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( ・∀・)君だけが僕の天使のようです(゚、゚トソン 中編

 原作ではトソンに当たる娘がどもりがちに喋る。
どうでもいいけど。
1.
(;・∀・)「ごっ……五千万!?」

(゚、゚トソン

( ・∀・)「確かか?」

(゚、゚トソン「地下室に隠してあったのを、掃除してた時に偶然見つけちゃったの。

     たまにお婆さんが地下で何かしているから、不思議には思ってたけど」


 金を数えてたってわけだ。

飽きもせず、昔話に出てくる悪いお金持ちみたいに。







 君だけが僕の天使のようです 中編

(原作 ジム・トンプスン『死ぬほどいい女』)



2.
 胃の底がざわつき、今度は僕の方が完全に落ち着きを失くしていた。

忙しなく部屋の中を歩き回り、親指の爪を噛む。


( ・∀・)(あのケチな因業ババアが何故そんな金を……

      それだけの金がありながら、何故あんなにボロ屋敷に……

      いや、そんなのどうでもいい。金は金だ)

(゚、゚トソン「おじさん」

( ・∀・)「ん? ああ、いや。とにかくその金を持って逃げるのはマズイよ」

(゚、゚トソン


 絶望的な顔をする彼女に、僕は慌てて取り繕った。


( ・∀・)「君を助けられないってわけじゃない。

      だけどあのババアは君が逃げ出したってわかったら確実に金を数える筈だ。

      間違いなく、真っ先にそうする」

3.
(゚、゚トソン「うん……きっとそうすると思う」

( ・∀・)「となれば警察に追い回されるのは僕らだ。

     僕が君に命令して金を盗ませたと言うことになってしまう」

(゚、゚トソン「……」

( ・∀・)「君は怪しまれないうちに帰った方がいい。送るよ」

(;、;トソン「おじさん、わたし……」


 僕は立ち上がった彼女をそっと抱き締めた。

彼女は柔らかくて、儚くて、いい香りがした。

トソンという存在が今この瞬間、この世の何よりも愛しかった。


( ・∀・)「僕の為にしてくれたんだろ? ありがとう。すごく嬉しい」

(;、;トソン「うん……うん」

( ・∀・)「一つだけ聞いておきたい。君は……もし僕が……」

(゚、゚トソン「?」
4.
( ・∀・)「あのババアが殺されたとしても、君は悲しまない?」


 トソンの手が、僕の服の裾を強く握るのを感じた。


(゚、゚トソン「悲しまない。例えあなたが殺すのだとしても」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 トソンをバス停まで送ると、僕は車の中で動揺し始めた。

絶望的なまでの動揺だった。


(;・∀・)(じょ……冗談だろ、おい?

      あのババアをぶっ殺して金をいただくってのか?

      僕に人が殺せるのか?! 人間はゴキブリじゃないんだぞ)


 トソンの手前あんな事を言ってしまったが、今は不安で仕方ない。


5.
( ・∀・)(ロクな飯食ってないせいだ。きっとそうだ。

      留置所の飯のせいで脳みそに栄養が回ってない。何かいいものを食おう)


 そこでいつも行くとこよりも多少マシなレストランに入った。

勤め先の近くにあるやつで、前を通りかかった事はあるけど入った事はないって店だ。

僕の給料じゃ、そうそう来れないとこなんだよ。


( ><)「いらっしゃいませなんです。こちらのお席にどうぞなんです」

( ・∀・)「ん?」

('A`)「お」


 相席するには最低の相手を見つけてしまった。

だがここまで来てくるりと回れ右して帰るとか、別の席に着くってわけにもいかないだろ?

僕は仕方なくドクオの前に腰を下ろした。


('A`)「奇遇だな。こんなとこで」
6.
( ・∀・)「ああ、まったくね。あ、僕はステーキとフランスパンのスープ付きとサラダ」

( ><)「オーダー入りましたんです!」

('A`)「嫁さんはどうした? 仲直りしたのか?」

( ・∀・)「まあね。飯を作ってくれるほど機嫌が直ってないけど、まあ何とか」

('A`)「まあ、丁度いい。お前とは話を付けとかなきゃな」


 奴はビールを呷り、口元をペーパーナプキンで拭った。


( ・∀・)「話って?」

('A`)「そういう態度はよせって。三十三万も何に使ったんだ?

