スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ξ ´ з`)ξハイパーメタボリックエンジェルズのようです #3

三話目
1.
 ここはVIPニュータウン警察署。

その留置所の奥では朝からひっきりなしに喚き声がしていた。

時折壁や鉄格子をぶっ叩く、甲高い音もする。


―――うるせえぞ、新入り! 静かにしてろ!

―――お巡りさん、そいつを何とかしてくれ! 眠れねえよ!


 他の房の“同僚”たちもそれに耐えかねて騒いでいる。






ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#3 銀行強盗





2.
見張りの警官らが彼らをなだめるのを横目に、渋沢刑事は相棒に聞いた。

 _、_
( ,_ノ` )y━「何を騒いでるんだ、ありゃ?」
       ヨー
ハハ ロ -ロ)ハ「YO疑者は朝からずっとあの調子のYOですわ。何か運動をさせろって……」

(#゚∋゚)「うおおお!! 頼む、外に出してくれええ! こんな狭い場所じゃ走り込みも出来ん!」


 その監房では、ノイローゼの猿のように鉄格子に捕まって騒ぐ男がいた。

職業は中学の体育教師、町を破壊しまくった容疑で拘留中。


(;゚∋゚)「お、俺は毎日十キロは走らないと気が変になるんだ!

     こんなとこじゃ腕立て伏せとヒンズースクワットしかできない!

     た、頼む、運動を……運動をさせてくれえええ!!」
 _、_
( ,_ノ` )y━「これまた重度のスポーツ中毒だな」
           ノー
ハハ ロ -ロ)ハ「まさにNOミソまで筋肉ですわね」
 _、_
( ,_ノ` )y━「まあ落ち着くこった、クックルさん。俺は刑事のクックル、よろしく」

3.
(#゚∋゚)「運動をさせろおおお!! ぐわああああ!!」
 _、_
(;,_ノ` )y━「話にならんな。仕方ない、ハロー君。

       ちょっとそこらのリサイクルショップでホームランナーでも買ってきてくれ」

ハハ ロ -ロ)ハ「それって領収書切れますわYOね?」


 渋々出かけた相棒を待つこと約三十分。

彼女が買って来た中古のホームランナーを留置所に放り込むと、クックルはそれにバッタのように

飛び付いた。


*・゜゚・*:.。..。.:*・'( ゚∋゚)'・*:.。. .。.:*・゜゚・*


明日地球が破裂してしまっても何の悔いもないと言わんばかりの顔だ。

至福の表情を満面に浮かべ、グリコのマラソンマンのようなポーズで走り続けるその姿を見ていると、

どこからか映画「ボディーガード」のテーマソングが流れてくるようだ。


ハハ;ロ -ロ)ハ(き、気色悪っ)
4.
 _、_
( ,_ノ` )y━「あの日のことを聞いてもいいかね、クックルさん?」

( ゚∋゚)「フフフ……何でも聞いてくれよ、刑事さん」


 クックルは思い出せる限りのことを喋った。

 _、_
( ,_ノ` )y━「……つまり、そのドリンク剤とやらを飲んだら?」

( ゚∋゚)「そうさ。後はもう何が起こってるのか全然わからなかった。

     ただ幸福感と充実感だけがあって、その時の俺は……

     そう、ただ一つのたくましい上腕二頭筋だった……」

ハハ;ロ -ロ)ハ「意味がMAXわかりませんが」


 彼はどこか懐かしい、幸福だった頃の記憶を呼び覚ますような顔だ。


( ゚∋゚)「町を破壊してたらしいが、それは俺も後で知ったんだ。記憶が飛んでるんだよ。

     誰かが止めてくれような気もするが」

5.
 _、_
( ,_ノ` )y━「その男は2ch製薬と言ったんだな? ふむ、聞いた事のない会社だが……」

ハハ ロ -ロ)ハ「調べてみまSHOWか」
 _、_
( ,_ノ` )y━「空きビンはどうした?」

( ゚∋゚)「わからん。どっか道端に捨てちまったかな?

     紳士にあるまじき行動だったがなにぶん正気じゃあなかったんだ」
 _、_
( ,_ノ` )y━「俺は現場をもう一度調べてビンを探してみる。ハローは製薬会社を当たれ」

ハハ ロ -ロ)ハ「了解」

( ゚∋゚)「俺はどうなるんだ?」
 _、_
( ,_ノ` )y━「あんたはシロのようだな。

       体中の精密検査をさせてもらって、問題なけりゃ釈放だ」

( ゚∋゚)「ありがとよ。こいつの恩は忘れねえぜ」


クックルは鋼鉄のように丈夫そうな白い歯を剥き、親指を立てて礼を言った。

もちろんグリコポーズで走ったままだ。
6.
 監房を後にしながら、渋沢はふとクックルが口走ったある事が気になった。

彼は公式には大暴れの後に電池切れのようにぶっ倒れた、ということになっている筈だが……?

 _、_
( ,_ノ` )y━(……“誰かが止めてくれた”?)

