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ハイパーメタボリックエンジェルズはっじまるよー!

 俺が酒飲んだり就職したり酒飲んだりそんな日々を送ってたらなんか知らんうちにアルファが終わってるじゃねーか!!!
これでブーン系も一つの区切りってわけですかい。
何を今更って話だけどな!



 それはそうと俺が今まで何をしていたかというと、上記の通り就職ですよ就職。
日々労働に明け暮れてたわけですよ。
ハイパープロレタリアートタイムなわけですよ。
 しかしちゃんと執筆もしたりしなかったり酒飲んだり、まあ下手に収入が増えてしまったせいか酒の量がやばいくらい増えたりしてなんかこうえらいことな日々を送ってると、そんな感じ。
最近アツいのはモヒートだ! お前ら飲んだかモヒート。
ラム+ライム+砂糖を炭酸水で割って飲むんだぜ。マジウメエ!

 酒の話はいいんだよどうでも。
そんなわけでまあ紆余曲折を経て就職も出来て俺の近況も何かと一段落だし投下するよハイパーメタボリックエンジェルズを。
そんなわけでお約束の第一話先行公開だぜ!


1.
 その城に残されているのは今やたった二人だけ。

半ば崩壊した、霧に包まれた古城。

門前、庭園、そして城の内部へと、兵士と怪物の死体が道しるべを作っていた。

廊下を突き抜け、階段を上がり切ったその最奥で、最後の死闘が決着しようとしていた。

国一つを滅ぼしかけ、万を下らない命を費やした戦いに。


(:::::::::::)「ク……クク、ククク……」


 二人は玉座の間で向かい合っていた。

今ここに至るまでに双方多くの物を失った。

目の前にいる相手によって奪われたのだ。


(:::::::::::)「ハハハハ……ハハハハ!!!」


相手に顔を掴まれた片方は、狂ったように笑っていた。

もう片方は身じろきもしない。


(:::::::::::)「貴様を、いや人間ってもんを見直したね僕は。

      まさかあの罠を乗り切ってくるとは……!」


 相手はやはり答えない。

その男を掴んだ手の甲には剣を抽象化した文様のようなものが刻み込まれている。

その文様が光を発した。


(:::::::::::)「彼はどうだった? 命乞いをしたのか? 君に愛してると告げたか?」

―――黙れ!!


 もう片方が初めて口を開いた。

ほとんど悲鳴のように、相手の言葉を掻き消すかのように。


―――許さない……お前だけは絶対に許さない……!


溢れんばかりの光は嵐のように部屋の中を渦巻いた。

その荒れ狂う暴風が千の刃となり、男の体をばらばらに切り刻んでゆく。

 男の体は煙か霞のようにおぼろげで、千切れた部分をすぐに再生しようと動き出すのだが、

嵐の勢いにはかなわない。

男の体は徐々に減っていった。


(:::::::::::)「ぐあああああ!!」


断末魔の悲鳴が上がる。

だがその身を断裁される苦痛に晒されながらも、男は続けた。


(:::::::::::)「何千年かかっても僕は甦ってみせる。

      霧は例え刻まれても、断片までも完全に掻き消すことはできないのさ!」

―――……

(:::::::::::)「僕はいったんこの場を退くに過ぎない。次に会った時は……」


とうとう光の嵐が男を散り散りに引き裂き、一片足りとも残さず完全に消え去った。

 手の甲に文様がある方だけがただ一人、荒れ果てた部屋に残された。

そこに宿敵を打倒した達成感や喜びはなく、ただ虚空だけがあった。


―――あああああ!!


