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ξ ゚⊿゚)ξが守りたいもののようです

ボツ作品。
感想をくれた人によると後半がイマイチ性急過ぎたとのこと。
改めて読むと確かにそんな感じだな。


1.
中南米のどこかにある国、ニューソク。

ここはその中心からやや離れた場所にある高級住宅街。

外資系の大企業VIPテクニクスの重役、ジョルジュの豪邸では、一家揃って朝食の最中だった。

  _
( ゚∀゚)】「また鉱山でストライキか、クソ! 首謀者はわかるか?」

(゚、゚トソン「あなた、食事中に電話は……」
  _
(;゚∀゚)「ああ、すぐ終わるから」
  _
( ゚∀゚)】「いいか、首謀者を見つけて金を掴ませろ、わかったか?」
  _
( ゚∀゚)「ふう。給料泥棒どもめ」

(゚、゚トソン「相変わらずお忙しいみたいね。朝から晩まで」
  _
(;゚∀゚)「朝っぱらから嫌味はよせ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


ツ ン が 守 り た い も の の よ う で す


2.
両親が冷めきった会話を交わすのを横目に、一家の一人娘ツンはカットラリを置いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ごちそうさま」

(゚、゚トソン「待って、そこまで送るわ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


母親は口元をナプキンで拭き、小学校へ向かうツンを見送ろうと玄関まで送った。

黒服の巨漢がドアのところで待っている。


( ^ω^)「奥様、お嬢様、おはようございますお!」

(゚、゚トソン「あら、おはようございます。ほらツン、ボディガードさんに挨拶なさい」

ξ ゚⊿゚)ξ「おはようございます」

( ^ω^)「おっおっおっ。お二人とも今日も一段とお美しい」

(゚、゚トソン「今日も一日張り切って勉強して来なさい。

     それと、たまにはお友達を家に連れて来たら?」

3.
ξ ゚⊿゚)ξ「……」


ツンは伏し目になり、無言だ。

気まずい雰囲気を振り払おうとボディガードが気を利かせる。


( ^ω^)「おっとっと、もうこんな時間ですお。そろそろ行かないと」

ξ ゚⊿゚)ξ「行ってきます」


ツンに続いて内藤も玄関から出ようとすると、奥方に呼び止められた。


(゚、゚トソン「あの子、どう? あなたと少しは打ち解けたかしら」

( ^ω^)「いえ……話しかけてはいるけど、全然返事してくれませんお」

(゚、゚トソン「そう……もう最後に笑顔を見たのがいつだったか思い出せないわ」

(;^ω^)(そりゃあんたの家庭環境じゃ暗くもなるって)


ジョルジュに愛人がいることは、この家にいる人間なら誰でも知っている。

4.
ツンと内藤は黒塗りの高級車に乗り込んだ。

要人護送の為に改造された特別製で、各装甲を増設してある為、戦車じみた重量感がある。


( ^ω^)「見て下さいお、このドア! マグナム弾も跳ね返しますお!」

ξ ゚-゚)ξ

(;^ω^)(やっぱり無反応かお……扱いにくい子だお)


秋晴れと呼ぶにふさわしい天気の日だった。

家を出て数十分、住宅街を抜けようかという時、イチョウの並木通りにさしかかった。

ちょうど今の季節は紅葉が美しく、葉が宙を舞っている。


ξ ゚⊿゚)ξ「ゆっくり」

( ^ω^)「はいはい。ですお」


ツンはこの景色が好きらしく、通りかかる時はいつもスピードを落とすよう注文をつける。


5.
並木を出ていくらも行かないうちに、人影が立ちふさがった。


( ^ω^)「ん?」

('p`)「あーうー、あーうー」


ナイトガウンにスリッパという姿の老人が道路の真ん中をふらふらしている。

内藤たちの乗る車がすぐそばまで来ても、道を開ける気配はない。


(;^ω^)「じいさん、通行の邪魔だお!」

( ^ω^) プップップー


内藤はクラクションを鳴らしまくったが、老人は明後日の方向を向いたままだ。

パワーウィンドウを開けて身振りでどくように指示する。


(#^ω^)ノシ「どけってこら!」

('p`)「んあー? あんた介護士さんかね? わしの歯ブラシ知らんかのう」

6.
( ^ω^)「あーこりゃダメだお。お嬢さん、ちょっと失礼しますお」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん」


内藤は車を降り、ボケた徘徊老人を道端に押し退けようとした。


( ^ω^)「まったく、ちゃんと子供が世話しとけお」

('A`)「俺に子供はいねえよボケ」


老人は見かけからは想像もつかない身のこなしで内藤の右手を掴んで動きを封じ、

もう片方の手をガウンの懐に突っ込んだ。


( ゚ω゚)(あっ、ヤバ……)


拳銃を掴んだ手が懐の外へ戻って来る。

内藤の胴体に押し付けられた銃口が数度、火を噴いた。

バン! バン! バン!

