謝って済むならホビージャパンはいらんわ!」

l从・∀・ノ!リ人「お前の主に伝言を頼むのじゃー」


妹者はロマネスクの目の前に行き、冷たい眼で睨みながら言った。


l从・∀・ノ!リ人「“妹者が仕事を終わらせに来た”と伝えるのじゃー」

( ФωФ)「……ははん、そうか。お前が……」


その一言で合点が行ったらしい。

ロマネスクは嘲笑も露わに喚いた。


(#ФωФ)「我が輩の科学力はこんなものではないぞ!
                   ミストライダー
        いいか、我が主“霧の駆り手”は必ず貴様を……」

l从・∀・ノ!リ人「もういいぞえ、ツン」


ξ#゚⊿゚)ξ「そぉい!!」


53.
ツンは鞘に納めたステッキをゴルフクラブのように振るい、ロマネスクをぶっ飛ばした。

スカーン!


(;ФωФ)「ひぎいいいい!!」


お星様になるロマネスクを見送り、思い切り伸びをする。


ξ ゚⊿゚)ξ「ふーっ! 強敵だったわねえ」

l从・∀・ノ!リ人「ミストキャリアーがあいつ一人とは思えんのじゃー。

        気を引き締めてかからんとな」

ξ ゚⊿゚)ξ「あいつの言ってたミストライダーとかってのは?」

l从・∀・ノ!リ人「まあその話は今度にするのじゃ。今夜は疲れたからのう」

( ^ω^)「あの……」

ξ ゚⊿゚)ξ「あ、内藤さん」


 内藤が何時の間にか姿を現し、恐る恐るこっちにやって来た。
54.
ξ ゚ー゚)ξ「お礼言ってなかったかしら。さっきは助けてくれて本当にありがとう」

( ^ω^)「いやそんな。で、あんたたちは一体何者なんだお」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしは町の平和を守る為、悪と戦う愛と勇気と痩身の戦士……」

l从・∀・ノ!リ人「やっぱりかっこ悪いと思うがのう、それ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ハイパーメタボリックエンジェルよ!」

( ^ω^)「へ、へえ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「そろそろ行かないと。じゃあまたね!」

( ^ω^)「あ、ちょっと待っ……もしかして前にトソンを助けてくれたのも……!」


内藤が呼び止めるのも聞かず、ツンは走り去って行った。

 遠くでパトカーのサイレンが聞こえて来る。

この騒ぎを聞き付けたのだろうか。


( ^ω^)「ハイパーメタボリックエンジェル……」


55.
だが内藤の耳にはそれは届く事はなく、彼はただ呆然とツンの後姿を見送った。


(*^ω^)「か、かっこいいお!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 さて、翌朝のツンの家。


ξ ´ з`)ξ「おはようございまふ」

J( 'ー`)し「早くないよ、早寝したのに寝坊かい」

ξ ´ з`)ξ「う、うん。ちょっとね」


食卓につくが、今朝は何故かサラダしかない。


ξ ´ з`)ξ「……朝ごはん、こんだけ?」

J( 'ー`)し「ホットケーキ作ろうと思ったのに、薄力粉がどっか行っちゃったんだよ。

     ちゃんと買っといた筈なのにおかしいねえ」
56.
('A`)「姉ちゃんが夜中にこっそり食っちまったんじゃないか」

ξ;´ з`)ξ「え、ええ~と……」


ツンはこっそり通学カバンの妹者に囁いた。


ξ ´ з`)ξ「あのさ、もしかして四次元シルクハットの中って……」

l从・∀・ノ!リ人「お前んちと繋がってるのじゃー」

ξ;´ з`)ξ「あ、やっぱり」










つづく……



スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

(゚q 。川カンザイ

Author:(゚q 。川カンザイ
完全犯罪(カンザイ)
プラネットライカは隠れた名作

最近のコメント
最近の記事
月別アーカイブ
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。