か細い悲鳴が暗い空気を引き裂く。














 これから始まる物語は、それから数百年も後のこと―――



1.
 ここはみんなが楽しく暮らす町、VIPニュータウン。

この日の朝も通学路は青春を満喫するヤングボーイ・ヤングガールで溢れている。

朝の一番賑やかな時間だ。


ミセ*゚ー゚)リ(゚、゚トソン キャッキャウフフ (・∀ ・)( ><)


 丘を一つ切り開いて作った新興住宅街の、一番端っこにある小さな家では今、一人の少女が

眼を覚ましたところだった。

のそのそとベッドから這い出し、目覚まし時計を叩いて止める。

 シャツを着替えようとした時に首が襟に引っ掛かり、ちょっと手間取った。

襟が破けんばかりに力を込め、やっと頭を通し、そして溜め息。


ξ ´ з`)ξ「ん~、また太った……」


ハイパーメタボリックエンジェルズのようです

#1 津田ツンの日常
2.
 このウーパールーパーみたいな顔の、やや……もとい、かなりポッチャリ気味の少女は津田ツン。

信じられないことにこの物語のメインヒロインである。

足に靴下を通し、鏡の前で髪に櫛を通すと、通学カバンを持って階下に下りた。


ξ ´ з`)ξ「おはようございまふ」

('A`)「姉ちゃんおはよう」

J( 'ー`)し「おはようじゃないよ、もうこんな時間だよ」

ξ ´ з`)ξ「ブヒヒwwwwwサーセンwwwwww」

('A`)(この豚め)


 食卓についてピーナッツバターを死ぬほど塗りたくったパンを口に運ぶ。


ξ ´ ~`)ξモグモグ「お父さん、また徹夜?」

J( 'ー`)し「あの会社が抱えてんのはボンクラ漫画家ばっかりだからしょうがないよ」


ツンとその弟ドクオの父親は漫画雑誌の編集者で、締切前になると家に帰れなくなる。

月末になると彼なしの朝食は珍しくない。

 ツンは二枚目のパンにチョコレートソースを塗り、スライスしたバナナを乗せた。


(;'A`)「姉ちゃん、毎朝言ってっけどそれ止めとけよ!

    朝からそんなもん食ってたら肝臓が死ぬぞ」

ξ ´ ~`)ξモグモグ「ほっといてくらはい」

J( 'ー`)し「野菜も食べな。そんなお菓子みたいなものばっかじゃ体に悪いよ」


 大嫌いなプチトマトが乗っているサニーレタスのサラダを見下ろした後、ツンはそれを

見なかったことにした。


ξ ´ з`)ξ「パス1。行って来ます」

J(#'ー`)し「パス1って毎朝パスしてんじゃないかい!」


 母親の小言をスルーし、足に靴を突っ込んで家を飛び出す。

体中についた贅肉を揺すって、いかにも緩慢で億劫そうな動きだ。


ξ;´ з`)ξ「いやあ、でも運動しないとなあ。ドクオの言う通りだよー」


とりあえず歩きながら上半身を左右に回したり腿上げをしたりしてみる。

バス停に辿り着く頃にはすっかり息が切れていた。


ξ;´ з`)ξ「フゥ、フゥ。これで2000キロカロリーくらい使ったかな?」

川 ゚ -゚)「誰だこんなところにボンレスハムを捨てたやつは」

ξ ´ з`)ξ「あ、クーちゃん。お願いだから朝っぱらからイヤミはやめて下さい……」

川 ゚ -゚)「お前のためを思って言ってんだ。おはよう」

ξ ´ з`)ξ「おはようございまふ」


 同じ制服を着た生徒を満載したスクールバスに乗り込む。


川 ゚ -゚)「今日から体育祭の練習だな」

ξ ´ з`)ξ「ふーん。そうなの」

川 ゚ -゚)「他人ごとみたいに言うなよ。競技の割り当てがあるぞ」

ξ;´ з`)ξ「えぇ……」

川*゚ -゚)「文系のオタどもが恐怖に凍り付くさまが目に浮かぶぞ。

     コンプレックスを丸出しにして恥をさらす様……ククク、たまらんな」

ξ;´ з`)ξ「クーちゃんってばドSなんだからもー」

ξ ´ з`)ξ(それにしてもまたこの季節かー。やれやれ……)




運動会、球技大会、体育祭。

これらはツンにとってまさに呪われた行事だった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 さて、VIP中学校一年生の一時間目。

体操服に着替えたツンのクラスの面々は校舎を出、体育館前に集まった。

体育教師がホワイトボードを引っ張ってやってくる。


( ゚∋゚)「ダッシャア! 今年もこの季節が来たな、お楽しみの体育祭だ!

