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ハイパーメタボリックエンジェルズのようです #4

四話目だぞこのやろう。

1.
 ツンがハイパーメタボリックエンジェルとなってVIPニュータウンの平和を守ったりしていた頃から

百年だか二百年だか三百年ほど前、まだニンテンドー3DSもなければアイフォンもない時代。
ビップ
美風藩というところに一人の若者が住んでいた。


│A`*) ハァハァ       キャッキャ ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ ウフフ


 街角で防水桶の影から若い娘の様子を窺っていた彼は、意を決してそこから飛び出した。


ミヽ(*'∀`)ノ「よう、そこのお嬢さん方! 俺と一緒に落ち武者狩りに行かないかい?」

「何あれ」ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ「ダサッキモッ」

ヽ('A`)ノ


 若者はまったくモテなかった。


ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#4 恐怖の妖刀変化・非喪手丸

2.
(;'A`)「えっと……それじゃ、河原で晒し首見物なんてどう?

     一揆首謀者の八つ裂きでもいいぜ?」

ミセ*゚ー゚)リ「興味ないわ」

ζ(゚ー゚*ζ「あっち行ってよ」


 あわあわしながら必死に取り取り繕おうとしていると、そこに颯爽と牛車がやってきた。

扉が開いてさわやかな笑みを浮かべた公家が現れる。


(`・ω・´)「そこの童たち、麿と蹴鞠でもしないでおじゃるか?」

ζ(゚ー゚*ζ「いやーん、お公家のシャキン様よー!」

ミセ*゚ー゚)リ「お歯黒がとっても凛々しいわー!」


 目の前で美女をハゲタカにさらわれるのを若者は呆然と見送った。


('A`)「……」

('A`) ウツダシノウ
3.
肩を落とし、背中を丸めてとぼとぼとその場を去る。

酒でも飲んで鬱憤を晴らすかと居酒屋に足を向けた時、立札の張り紙が目に入った。


('A`)「あー、なになに?」


“刀鍛冶大募集! 初心者歓迎 経験者が懇切丁寧に教えちゃいます

 君も青春の情熱でアツく鉄を溶かしてみないか?”

        フリーター
('A`)「……水飲み百姓にも飽き飽きだし、これ行ってみるか」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 刀鍛冶に弟子入りしたその若者、毒衛門はめきめきと頭角を現した。

しかし相変わらずまったくモテない。


('A`)「何故だ……何故俺はモテないんだ……ちゃんと定職にも就いたのに!」


4.
熱した鉄をカナヅチで打ってるうちに、何かが毒衛門の中で弾けた。

規則正しかったカナヅチの音が乱れ、打ちおろす速度がどんどん増して行く。


(#゚A゚)「に、憎い……イケメンが憎い! 女が憎い!!」


窯の炎が憎しみと嫉妬に燃える彼の顔を照らし出す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 時代は進み、現代のVIPニュータウン。


ξ ´ ~`)ξ ムシャムシャモグモグ「まいうーまいうー」


 その日の放課後、ツンはいつものように帰り道で買い食いをしていた。

贔屓のパン屋、渡辺ベーカリーで買った菓子パンを店の奥の飲食スペースで頬張る。


ξ ´ з`)ξ「このアップルパイは至高ですなー」

5.
川 ゚ -゚)「ビスコッティもおいしいな。うーん、クルミが入ってて香ばしい」


クーはこの店に入るのは初めてだ。


从'ー'从「ツンちゃんいつも来てくれてありがと~。これおまけ~」


奥からやってきた店主が紙袋に入ったお菓子をくれた。


从'ー'从「パンの耳のカリントウなんだけど~良かったら食べてね~」

ξ*´ з`)ξ「渡辺さんありがとー」

川 ゚ -゚)「わたしにも何かくれ」

ξ ´ з`)ξ「何というストレートさ、クーちゃん男らしい」

从'ー'从「常連になったらあげるよ~」


ほえほえしてるようでなかなか商売上手な人だ。

クーは参ったって顔で差し出した手を引っ込めた。

6.
川 ゚ -゚)「ぬう、しょうがない。また来よう」

从'ー'从「お友達どんどん連れて来てね~、わたしの最終目標は国内制覇じゃあ~」

ξ;´ з`)ξ(サラッと壮大な事言ってるなあ)


 ベーカリーを出、パン耳カリントウを食いつつ帰路につく。

外はカリカリ中はしっとり、甘すぎず実に香ばしい。


川 ゚ -゚)「ちょっとくれ」

ξ ´ з`)ξ「いいよーはい」

川 ゚~゚)ポリポリ「うーん、これも実に美味だな。さすが食欲だけの女、いい店を知ってる」

ξ ´ з`)ξ「一言余計です……」

川 ゚ -゚)「あー太る太る。しかしやめられん」


 ポリポリ食い歩いていると、道端に見慣れた顔を見つけた。


│A`*) ハァハァ       キャッキャ ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ ウフフ
7.
川 ゚ -゚)「あれ、お前の弟じゃないか。ドクオくん」

ξ ´ з`)ξ「ありゃ本当だ。何やってんだろ」


ドクオはこっちに気付いておらず、電柱の影から同世代の女子の姿を窺っている。

意を決した様子で物影から飛び出すと、彼は精一杯明るく振る舞って女子に話しかけた。


ミヽ(*'∀`)ノ「よう、そこのお嬢さん方! 俺と一緒にまんだらけに行かないかい?」

「何あれ」ミセ*゚ー゚)リζ(゚ー゚*ζ「ダサッキモッ」

ヽ('A`)ノ


 ツンは思わず首を振った。

ナンパするにしてもそれはないだろう。


ξ;´ з`)ξ「なんちゅう不器用な……もっと他に誘う場所があるだろーに」

(;'A`)「えっと……それじゃ、ペーパームーンで等身大フィギア見物なんてどう?