7.
ξ;゚⊿゚)ξ「ひっ!?」

(  ω )


一瞬、後部座席越しにその光景を見ていたツンと目が合った。


(  ω )「お嬢様……逃げ……」


それ以上、彼の口からは血とあえぎ声しか出て来なかった。

内藤を撃った男はすぐさま高級車に駆け寄り、ツンを車から引きずり出した。


ξ ;⊿;)ξ「やー! いやあーー!」

(#'A`)「暴れんなバカ」


手足をじたばたして何とか逃れようとするツンを荷物みたいに抱え込むと、その場に

別の乗用車が滑り込んできた。

後部座席のドアが開くと、男はツンと一緒に自らの体を車の中に放り込んだ。

8.
車の中には二人の男がいた。

運転手も後部座席にいるのもそっくりだ。双子らしい。


( ´_ゝ`)「よーしよし、上手く行ったな!」

(´<_` )「誰にも見られなかっただろうな?」

('A`)「大丈夫だって、あの時間は誰もいねえんだ、あそこ」

( ´_ゝ`)「ドクオの変装もなかなかだな」

('A`)「だろ? 俺は俳優なんだぜ」


ドクオと呼ばれた男はガムテープをツンの手足と口に貼ると、ボストンバッグの中に

詰め込んだ。


ξ ;×;)ξ「んー! んんー!」

('A`)「心配すんな、殺さねえって」

(´<_` )「それもお前のパパ次第だけどな」

9.
真っ暗な中でツンは一度車が止まり、自分の入っているバッグが別の車に移されるのを感じた。

どうやらトランクらしくますます息苦しくなる。

混乱と恐怖の渦の中にかろうじて残った理性が、今の状況を判断する。


ξ ;×;)ξ(わたし、誘拐されたんだ。内藤さん大丈夫かな……)


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


その頃、ツンの家から遠く離れたスラム街。

スラムが一望できる大きな家の寝室で、モララーはドクオたちから電話を受けていた。


( ・∀・)】「よくやった。尾行されてないだろうな?」

('A`)】「ああ、大丈夫。車を変えて今ボートだ」

( ・∀・)】「ここに着くまで気を抜くなよ。ドラッグはなしだ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――

10.
('A`)「おい、ドラッグなしだとよ」

(´<_` )シュゴゴゴゴ

(゚<_゚ )「フウ、上物だぜ! ん……何だって?」


鼻炎薬の吸入器に入れたヘロインを吸っていた弟者を呆れた顔で見てから、ドクオは

電話に意識を戻した。


('A`)】「あと二時間ほどで着く。じゃあまた」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


( ・∀・)】「気を抜くんじゃねえぞ」ピッ

川 ゚ -゚)「誰から?」


ベッドに横たわっていた半裸のクーが、マリファナを巻きながら聞く。


( ・∀・)「何でもねえよ。寝てろ」
11.
しばらくするとモララーは服を着、寝室を出て行った。

クーは一人、ベッドでマリファナを吸ってヘロヘロになっているうちに眠ってしまった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