     運動嫌いの連中の苦痛に満ちた表情、最高だな!」

川*゚ー゚)「フフフ……よくわかりますぞ先生」

ξ;´ з`)ξ(何でこんなやつばっかりなんだー)


 万能の運動神経を持つクーを筆頭に、まず体育会系たちが順番に表に名を連ねてゆく。

残りものにツンのようなヘボの名が乗るわけだ。


( ゚∋゚)「素直は短距離リレー、中距離リレー、障害リレーと三つ又か。

     無理するなよ」

川*゚ -゚)「フフフ、脱落者の顔を最前線で見る為です。

     追い抜かれた瞬間、自分が負け犬に成り下がったと知った対戦相手の顔を見るとわたしは……

     わたしは、もう!」

( ゚∋゚)「男子の筆頭はまたんきか」

(・∀ ・)「オス、しゃあっす」


隣に腰を下ろしていたミセリがヒソヒソ話しかけてくる。


ミセ*゚ー゚)リ「またんきくんてカッコイイよね」

ξ ´ з`)ξ「んあ。そーだねー」


ツンはああいう感受性が機能してないタイプの男子は苦手だった。

チラッと男子の方を見る。


ξ ´ з`)ξ「んーとねー、あたしはどっちかって言うとー……」

(;><)「運度は苦手なんです……」


 運動はいまいちだが頭が良く、地味にオシャレで誰にでも優しいビロードくん。

線の細い美少年で密かに女子の人気が高い彼は、高値の花ではあるのだが……


ミセ*゚ー゚)リ「え~? 誰誰~?」

ξ*´ з`)ξ「ブヒヒwwwww秘密でございますwwwwwブフォwwww」

ミセ*゚ー゚)リ(うわあ、照れてるけど全然かわいくない)

( ゚∋゚)「えーと、津田の二人三脚の相手がいないな。そんじゃ余ってるしビロードで」

ξ*´ з`)ξ(;><)「えええええ!?」

(;><)「ちょっと先生、何で僕だけ女子と組むんですか!」

( ゚∋゚)「人数が足んねえんだよ。細けぇ事ぁ良いんだよ!」

( ><)(大きくなったら体育会系だけが死ぬ細菌兵器を作ろう)


クックル先生はツンの名前の隣にビロードの名前を書き込んだ。


( ゚∋゚)「じゃあ、残り時間で各自担当の競技を練習しとけ」


――――――――――――――――――――――――――――――――――― 


 何故だかいきなりツキが回ってきたようだ。

ツンは熱くなってくる頬に両手を当てた。


ξ*´ з`)ξ(うーん、意外なところで役得じゃないですかー。嬉し恥ずかし悶絶死~)

( ><)「よろしくなんです、ツンちゃん」

ξ*´ з`)ξ「んー、こっちこそねー」


 他のクラスメイトがグラウンドに出て各々練習をする中、ツンとビロードは挨拶を交わした。

両の足首をハチマキで結んでから、肩を組む。


*リ´・-・リζ(゚ー゚*ζ(*‘ω‘ *)


女子たちが何となくこっちを見てる感じ。


ξ*´ з`)ξ(おっと、感じますよ嫉妬の視線を!

        うーん、今だけはあたしがビロードくんを一人占め~!)

*リ;´・-・リ(あれってバランス悪すぎじゃない?)

ζ(゚ー゚*ζ(ビロードくんが枯れ枝のように痩せて見えるわ……)

(*‘ω‘ *)(転んだらビロードくんが潰れそうだっぽ)


そんな思惑はさておき、ビロードが声をかける。
10.