     ビッグカメラでワゴンセール巡りでもいいぜ?」
8.
ミセ*゚ー゚)リ「興味ないわ」

ζ(゚ー゚*ζ「あっち行ってよ」


 あわあわしながら必死に取り取り繕おうとしていると、そこに颯爽と自転車がやってきた。

ブレーキをかけて止まり、白い歯を向いたイケメンが笑いかける。


(`・ω・´)「やあ、そこのガールたち。僕と一緒にサイクリングでもしないかい?」

ζ(゚ー゚*ζ「いやーん、陸上の県大で優勝したシャキン様よー!」

ミセ*゚ー゚)リ「スパッツ姿がとっても凛々しいわー!」


 体育会系という名のトンビに油揚げをさらわれる様を、ドクオは呆然と見送った。


('A`)「……」

('A`) ウツダシノウ


思わずクーが口元を押さえて噴き出す。

9.
:川 ゚ m゚):「プププ。哀れな奴」

ξ ´ з`)ξ「文系はいつの時代もモテませんなー」

('A`)「あ、姉ちゃん」

ξ ´ з`)ξ「よう」


 ようやくこっちに気付いたドクオが振り返る。

クーの姿を見つけると、すぐに彼の落ちた肩が跳ね上がった。
10.

(*'∀`)「おっと素直さんもご一緒じゃないですか! ご機嫌麗しゅうフヒヒヒヒ!

     今日も白いソックスがお似合いで」

ξ ´ з`)ξ(立ち直り早っ)

川 ゚ -゚)「ん。こんなとこでナンパか?」

(*'A`)「フヒヒ! フヒヒヒ! そんなとこです」

川 ゚ -゚)「まあ頑張ってくれ」

(*゚A゚)「おお……おお、素直さんが俺を励まして下さった! おおおお!!」
10.
 感動に打ち震える彼を置いて二人は帰路に戻った。

途中、クーが呟く。


川 ゚ -゚)「お前の弟だが……」

ξ ´ з`)ξ「うん」

川 ゚ -゚)「キモイな」

ξ;´ з`)ξ「わたしもそう思う……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その日の夕方、というかほとんど夜。

一人でまんだらけとペーパームーンとビッグカメラを巡ったドクオは帰路についた。

ヘトヘトで歩くのもやっとだ。


(;'A`)「フラレた腹いせとは言え、一日で全部回るのはキツかったぜ……」


11.
 街灯がぽつぽつと点き始めた街をとぼとぼ歩く。

両肩は地につかんばかりに落ち、いかにも落ち込んだ様子だ。


('A`)「誰でも一度の人生のうち三度はモテ期が来るという。

    俺のは一体いつになったら来るんだ……俺だけがこの世でただ一人例外なのか?」


人気の途絶えたシャッター街を抜けようとしていると、ある店の前で声をかけられた。


(:::::::::::)「そこの人……」

('A`)「ん? 俺?」


 足を止め、そっちを見る。

古い構えの骨董屋の奥で、ガラクタの山に埋もれたしゃがれ声の老人が椅子に座って手招きしていた。

暗がりに半ば溶け込んでおり、顔は見えない。


(:::::::::::)「良ければ見て行かないか。もう店じまいだ、安くしとくよ」

12.
('A`)「ふーん。声優のCDかレアゲーある?」

(:::::::::::)「ない」

('A`)「じゃあいいや」


 立ち去りかけた時、一振りの日本刀に目が行った。

鹿の角の台座に置かれた打刀で、年代物らしいが手入れは行き届いている。

 ドクオはそれが何故か気にかかった。


('A`)「お、キルビル」

(:::::::::::)「やはりそいつに目が行くかね」

('A`)「真剣か?」

(:::::::::::)「まさか。イミテーションだよ、お部屋のインテリアに一つどう?」

('A`)「ふーん……」


 どうということはない、ただの刀なのだが、何かおかしな魅力を放っている。

13.
ドクオはだんだんこれが欲しくなってきた。

店主はそれを察して値段を提示した。

指を二本立てて見せる。


(:::::::::::)「二千円に負けとく。どうだ」

('A`)「安いな」

(:::::::::::)「売れ残りだからね。捨て値さ」

('A`)「まあ、二千円ならいいか」


 金を払い、包んでもらって店を後にする。

肩に担いでシャッター街を出ようとした時、ふと台座のことが気にかかった。

あれも貰えないだろうか?

店まで引き返す。


('A`)「おっちゃん、あの台座サービスでくれないか? ……あれ?!」

14.
 確かにさっきまで店があった場所には自転車置き場があるだけだった。

記憶違いかともう一度通りを往復してみるが、それらしき店はない。

自転車置き場まで戻って来たドクオは首を捻った。


('A`)「……??? 夢でも見たかな」


 だが刀は確かに手の中にある。

ドクオは包みを開いてみた。

鞘から刀を抜き放つと同時に、刀身が放つ赤い霧みたいなものが溢れ出した。

ドライアイスの煙みたいに地面へ流れ落ちて行く。


(゚A゚)


アーケードの天窓から降り注ぐ月光を刀身が照り返した。

恐ろしく研ぎ澄まされた、凶暴な光がドクオの眼を射抜く。

すぐに手にした柄から心臓目がけて冷気が這い上がってくる。
15.
(゚A゚)「う、うわああああああ!?」


 ドクオの悲鳴に、野良犬の遠吠えが呼応した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンは自宅でテレビに食いついていた。