ハハ ロ -ロ)ハ「それにしてもドリンクを飲んだら狂暴化なんて、何かの薬物でSHOWか?」
 _、_
( ,_ノ` )y━「うん? ああ、まあそうだろうな。麻薬課の協力を仰いだ方がいいだろう」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


川 ゚ -゚)「……というわけでわたしはそいつの目の前でラブレターを破り捨て、言ったんだ。

     “そこに落ちてる雑巾を食ったら付き合ってやろう”って」

ξ;´ з`)ξ「さすがクーちゃん、我が校随一の無頼漢やー」

川*゚ -゚)「その時のそいつの顔……打ちのめされ、自分の存在がその瞬間ゴミクズ同然になったと

     悟った顔と来たら……ああ、告白されて良かった!」


 中学校からの帰り道、ツンが友人クーの武勇伝に聞き入っていると、商店街に差し掛かった。
7.
ξ ´ з`)ξ(ん?)

(゚、゚トソン


見覚えのある制服姿の少女が一人、パン屋・渡辺ベーカリーの前で突っ立っている。

店頭にちらちら視線を送りつつ何かを待っている様子だ。


川 ゚ -゚)「ありゃうちの委員長じゃないか。何やってんだ」

ξ ´ з`)ξ「トソンちゃん、ちわーっす」

(゚、゚;トソン「うっ、津田さんに素直さん」

ξ ´ з`)ξ「何やってんですかーこんなとこで」


 委員長・トソンは妙に気まずげで、まずいところを見られたって様子だった。

短く切りそろえた髪にいつも遠慮がちに伏せた眼をした、地味を絵に描いたような容姿の娘だ。

勉強が圧倒的に出来る事以外ほとんど目立つところがなく、十人並みと呼ぶのがふさわしい。

視線が泳ぎ、取り繕おうと舌がもつれながら回転を始める。

8.
(゚、゚;トソン「ええとその、わたしはそのですね、そのちょっと」

川 ゚ -゚)「全然答えになってないぞ」

ξ ´ з`)ξ「あー、ここのパン屋さんおいしいからねー。

         誰かと待ち合わせして一緒に食べようと……」

(゚、゚#トソン「わたしは買い食いなんかしません! 校則違反でしょう」

川 ゚ -゚)「マジメだなー」

ξ ´ з`)ξ「じゃあ何やってんの?」

(゚、゚;トソン「えあっ!? ええと……あー……」

川 ゚ -゚)「お前ウソつけない性格だろ。オラオラ、ゲロしろ」


クーがトソンを羽交締めにし、首筋に息を吹きかける。


川 ゚ 3゚) フゥゥゥ

:(゚、゚;トソン:「ひょわぇぇいいい!? やややややめて下さいっ!!」

ξ;´ з`)ξ「イジメなさんな、クーさん」
9.
川 ゚ -゚)「こいつはあやしい、何か企んでるぞ」


 などとやっているうちに店から店主、渡辺が出てきた。

手にビニール袋に詰め込んだパンの耳を抱えている。


从'ー'从「ふぇぇ~、何やってんの~」

ξ ´ з`)ξ「あ、渡辺さん。こんちは」

川 ゚ -゚)「この女がこの店を狙ってたんだ、きっと地上げ屋の手先だぞ!」

(゚、゚#トソン「止めてくださいったら! もう!!」


 羽交締めを振り解き、トソンは神経質かつ几帳面そうに制服の着衣を正した。

ヤカンみたいに頭から湯気を噴き出しながらその場から走り去る。


ξ ´ з`)ξ「あ~あ、行っちゃった」

川 ゚ -゚)「トソンって面白いよな、すぐムキになる」

ξ;´ з`)ξ「真面目っ子なんだよ、イジメたらダメだって」
10.
从'ー'从「トソンちゃんて言うのか~、あの子良く来るんだよ~」

川 ゚ -゚)「む、常連か。ますますあやしい。実は過激派でこの店を爆破するつもりだったのかも」

ξ ´ з`)ξ「んなわけないって」

从'ー'从「いやあ~、パンを買ってくれたことはあんまりないな~」

ξ ´ з`)ξ「え? じゃあ何しに?」

从'ー'从「これだよ~」


渡辺は腕に抱えていたパンの耳を見せた。

それから店先にある「ご自由にお持ち帰りください」の立札がついた籠を視線で指す。


从'ー'从「パンの耳~。いつも持って帰るんだよ~」

川 ゚ -゚)「ふーん。どうするんだ、こんなもん?」

ξ ´ з`)ξ「あ、きっと猫にやるんだよ。キャットフード高いし」

川 ゚ -゚)「親が買ってくれるだろ?」

ξ ´ з`)ξ「野良猫か何かをこっそり飼ってるってパターンじゃない?
11.
ξ ´ з`)ξ「家に持って帰れないから空き地とかでさー」

川 ゚ -゚)「ああ、そうか。そりゃ悪いことしたな」

ξ ´ з`)ξ「持ってってあげよー」

川 ゚ -゚)「お人好しだな」

ξ ´ з`)ξ「猫好きだもーん」


ツンは袋を一つ抱えた。


ξ ´ з`)ξ「クーちゃん、トソンちゃんの家わかる?」

川 ゚ -゚)「同じ町内だけど詳しいことはちょっと」

从'ー'从「んとね~前にあのへんの団地に住んでるとか言ってた~」

ξ ´ з`)ξ「ありがと、渡辺さん」


 渡辺に礼を言い、ついでに店で袋入りのクッキーを買うと、ツンとクーは商店街を抜けた。

交差点のところでいつもはクーと別れるのだが、今日はツンは彼女の後についていった。

12.
ξ ´ ~`)ξ ムシャムシャ「団地ってどのへんかなー」

川 ゚~゚) ポリポリ「子供に聞いてみよう」


公園で子供が数人遊んでいる。

紙袋からこれ見よがしにクッキーを取り出して口に運びつつ、訪ねてみた。


ξ ´ ~`)ξ サクサク「ちょっと聞きたいんでふが」

⌒*リ´・-・リ「なーに?」

ξ ´ з`)ξ「あのねーこのへんに都村って人住んでない?