( ><)「それじゃ最初は内側で、それから次に外側の順番なんです」

ξ*´ з`)ξ「おkおk」

( ><)「まずは無理しないでゆっくり……GO!」


 好きな男の子と密着してる幸福で頭がぼんやりしていたツンは、いきなりタイミングを外した。

足を出すのがビロードよりずっと遅れたせいで、彼は前につんのめった。


(;><)「わああ!?」

ξ;´ з`)ξ「あ、ごめ……」


咄嗟に相手と重心を合わせてバランスを取ろうとし、ツンも前屈みになる。

そのまま彼女は思い切り正面に倒れ込んだ。


ξ;´ з`)ξ「あぶふっ」

(;><)「あ、大丈夫なんですか?!」

ξ;´ з`)ξ「うーん、何とか……」

( ><)「ほら、立っ……」

ξ ´ з`)ξ「あ、そっちに動か……」


 まったく息の合ってない動きに、二人は再び一緒に地面に倒れた。

グラウンドに砂埃を上げて顔から突っ込む。


ξ;´ з`)ξ(;><)「ひぎい!!」

( ><)「いたた……ツンちゃん、立てますか?」

ξ ´ з`)ξ「立てません。もうこのままあたしを引きずってって下さい」

(;><)「そ、それは多分、絶対無理……」


周りから笑い声が上がる。


川*゚ -゚)「おいしい! おいしいぞ、ツン!

     お前のその無様な姿にわたしは興奮した!」

<ヽ`∀´>「ビロードも災難ニダ。足首にハムくくりつけて走るのは無理ニダ」

(・∀ ・)「運が悪かったな」

ミセ*゚ー゚)リ「ちょっと男子~、黙りなさいよ~」


倒れたままツンは涙を飲んだ。


( ><)「やれやれなんです」

ξ ; з;)ξ(ウウウ、カッコ悪すぎ……ビロードくんにも嫌われたし)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 その日の夕方、中学からの帰り道。

足を引きずり、うなだれるツンの肩をクーは満面の笑みで叩いた。


川 ゚∀゚)「人生七転び八起きだぞ!」

ξ;´ з`)ξ「そんな死ぬほど嬉しそうに言われてもー……」

川*゚ -゚)「お前が本番でどんな恥を晒すのか、もう本当に期待してるんだ。

     ああ楽しみだ、どんな惨めな格好でわたしの欲望を満たしてくれるのか……」

ξ ; з;)ξ「うええん! クーちゃんのバカァ!」

川 ゚ -゚)「んじゃまた明日」

ξ ´ з`)ξ「またねー」


この二人はおかしな関係で、何故かこんな状態で十年以上も友情が続いている。

ツンはドエムなのかも知れない。

 友人と別れ一人家路につくと、やはり憂鬱な気分になってきた。


ξ ´ з`)ξモグモグ(ああ、明日からほぼ毎日練習があるのかー。やだやだ)


コアラのマーチを口に放り込みながら考え事を続ける。


ξ ´ з`)ξ(痩せなきゃなー。痩せなきゃなんないんだけどなあ……

         よっしゃあ痩せるぞ! って決意だけは毎日のよーにしてるんだけど)

ξ ´ з`)ξ「あ、眉毛付き……ん?」


つま先に何かがぶつかった。

地面を見ると道路に何かが転がっている。

見慣れない素材で出来たぬいぐるみで、泥にまみれている。


ξ ´ з`)ξ「誰からも見捨てられ、道端に放り出された人形……

        ああ、まさに今のあたしと同じ境遇……いや、そこまでひどくないか」


 拾い上げて手に取ると、何となく愛着が湧いてくるのを感じた。

このまま捨てていくのは惜しい。


ξ ´ з`)ξ(もらっとこう)


カバンに押し込み、ツンは再び歩きだした。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 さて、ツンの一番楽しみにしている夕食の時間。

今夜はよりによって大好物の油もののオンパレードだった。


ξ ´ ~`)ξモグモグ「いただきまーす」

J( 'ー`)し「もう食ってるじゃないかい」

('∀`)「うめぇうめぇ」

J( 'ー`)し「天ぷら油が悪くなりかけてたからねー。今夜は油祭りだよ」

(*'∀`)「肉天! 肉天!」

ξ*´ з`)ξ「エビ天! エビ天!」


天ツユに浸しかけたところで、帰宅時の誓いを思い出す。


ξ ´ з`)ξ「……」

ξ;´ з`)ξ「半分にしとく」

('A`)「ま――――たダイエットかよ! これで何度目だ」

ξ ´ з`)ξ「ほっといて下さい……」

ξ;´ з`)ξ「だけど半分くらいは食べても……もう半分……最後の半分~」

ξ*´ ~`)ξムグムグ「ウマバウワー」

('A`)(結局全部食ってんじゃねえか)