ξ ´ з`)ξ ワクワク

l从・∀・ノ!リ人「なんかやるのかえ?」

ξ*´ з`)ξ「銀行強盗事件のニュースがやるのよー、わたしが解決したやつ」

l从・∀・ノ!リ人「ああ、ネコババしようとしたやつじゃな」

ξ;´ з`)ξ「ありゃ気の迷いだってのに……」


 CMが終わり、報道番組が始まる。



16.
(#゚;;-゚)『こんばんわ。滝川クリスでぃルです。

    今夜はVIP銀行襲撃事件の詳細を再検証してお伝えします』

∩ξ*´ з`)ξ∩「いえーい」

(#゚;;-゚)『事件現場では一人の少女が強盗を取り押さえたという証言が数多く残されています。

    当番組は通行人が撮影した映像を入手しました。これより特別に公開いたします』

∩ξ*´ з`)ξ∩「わたしだ! わたしだ!」

l从・∀・ノ!リ人「落ち着くのじゃー」


 画面が切り替わり、ツンがバンを折り畳んで箱にしているところの映像が流れた。

しかし撮ってるのが素人らしく、ピントがボケボケでもう一つ判然としない。

おまけにツンの顔に更にボカシが入っていた。


ξ;´ з`)ξ「何これ……」




17.
“*未成年の少女と判断しまして、映像は修正してあります。ご了承下さい”という

テロップが出ている。


ξ#゚ з゚)ξ「いらんことに気ぃ使いくさって!

        これじゃアイドルになれないっちゅうねん!」

l从・∀・ノ!リ人「テレビに頼らんでもそのうち人づてに広まってくのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「だといいなー」


 玄関で鍵が開く音がして、夕食の買い物に行っていたカーチャンが帰ってきた。

空中に浮かんでいた妹者が慌ててソファに座り、ただの人形のフリをする。


J( 'ー`)し「やれやれ、すっかり遅くなっちゃったね。おや、ドクオは?」

ξ ´ з`)ξ「まだ帰ってないみたい」

J( 'ー`)し「もうこんな時間だよ。あの子はどこで道草食ってんだい」



18.
ξ ´ з`)ξ「なんか女の子とお友達になろーとして失敗してたみたいだからなー。

         傷心でオタショップ巡りでもしてるんでない?」

J( 'ー`)し「まったく無駄遣いの得意な子だよ」


 ドクオは夕食が出来上がっても帰って来なかった。

そろそろ二人が心配し始め、警察に電話しようかって時、玄関の鍵が開いた。


('A`)「ただいま」

J(#'ー`)し「お帰り。お前こんな時間まで何やってたんだい?」

(;'A`)「ああ、うん……ちょっと」

J( 'ー`)し「ご飯だよ、手ぇ洗って来な」

('A`)「わかった」


 先に食卓についてつまみ食いを始めていたツンは、やれやれと首を振った。


ξ ´ з`)ξ「ありゃ相当に傷ついてますなー」
19.
J( 'ー`)し「うちの父ちゃんも相当モテなかったけど、あの子も確実に血を継いでるよ」

ξ ´ з`)ξ「え? お父さんもモテなかったの?」

J( 'ー`)し「若いころはイイ男だったけど、仕事にしか興味がなかったからねー」

ξ ´ з`)ξ「それは非モテの次元が違うと思う……」

l从・∀・ノ!リ人(リア充の非モテと非リア充の非モテの違いじゃな)

J( 'ー`)し「さあ、とにかくご飯だよ。テレビは消しな」

ξ ´ з`)ξ「はーい」


 ツンはリモコンを手に取った。


(#゚;;-゚)『たった今入ったニュースの速報です。

     カップルのデートスポットとして有名な埠頭の海浜公園、VIP公園の一部が

     何者かによって破壊されるという事件が……』


プツン。

20.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌日も、その翌日もドクオは妙に帰りが遅かった。

カーチャンが問いただしても彼の答えは曖昧で要領を得ない。

おまけに元々貧相だった彼の風貌がますます荒み、日に日に顔色が悪くなってゆく。


(゚A゚)「ウウウ……」


 何かに取り憑かれているかのようだ。

その日、珍しく早起きしたツンは朝食をとりつつテレビを見ていた。

ニュースキャスターが朝のニュースを伝えている。


ξ ´ ~`)ξモッシャモッシャ「んー、またデートスポット破壊事件かー」


 ここんところ連日で起きている事件だ。

犯人の目星はまったくついておらず、捜査は難航しているとキャスターが言っている。

21.
ξ ´ з`)ξ「このままじゃこの町でデートするとこがなくなっちゃうね」

l从・∀・ノ!リ人「別にお前は困らんじゃろ」


 テーブルの下でピーナッツバターをなめていた妹者が辛辣に答えた。


l从・∀・ノ!リ人「恋人おらんし」

ξ;´ з`)ξ「ほっといて下さい……」

l从・∀・ノ!リ人「しかし気になるのじゃー。見てみるのじゃ、あれ」


 テレビはとあるビルの屋上を映している。

ここは恋人同士が願いを込めてフェンスに錠をかけると結ばれるという、言い伝えというか

迷信というかそんなものがある場所だ。

そのフェンスが切り裂かれ、あるいは引き千切られて、文字の形にくり抜かれている。


『モテ滅すべし』


22.
l从・∀・ノ!リ人「人間技ではないのじゃー。

         というより、こんな事をするのは正気の人間とは思えんのじゃ」

ξ ´ з`)ξ「となると……?」


 陰気な足音を立てて二階の寝室からドクオが下りてきた。


('A`)「ウウ……」

J( 'ー`)し「おはよう。昨日はどこ行ってたんだい?」

('A`)「ウググ……」

ξ ´ з`)ξ「あんたの分のゆで卵くれない?」

('A`)「それは断る」

ξ;´ з`)ξ「喋れないわけじゃないのね」


 必要最低限で受け答えを済ませると、ドクオはふらふらと玄関へ向かった。


ξ ´ з`)ξ「待った、一緒に行こう」
23.
('A`)「ウウ」


ツンはドクオと一緒に家を出た。

太めなツンとやせ細って小柄なドクオのコンビは、傍目には到底姉弟には見えない。


ξ ´ з`)ξ「あんた悪い遊びにでもハマってんの? カーチャン心配してたよ」

('A`)「俺は……非モテだ……」

ξ ´ з`)ξ「知ってるよそりゃ。みんな知ってるって、全人類が知ってる」

(゚A゚)「ウウ、憎い……モテる奴が憎い……」

ξ;´ з`)ξ(モテなさすぎておかしくなったなこいつ)