翌日。

クーがリビングに降りると、モララーたちが陽気に朝食をとっていた。

どいつもこいつも難事を一つ終えたような顔だ。


( ´_ゝ`)「よう、お姫様!」

('A`)「今日もいいケツとチチだな、ウヒヒ」

( ・∀・)「よせよ。俺の女だぞ」

(´<_` )「コーヒーあるぞ。勝手に飲め」

川 ゚ -゚)「ん。サンドイッチももらおうかな」


彼らはいずれも地元の顔なじみで、五年ほど前に結成したギャング団だ。
12.
モララーがリーダーで次がドクオ、流石兄弟がパシリというところだ。

クーはモララーの従兄妹で、幼い頃極貧だった両親の家から比較的余裕のある

モララーの家へと移り住んでいる。

テレビでは昨日起きたばかりの誘拐事件についてやっていた。


TV「VIPテクニクス重役……ジョルジュさんの娘……誘拐され……

   まったく手がかりはなく……犯人からの要求……法外な金額の身代金が……」

( ・∀・)「クー、お前に仕事がある」

川 ゚ -゚)「ああ。どこへ運ぶの?」


クーはこの組織で麻薬の運び屋のようなことをしている。

てっきりその仕事だと思ったのだが、モララーは否定した。


( ・∀・)「違う。見張りだ」

川 ゚ -゚)「見張り? 誰の?」

13.
('A`)「客さ。特別な客だ」

川 ゚ -゚)「マジかよ。人質の相手しろっての?」


人さらいはこれが初めてじゃない。

敵対ギャングの家族やら何やらをさらって監禁したことは何度かあった。


( ・∀・)「とにかく頼む。食事の世話もお前がするんだぞ」

川 ゚ -゚)「ああ」


気が進まないがモララーには逆らえない。

今やこの界隈で彼に文句を言った奴は綺麗さっぱり片付いてしまい、もう誰もいない。

食後、クーは人質を監禁してある部屋にやってきた。

外側から鍵がかけられる特注の部屋で、彼らはここを独房と呼んでいる。

クーは覗き窓の蓋を開いて中を覗いた。



14.
粗末なベッドの上で、小さな女の子が膝を抱いて肩を震わせている。


川 ゚ -゚)(ガキじゃないか。どこからさらって来たんだ?)


昨日の電話のことと、今朝のテレビのニュースを思い出す。

まあこんなこと、よくあることだ。

大量のレアメタルが出るこの国は(発展途上国にありがちなことに)貧富の差が著しく、

毎日のように誘拐事件が起きる。

クーの住む貧民街では石を投げれば誘拐結社にぶつかると言われているくらいだ。

彼らの組織も例外でなく、麻薬売買の副業として稀にやることがあった。


川 ゚ -゚)(やれやれ、退屈な仕事になりそうだ……)


持ってきた朝食のトレイをドアの下にある小窓に入れておく。

それから部屋の前の廊下のどんづまりにテーブルと椅子を運び、画帳を取り出した。

絵画はクーの唯一の趣味だ。
15.
絵葉書の裸婦画を真似して描いていると、トランプを手にした男二人がやってきた。


(´<_` )「よう、暇してるな」

('A`)「俺らも暇だけどな」

川 ゚ -゚)「ああ」

(´<_` )「カードやんねえか」

川 ゚ -゚)「いいよ。兄者は?」

(´<_` )「モララーをどっかに乗せてったよ。交渉の準備があるとかで」

川 ゚ -゚)「身代金の?」

(´<_` )「まあ、そうだろうな」

川 ゚ -゚)(モララーのやつ、わたしには何にも教えてくれないんだからな)


ちょっとだけ疎外感を味わいつつ、ヤク中の弟者とポーカーで暇を潰す。


(´<_` )「モララーがこの仕事終わったらボーナス出すってよ……畜生、ブタだ!」

16.
('A`)「俺はボーナス出たら役者の舞台に返り咲くぜ。なんたって俳優だからな、俺……」

(´<_` )「何が俳優だよ、元ドラマの脇役じゃねえか」

('A`)「ほっとけ。ツーペア」

川 ゚ -゚)「ふーん。わたしにも出るの? スリーカード」

(´<_` )「さあな。くそ、もう一勝負だ」

川;゚ -゚)(もう十六連敗だぞ。ヤクで脳みそ腐ってるなこいつ)


さっきからひっきりなしに女の子のすすり泣く声が聞こえてくる。

クーはラジオに意識を集中して聞かないようにしていたが、連敗中の弟者は気が立っていたらしい。

突然椅子を蹴って立ち上がった。


(´<_`#)「うるせえ!」


拳でドアをガンガン叩くと、鳴き声が一時的に止まった。

椅子に戻ってカードを切り直す。

17.
(´<_` )「ガキは嫌いだ、クソ。グリンゴ(*白人の蔑称)め」


クーはドアの方を見た。

しばらくするとまた泣き声が始まったが、ごくかすかにしか聞こえなかった。

弟者がラジオのボリュームを上げたからだ。


('A`)「ツーペア」

(´<_` )「スリーカード。どうだ」

川 ゚ -゚)「ほい、フルハウス」

(;'A`)「ついてやがるな」

(´<_`#)「くそったれ! もうお前とはやらねえ」

川 ゚ -゚)「どうもごっそさん。どこへ?」

(´<_` )「飲みに行く」

('A`)「俺も行くかな。後よろしく」


18.
弟者が姿を消すと、クーは彼から巻き上げた札ビラを数えつつ、もう一度ドアに目をやった。

金をテーブルの上で叩いて揃え、二つに折ってポケットに入れると、席を立つ。

そして覗き窓の蓋を持ち上げて独房の中をうかがった。


川 ゚ -゚)(食ってないな)