 夕食後、自分の部屋に戻ったツンは流石に自己嫌悪に陥った。

……食後のアイスクリームを食べながら。


ξ ´ з`)ξ「トホホ。何でこう自分で決めたルールが守れないのやら」


 カバンから昼間拾った人形が覗いている。

それを引っ張り出してウェットティッシュで拭く。

幸い汚れは浅いものばかりで、すぐに新品同様に綺麗になった。

なかなかかわいい人形だ。これは得をした。


ξ ´ з`)ξ「買えば1500円はするなこれは。儲けた儲けた」


人形を棚に飾り、ツンは窓の外に見える夜空を見上げた。

スッと一つ、夜空を光が切り裂く。


ξ ´ з`)ξ「あ、流れ星」

ξ - з-)ξ(どうか痩せられますように……痩せられるんなら何でもします……)


 ツンはお気に入りのなると模様のパジャマに着替え、ベッドにのそのそ潜り込んだ。

明日もまた体育祭の練習だと思うと憂鬱だ。


ξ ´ з`)ξ(あたしは一生豚のままかなー。イヤだなー。

        痩せたらやりたいこといっぱいあんのになー……)

ξ ´ з`)ξ「……」

ξ - з-)ξ ZZzzz


 どんな時でも寝付きだけはいい。

あっという間に睡魔に襲われて眠りに落ちた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 深く暗く、重みを持つ水の中へ沈んでゆくような感覚がある。

どこまでもどこまでもツンの体は落ちてゆく。

水圧で潰されそうな気がしたが、想像に反して体が軽くなるのを感じた。

まるで羽が舞い落ちるように軽く、軽く――――――


ξ   )ξ(何かフワフワするなー)


とうとうツンの体は底についた。

誰かに抱き抱えられているように静かにそこに横たわり、落下は止まった。


―――起きろ、ツン。いつまで寝てるんじゃー


どこかでおぼろに声がする。

霧のはるか彼方から聞こえてくるような幽玄とした声で、男女や年齢の区別はつかない。


ξ   )ξ(誰?)

―――いいから起きるのじゃー


瞼を持ち上げる。

周囲には光が満ちていた。

室内のようでも、屋外のようでもない。

何もない白い空間がどこまでも広がっていて、シャボン玉みたいな大小の泡があちこちを漂っている。


ξ   )ξ(ここはどこ?)

―――お前の夢の中なのじゃー

ξ   )ξ(夢……?)

―――立ち上がってみるのじゃー


言われた通り、床だか地面だかに手を突き、体を起こす。

体の中がからっぽになってしまったように軽く、ツンはこれまでにない軽やかな動きで立ち上がった。

屈伸したり上半身を左右に振ったりしてみると、気持ちいいほど体がよく動く。


ξ   )ξ(どうなってるんだろう)

―――シャボン玉の中を覗いてみるのじゃー

ξ   )ξ(ん)