   雨で営業不振なのはみんな同じなんだぜ」


 関係ないねって言いたいがそうもいかない。

向こうとしても、僕が再び金をくすねないように探りを入れているんだろう。

何か適当な答えを用意せにゃあ。

7.
( ・∀・)「あー……えーと、ダイレクトメールが来たってヤツ、話したっけ」

('A`)「前に話してたアレか? どっかの土地を買わないかって」

( ・∀・)「そーそー、みんなで金を出し合って土地買うってのさ。

     その土地には近い将来鉄道が通るってんで、地価が間違いなく高騰するから……

     そしたら高値で売って、その金をみんなで分配するって……」

('∀`)「……それに引っかかったんじゃないよな?」

( ・∀・)


 ドクオの顔から笑みが消えた。


('A`)「呆れたな、オイ! ちゃんと引っかかる奴がいるんだな」

( ・∀・)「高い授業料だったよ」

('A`)「まあ、勉強になっただろ?」

( ・∀・)「あんたが言うと説得力があるな。

      身代金を数えたんだろ?」
8.
('∀`)「そうそう、もう十年も前になるかな……」


 これは奴のお気に入りの話題なんだ。

少なくともこの話をしている間だけは、説教を口にせずにいてくれる。


('∀`)「VIPストア本社の社長の子が誘拐されてなあ。

   そりゃあ大騒ぎになったもんだ。

   俺は社長直々に頼まれて銀行員と一緒に金を数え、バッグに詰めた。

   それで……」

( ・∀・)(うーん、牛肉ってこんな味だったのか。

      豚と鳥ばっかりだからな、最近)


 僕はステーキを食いながら適当に相槌を打った。


('A`)「テレビのレポーターがボケだったんだよ。

   札の番号がみんな控えてある事をテレビでバラしやがったんだ」
9.
( ・∀・)「へえー」

('A`)「今でも忘れねえ、アカヒテレビのアサピーって野郎だ。

   おかげで金は届けたものの、子供は戻らなかったってわけ」

( ・∀・)「ふーん。殺されたんだろうな」

('A`)「まあな。今頃どっか山奥で骨になってるだろ。

   社長は失意のまま辞任、社内の勢力図はあっという間に塗り替えられ、俺はここに

   出向という名の左遷を食らい……」

( ・∀・)「すんません、ビールおかわり」

( ><)「はーい、ただいまなんです」

('A`)「今も不遇をかこっている、というわけなんだ」

( ・∀・)「あー、心に響くストーリーだね」

('A`)「まあ、お前も諦めねえで気張るこった。

   んじゃ、明日も早いんでね。お先」


10.
 奴は身勝手な慰めを口にし、席を立った。


( ・∀・)(何がお前も諦めねえで、だ)


うるさい奴がいなくなったので、僕は改めて計画を練り直した。

クックルだ。

今ふと思い浮かんだけれど、あいつにも手伝ってもらうというのはどうだろう。


( ・∀・)(僕に恩義を感じてる筈だ。脳味噌の構造が単純なみたいだったからな)


 ……よし、この案だ。

何とか作戦らしきものが出来上がって来た。

明日一日使って、あの男を探しに行こう。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 休日を使って僕は一日、町中駆け回ってクックルを探した。
11.
あいつが金を持ってるわけはない。

多分、橋の下とかで過ごしている筈だ。


( ・∀・)「おっちゃん、クックルって奴を……」


 適当なホームレスに声をかけようとして、僕は声を詰まらせた。


(´・ω・`)「ん? 誰だって?」

(;・∀・)「ああいや、何でもない」


 すぐに車を出してその場を去る。

落ち着け、僕がクックルを探し回ってる事を宣伝しちゃまずい。

大っぴらにやっちゃダメだ。


(;‐∀‐)(くそっ、となるとどうやって探せばいいんだ?)