 途中、クーと合流した。


川 ゚ -゚)「おはよう。お、珍しいな。二人一緒とは」

ξ ´ з`)ξ「おはよー。わたしもたまにゃあ早起きしますよ」

('A`)
24.
 クーはドクオの風貌の変化に怪訝な顔をし、身を屈めて彼の顔を覗き込んだ。


川 ゚ -゚)「顔色がコンクリートとおんなじ色だぞお前。大丈夫か?」

(゚A゚)「す、素直さんが俺の心配を……ぎゃあああ!!」


 ドクオは突然頭を抱え、ロック歌手のように前後左右に激しく振り始めた。


(;゚A゚)「うぎゃおおう!! フッ、フオオオオッ!?」

川 ゚ -゚)「何だ、どうした? 江頭2:50のマネか?」

ξ ´ з`)ξ「いや、これは小島よしおじゃないかな。あの足踏みがそれっぽい」

(;'A`)「お、俺の事はほっといてくれ!」


 ドクオはよろよろと走り去った。

二人はそれを呆然と見送る。


川 ゚ -゚)「何だありゃ。リアクション芸人でも目指してるのか」

25.
ξ ´ з`)ξ「何か変なんだよねーあの子。どうしたんだろ」

川 ゚ -゚)「モテなくておかしくなったんだろ。よくあることだ」

ξ;´ з`)ξ「よくある……のかなあ」

川 ゚ -゚)「ところでバス停はあっちだぞ。あいつ走って学校行く気か?」

l从・∀・ノ!リ人「……」


 ツンのバッグにぶら下がった妹者だけが、疑惑の目で彼を見ていた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ドクオは学校へは向かわず、途中で道を反れた。

フェンスを乗り越えて今は使われていない、廃棄された工場の跡地へ踏み込む。


('A`) ハァハァ


 職員用ロッカーの中に隠しておいた例の日本刀を取り出し、鞘から抜き放つ。

26.
真っ赤な霧が鯉口から漏れ、こぼれ落ちた。


(;'A`)「ウウ、非喪手丸! 苦しいぞ、何とかしてくれ」

―――それは憎しみがお前自身を苦しめているのだ。モテが憎かろう、ドクオよ


 その声はドクオの頭の中でした。

刀を通じて意識が流れ込んでくるのだ。

そう、この刀には意思がある。


(゚A゚)「憎い……俺はモテが憎い! イケメンが、リア充が憎いんだ!」

―――怒れ、憎悪しろ。その憎しみだけがお前を解放する

(゚A゚)「ウウ……う、うわああああ!!」


 刀の柄から這い上がってくる冷気がドクオの心臓を鷲掴みにした。

体から熱が消え失せ、氷のように冷たいが底知れない激怒が彼を支配する。


27.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 夕方ごろ、ツンの中学校。

ツンとクーは校舎を出、連れ立って校門へ向かった。


ξ ´ з`)ξ「ドクオ、結局来なかったみたい」

川 ゚ -゚)「不良になったのかもな」

ξ ´ з`)ξ「まさか?! あの貧弱少年が」


そう言いつつもツンはだんだん不安になってきた。

破壊され続けるデートスポット、様子のおかしいドクオ。

何か繋がりがあるような……

 ツンは足の向きを変えて中庭に向かった。


川 ゚ -゚)「ん? どうした、なんか忘れ物か?」

ξ;´ з`)ξ「ちょ、ちょっと気になることが」
28.
 こんな小さな中学校にも言い伝えとか七不思議とか、そんなようなものがある。

中庭にある大きな木もその一つだった。

この木の下で好きな人に思いを伝えると成就するとかなんとか、どっかで聞いたような話だ。

 ツンは校舎の影からその様子を窺った。


│´ з`)ξ ドキドキ

│゚ -゚)「何やってんだお前? ……お」


後をついてきたクーがツンと一緒に物影から身を乗り出す。

折悪しくというかなんというか、そこではカップル誕生の気配がしていた。


(,,゚Д゚)「好きだ好きだ、お前がSUDEKIだ!」

(*゚ー゚)「旧XBOXのマイナーゲーを絡めて告白してくれるなんて……

     ギコくん、素敵すぎる……」

│゚ -゚)「悪趣味だな、覗きか? ん?」

29.
│;´ з`)ξ「クーちゃんにだけは言われたくないけど、違います……」

│゚ -゚)「じゃあ何だ、『友達に噂されると恥ずかしいし』の友達ってのはお前なのか?」

│;´ з`)ξ「言っていることの意味がわかんないです」


 ボソボソやりとりをしながら覗いていると、そこにフラリと人影が現れた。

恋人同士の世界には明らかに場違いな暗黒のオーラを漂わせている。 


(`A')「ウウウ……リア充……恋人……」

│゚ -゚)「ありゃドクオじゃないか」

(゚A゚)「ウガアアアア!!!」


 ドクオはいきなりベルトに挟んでいた日本刀を鞘から引き抜いた。

白刃がかすかに赤みを帯びて見えるのは夕日が映り込んでいるからか?