ちょうど大きなシャボン玉が一つ、足元から湧き上がってきたところだ。

ツンはその中を覗き込んだ。

自分でない、知らない女の子がその中でこっちを見返している。


ξ ゚⊿゚)ξ

ξ ゚⊿゚)ξ「誰?」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

∩ξ ゚⊿゚)ξ サッ


右手を持ち上げてみると、向こうの女の子もマネをする。

それから手で自分の顔に触れたり笑ったりしてみて、ようやく理解した。

そこにいるのが鏡像の自分であることを。


ξ;゚⊿゚)ξ「ひぎい!?!? ややややや痩せてるううううう!!!」


卒倒せんばかりの衝撃。


ξ ;⊿;)ξ「ゆ、夢じゃないかしら……」

―――だから夢だっつってるじゃろが

ξ -⊿-)ξ「な~んだ……ガックリ」

―――ところでそのファッションはどうなのじゃ。なかなかのセンスじゃろ


膝の下までしかないスラックスを履いた、タキシードのような服装で、妙に体にフィットしている。

足首から腰までボディラインが露わになっているが、あまり恥ずかしさは感じなかった。

今はむしろこの細さが誇らしい。


ξ ゚⊿゚)ξ「手品師みたい」


頭の上には小さなシルクハットが乗っかっている。

 同時にツンは自分の頭から生えている二つのウサミミに気付いた。

バニーガールみたいなあれだ。

思わず引っ張って見るが、取れない。


ξ;゚⊿゚)ξ「これは? ……イデデ、あれ、頭から直接生えてる!?」

―――聴覚拡張デバイスなのじゃー。音が良く聞こえるようになるぞえ

ξ ゚⊿゚)ξ「なんか尻尾も生えてるし」


お尻にくっついてるフワフワの球体に触れてみる。


―――それはただの飾りなのじゃ。さて、あそこにシャボン玉が見えるじゃろ。顔つきのやつ

ξ ゚⊿゚)ξ「んー、あれかな」


10mほど離れたところに、憎たらしい顔が描かれたシャボン玉が浮かび上がった。

直径は1mくらいだろうか。

ぽこぽことどんどん浮かび上がってきて、ツンを取り囲む。


(`∀´)(`∀´)(`∀´)(`∀´)(`∀´)

ξ ゚⊿゚)ξ「ありゃなんですかい?」

―――これからちょっとしたテストを受けてもらうのじゃー

     あのシャボン玉の攻撃をかわし、すべて撃破するのじゃー

ξ;゚⊿゚)ξ「テスト?! テストって何の?」

―――イヤでも受けてもらうのじゃ。そら、来るぞ

ξ;゚⊿゚)ξ「あの、ちょっと、もう少し詳しい説明しぐぶっぼ」


突然背後にいたシャボン玉が背中にぶつかって来て、ツンはつんのめって顔面から地面に突っ込んだ。

顔が地面に突き刺さらんばかりの勢いだ。


(`∀´)シャボーン

ξ ;⊿;)ξ「いったあああい!」

―――ぼさっとするでないのじゃ。ほれほれ

ξ;゚д゚)ξ「ひいいいい」


何とか起き上がったもののどうすることも出来ず、両手を頬に当ててオロオロする。

すかさず今度は右側から突進してきて、その弾力に富む体でツンを空中へ跳ね上げた。

ボヨーン。


ξ;>⊿<)ξ「ギョヘー!!」

―――お前の悲鳴はかわいくないのう

ξ;゚⊿゚)ξ「ほっといて下さい!」


空中を毬のようにくるくる回転しながら飛びあがったツンの体を、着地地点にいた別の玉が再び

空中へと弾き返す。

地面が近づいて来るとまた別のシャボン玉が……


ξ;>⊿<)ξ「ほげえええ!!」


(`∀´)シャボシャボ

(`∀´)シャボボボボ

―――お前、笑われてるのじゃ。カッコ悪すぎなのじゃー


両手両足をひたすらバタバタさせながら、なすすべなくパスを回されるツン。

バレーボールのボールようだ。

しかし遊ばれていることにだんだん怒りが募ってきて、ツンは感情に任せて行動に出た。


ξ#゚⊿゚)ξ「こ、このやろ!」


次の着地の際、待ち構えていたシャボン玉に空中で蹴りを放つ。


(`∀´)シャボッ!?


シャボン玉は蹴りを受けて一瞬大きく凹み、それから反発力で遠くへ吹っ飛んで行った。

別のシャボン玉が体当たりを仕掛けてくる。


ξ ゚⊿゚)ξ「おっと!」


これを側転でかわす。

いつもの自分からすれば信じられないくらい体が良く動く。


(`∀´)シャボボ

ξ ゚ー゚)ξ「アハハ、すっごい! よっと!」


軽くパンチを放つと、これもまた遠くへすっ飛んでゆく。

 馬鹿の一つ覚えのように体当たりを仕掛けてくる三つ目に向かい合い、ツンは腰を落とした。

両手の拳を組んでトスの体勢を取る。


ξ ゚ー゚)ξ「それっ!」

(`∀´)ボヨーン


相手の勢いを利用する要領で真上に跳ね上げる。

自分もジャンプして空中のシャボン玉に肉薄し、弓のように思い切り体を反らした。


ξ ゚⊿゚)ξ「あたしの番だぞ! オンドリャー!」


今度はこっちがバレーのアタックだ。

シャボン玉は隕石のように地面へ叩き落とされ、残りの二体を巻き込んで飛んで行った。


(`∀´)シャボ―――――――――――――ン

ξ ゚ー゚)ξ「やったあ! どんなもんだーい」


飛び跳ねて喜ぶツンに対し、声は満足げに答えた。


―――うむ、悪くないのじゃ。だがこれならどうかな?