        頭が良くって地味な感じで髪が短くてー、真面目っぽい人」

⌒*リ´・-・リ「トソンちゃんのこと? クッキーくれたら教えたげる」

ξ ´ з`)ξ「先に教えてよー。袋ごとあげるからさ」


焼き立てのココアクッキーを見せると、子供は公園からほど近い公営団地を指差した。


⌒*リ´・-・リ「あそこ。B棟の104号室」
13.
ξ ´ з`)ξ「ありがとう。ほい」

⌒*リ;´・-・リ「わーいお菓子だー……ってこれ中身入っとらんやんけ!」

ξ ´ з`)ξ「取引は先払いした方が損をする。教訓になったでしょー」

⌒*リ´;-;リ「バカ! 豚! ピザ!」


子供に世の中の厳しさを教えつつその団地に向かう。


川 ゚ -゚)「素晴らしい鬼畜っぷりだ、ちょっと感心したぞ」

ξ ´ з`)ξ「お菓子だけは他人に譲れませんな」


川っぺりに作られたいわゆる団地村ってやつで、八つの棟から成っている。

入口のところにある案内板を見、ツンは中に入っていった。


ξ ´ з`)ξ「ん、ここかな」

川 ゚ -゚)「B棟の104号室……向こうだな。行こう」


14.
B棟に入って104号室のドアを見つけ、チャイムを押して待つことしばし。

しかし返事はない。


ξ ´ з`)ξ「ちわーっす、誰かいませんかー」

川 ゚ -゚)「郵便受けに放り込んどきゃいいじゃないか」

ξ ´ з`)ξ「いやー、あの子がどんな生活してんのか興味ない?」

川 ゚ -゚)「別に」


ツンは割と悪趣味な方で、他人の私生活を覗き見るのが好きだ。

果たしてこのドアの向こうには、普段真面目ぶっているトソンのどんな私的空間が広がっているのか?

 もう一度チャイムを押そうかどうか迷い始めた時、インターホンに誰かが出た。


―――はい

川 ゚ -゚)「警察だ! この部屋に過激派をかくまっているという情報をムグッ」

ξ;´ з`)ξ「津田とクーちゃんでっす! こんにちは!」

15.
川 ゚ -゚)「いいからここを開けフガフガろ!」


クーの口を塞いでツンが対応する。

向こうでしばし沈黙があり、インターホンが切れた。

 鍵とチェーンロックの外れる音がし、遠慮がちに(というか明らかにびびった様子で)ドアが開く。


(゚、゚;トソン「……はい」

ξ ´ з`)ξ「どーもどーも」

川 ゚ -゚)「お前の忘れものを届けに来てやったぞ。ありがたく思ってもらおう」

(゚、゚トソン「忘れもの……?」


 ツンは抱えていたパンの耳を見せた。

トソンはギョッとした顔になったものの、すぐに平静を装う。


(‐、‐トソン「何言ってるんですか、わたしは別にそんなものは……」

( ^ω^)「お客さんかお、トソン」
16.
奥から男が顔を出した。

二十代の中盤くらいの年齢で、やや肉が余りがちな体系をしている。


( ^ω^)「ん、パンの耳持ってきてくれたのかお。ありがたいお!」


トソンを押し退け、嬉しそうにツンから袋を受け取る。


(*^ω^)「これは天ぷらにして良しシチューに浮かべて良し、サラダに乗せてもイケる上に

      しかもタダという貧民の味方な食材なんだお」

(//、//;トソン「お、お兄ちゃん……」

( ^ω^)+「今夜は久々にパン天と行くお! 天つゆを買って来なければ」


 鈍そうな兄と違ってトソンは自分ちの経済状況を恥じているところがあるらしい。


( ^ω^)「ほら、お友達にお礼を言うお」

(゚、゚;トソン「ああありあり、ありがとうございます」

17.
ξ ´ з`)ξ「どーいたしまして」

川 ゚ -゚)「お兄さんがいたのか。わたしは素直クール、んでこっちのドラムカン体型は……」

ξ;´ з`)ξ「津田ツンでーす。ドラムカンはやめて下さい」

( ^ω^)「こりゃどうもだお。内藤ホライゾンだお」

(゚、゚トソン「お兄ちゃん、仕事じゃなかったの?」

(;^ω^)「おっと! そうだったお。お相手したいけどこれから出かけるとこなんだお」

ξ ´ з`)ξ「あーいや、すぐ帰りますから」

(゚、゚トソン「送るわ」

( ^ω^)「そいじゃあみんな一緒に行くお」


 四人で団地を出る。


( ^ω^)「トソン、後で銀行で記帳しといてくれないかお」

(゚、゚トソン「原稿料まだ振り込まれてないの?」

ξ ´ з`)ξ「おっと、作家さんですか」
18.
(;´ω`)「お恥ずかしい限りだお。筆一本で食ってけないからこうして働きに出てるんだお」

川 ゚ -゚)「小説家ですか?」

( ^ω^)「漫画家だお」

川 ゚ -゚)「ペンネームは?」

(*^ω^)「恥ずかしいから秘密だお」

(゚、゚トソン(絶対知らないだろうしね、超マイナーだし)