大上段に構えて二人に斬りかかって行く。


(*;ー;)「きゃあああ! ギコくう―――ん!!」
30.
(,,゚Д゚)「しぃいい!!」


 抱き合う二人には目もくれず、ドクオは木の方に飛びかかった。

太刀筋の残像が銀の糸を引く。


(゚A゚)「とりゃりゃりゃりゃりゃ―――ッ!!」


パチン。

鯉口に刃が収まる音がその場の二人を我に返らせた。

恐る恐る伏せていた顔を上げる。


:(,,゚Д゚):

:(*∩‐∩):

(` 3')「フッ」


ドクオが大木に息を吹きかけると、木屑や破片が一気に散った。

31.
その下から現れたのは……


(`A')
('∀`)
(;A;)
(' 3`)
(゚A゚)


ドクオの顔のトーテムポールであった。


(,;゚Д゚)「ひ、ひいい! キモイ!」

(*;ー;)「こんなんじゃ告白しても幸せになれそうにないわー!」

(`∀')「ぶひゃひゃひゃ! 今日よりこの木は呪われし非モテの木となって忌み嫌われようぞ」

│゚ -゚)「あいつ本当にドクオか? やたらアクティブだが……あれ? おい、ツン?」


 クーは振り返ったが、そこに友人の姿はなかった。

ツンはドクオが登場した時点でトイレに走っていたからだ。


32.
ξ;´ з`)ξ「ほんとにあいつ、血の霧に取り憑かれてんの?」

l从・∀・ノ!リ人「間違いないのじゃ、デートスポット破壊魔もあいつに違いないのじゃー!」

ξ;´ з`)ξ「何てこったい、まさか我が弟が……」


トイレに飛び込み、個室に入って鍵をかける。

 右手を宙に差し伸べて意識を集中させると、手の甲にメダルが浮かび上がった。

抽象化したシルクハットとステッキを組み合わせたものだ。


ξ ´ з`)ξ「メタボリックチェンジ!」


その言葉を鍵にメダルが実体化し、宙に飛び出した。

爆発的な光を放って炸裂する。

ツンの全身の神経系統が一瞬麻痺し、それから体が粉々に砕け散るような感覚があった。

すぐにバラけた全身が戻ってきて一部に収束し、新しい体を再構築する。


ξ;´⊿`)ξ「毎回トイレってのがなあ……」
33.
l从・∀・ノ!リ人「文句言うななのじゃー、早う出るのじゃ」


普段のツンとは似ても似つかぬスレンダーな姿に、体にぴったりフィットしたタキシードを纏って

その場に現れる。

 個室から出るとたまたま鉢合せたクラス委員を驚かせたが、それには構わず窓から飛び出す。


(゚、゚;トソン「うわっ!?」

ξ ゚⊿゚)ξ「おっと、失礼」

(゚、゚トソン「ちょ、ちょっとあなた! その格好は校則違反ですよ!」


ひとっ飛びで校舎の屋上まで行くと、中庭に向かって声を張り上げた。


ξ ゚⊿゚)ξ「愛・勇気・そして痩身! ハイパーメタボリックエンジェル参上!」


 気色悪いトーテムポールとなった大木を指差す。


ξ ゚⊿゚)ξ「自分が非モテだからって他の人に迷惑をかけるのは良くないわ!
34.
ξ ゚⊿゚)ξ「このわたしが徹底的に改心させてあげ……ありゃ?!」

(,,゚Д゚)

(*゚ー゚)

川 ゚ -゚)「何だありゃ」


 肝心のドクオがいない。

ツンは校舎から地上に飛び降り、聞いてみた。


ξ;゚⊿゚)ξ「えーと、ドク……じゃなかった、さっきの通り魔は?」

(,,゚Д゚)「笑いながらどっか行っちまったぞゴルァ」

(*;ー;)「あなた例の正義の味方なんでしょー?

      せっかくの青春の1ページがめちゃくちゃよー、許せないわー」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしに任せときなさいって! どっち行った?」

川 ゚ -゚)「ブツブツ独り言言ってたぞ、恋人岬がどうたらって」

ξ ゚⊿゚)ξ「恋人岬ね、ありがとう!」
35.
呆然としている三人を残し、ツンは再び校舎に飛び上がった。

建物の屋根から屋根へと飛び移り、件の場所へ向かう。


l从・∀・ノ!リ人「恋人岬ってどこなのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「海辺んとこにあった筈よ。

      そこに男女で行くと想いが以下略!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 この時間帯の恋人岬は水平線に溶けゆく夕暮れを見ようと、恋人たちで賑わう。

潮風は優しく、彼らの囁き合う声にも似ていた。

そんな中、学生服姿の明らかに場違いな少年が一人。


(`A')