(`∀´)(`∀´)(`∀´)(`∀´)(`∀´)


 はるか彼方へ飛ばされたシャボン玉たちが集まって来て、一か所に固まった。

お互いの体が溶け合い、くっつきあって一つになる。


ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ、キングスライム!」

(  `  ∀  ´  )シャボボボオオン!!!

ξ ゚⊿゚)ξ「ふんだ、どうせ中身は空気じゃない。トリャー!」


ツンは勢いに任せて相手に駆け寄り、飛び蹴りを放った。

まっすぐに伸びた足が巨大なシャボン玉に突き刺さる。

 風船に人差し指を押し当てたようにその体は大きく凹みはしたが、ものすごい弾力によって

ツンの体は弾き返された。


ξ;>⊿<)ξ「グヘッ!」


またも地面と強烈な抱擁を味わう事となる。


ξ ;⊿;)ξ「いったああい! 夢なのに超痛い!」

―――イメージとしての苦痛だけなのじゃー

     目覚めたら傷が残ってるってわけじゃないから安心するのじゃー

ξ;゚⊿゚)ξ「差し当たり今痛いのはどうすりゃいいのさ」

―――ところでそんなこと言ってる場合かえ、ほれ?

ξ ゚⊿゚)ξ「へ?」


あたりを見回すが、シャボン玉キングがいない。

あの巨体でどこへ隠れた?


ξ ゚⊿゚)ξ「ん!? あ、あれ……!?」

―――ヒントをやるのじゃ。上

ξ ゚⊿゚)ξ


自分の周囲に影が落ちていて、しかもそれは徐々に大きくなりつつあった。

ツンは天を仰いだ。


(  `  ∀  ´  )


シャボン玉が落ちてくる。

何をするにももう遅すぎた。


ξ ゚д゚)ξ「ふぎゃあああああ!!」


ズン!

砂埃が舞い上がり、シャボン玉キングの足元を覆い隠す。

それが落ち着いた頃には、その半透明の体を透かして地面で潰れているツンの姿が見えた。

地面に大の字になり、人型に出来た穴に埋まっている。


―――こりゃ、見込みなしかのう

(  `  ∀  ´  )シャボボオオ……

( ;`  ∀  ´  )!?


シャボン玉キングの体が僅かに浮き上がった。

ξ#゚皿゚)ξ「んぎぎぎ……ナ、ナメんじゃないわよ……!」


歯を食い縛って相手の巨体を掲げ上げたツンの姿が、地面とシャボン玉の狭間に現れた。


ξ#゚皿゚)ξ「そぉい!!」


そのまま全力で投げ捨てる。


( ;`  ∀  ´  )シャボボオオ――――――ンン!!!