川 ゚ -゚)「そいやツンのお父さんって漫画の編集じゃなかったか?」

ξ ´ з`)ξ「そーなのよー。もしかしたらお父さんは内藤さんのこと知ってるかもね」


駅前で内藤と別れる。


( ^ω^)「そんじゃあ記帳頼んだお」

(゚、゚トソン「わかった」


 三人になるとトソンはツンとクーに微妙な表情をした。

19.
(゚、゚;トソン「えーとですね、我が家の財政はそれほどひっ迫してるわけじゃないんですよ。

      これはただ、たまたまお兄ちゃんの原稿料の振込が遅れているからであり……」

川 ゚ -゚)「気にするな。日本だって何兆円も借金あるんだから」

ξ ´ з`)ξ「そーそー。この時代、貧乏であることはもはやステータス」

(゚、゚#トソン「バッ、バカにしないで下さい!」

川 ゚ -゚)「ほら、そうやってすぐムキになる。もっとリラックスしろ」


両手で胸を押さえ、深呼吸して気を落ち着けると、トソンはバツが悪そうに頭を下げた。


(゚、゚トソン「とにかくありがとう」

ξ ´ з`)ξ「まーあたしたちのせいでもあったわけだしねー」

川 ゚ -゚)「揚げ物屋で天カスただでもらえるの知ってたか?」

(゚、゚;トソン「知ってますよ。人を貰いものだけで生活してるように言わないで下さい! もう」


家に取って返すトソンを見送る。

20.
ξ ´ з`)ξ「じゃーねー」

川 ゚ -゚)「またな……行っちゃった」

ξ;´ з`)ξ「あんまイジメたらダメだって、もー」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンたちと別れた後、トソンは一度家に帰って通帳を探した。