ドクオは突き刺さる周囲の視線を物ともせず、刀を肩に担いで岬の先端まで行った。

36.
(゚A゚)「こんなもんがあるからいかんのじゃあああ!!」


刀の切っ先で地面を右から左へ薙ぎ、振り切ったらすぐさま刃を返してもう一薙ぎ。

それを凄まじい勢いで繰り返しながら後退し、岬を切り裂いて行く。


ζ(゚ー゚;ζ「きゃあああ!!」

(`・ω・´;)「うひいいい」


 逃げ惑う恋人たちを追いやり、誰もいなくなった岬の根本まで来ると、刀を担ぎ直す。

まだ岬は形を保ち、何事もなかったようにその場に佇んでいる。


(`A')「ふんっ!」


だがドクオが思い切り地面を踏んでわずかに振動を与えると、シュレッダーにかけられたように

先端から順番に輪切りになって海中へと崩れ落ちて行った。

ズドドドド……

37.
(゚∀゚)「ぶひゃひゃ、ぶひゃひゃひゃひゃ!! モテ滅すべーし!」

ξ;゚⊿゚)ξ ゼエゼエ「そこまでよ! あーしんど、やっと追いついた……」

(`A')「むっ?!」


顔の汗を手の甲で拭い、唾を飲んでツンは相手を指差した。


ξ;゚⊿゚)ξ「恋人たちの……ぜーぜー、憩いの場を……はーはー、えーと……

       と、とにかく、あんた反省しなさい!」

(`A')「ワシはドクオではない。我が名は妖刀・非喪手丸!」

ξ ゚⊿゚)ξ「へ?」

l从・∀・ノ!リ人「ほほう、こりゃ珍しいのじゃ。物体に血の霧が取り憑いておるな」


妹者が興味深げに目を細めた。


l从・∀・ノ!リ人「あの刀に宿った怨念が血の霧を得て意思を持ったようじゃのう。

         そんでもってドクオがそれを手にして体を乗っ取られてるってわけなのじゃー」
38.
ξ ゚⊿゚)ξ「寄生虫に寄生されてる寄生虫が更にドクオに寄生してるってわけね」

l从・∀・ノ!リ人「早口言葉みたいじゃがそういうことなのじゃー」

(#`A')「誰が寄生虫だこの野郎。サナダムシみたいに言いくさって!」


 ドクオはチャッと鍔鳴りをさせて刀を構えた。

貧相なナリからは想像もつかない威圧感を放ち、じりじりとツンとの間合いを測る。


(`∀')「邪魔立てするとあらば貴様も我がサビにしてくれるわ!」

ξ;゚⊿゚)ξ「うっ、素手じゃちょっと分が悪いかな……」

l从・∀・ノ!リ人「変身の時の要領で右手に意識を集中させてみい、ステッキが出る筈じゃ」


ツンは言われた通り右手の甲を上にし、ステッキをイメージして意識を集中させた。


ξ ゚~゚)ξ「ムムム……」


手の甲にステッキを抽象化したマークのメダルの文様が浮かび上がり、手の中から飛び出した。

39.
メダルは宙でポンと白い煙を放って弾け、実物の黒いステッキとなる。

手品師が持ってるようなやつだが、全体的に微妙に反っている。


ξ ゚⊿゚)ξ「これ武器になるの? なんか曲がってるし」

(#`A')「ドォォオリャァアアア!!」


 説明の途中なのにドクオが斬りかかってきた。

縦一文字、眉間に向かって唐竹割りに振り落とされた一撃を、ツンは思わずステッキで受け流した。

金属が空中で弾き合い、火花を噴く。


ξ;゚⊿゚)ξ「す、すごい力……!!」

('∀`)「ぶひゃひゃひゃ、この男の非モテ力がワシに呼応しとるのだ!」

l从・∀・ノ!リ人「ステッキの取っ手を引くのじゃ、ツン!」

ξ;゚⊿゚)ξ「えっ?!」


鉤型に曲がっている取っ手を掴んで引っ張ると、シャッという鋭い音と共に刀身が現れた。
40.
仕込杖ってやつだ。

刃は日本刀のように僅かに反り身で、ステッキが曲がっているのはこれを納めるためらしい。


ξ#゚⊿゚)ξ「ふんっ!」


 驚いたのも束の間、すぐにその正体を理解してツンは抜き様に相手の胴に斬り付けた。

ドクオはジャンプし、走り高跳びのバーを飛び越える要領でそれをかわすと、空中で体を

錐揉みさせながら刀を突き出した。


(#゚A゚)「そんなもんワシの前では割り箸も同然じゃあ!!」


刀が竹トンボの羽みたいに回転しながら迫り来る。
         ミネ
ツンは左手を刀背に添えながら、身を反らして防いだ。

ギャリギャリギャリと耳障りな音を立てて、数度に渡って金属が擦れ合う。


ξ;゚⊿゚)ξ「うわ、うわっ!!」

41.
圧力に負けて数歩下がる。

お互いの間合いが開くと、着地した瞬間ドクオは構えを変えた。


(`A')「非喪手流・秘奥義……」

ξ;゚⊿゚)ξ「!!」

(゚A゚)「……あっ、やべっ。名前考えてなかった!」


凄まじい斬撃のラッシュで畳みかける。

校庭の大木や恋人岬を切り刻んだあの技だ。

振り払った刹那に切っ先を返し、再び斬り付けるという動作を極限まで高速化した連続技。


(゚A゚)「どりゃりゃりゃりゃりゃ―――っっ!!」

ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ、わっ、わっ、わあああっ!」


雨あられと降り注ぐ斬撃を何とか自分の刀で弾いてやりすごすが、だんだんおっつかなくなってゆく。

ある一撃を中途半端な受け方をしてしまい、ツンはグラリと体勢を崩した。
42.
ξ;゚⊿゚)ξ「あ、ヤバ……」


体が泳ぎ、前のめりになる。“死に体になる”ってヤツだ。

 ドクオはそれを好機と見、大技に出た。

相手に向かって高くジャンプし、空中で縦に360度回転しながらの上段斬りを放つ。

一回転分の勢いをつけた唐竹割りだ。


(゚A゚)「非モテの恨み今こそ思い知れ―――ッ!!」


カッ!!