 とにかくせっせとスラムを歩き回った。
12.
悪臭漂う酒場、浮浪者がたむろする職業斡旋所、あるいはホームレスのコロニー。

そのうちに昼を過ぎ、夜になった。


(;・∀・)(畜生、時間がないのに。いつもいつもこうなるんだ!

      僕が何かしようとすると、必ず邪魔される。

      あのバカ、一体どこに―――)


 その時、ケータイが鳴った。


( ・∀・)】「はい?」

【(゚、゚トソン「おじさん?」

( ・∀・)】「トソンか。どうした?」


 ああ、昨日の別れ際に番号を渡しておいたんだっけ。

彼女は心細そうな声を出した。


13.
【(゚、゚トソン「今、買い物に出てるところなの。ちょっと会えない?」

( ・∀・)】「えっと……うん」


 そんな時間ないんだが、仕方ない。

それに、クックルがもし見つからない場合に備えて、彼女に話しておかなきゃ。


( ・∀・)】「今どこ?」

【(゚、゚トソン「2chショッピングモールのとこ」

( ・∀・)】「わかった、すぐ行く」


 車を走らせてショッピングモールに向かうと、電話ボックスの前でトソンが待っていた。

助手席のドアを開けると彼女が滑り込んでくる。

僕は車を出し、人目につかない場所に向かった。


(゚、゚;トソン「ごめんなさい、でも不安で……怖くって」

( ・∀・)「大丈夫、うまく行くって」
14.
(゚、゚トソン「でも、おばあさんは銃を持ってるのよ。あなたが撃たれたら……」

( ・∀・)「大丈夫だって。銃はいつもどこにしまってある?」

(゚、゚トソン「二階のおばあさんの部屋。でも、鍵がかかってるわ」

( ・∀・)「んで、鍵はいつも奴が持ち歩いてると」

(゚、゚トソン「うん」


 僕は脳味噌をフル回転させた。

あるいは、そんな素振りをした。

クックルなしでは計画と呼べるようなものにはならないんだが、もうやるしかない。


( ・∀・)「よし……そうだな、えーと……」

(゚、゚トソン「わたしはどうしていればいいの?」

( ・∀・)「いや、君は知らない方がいい。知ってるとうっかり口にしてしまうかも」

(゚、゚;トソン「ねえ、いつやってくれるの? おばあさんがもしお金を数えたら……」


15.
 それは確かに不安材料の一つだ。

今こそ決断せねばならない。


( ・∀・)「明日……いや、明後日。月曜日だ」

(゚、゚;トソン「本当? 本当に本当?」

( ・∀・)「ああ。これ以上は引き延ばせないな。

      さあ、もうそろそろ行った方がいい」


 僕は車を出し、ショッピングモール前に停めた。

 彼女はまだ不安げで、何か言いたそうだった。


( ・∀・)「大丈夫。信じてくれ」

(゚、゚トソン「うん……信じるわ」


 一度だけ握った彼女の手は震えていたけれど、やがてきゅっと握り返した。


16.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 ……夜半を過ぎ、これ以上は探せないというところまで来た。

僕は失望のままのろのろと車を進めていた。

人気のない裏路地で、この時間帯に動く者の気配はない。


(;‐∀‐)(ひ、一人でやるのか……不安だが、もう仕方ない)


 こつん。

バンパーに何かがぶつかった。

僕がギョッとしてブレーキを踏むと、車の鼻先で誰かが倒れていた。


( ゚∋゚)「ひぎいいい! 足が折れちまったあああ!!(棒読み)」

( ・∀・)「?!」

( ゚∋゚)「やべえよ、もう歩けねえよ!(棒読み)」


17.
 やたら元気な被害者はすぐさま立ち上がり、運転席の方へ走ってきた。

歩けないんじゃなかったのか?