朝食は手つかずで残っている。

声を外に漏らさないようにする為か、ツンはベッドに潜り込み、かすかに体を震わせて

泣いている。


川 ゚ -゚)(同情はしないぞ。仕事だ、仕事)


ツンはテーブルに戻り、画帳を開いて鉛筆を握り直した。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


翌日も、そのまた翌日もクーは終日ツンを見張っていた。
19.
まれに交代はあるものの、何故かモララーはクーに任せたがる。

クーとしては退屈で気分の悪い仕事だし、運び屋の仕事に戻りたかった。


川#゚ -゚)「くそ。何でわたしばっかりこんな仕事」


ある日、シーツと枕カバーを交換するため、クーは独房に入った。

しきりのない剥き出しのトイレとベッドがあるだけの部屋で、小さな窓には頑丈な

鉄格子がはまっている。

独房という名にふさわしい、殺風景で息が詰まるような部屋だ。

ドアが開くと同時にツンは部屋の隅に逃げ出した。


ξ;゚⊿゚)ξ


壁に張り付いて震えながらこっちを見ている。

ツンはますます嫌な気分になった。


20.
川#゚ -゚)(取って食やしないって)


シーツを引っ剥がすと紙が一枚、ひらひらと床に舞い落ちた。


川 ゚ -゚)「ん?」

ξ;゚⊿゚)ξ「あっ……」


パラフィン紙に茶色い線で絵が描いてある。

牢屋に閉じ来られたお姫様らしき絵だが、なかなか上手だ。


川 ゚ -゚)(こりゃ昼飯にやった菓子パンの包み紙か。ペンとインクは……?)


探し回ると枕の下から細長い木キズが出てきた。

フローリングの床の一部だろうか? 先端が黒ずんでいる。

良く見るとそれはパンの中身のチョコレートだった。


川 ゚ -゚)「お前、絵うまいな」
21.
ξ;゚⊿゚)ξ


クーが一歩近づくと、ツンは息を飲み、少しでも距離を離そうと壁に更にくっついた。

逃げ場を失った小動物みたいにガタガタ震えている。


ξ ;⊿;)ξ「ひ、ひいっ」

川 ゚ -゚)「落ち着け、何もしないって」

ξ ;⊿;)ξ ウッ……ウッ……

川;゚ -゚)(ダメだ、話にならん)

川 ゚ -゚)「ほら、返すよ」


ツンに紙とペンを押し付けると、クーは洗い物を抱えて部屋を出た。

鍵をかけ、洗濯機に向かう。

洗濯機に持ってきたものを放り込みながら、クーは考えを巡らせた。


川 ゚ -゚)(空想の中に逃げ込んでるんだろうな)
22.
辛すぎる現実から逃れようと、自分の置かれた状況をパロディにしたのがあの絵なのだろう。

自分も昔やったことがあるからよくわかる。

ある日幻想世界の生き物、ペガサスとか竜とかがやってきて、自分を別の世界に連れて行く。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


時間は少しだけ遡り、ツンがさらわれた日の夜のジョルジュ邸。

ツンの両親は狼狽の限りにあった。


(;、;トソン「ツン……ああ、あの子にもしもの事があったら……」
  _
( ゚∀゚)「……」

(゚、゚トソン「大体あなたがいけないのよ、こんな危険な国に住もうなんて!」
  _
( ゚∀゚)「こんな時にやめろ!」


すでに警察に通報した為、家の中は捜査本部と化し、刑事たちが行ったり来たりしている。


23.
(´・ω・`)「ちょっといいですか、お二人とも」

(゚、゚トソン「?」
  _
( ゚∀゚)「あんたは?」

(´・ω・`)「こりゃどうも。この事件を正式に担当することになりましたショボンです」

( ´∀`)「同じくモナーですモナ。よろしくモナ」

(´・ω・`)「どうか落ち着いて下さい、営利誘拐なら必ず連絡が来る筈ですから。

      えーとジョルジュさん、誘拐保険にはお入りで?」
  _
( ゚∀゚)「ああ……」

(゚、゚トソン「お金を払えばあの子は戻ってくるんでしょう?」

(´・ω・`)「最善を尽くします。とにかく今日はもうお二人ともお休みになって下さい。

      長期戦を覚悟してもらわないと」

( ´∀`)「それから電話にちょこっと細工させてもらいますモナ。

        逆探知のキカイを繋がせてもらいますモナ、よろしいモナ?」
  _
( ゚∀゚)「好きにしてくれ」
24.
ジョルジュとトソンが引っ込むと、刑事二人は顔を見合わせた。