清貧洗うが如し、あまり物のない部屋の引き出しを開けて回る。


(゚、゚トソン「おかしいな、確かここに入れた筈なのに……ん」


台所を振り返ると、食卓の上に通帳が乗っていた。


(´、`;トソン「お兄ちゃんだな。ちゃんと片付けてよ、もー」


 家の鍵をかけて団地を出ると、彼女は町の銀行に向かった。

入口のところで警備員に声をかけられる。
21.
ミ,,゚Д゚彡「よう、トソンちゃん」


団地の近所に住んでいる顔見知りだ。


(゚、゚トソン「こんにちは。お疲れ様です」

ミ,,゚Д゚彡「兄ちゃんの漫画どうだい? ジャンプに載ったか?」

(´、`トソン「しぶとく投稿してるみたいですけどね。厳しいです」

ミ,,゚Д゚彡「若いうちは夢を追うもんさ。トソンちゃんは将来何になりたい?」

(゚、゚;トソン「う、う~ん……保留です」

ミ,,゚Д゚彡「そうかい。まあ頑張りな」


トソンはATMに並ぶ人の列に加わった。

給料日の直後なので長い行列が出来ている。

 列は遅々として進まない。


(゚、゚トソン(もし今日も振り込まれてなかったらまずいなあ。電気料金が……)
22.
両手を腰の後ろにやり、片足の爪先で床をグリグリしながら時間を潰す。

 とりとめのないことを考えていると、誰かが列に割り込んできた。

腕で強引にトソンの体をどけて通り過ぎる。


(゚、゚#トソン「ちょっとちょっと、ちゃんと並んで下さいよ」

<ヽ▼∀▼>「うっさいニダ」

( ▼ハ▼)「よし、やるアル」

(゚、゚トソン「?」

(*゚∀゚)「お客様ー、順番ですから一列に並んでお待ち下さ……」


 受付カウンターの行員が注意しかけた時だった。

サングラスをかけた二人組の男はカウンターに飛び乗り、ボストンバッグを受け付けに投げた。


(*゚∀゚)「えっ?! あの、ちょっと……」


行員が横暴な行為に目を白黒させていると、二人とも同時に懐から銃を抜く。
23.
<ヽ▼∀▼>「よーし、みんな動くなニダ! 言う通りにすりゃ無事に帰れるニダ!」

( ▼ハ▼)「カネをバッグに詰めるアル」

(;゚∀゚)「ごっ、強盗!?」


お約束展開ってヤツだ。

泡を食った行員たちは右往左往し、言われるままに札束を運んできてバッグに詰め始めた。

強盗たちが銃を振り回してそれを急かす。


ミ,,゚Д゚彡「くそー、銃を持ってるんじゃ手出しできん」

(゚、゚トソン「……?」


 トソンは眼があまり良くないが、それでも強盗が手にしている拳銃の違和感に気付いた。

ポケットから眼鏡を取り出してかけ、眼を凝らす。


(ロ、ロトソン「オモチャですよ、あれ」

ミ,,゚Д゚彡「え?」
24.
(ロ、ロトソン「ほら、あそこ。あの部分」


トソンは拳銃の銃身を指差した。

銀色の字で“こどもコルト”と書いてある。


ミ,,゚Д゚彡「そいつの銃! オモチャだ!!」


 警備員はそう怒鳴り、二人に向かって飛びかかった。


<ヽ;▼∀▼>「うっ、何でバレたアル!?」

(;▼ハ▼)「落ち着け、語尾が逆ニダ!」


 それを機に周囲の男女が寄ってたかって二人を取り押さえにかかった。

OLのハイヒールキックが炸裂し、会社員の袖カバー逆水平チョップは苛烈を極め、

外交保険セールスマンのパンフレットカッターが飛び交う大乱闘の渦が出現する。


ミ#゚Д゚彡「カネが欲しけりゃ働けこの野郎! 我が家のローンはあと30年だ!!」
25.
ζ(゚、゚#ζ「そうよそうよ! わたしなんか今週も休みなしよ!」

(#゚∀゚)「謝れ! 上司にセクハラされながら安月給で働いてるあたしに謝れ!!」

<;▼∀▼>「ひぎいい!?」

(; ▼ハ▼)「ほげええ!?」


 ありったけの攻撃を食らってボコボコにされた二人は、何とかその渦中から這い出した。

と、一方の目にトソンの姿が入る。


(ロ、ロトソン「へっ!?」

(#▼ハ▼)「こうなりゃ仕方ないアル!」

(ロ、ロ;トソン「え!? えっ!?」


強盗は彼女を捕まえると、盾にして銀行のカウンターまで下がった。


( ▼ハ▼)「動くなアル! 動いたら……えーと……」


26.
片腕でトソンの首に巻きつけて虜にしつつ、もう片方の手で武器はないかカウンターの奥を探る。

すると指先が何か金属に触れた。それを掴む。


( ▼ハ▼)「こいつをどうにかするアル!」


そう叫び、手の中の銀行のロゴ入り爪切りをトソンの首筋に押し付けた。


(ロ、ロ;トソン「ひっ?!」

<ヽ▼∀▼>「シナー、でかしたニダ!」

( ▼ハ▼)「お前ら道を開けるアル!」

ミ;゚Д゚彡「くそ……みんな、言う通りにするんだ」


 周囲の人間が波のように引くと、二人とトソンはその狭間をじりじりと通り抜けた。


(;▼ハ▼)「ニダーのボケ、カネを忘れてるアル!」

<ヽ▼∀▼>「おお?! こりゃいかんニダ」

27.
一度カウンターに取って返し、放置してあったボストンバッグを担ぎ上げると、改めて二人は

銀行の外に向かった。

ドアを開けてトソンとバッグを放り込み、車を急発進させる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 一方、一度家に戻ったツンは母親に買い物を頼まれ、そのついでに買い食いをしていた。

行きつけのパン屋、渡辺ベーカリーで買ったチョコレートドーナツを食べつつ町を歩く。


ξ*´ ~`)ξ ムシャムシャ「いとおいし、いとおいし」

l从・∀・ノ!リ人(太めの奴にはドーナツがよく似合うのじゃー)

ξ ´ з`)ξ「うーん、もうちょっと何か食べたいところですなー」

l从・∀・ノ!リ人「まだ食うのかえ。いくら戦闘で痩せてもそれを上回るカロリーの摂取が

         あったんじゃ意味ないのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「そんなネガティブな考え方しちゃあダメなんだって」

28.
エスニック料理店前のサモサの屋台で足を止め、ツンは自信満々で答えた。


ξ ´ з`)ξ「『戦闘で痩せるからちょっとくらい食べても大丈夫』!

         わたくしは今後ともこのマインドでやっていきたいと思います!」

l从・∀・ノ!リ人(道理で今まで痩せられなかったワケなのじゃー)


―――まー、この近所ですってよ

―――銀行強盗だって?


カレーサモサを買って頬張っていると、そんな声が後ろでした。

振り向くと家電量販店前の展示テレビの前に人垣が出来ている。


ξ ´ з`)ξ「うへー。銀行強盗だってさ」


人の合間からちらちら見えるモニタにはどこかで見た顔が映っていた。

テレビ局のヘリからカメラマンが地上を走る一台の車を追っていて、その窓んとこに見えるのは……

29.
[(;、;トソン]

ξ;´ з`)ξ「あっ! トソンちゃんじゃん!」

l从・∀・ノ!リ人「運の無い奴なのじゃー」

ξ ´ з`)ξ「助けに行かなきゃ」

l从・∀・ノ!リ人「人質を取るとは許せんのじゃー、お仕置きしてやるのじゃー!」

ξ ´ з`)ξ「よーし」


 ツンは人気のない路地裏に入ると、右手を宙に差し伸べて意識を集中させた。

手の甲に浮かび上がったメダルの文様が外に飛び出し、実体化する。


ξ ´ з`)ξ「メタボリックチェンジ!」


 メダルは光を放って炸裂し、路地裏に潜んでいたネズミや犬を片っ端から追っ払った。

光の中でツンの肉体は再構築され、スレンダーなボディに変貌を遂げる。

光が収まった時、そこには頭にウサミミを携えたタキシード姿のツンがいた。

30.
頭に乗った小さなシルクハットの位置を直し、キメる。


ξ ゚⊿゚)ξ「愛・勇気・そして痩身! ハイパーメタボリックエンジェル参上!」


 とりあえずその場から真上に跳ね上がり、壁を蹴って建物の屋上に上がる。


ξ;゚⊿゚)ξ「えっと、どっちかな?」

l从・∀・ノ!リ人「頭に生えてるウサミミを使うのじゃー。意識を集中させて眼を凝らす要領で

         音を拾い集めるのじゃー!」

ξ ‐⊿‐)ξ「ん~……」


眼を閉じて心を静め、己の内側に意識を集中させる。

風の音、車の音、人々のざわめき。眼で見るようにハッキリ物音が感じられる。

ツンの頭のウサミミはぴくぴく動き、やがてその音を見つけた。


ξ ゚⊿゚)ξ「えっと……向こう! パトカーのサイレンの音がする!」

31.
l从・∀・ノ!リ人「ふむう、血の霧とは関係なさそうじゃが……」

ξ ゚⊿゚)ξ「それでもあの子は助けなきゃ! 行こう!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(;皿;トソン「ふぎゃあああああ!! ふんぎゃあああ!!」