ξ ゚⊿゚)ξ

(゚A゚)


 二人の意識はお互いの中心、その一点で凝固し、時間を止めていた。


(`A')「!?」
43.
ξ#゚皿゚)ξ「ふんぬぐぐぐ……!! メタボ流・カニ挟み白刃取り!」


ツンは両手で地面を支え、逆立ち状態になっていた。

真上に掲げた足の裏を合わせ、相手の刀身を挟み込んで受け止めている。


l从・∀・ノ!リ人「素晴らしく下品な技なのじゃー」

ξ;゚皿゚)ξ「ほっといて下さい!」


 地面を掴んでいる両腕を回してその場で回転し、勢いをつけてまだ空中にいるドクオを投げ捨てる。

 ドクオは空中で体勢を立て直し、やや離れたところに着地した。


(;`A')「おのれ、運のイイ奴! しかし秘奥義がまだ破れたわけではないぞ」

ξ ゚⊿゚)ξ「よっと」


こちらも真っ直ぐに立つと、ツンは相手に聞いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「一つだけ聞くわ。デートスポットをぶっ壊しまくって、あなた結局何がしたいの?」
44.
(`A')「ぶひゃひゃ、知れた事よ。

    刀鍛冶、鬱田毒衛門はこの世のすべてのモテに呪いを込めてワシを作った。

    逢引の場所をなくせばモテどもは行き場を失い絶望に打ちひしがれるであろう。

    今こそ復讐の時なのだ!」


クリスマスイブに雨が降ると喜ぶような、最も根が暗いタイプだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「なんかすごい理論だけど、そんなことはさせないわよ!」

(`∀')「ぶひゃ! どうする気だ、ワシの秘奥義の、え~と……ちょっと待て、うーん……

    非喪手乱舞をかわせるのか、ええ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「今付けたでしょ、その名前」

l从・∀・ノ!リ人「救いようのない奴じゃが、なかなか厄介じゃのう。

         ドクオとくっついたままじゃカロリーブレイクも撃てんし……」

ξ ゚⊿゚)ξ「待って、非モテならではの弱点がある筈」


45.
 刀を構えてじりじり下がりながら、ツンは考えた。

その時、ある閃きが頭に浮かぶ。


ξ ゚⊿゚)ξ「そうだ! ちょっとそこで待ってなさい、そこでよ!」

(`A')「へ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いいから動くんじゃないわよ」


 ツンは一目散にその場を離れ、町へ戻った。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一方、中学校の登下校路。

クーは一人、学生カバンを抱えて帰路についていた。


川 ゚ -゚)「まったく、ツンの奴。何にも言わずにどこ行ったんだ?」


薄情な友人に文句を垂れていると、いきなり目の前に誰かが落ちてきた。
46.
ξ ゚⊿゚)ξ シュタッ

川 ゚ -゚)「ん? えーと、ハイパーギャルデリックアワーだっけ?」

ξ;゚⊿゚)ξ「ハイパーメタボリックエンジェルです! ちょっと来て!」


相手の返事を待たずツンはクーの胴体を脇に抱え込んだ。


川;゚ -゚)「あ、ちょっと、おい?!」

ξ ゚⊿゚)ξ「動くと危ないわよ。ふんっ!」


 今しがた来た道を取って返す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 恋人岬の跡地では、ドクオが逃げ遅れたカップルを追い回していた。


(`A')「そのお揃いの首飾りが許せん! 寄越せ、ぶった斬ってやる!!」

ミセ;゚ o゚)リ「やめてえええ、ディズニーランドで買った大事なやつなのー!」
47.
(;<●><●>)「チャチな作りなのにクソ高かったんです、やめて下さい!」

(#゚A゚)「そんなモンを嬉々としてつけてるからあそこの暴利が正されんのじゃああ!!」


 そこにクーを抱えたツンが戻ってくる。


ξ;゚⊿゚)ξ「あ、ちゃんと待ってた。思ったより律儀ねあんた」

(`A')「フン、どうせ別のデートスポット行ってもお前が邪魔しに来るんだろう」


カップルを追うのを止め、ドクオは刀を構え直した。


(`A')「貴様はここで始末しておかねばなるまい! 覚悟せえ!」

ξ ゚ー゚)ξ「ふふん。それはどうかしら?」


ツンはクーを羽交締めにして盾にした。

当然、突如として矢面に立たされたクーは逃れようと暴れる。


川;゚ -゚)「こ、こら!? わたしを盾にするのか?!」
48.
(`A')「その女がなんだっちゅうんじゃあ!」

ξ ゚⊿゚)ξ「見てなさい、ここまでよ!」


ツンはクーに囁いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ちょっとあいつに優しい言葉をかけてあげてくんない?」

川;゚ -゚)「え?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いいから言う通りに。町の平和を守る為なのよー、協力して!」

川 ゚ -゚)「そんなこと急に言われても……」

(#゚A゚)「二人まとめて微塵切りにしたるわー!!」


 ドクオが刀を構え直し、間合いを詰めて来た。

非喪手乱舞の構えだ。


ξ;゚⊿゚)ξ「ほらほら、早くしないと斬られるぅ!」

川;゚ -゚)「え!? えーと、えーと……」
49.
(`A')「非喪手流奥義、非喪……」

川;> -<)「ド、ドクオ! 大丈夫なのか!」

(゚A゚)


ドクオはビクリと跳ね上がり、今まさに技に移行しかけた体の動きを止めた。


ξ ゚⊿゚)ξ「いいわ、その調子」

川;゚ -゚)「ああ、えーと、顔色が悪いからわたしはお前に何かあったのかと……」

(;`A')ビクンビクン「ウグ、ウググ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほれ、もう一丁」

川 ゚ -゚)「あんまり心配させるな」

(:`A')「や、やめろ……」


 激しい頭痛から逃れようとするかのように、ドクオは頭を抱えて後ずさった。

小刻みに震え、己の内側で何かと戦っている。

50.
l从・∀・ノ!リ人「こりゃ一体どうなってるのじゃー」

ξ ゚ー゚)ξ「フフン、いいこと、本当の非モテってのはね……」


ツンはクーを羽交締めにしたまま誇らしげに胸を張り、片手で相手をビシッと指差した。


ξ#゚⊿゚)ξ「普段は難しいこと言ったり二次元がすべてみたいなポーズして知的ぶってるけど、

      実際はカワイイ女の子に気をかけられるとすぐメロメロになっちゃうのよ!!」

l从・∀・ノ!リ人「そうか、それで奴の非モテ力が低下してるわけか!