相手がぼよんぼよんと跳ねながら地面を転がってゆくのを見届けると、ツンは顔の汗を手の甲で

拭いながら胸を張った。


ξ;゚⊿゚)ξ「ぜえぜえ……ど、どんなもんよ」

―――ほほう、デブは総じて根性無しだと思ってたが……

ξ ;⊿;)ξ「うっさいわね! デブって言わないでよぉ!」

―――ところでまだ終わってないのじゃ。見てみるのじゃ


声に促されて見てみると、シャボン玉キングは平気そうな顔で当たりを跳ね回っている。

余裕シャクシャクって顔だ。


(  `  ∀  ´  )シャボン シャボン


ξ;゚⊿゚)ξ「げえー。どうすりゃいいのよ、あれ……」


―――まあそろそろ助け船を出してやってもいいかのう

     あれに人差し指を向けてみるのじゃ。両手の指を組んで、銃で狙うみたいに

ξ ゚⊿゚)ξσ「カンチョーみたいに?」

―――あ、あ~……まあ、そういう言い方もあるかのう

   そしたら体中の熱を指先に集めるような感覚で力を集中するのじゃー

ξ;-⊿-)ξσ「ん、ん~と……」


足のつま先から熱をかき集めると、徐々に冷たさが這い上がってくる。

同時に頭のてっぺんでも同じことが起こり、熱と引き換えにちょっとだけ寒気があった。

上半身の熱が右肩、下半身の熱が左肩に収束し、更に腕の先へと伸びて行く。

とうとうそのすべてが右手の指先に集まってきた。

爆発しそうな熱を感じたが、不思議と苦痛はない。


ξ;゚⊿゚)ξ「わわわわわわ! どうすりゃいいのこれ!?」


パワーの奔流に髪と燕尾がはためいた。


―――狙いをあのシャボン玉につけて引き金を引くのじゃ。頭の中でじゃ

ξ;゚⊿゚)ξ「あ、頭の中って、わかんないよそんなの!」

―――ふむ、トリガーとなる言葉があるといいかも知れんな

     んー……“カロリーブレイク”でどうじゃ

ξ;゚⊿゚)ξ「カロリー!?」

―――ブレイクが抜けとる

ξ ゚⊿゚)ξ「カ、カロリーブレイク!」


指から溢れ出した熱と光は、指先で球体となって凝固した。

ツンの口から言葉が発せられると同時にそれは限界を越えて弾け、弾丸のように発射された。


ξ;゚⊿゚)ξ「うわっ」


反動に思わず尻餅をついて引っくり返る。


(  `  ∀  ´  )シャボッ!?


放たれた光の弾はシャボン玉キングに吸い込まれてゆくように命中した。

今までと同じように体が凹んで衝撃を吸収しようとしたものの、堪え切れずに貫く。

中の空気が穴に殺到し、パチンと弾けて破裂する。

光の玉は役目を終えると更に小さい光の粒になって霧散した。


ξ ゚⊿゚)ξ「すっごーい……」


 半ば放心してツンは感想を漏らした。

      レイガン
ξ ゚⊿゚)ξ「霊丸みたい」

―――いいぞいいぞ、悪くないのじゃ。お前を選んだのは正解だったようじゃ


声はいかにも満足げだ。


―――こいつを貸しておくのじゃ


光の帯がどこからかシュルシュルと湧き出してきて、ツンの目の前に集まってきた。

お互いに絡み合い、結び付きあって、一枚のコインに変化する。


ξ ゚⊿゚)ξ「おっと」


ツンが思わず両手を差し出すと、その中に落ちてきた。

五百円玉くらいの大きさで、不思議な文様が刻みこまれていた。

ステッキとシルクハットを抽象化したもののようだ。


―――それはメタボリックチェンジする為に必要なのじゃ。なくすでないぞ

ξ ゚⊿゚)ξ「チェンジ……?」

―――説明はこんなとこなのじゃ。さあ朝じゃ、お前はそろそろ目を覚ます時なのじゃ


何が何だかわからないまま声は遠ざかってゆき、消えた。

同時にツンの体に忘れていた筈の重量が戻ってくる。

どんどん重くなって重くなって、とうとう自分の重さに潰されてしまうんじゃないかって時、

ツンは耳元で目覚まし時計が鳴るのを聞いた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ジリリリリリリ!!

けたたましいベルの音でツンはベッドから飛び起きた。

スイッチを叩いて目覚ましを止め、机に飛びついて卓上鏡を見る。


ξ ´ з`)ξ


 普段通りのウーパールーパー顔だ。

夢だとわかってはいたものの、それでも落胆は隠せない。

大げさに肩を落として溜め息をつく。


ξ ´ з`)ξ「ちぇ。やっぱり夢かぁ……」

l从・∀・ノ!リ人


 棚の上に置いておいた筈の人形が何故か机の上に立っている。

彼女は腕を組み、ニッと歯を向いて笑った。


l从・∀・ノ!リ人「実は夢ではないのじゃー。おはようなのじゃ、ツン」

ξ ゚ з゚)ξ











つづく

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就職おめ。
言いたくなければ言わないで構わないんだけど、バイト先だったスーパーの社員?

No title

生きててさーせん
投下はもうしばらく待つがよろし

生きててよかった
ガチで酒に溺れて昇天なされたかと心配したぜ!
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完全犯罪(カンザイ)
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