(;`ハ´)「くそっ、大人しそうだから人質にしたのにとんだ計算違いアル!!」


 一方、逃走中のバンの車内ではトソンが狂ったように暴れていた。

両手両足をムチャクチャにバタつかせ、シートの上でのた打ち回る。


<ヽ;`∀´>「いでっ、いででで! 蹴るなこら!」

(;皿;トソン「降ろして帰して戻してーっ!! ふぎいいい!!」


ニダーが運転を担当し、シナーが後部座席でトソンを抑えつけようとしているのだが、

彼女の暴れ方がハンパでないのでどっちも上手く行っていない。

32.
 バンの尻にはパトカーのサイレンが噛み付いている。

途方もない数だ。


(,,゚Д゚)「停まれゴルァ! 逃げ切れんぞ、投降しろ!」


拡声器を通した怒鳴り声が追ってくる。

トソンに後ろから首を絞められながら、ニダーは喚いた。


<ヽ;`∀´>「ええい、シナー! そのガキを放り捨てるニダ!」

( `ハ´)「え!?」

<ヽ`∀´>「もう我慢ならんニダ! それに後ろの連中を巻き込めば多少は時間が稼げるニダ」

( `ハ´)「悪くないアイデアアル」

(゚、゚トソン「へ!?」


バンのドアを開き、シナーはシートに座ったままトソンに両足で蹴りを放った。


33.
( `ハ´)「そういう訳アル、お望みどおり降ろしてやるアル」

(;、;トソン「えっ、ウソ!?」


慌てて座席にしがみ付く彼女に執拗に蹴りを入れ、とうとうシナーは相手を蹴落とした。


(#`ハ´)「今更後悔しても遅いアル! 再見!」

(;o ;トソン「お兄ちゃ―――ん!!」


トソンが100キロ近い速度で流れているアスファルトの地面に放り出されようとした時。

バンと並行して建物の屋根の上を走っていた一つの影が地上に飛び降り、空中でトソンを受け止めた。


(;、;トソン!?」


 それはトソンを包み込む形で抱き抱え、彼女を衝撃から守りながら、一緒に地面を転がった。


(,;゚Д゚)「あっ、やべっ?!」


34.
後続のパトカーが避け切れずにこっちに突っ込んで来る。

トソンを助けた人影が一瞬のタイミングを計って片手で地面を突くと、二人の体は宙に跳ね上がった。

寸でのところをパトカーの群れが通り過ぎてゆく。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 空中で体を捻り、回転させて体勢を整えると、ツンは歩道に着地した。

人波がさっと引いて場所を開ける。


ξ;゚⊿゚)ξ「おおう! 間に合った」

( 、 トソン「う、うう……お兄ちゃん……」

ξ ゚⊿゚)ξ「大丈夫かな」

l从・∀・ノ!リ人「目を回してるだけなのじゃー。

         彼女は警察に任せてあっちを何とかするのじゃー」


幸い無傷のトソンを歩道のベンチに寝かせる。
35.
ξ ゚ー゚)ξ「ふふん、お楽しみのお仕置きタイムってわけね」


指の関節をゴキゴキ鳴らすと、ツンは走り出した。

 加速を付けて路上に飛び出し、車の屋根の上を順番に踏んで飛び移ってゆく。


ξ ゚⊿゚)ξ「そーれ、因幡の白ウサギ~!」


すぐにバンの後ろに食い付いた。

バンの屋根へ飛び移ると、そこから更に前方に飛び降りる。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


<ヽ`∀´>「ハッハー!! 作戦成功ニダ、まいたニダー!」


 後ろでは突然落っこちてきたトソンを避けようと急ハンドルを切った為、パトカーが

玉突き事故を起こして道を塞いでいる。

その光景がはるか後ろに流れてゆくのを二人は歓喜と共に見送った。
36.
( `ハ´)「故郷に錦を飾れるアル!」

<ヽ`∀´>「これでウリたちは大金持ちニダー!」


どこん。

一瞬、屋根が僅かに凹んだ。


( `ハ´)「ん? 何か屋根に乗っ……」

<ヽ;`∀´>「おお?!」


 いきなり二人の車の前方に現れたその女はしばらく先導するような形で走ると(車と同じ速度で

走ってる!?)、その場で急停止した。

勢いに負けてアスファルトを削りながら、砂煙を上げつつ1mほど滑って止まる。


ξ#゚⊿゚)ξ「鬼ごっこは終わりよ!」


 長く細いその足の爪先が地面から真上に向かって跳ね上がる。

37.
真正面からの180度開脚の蹴りはバンの鼻っ面を戦車砲のような力で蹴り上げた。

ドガァン!