         見事じゃツン、よくそこに気付いた」

ξ;‐⊿‐)ξ「いや、わたしも結構非モテな方だから……」

川*゚ -゚)「フフフ、わたしのセリフであそこまで苦しむとは……なかなか気分がイイな」

ξ ゚⊿゚)ξ「言葉責めの要領でもうちょっとお願い」

川 ゚ -゚)「いいだろう、得意分野だ」


 羽交締めから抜けたクーはドクオに詰め寄った。

51.
腰に手をやり、やや見下ろすような感じで冷たい視線を送る。


川 ゚ -゚)「わたしがこの数日、どれだけお前のことを心配してたか」

(;`A')「やめろ……」

川 ゚ -゚)「あんまり無茶しちゃダメだぞ」

(;`A')「やめろ……!!」

川 ゚ -゚)「送ってやるから一緒に帰ろう。なんならわたしが看病してやっても……」

(;`A')「ぐおおぁあああああ!!」


ツンはステッキを腰溜めに構えると、ドクオに向かって一気に踏み込みをかけた。

鞘の中で刃を走らせ、抜き打ちで相手の刀を叩く。


ξ ゚⊿゚)ξ「とうっ!」


ガキン!

火花が咲き、ドクオの手の中にあった刀が宙に弾き飛ばされる。
52.
(;`A')「うっ!?」


ツンはすかさず刀を捨てると、両手を銃の形に組み合わせた。


ξ ゚⊿゚)ξ「カロリィィイ……」


両の人差し指の先端に全身のエネルギーを込める。

 頭の中で声がした。


―――ぐうっ……忘れるな、モテある限りワシの怨念は決して晴れぬ事を!

ξ ゚⊿゚)ξ「ブレイク!!」


 指先から放たれた光弾は空中で非喪手丸と重なり、そして炸裂する。

粉々に砕けたその刀は塵となり、風に吹かれて海に運ばれて行った。


ξ;´⊿`)ξ「やれやれ、思ったより苦戦したわー」

l从・∀・ノ!リ人「ともかく良くやったのじゃ」
53.
('A`)「ウウ、俺は一体……ここはどこだ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「お、気がついた」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンが二人と何か話しているのを、ある人影が物陰から窺っていた。

ドクオに刀を売ったあの男だ。


(:::::::::::)「ふむ、あいつがクックルを倒した奴であるか。

     面倒なことになりそうである」


呟きを残し、姿を消す。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 クーと意識を取り戻したドクオは彼女に抱えられて運ばれ、二人の中学校で下ろされた。


54.
ξ ゚ー゚)ξ「お礼はいらないわよ、悪を討つのがわたしの使命だから」

川 ゚ -゚)「当たり前だ。いきなりワケわからんことに巻き込んで」

ξ;´⊿`)ξ「あ、そう。ごめんなさい」

(*'∀`)「フヒヒ、オニャノコと密着させてもらったのでむしろこっちがお礼を言いたい」

ξ;゚⊿゚)ξ(キモイなこいつ)

ξ ゚⊿゚)ξ「とにかくこれでお別れね。またどっかで会いましょう!」


 謎のヒロインは校舎の屋根へと飛び上がり、姿を消した。

クーとドクオは顔を見合わせ、一緒に校門に向かった。


川 ゚ -゚)「何だったんだろうな、ありゃ」

(*'∀`)「フヒ、ブヒヒヒ! 色々迷惑をかけたようで」

川 ゚ -゚)「お前普通に喋れないのか?」

(*'∀`)「いやはや、よもや素直さんと二人っきりで帰れるとは!」


55.
まったく噛み合ってない会話を交わしつつ校庭を抜けると、校門のところでツンが待っていた。

どこからか走ってきたのか、わずかに息を切らせている。


ξ;´ з`)ξ「ぜーぜー。お、奇遇ですな」

川#゚ -゚)「お前どこ行ってたんだ!? 探したんだぞ」

ξ ´ з`)ξ「ごめんねー、ちょっとまあ色々あってねーほんと」

(#'A`)(チッ、邪魔者め)


 三人で並んで帰路につく。

クーと別れてドクオと二人になると、彼はあからさまに肩を落とした。


('A`)「そうか、なんかよくわからんけど俺は体を乗っ取られてたのか。非モテな刀に」

ξ ´ з`)ξ「そーそー。不思議なこともあるもんだねー」

(;'A`)「……結局俺はモテないんだなあ」

ξ ´ з`)ξ「落ち込みなさんな。クーちゃんは結構見込みがあると思う」

56.
('A`)「え? 根拠は?」


ツンはニヤつきつつドクオの肩に腕を回した。


ξ ´ з`)ξ「クーちゃんはドSでしょ。

         でも一人じゃイジメる相手がいないわけじゃない。

         つまり相方が必要なわけで……後はわかるでしょ?」

(゚A゚)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 翌日からドクオは部屋に籠りがちになった。

時折ムチで叩くような音と、変な喚き声が聞こえてくる。


<うおおおおお!! こ、これしきの苦痛に耐えられなければ素直さんの相方など……

 (ビシッ!)ひぎい! (バシッ!)あがは!

57.
 一階で夕食の準備をしていたカーチャンが不安げに天井を仰ぐ。


J(;'ー`)し「あの子は今度は何を始めたんだい? 自分にムチ打ちしてんのかい?」

ξ ; з;)ξ「ホレた女のために自分を磨いてるのよー。いい話だわー」

l从;・∀・ノ!リ人(そうか?)












つづく……


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完全犯罪(カンザイ)
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