( ゚∋゚)「てめえどうしてくれるんだ、治療費と慰謝料出しやがれ!」

( ・∀・)「……何やってんだお前?」

(;゚∋゚)「あっ!? あんた、モララーさんじゃねえか」

( ・∀・)「当たり屋の真似事か?」

( ゚∋゚)「いやあ、仕事がねえもんで仕方なく。へへへ」

( ・∀・)「まあいいや、とにかく乗れよ」


 薄情な神もたまには粋な演出をしてくれる。

僕は心からほっとして、助手席のドアを開けてやった。


( ゚∋゚)「いやあ、こんな偶然があるとは。助かったよ」


まったくもって同意見だ。
18.
( ・∀・)「金やっただろ」

( ゚∋゚)「ハハハ、酒飲んだらなくなっちまって……」


 僕はにんまりした。


( ・∀・)(いいぞいいぞ、この頭の悪さ。まさに適役だ)

( ゚∋゚)「どこへ行くんだい?」

( ・∀・)「まあ、とりあえず僕んち来いよ」


 家に着くと奴を入れてやり、酒をグラスに注いだ。


( ゚∋゚)「いいのかい? 俺みたいなのが来たら奥さんが……」

( ・∀・)「女房は出てっちまったよ。ほら、飲め」

( ゚∋゚)「ありがてえ!」


 奴は一息に酒を飲み干した。

19.
口元を伝う酒の筋を拭い、大きくため息をついた。


( ゚∋゚)「あんた、ほんとにいい人だなあ! 一生感謝するよ!」

( ・∀・)「そりゃどーも。ほら、飯も食え。マックだけど」


 とりあえず二人で冷めたバリューセットを食った。

食いながら僕は不意に言った。


( ・∀・)「お前、あの因業ババアんとこで働いてたんだろ?」

( ゚∋゚)「え? ええ、まあ」

( ・∀・)「ババアはお前をレイプで訴えるって言ってたぞ」

(;゚∋゚)「ブホゥウ!?」


 奴が口からポテトの破片を吐き出したので、僕はあわてて後ろに仰け反った。


(;゚∋゚)「え!? どういうことだよ!」

20.
( ・∀・)「ババアの孫がいただろ、トソンっていう。あの娘だよ」

( ゚∋゚)「だって、あんた……だって、あれは労働の報酬だったんだぜ?」


 何が報酬だ。地獄に落ちろ。


( ・∀・)「お前、あのババアと喧嘩しただろ、辞める時」

( ゚∋゚)「あ、ああ……」

( ・∀・)「ババアは根に持ってるのさ。

      僕がお前の行方を尋ねた時、あの野郎にクソを食わせてやるって言ってたぞ。

      トソンは未成年だろ、お前、警察に捕まったら何て言い訳するんだ?