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ツンが真上に蹴り上げた車は運動エネルギーを回転に変え、しばらく空中でくるくる回った。

まるで親指で真上に跳ね上げたコインみたいに。

それからツンに蹴り上げられた場所から寸分違わぬ場所へと落下する。

ガシャン!!


<ヽ゚A゚>

( ゚パ)


何の奇跡か、バンはちゃんとフロントを上にして着地した。

ただし車体のフレームは歪み、ガラスはみんな割れて取れている。


38.
ξ ゚⊿゚)ξ「降りて来なさい。今なら痛くしないわよ?」


 左手を腰に当てると、ツンは強盗二人に右手の人差し指をくいくいとやった。


( ゚パ)「な、何が起こったアル……?」

<ヽ;`∀´>「ハッ!?」


 運転席のニダーの方が早く我に返った。


<ヽ`∀´>「しっかりするニダ!! ここへ来て捕まるわけには行かないニダ!」

( `ハ´)「あ、ああ……そうアル!」

<ヽ;`∀´>「くそっ」


イグニッションキーを入れ直し、停止したエンジンに火を入れる。

フロントでプスプスと消極的な音が上がった。


<ヽ;`∀´>「ええクソ、かかれニダ!!」
39.
再び奇跡が起きた。

バンがぶるんと車体を一揺すりして駆動を始めたのだ。


<ヽ`∀´>「ハハハ! 幸運の女神はこっちにあ……」


 ツンは右手を手刀の形にしてボンネットの隙間に突っ込んだ。

ズン!!

そのまま更に奥に刺し込んでゆき、ある程度行ったら今度は手を引く。

ブチブチとかバキバキとか色々なものが千切れる音がした。


ξ ゚⊿゚)ξ「よっ」


ボンネットが勢いよく跳ね上がり、ツンの手はフロントから鉄塊を引っこ抜いた。

まだ各ピストンが余韻で稼働し、熱で陽炎が上がっている。

車のエンジンだ。

千切れたパイプからオイルや水が垂れ、折れた部品があちこちからこぼれ落ちた。
40.
ξ ゚ー゚)ξ「幸運の女神は足が速いわね。さあ、どうするの?」


片手の中でボールのようにエンジンを真上に投げては、それを同じ手でキャッチして見せる。

それを二、三度やってから今度は人差し指の上でクルクル回して見せた。

まるでバスケットボールだ。


<ヽ゚A゚>

( ゚パ)


 二人は凍り付いたように目の前を見ていた。

到底現実には見えない、その光景を。

 妹者が二人に向かって鼻を鳴らした。


l从・A・ノ!リ人 クンクン

ξ ゚⊿゚)ξ「どう?」

l从・∀・ノ!リ人「う~ん、かすかに臭いを感じるが……」
41.
ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、血の霧を持ってる人を見なかった?」

<ヽ゚A゚>「え? ええと……」

( ゚パ)「町で会った男が確かそんな……」

ξ ゚⊿゚)ξ「どんな奴だった?」

l从・∀・ノ!リ人「頭に血が巡っとらんようなのじゃー。ちょっとかき混ぜてやるのじゃ」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほい」


 ツンはエンジンを路上に放り捨ててバンの縁を掴んだ。

バンを持ち上げ、上下に激しくシェイクする。

ガッシャンガッシャンガッシャン!


<ヽ;゚A゚>(;゚パ)「ほげがげががげがががが!?」


二人の頭に十分血が巡ったあたりで手を止め、更に問い詰める。


ξ ゚⊿゚)ξ「言いなさい、どいつから血の霧を貰ったの?」
42.
<ヽ;`∀´>「ひいい、名前は聞いてないニダ!」

(;`ハ´)「麻薬アル、夜の街で売人から買ったアルヨ!」

l从・∀・ノ!リ人「麻薬……?」

<ヽ`∀´>「こっ、これニダ!」


男の一方がポケットからプラスチックの小ビンを取り出した。

今は空っぽで、ラベルもついていない。

妹者がそれに鼻を鳴らした。


l从・∀・ノ!リ人「なるほど……連中、霧を麻薬としてバラまいてるのじゃー」

<ヽ`∀´>「それ吸ったら自信満々になるニダ、欲望が何でも果たせるような気になるニダ」

l从・∀・ノ!リ人「大分薄めてあるのう。恐らく大量生産するためなのじゃー」

ξ ゚⊿゚)ξ「ねえ、その“連中”ってのは一体何が目的なの?

       そろそろ教えてくれてもいいんじゃない?」


43.
 パトカーのサイレンの音が聞こえる。

ようやく体勢を立て直したらしい。


l从・∀・ノ!リ人「ん、警察が来ると厄介なのじゃー、とりあえず話は後なのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「ああもう、しょうがないわね」


その場から離れかけて、ツンは振り返った。


ξ ゚⊿゚)ξ「おっと、このままじゃマズいかな」

<ヽ゚A゚>( ゚パ)「へ?」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 警察が現場に辿り着いた頃には、通報にあった少女の姿はなかった。