( ´∀`)「無事ですかね、娘さん」

(´・ω・`)「さあな。実際金払っても無事戻って来るかは五分五分てとこだ。統計的にな。

      それよりお前、盗聴器仕掛けろ」

( ´∀`)「え? どこに? 何でですかモナ」

(´・ω・`)「いいからやれ。家中に仕掛けろ」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


クーはテーブルで絵を描きながら、ツンのことを考えていた。

視線はドアの方に行きがちだ。


川 ゚ -゚)(なんかモヤモヤする……)


クーはツンに対する感情を整理しようとしたが、上手く行かなかった。

25.
クーはこの国の他の人々と同じく、ツンの国が嫌いだった。

かつて内戦状態だった祖国に国連軍という名で乗り込んで来た彼らは、

確かに戦争を終わらせてはくれた。

戦後、レアメタルの鉱山を開けばお前の国は豊かになると彼らは言った。

実際はどうだった?

垂れ流しの鉱毒で川も土地も荒れ果て、毎日何人も病気や崩落事故で死んでいる。

作物も漁も出来なくなれば鉱山に入るしかない。

たまにやってくるその国の技師は高価な防護服を着て鉱山に入る。

ただ口元に粉じん除けの布きれ一枚を巻いただけの鉱夫を尻目に。

国連軍は政府軍の搾取から国民を解放するという建前だったが、何てことはない、

ただシステムが変わっただけで、搾取されていることは相変わらずなのだ。


川 ゚ -゚)(静かだな)


珍しく独房からツンの泣き声がしない。
26.
手元の鉛筆に目をやる。

それをナイフで器用に削って尖らせ、画帳から一枚白紙を破り取った。


川 ゚ -゚)(紙と鉛筆くらいやってもいいよね)


席を立って覗き窓から中の様子を伺う。

ベッドの毛布が盛り上がっているが、微動だにしていない。


川 ゚ -゚)「寝てるのか? おい」


返事はない。死んだか? いや、まさか。

ドアの鍵を開けて中に入る。


川 ゚ -゚)「ほら、紙と鉛筆やるぞ」


何かおかしい。

眠っているとしても、体は呼吸でわずかに上下するものじゃないか。
27.
川;゚ -゚)(まさか)