(;゚∋゚)「う、うう……」


 奴の顔色は次々に変わりながら徐々に血の気を失ってゆき、やがて真っ青になった。


( ・∀・)「未成年をレイプか。何年食らうかな」

(;゚∋゚)「た、頼む、モララーさん! あんた証言してくれよ、あれは同意だったって!」
21.
( ・∀・)「うーん……」

( ゚∋゚)「頼むよ、この通りだ!」


 テーブルに額を擦り付けんばかりの奴を、僕はまあまあとなだめた。


( ・∀・)「助けてやってもいいが」

( ゚∋゚)「ほんとか!? あんた俺のキリストだよ!」

( ・∀・)「条件がある。僕の計画に協力してくれ」

( ゚∋゚)「け……計画? 計画ってなんだい?」


 さて、ここからが実に重要だ。

奴をうまく丸めこまねばならない。

両手の油をペーパーナプキンで拭き取り、煙草に火を点けると、僕は言った。


( ・∀・)「あのババアはな、金を持ってんだ。山ほど」

( ゚∋゚)「へ?」
22.
( ・∀・)「トソンが僕に漏らしたんだ。地下室に大金が隠してあるんだって」

( ゚∋゚)「あのガキが、何であんたに?」

( ・∀・)「あのババアから助けてやるって言って丸めこんだんだ。

     五百万は下らんとよ」

( ゚∋゚)「ご、五百万……! なんだってババアがそんな金を?」

( ・∀・)「あのケチさでコツコツ貯め込んだんだろうよ」


 目を白黒させる奴に、僕は満足げにうなずいた。

正直に五千万と言っていたら、流石にこの単細胞も何かおかしいと思っただろう。


( ・∀・)「その金、僕らで頂いちまおうぜ」

( ゚∋゚)「ええ!? どうやって? まさかババアを殺……」

(;・∀・)「そこまでしないよ! 殺しはリスクがありすぎる」


 僕は唇を舌で舐めて湿らせた。

23.
( ・∀・)「いいか、こうするんだ。トソンをこっち側に引っ張り込むんだよ。

      あのババアに無理矢理売春させられていたと証言させる。

      この件でババアを脅迫するんだ」

( ゚∋゚)「ふ、ふぬぅ……」

( ・∀・)「バラされたくなきゃちょっと金を包んでくれよ、と。

      ババアを殺す必要はないし、これなら金がなくなってもまた強請れる」

( ゚∋゚)「な、なるほど!」

( ・∀・)「こっちは僕、お前、ガキと三人も証人がいるんだぜ」

( ゚∋゚)「うーん……でも、あのガキが俺の味方をしてくれるかなあ?」

( ・∀・)「僕が説得する。トソンは僕を信じ切ってるから大丈夫。

      そうしろと言えばかならずそうするさ」

( ゚∋゚)「うーん、確かに簡単そうだけど」


 奴は不安になっているようだ。

24.
ここは金の話をして駄目押しすべきだろう。


( ・∀・)「全額は無理でも、半分くらいは取れるんじゃないかな。

      250万だぜ? 山分けしても125万ずつだ。

      当面の生活で困るこたあない」

( ゚∋゚)「お、おおう! そりゃすごい」

( ・∀・)「だろ?」


 目に輝きを戻したクックルに僕は頷いた。


( ・∀・)「やるだろ?」

( ゚∋゚)「よ、よーし。やってやろうじゃないか」

( ・∀・)「そうだ、その意気だ。ほら、もっと飲め」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


25.
 月曜日がやって来た。

僕はクックルに一歩も外に出るなときつく忠告しておいた。


( ・∀・)「僕とお前が組んでる事が知れたらまずいからな」

( ゚∋゚)「わかった。洗い物でもしてるよ」

( ・∀・)「そりゃありがたい。掃除も頼むぜ」


 今日一日は何事もなかったように過ごさねばならない。

特にドクオだ。あの野郎はバカみたいに勘が鋭い。

絶対に気取られてはならない。

 僕は職場に赴き、朝からひたむきに働いたが、どうしても頭をあの事が離れない。


(;・∀・)(うまく行くだろうか……もしうまく行かなかったらとんでもない事に……

      すべておしまいだ。ああ、くそっ)


 必ずうまく行くと自分に言い聞かせても少しも気が晴れない。
26.
不安で怖くて、僕はおびえ切っていた。

そんな状態なのに仕事がうまく行くか?

夜七時過ぎ、僕は店に散々な結果を持ち帰るハメになった。


('A`)「おいおい、しっかりしろよ! 何だよこりゃあ」


 顧客カードと集金袋の中身を見比べ、ドクオは表情を険しくした。


('A`)「出たての新人じゃあるまいし、ひでえもんだ。強盗にでも遭ったのかよ」

( ・∀・)「調子が戻らなくって」

('A`)「休みをやっただろうが? 明日からはもっと気合いを入れろよ、まったく」

(#・∀・)(僕にそんな口叩けるのも今のうちだからな! くそったれめ)


 僕は「ああ、明日から頑張るよ」とか何とか言って、逃げるように店を後にした。

なに、明日からは言った通りになるさ。

五千万の一部を集金の一部に加えりゃいいんだから。 
27.
―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 帰宅中、車の中で僕は不安が新たになるのを感じた。

トソンに事後どうすべきか、警察にどう言うべきか説明してなかった―――

家の間取りは? ババアの銃はどの棚にあるんだ?

ああくそっ、何で今さらこんな重要なことを思い出すんだ。


(;・∀・)(穴がボコボコじゃないか。何だよ、この計画は?!