ついでにあの二人の銀行強盗の姿もない。


(,,゚Д゚)「ん?! どこ行きやがった」
44.
<ヽ;`∀´>「ここニダ!」

(;`ハ´)「早く出して欲しいアル!」

(,,゚Д゚)「……???」


声がどこかからかする。

道路の真ん中に大きな鉄の箱が落ちていた。

よく見るとそれはバンの板金を折り紙みたいに折り直して作ってあった。

 警官はそこに近寄り、耳を傾けてみた。


<ヽ;`∀´>「ここだって、この中に閉じ込められてるニダー!」

(;`ハ´)「酸素が無くなっちまうアル! 早く出してくれアル!」

(,;゚Д゚)「何てこった、手作りの独房か?!」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 強盗二人が箱ごとクレーンでトラックの荷台に積まれ、近くの板金工場へ運ばれている間、
45.
ツンは札束の詰め込まれたボストンバッグを手に銀行にやって来た。

警察が事情聴取してるところに割り込んでゆく。


(,,゚Д゚)「ちょっとちょっと、今は入っちゃ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「ほい」


制止を無視して入り、カウンターにどさりとバッグを置く。


(*゚∀゚)「えっ……これは?」

ξ ゚⊿゚)ξ「強盗が持ってったお金。ちゃーんと返したからね」


さっそうと立ち去ろうとした時、腕組みした妹者がツンの顔の前に立ちはだかった。

厳しい顔で彼女を覗き込む。


l从#・∀・ノ!リ人「ツン」

ξ;゚⊿゚)ξ「え? えっと……」

46.
“何の事?”って顔でやり過ごそうとしたが、妹者の目は誤魔化せない。

ツンは両手を合わせて拝み倒した。


ξ;^ー^)ξ「あのね、あたし自分用のノートパソコンがあればすっごく便利かなーって……」

l从・∀・ノ!リ人「後で数えたらすぐわかるのじゃー。評判がガタ落ちになるぞえ」

ξ;´⊿`)ξ トホホ


渋々シルクハットを取ると、中に隠しておいた札束を一つ取り出してバッグの上に投げ捨てる。


ξ ^⊿゚)ξ「そんじゃあ確かに全額返したわよ!

       愛と勇気と痩身の戦士、ハイパーメタボリックエンジェルは明日も悪と戦い続けます! 

       よろしくね!」


ウインクしてポーズを決め、呆気に取られている観衆に愛想を振り撒く。

妹者がぽそっと突っ込みを入れた。


47.
l从・∀・ノ!リ人「ネコババしようとしといて愛も勇気もないもんなのじゃー」

ξ;゚⊿゚)ξ「う、うっさいわね。人間なんだからそういうこともあるわよ!

       ちぇっ、あんなにあるんだからちょっとくらいいいじゃない……」


ブツブツ言いながらツンは警官が呼び止めるのも聞かず銀行を飛び出した。


(,,゚Д゚)「あっ、君! ちょっと待っ……」

ξ ゚⊿゚)ξ「それじゃあまたね! とうっ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 建物を出て屋根の上に飛び上がると、トソンと内藤の姿が見えた。

パトカーで護送されて来たトソンが内藤と抱き合っている。


(;、;トソン「ふえええ、お兄ちゃーん!」

( ^ω^)「とにかく無事で良かったお。あんまり心配かけるなお」

48.
ミ,,゚Д゚彡「良かった良かった。強盗も捕まったし一件落着だな」


ツンはニヤつきながらその光景を眺めた。

悪くない気分だ。


ξ ゚ー゚)ξ「ふーん……」

l从・∀・ノ!リ人「どうしたのじゃ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「最初は痩せる為だけだったけど、本気で正義の味方目指すのもいいかなーって」

l从・∀・ノ!リ人「それはオススメできんのう」

ξ;゚⊿゚)ξ「ネコババなんてもうしないって!」

l从・∀・ノ!リ人「そうではない。わらわの師が言ってたのじゃ。

         “自分が持て余すほどの力を持ってしまったことを、いつか後悔が気付かせる”」

ξ ゚⊿゚)ξ「どういう意味?」

l从・∀・ノ!リ人「“正義”なんて曖昧なものを第一に生きてる人間なんか下らんって事なのじゃー。

         お前は今まで通りダイエットと名声のことだけ考えてりゃええ」
49.
上空の風に髪をなびかせながら、下のトソンと内藤を見下ろす妹者の顔は、いつもより

ずっと大人びて見えた。

というか、どこか何かに疲れているようにも見える。

かつて見た悲劇が繰り返されることを憂慮しているような。


ξ ゚⊿゚)ξ「ま、妹者ちゃんがそう言うならそうしとく」

l从・∀・ノ!リ人「それがええ」


 ツンはシルクハットを取って手を入れ、中に入れておいた眼鏡を取り出した。

トソンのやつで、バンの中に落ちてたのだ。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 内藤とトソンが警官から事情を聞いていると、不意に甲高い口笛の音がした。

ピュイッ!!

思わず振り返ったがそこには誰もおらず、パトカーのボンネットに眼鏡が置いてあった。
50.

(゚、゚トソン「あっ、わたしの眼鏡!」

( ^ω^)「え、何時の間に? お巡りさんですかお」

(,,゚Д゚)「俺らは知らんぜ」


二人はあたりを見回したが、誰もいなかった。















つづく……


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

No title

これからものすごい勢いでアレがナニになってくぞ
楽しみにしてやがれよこんちくしょう

こっそり読んでるんだぜ
プロフィール

(゚q 。川カンザイ

Author:(゚q 。川カンザイ
完全犯罪(カンザイ)
プラネットライカは隠れた名作

最近のコメント
最近の記事
月別アーカイブ
FC2カウンター
ブログ内検索
RSSフィード
リンク
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。