      延期するか……いや、クックルには月曜の夜って言っちまったしな。

      だがこのままじゃ失敗する確率の方がやっぱり高い)


 いや、違う。そうじゃない。

例えそうだとしても、もうやるしかないんだ。

やると決めた以上は百パーセント成功させるつもりでいなきゃ。



28.
( ・∀・)(不安は不安だが、これが僕の人生を変える最初で最後のチャンスだ。

      待ってろ、トソン。僕が必ず幸せにしてやるからな)


 へとへとに疲れ切った体を引きずり、家についた。

家から一歩も出ずにいたせいか、クックルはかなり神経質になっていた。


( ゚∋゚)「うう、モララーさん! 遅かったじゃないですか」

( ・∀・)「こういう事の前は普段通りに生活してなきゃダメなんだよ。

      ほら、飯と酒買ってきたぞ。食ったら行くぜ」


 二人でテイクアウトの飯を食い、車に飛び乗った。

土壇場でヘマをしないよう、クックルにはかなり多めに酒を飲ませておいた。

おかげで奴は気が大きくなり、酒臭い息とともにこんな事を言った。


( ゚∋゚)「金を奪ったら俺はメキシコに行くよ。

     浜辺でカクテルを作って売るんだ」
29.
( ・∀・)「ん、いい夢だな。酒が得意なのか?」

( ゚∋゚)「飲むのも作るのも両方ね。この仕事が終わったら、今度は俺に奢らせてくれよ」


 クックルがでかい図体でちまちまと酒を混ぜたり注いだりする姿を想像すると、滑稽だった。


( ・∀・)「楽しみにしてるよ」

( ゚∋゚)「メキシコ♪ メキシコ♪ 青い空~白い雲~っと」


 ババアの家が見えてきた。さあ、正念場だ。

僕は車を家の前に停め、クックルと一緒に小道を上がって家の前に来た。


( ・∀・)「お前はあっちに隠れてな」

( ゚∋゚)「え? 何で?」

( ・∀・)「俺が呼んだら出て来いよ。そっちのがババアをびっくりさせられるだろ」

( ゚∋゚)「え? ああ、うん。あんたがそうしろってんなら」

( ・∀・)「来いって言うまで来るんじゃないぜ」
30.
 奴はぶつぶつ言いながら、家の影に隠れた。

僕はドアチャイムを押した……心臓が鼓動で破裂しそうになりながら。


( ・∀・)「どうも、奥さん。モララーですが」


 中でぱたぱたと歩く音がし、それからドアの鍵とかんぬきが下りた。


J( 'ー`)し「ヒヒヒ、あんたかい? コートはどこ?」

(;・∀・)


 ババアの顔を見た瞬間、ここに至って突然、勇気が萎えてしまった。

出来るわけない……うまく行きっこない……僕にそんな事が出来るわけ……


J( 'ー`)し「トソンが欲しいのかい? ヒヒヒ、あの子ならもうベッドで待ってるよ。

     何にも着ないでねえ、ヒヒヒヒ……」


 この一言が決定的だった。
31.
これがなければ僕は回れ右して帰っていたかも知れない。

 僕は怒りに頬をひくひくさせながら、アタッシュケースを見せた。


(#・∀・)「もちろん、持ってきてますよ。入ってもいいですか?」

J(*'ー`)し「どうぞどうぞ」


 ババアが中に引っ込むと、僕もそれに続いた。

ドアをきっちりしめて音が出ないようにしておく。

 すかさずババアの後頭部にアタッシュケースのカドを叩き込んだ。


J( 'ー`)し「!?」

( ・∀・)(死ね)


 うつ伏せに倒れたところで、うなじを思い切り踏み付ける。

ババアの首の骨は枯れ枝のようにボキリと折れた。

奇妙に首を傾げているような、奇妙な格好になったババアを見下ろす。
32.
J( - )し

ゼェゼェ(;・∀・)ゼェゼェ(地獄に落ちろ、クソババア)

(゚、゚トソン「おじさん……?」


 二階の寝室、というか例の部屋の方から、トソンがやってきた。

階段を降りて来ようとするのを、踊り場の地点で押し留める。


(゚、゚;トソン「ひっ!?」

( ・∀・)「やめろ、見ない方がいい」

(;、;トソン「う、うん……うん」


 僕はババアを担いで階段を上がった。

トソンを行かせ、踊り場に適当に転がす。

うん、階段から落ちたように見えなくもない。


( ・∀・)「部屋の鍵は……これか」
33.
 ポケットを探ると、鍵束が出てきた。


( ・∀・)「ババアの部屋は?」

(゚、゚トソン「あ、あそこ……」

( ・∀・)「よし」


 鍵束の鍵を順番に試す。三番目で開いた。

殺風景な部屋に入り、戸棚を慎重に調べてゆくと、鍵付きの引き出しが見つかった。

それを開くと、中に短銃身ショットガンが無造作に突っ込んであった。

前に見たやつだ。

それを手に取り、左右の銃身に弾丸が入っている事を確認すると、僕はちょっと考えた。


( ・∀・)(慌てて銃を取った、ってふうにしといた方がいいかな)


 そこで椅子を倒しておいた。慌てていたあまり体がぶつかった、って具合に。

銃を手に戻る。
34.
(゚、゚;トソン「お、おじさ……わ、わたし……」

( ・∀・)「落ち着け。地下室に行って金をバッグに詰めといてくれ」

(゚、゚トソン「う、うん……わかった」

( ・∀・)「呼ぶまでそこから出るんじゃないぞ」


 トソンはババアの部屋に入ると、適当なバッグを手に取り、地下へ向かった。

 僕は踊り場まで行くと、そこに立ってクックルを呼んだ。


( ・∀・)「クックル、クックル!! ちょっと来てくれ!」

( ゚∋゚)「ん? なんだい、どうした旦那」

( ・∀・)「ああ、なんてこった! ババアが階段から落ちて死んじまった!」

(;゚∋゚)「ええぇ?! 何だって!」


 クックルが部屋に飛び込んできた。


( ゚∋゚)「旦那? どこだい?」
35.
( ・∀・)「階段の上だよ。電灯は点けないでくれ、死体なんかはっきり見たくない!」


 奴だって僕の手の中の銃なんか見たくないだろうよ


( ゚∋゚)「お、おう! だ、旦那、それでどうするんだ!」

( ・∀・)「とにかく死体をどこかに移さないと!

      階段の踊り場まで来てくれ」

(;゚∋゚)「ひいい、何てこった! 殺人かよ!」

( ・∀・)「落ち着けって、こうなりゃ金を全部もらって逃げちまおう!」

( ゚∋゚)「そ……そうか、そうだな! ちょっと待っててくれよ」


 階段を昇り、あと一歩で踊り場につくというところで、僕は銃の安全装置を外した。

トソンにひどいことをした報いを受けてもらおう。

ズドン!!


( ゚∋゚)「!?」
36.
 奴は何も理解出来ないまま、どでかい図体に散弾をまとめて食らった。

宙を舞い、階段を転げ落ち、そして床に転がるまで、ずっと僕を見ていた。

「あれ? 何が起きたんだ?」って顔で。

 僕は説明してやった。


( ・∀・)「お前が地獄に落ちたのさ」


 銃をババアの手に握らせておく。

僕の指紋? あらかじめ手袋をしてたに決まってるじゃないか。


( ・∀・)(クックルはババアの家に押し入った。

      銃を持ったババアはクックルと揉み合いになり、クックルを撃ち殺した。

      だがババアも階段から落ちて首を折って死んだ)


と、いうわけだ。

 地下室の入り口から足音がして、トソンが駆け上がって来た。
37.
―――この後が大変だった。

クックルの死体を見て半狂乱になった彼女をなだめるのに一苦労だったんだ。


(;、;トソン「~~~!! ~~ッ!!」

(;・∀・)「落ち着けって、落ち着くんだ!」

(;、;トソン「この人っ、この人まで何でっ……こ、こんな事になるなんてっ……」


 僕はトソンを無理矢理抱き締め、顔を胸に押し付けた。


( ・∀・)「ゆっくり息をして。ゆっくり」

( 、 トソン ゼエゼエ ゼエゼエゼエ……


 呼吸が落ち着いたのを見計らってから、説明を始める。


( ・∀・)「もう大丈夫?」

(゚、゚トソン「う。うん……ほんとはおばあさん以外の人にはひどい事して欲しくなかったけど……」

38.
( ・∀・)「僕が出て三十分くらいしたら警察に電話してくれ。

      警察が来たら何も見ていない、部屋から出たらすでにこうなっていたって言うんだ。

      それ以外のことは何も言っちゃダメだよ」

(゚、゚トソン「う、うん……」

( ・∀・)「連絡が遅れたのは、しばらく怖くて部屋から出られなかったから。いいね?

      クックルについて正直に話すといい。

      あいつがババアに恨みを持ってたのは事実だからね」

(゚、゚トソン「わかった」

( ・∀・)「よし、いい子だ。

      最低でも一か月くらいは普段通りに生活して、ほとぼりが冷めるのを待とう。

      お互い静かに暮らすんだ。じゃあ、またね」

(゚、゚トソン「おじさん!」


 離れようとした時、彼女は悲鳴のような声を上げた。

39.
(;、;トソン「き、きっと戻ってきてくれるよね?

      わたしと一緒に……どこか遠いところへ……」


すべて言い終わる前に僕は彼女を抱き上げ、自分の唇で彼女の口を塞いだ。


( ・∀・)「愛してる」

(゚、゚トソン


 片手に金の入ったバッグ、もう片手にアタッシュケースを抱え、僕は家を出た。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


 思えばひどい人生さ。

勉強はまるでダメ、つまり学歴はなし。運動もまるでダメ、つまり協調性なし。

家は貧乏、オヤジはすぐに僕を殴る。

母親は野良犬よりも慎みのない女で、毎晩違う男を引っ張りこむ。

40.
 こんな環境で生まれ育ったそんな僕に出来るのは、最底辺の仕事だけだった。


( ・∀・)(だけどやったぞ。五千万! 五千万だ!)


 制限速度をちゃんと守って家に舞い戻ると、僕はコーヒーテーブルにカバンを置いた。

震える手でロックを外し、蓋を開くと……


( ・∀・)「!!」


 小額・高額紙幣が入り交ざってるが、間違いなく金の山だった。

一枚一枚慎重に数えて重ねてゆくと、確かに一千万の束が五つ出来た。


(*・∀・)「すっげえ……すっげえ!! ほんとに五千万だ!!」


 札束を撫でて手触りを楽しみ、あるいはキスしたり頬ずりしたりした。

ハハハ、この金で世界中のアホどもにケツまくってやるぜ!


41.
( ・∀・)(後はこの金を持って、僕の天使、トソンと旅に出るんだ。

      どこに行こうかな……)


 ふと、あのクックルの言葉を思い出した。


( ・∀・)(そうだ、南国に行こう。そこで屋台とかやろうかな。

      そんなに稼ぎは多くなくていい、五千万もあるんだから。

      でもトソンを看板娘にすれば、きっと繁盛するに違いないなー)


 僕の天使、僕の五千万。

ああ、世界のすべてが今、僕のポケットの中にある!

夢のような毎日の始まりだ!


(*・∀・)「ラララ~♪ 天使~天使~ぼっくだけのー♪ てーんーしー♪」


 それはさておき、金はどこに隠したもんか?

42.
色々考えたけれど、結局持ち歩くのが一番だと思った。

なに、商品見本のアタッシュケースの中身をちょっと出せば、カバンが丸ごと入る。

どのみちもう、こんなもん売る必要はないんだからいいさ。


( ・∀・)(あとは一ヶ月適当に働いて、クビになるように仕向ければいい。

      ふふん、ドクオをぶん殴ってやろうかな)


 最後にもう一度、金を取り出していじりまわした。

―――いつだってそうだった、僕の計画が上手く行こうとすると、誰かが必ず邪魔をする……


ζ(゚ー゚*ζ


 デレが、女房が、いつの間にか部屋の奥に立って、こっちを見ていた。




後編につづく……

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完全犯罪(カンザイ)
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