毛布をはぎ取る。枕でそれらしく膨らんで見せているだけで、空っぽだった。

ベッドの下を調べるがやはりいない。

急速に鼓動の音が高鳴るのを感じながら、クーはトイレの方を見た。

便座の真上、天井裏へ抜ける落とし戸を調べる。

大人ならどうやっても絶対に体を突っ込むのは無理な大きさだが……


川;゚ -゚)「やばい!」


部屋を飛び出したクーは、階下で駄弁っていた男たちに叫んだ。


川;゚ -゚)「ガキが逃げた!」

( ´_ゝ`)(´<_` )「!?」

('A`)「え?」

( ・∀・)「何だと!?」
28.
外はすでに夕暮れが迫っている。

暗くなったら見つけるのは難しいだろう。


( ・∀・)「探せ! 俺も行く」

( ´_ゝ`)(´<_` )('A`)「う、ういっす」

( ・∀・)「クー、お前も……」


言われる前にクーは自分の部屋に戻り、テーブルの上に置きっぱなしの銃を手に取った。

回転式弾層をずらして弾丸が入っていることを確かめ、ベルトに挟んで家を出る。


( ・∀・)「お前はあっちへ」

川 ゚ -゚)「わかった」


出際にこの場にいない部下に携帯で命令を下していたモララーに言われ、クーは

彼が指差した路地へ駆け込んだ。

逃げられるより恐ろしいのは殺されることだ。
29.
この国のツンの国に対する反感は並みのもんじゃない。


川 ゚ -゚)「おい、ガキ! ……いや、呼ぶのは逆効果か」


道端でへたり込んでいるヘロイン中毒者を飛び越えながら路地を走り回る。

いくらか行くうちに、か細い悲鳴が聞こえた。ツンの声だ。


川 ゚ -゚)「む!」


声のした方向へ走る。

路地裏の行き止まりのところで、四つん這いになっている人影があった。

大きな影が小さなものに圧し掛かるようにしている。


<ヽ`∀´>「ハァハァハァ、幼女ニダ! 幼女ニダ! ハァハァ」

ξ ;⊿;)ξ「……!!」



30.
ツンの服を引き千切った男は自分のベルトに手をかけた。


川#゚ -゚)「変態野郎!!」


その後頭部に銃底を思い切り振り下ろす。

ガツンという音がして、男は思いもかけない一撃に体を横へずらした。

その下からツンを引っ張り出す。


川 ゚ -゚)「無事だな。ちょっと離れてろ」

<;`A´>「うぐ、うぐぐぐ……」


四つん這いで後頭部を押さえている男の脇腹をサッカーボールの要領で蹴り上げる。

たまらず仰向けになった男に銃口を向け、撃鉄を親指で跳ね上げる。


川 ゚ -゚)「お前の坊やにおしおきだ」


バン!!
31.
<ヽ゚A゚>「ファビョォオォ――――――――ンンンン!!!」


一寸も狙いを外すことなく銃弾は男の9cmを貫いた。

股間を抑えてのた打ち回る男を冷ややかに見下ろす。


<ヽ;A;>「ドクトオォ……ドクトォ……」

ξ ;⊿;)ξ

川 ゚ -゚)「ほら、行こう。立って」


ツンに自分の上着をかけて体を覆ってやると、彼女を抱いてクーは家に戻った。

玄関のところでモララーが相変わらずケータイで指示を出している。


( ・∀・)】「何、銃声がしただと!?」

川 ゚ -゚)「それわたしだよ。もう大丈夫」

( ・∀・)「おお、無事だったか。何で撃った!?」

川 ゚ -゚)「ツンを襲おうとしてたロリコン野郎を撃った。死んでないと思うけど」
32.
( ・∀・)「ん、そうか。天井の穴を塞いでおけよ」

川 ゚ -゚)「あいよ」

( ・∀・)】「全員に知らせろ、見つかった。そうだ、もう探さなくていい……」


クーはツンを風呂に入れてやり、自分のパジャマを貸した。


ξ ;⊿;)ξ


彼女は何をしてもまったくの無反応だ。

もはや精神が許容の超え、現実を受け付けなくなってしまったらしい。

クーは初めて彼女に交じりっけなしの同情を感じた。


川 ゚ -゚)(かわいそうにな。こんなに小さいのに……)


ツンを抱き上げ、独房のベッドに寝かせる。

クーは床に腰を下ろしてベッドの淵に背を預ける形で座った。

33.
ξ ;⊿;)ξ

川 ゚ -゚)「大丈夫だ。きっと家に帰れるよ」


クーはツンの髪を撫でてやった。

それから画帳を開く。


川 ゚ -゚)「ほら、私の描いた絵だ。まだ途中だけど」


密かに描いていた絵を見せる。

どこか南国風の寝室で、ベッドに腰を下ろした少女がこっちを見ている。

ツンは少しだけ瞳をそちらに向けたように見えた。

鉛筆を手に取り、更に線を入れてゆく。


川 ゚ -゚)(この女の子はツンにしよう。せっかく被写体があるんだからな)

ξ ゚⊿゚)ξ


34.
翌朝、そのままの姿勢で目が覚めた。

足腰が痛む。


川 う-゚)「ん……いかん、寝てしまったか」


後ろを向くと、毛布に包まったままのツンがこっちを見ていた。

視線がぶつかる。

だがツンは目を反らすことはなく、じっとクーを覗き込んでいる。


川 ゚ -゚)

ξ ゚⊿゚)ξ

川 ゚皿゚)「ムヒッ」

ξ;゚⊿゚)ξ「!」


変顔でおはよう代わりの挨拶をし、クーは朝食を取りに独房を出た。

ふと、天井の穴を塞ぐのを忘れていたことを思い出す。
35.
川 ゚ -゚)(あ……まあいいか。ガキも懲りただろうし。後でやろう)


キッチンに行くとモララーが相変わらずケータイで何か喋っている。

声をひそめているところを見ると、何かまずいことが起きたらしい。


(;・∀・)】「お前バカか!? ここには電話するなって言っただろ!

       ……うろたえんなって、とにかく……」

川 ゚ -゚)「ちょっとどいてくんない?」

( ・∀・)「ん」


モララーを冷蔵庫の前からどかして適当なものを取り出し、独房に戻る。

ツンは置きっぱなしにしてあったクーの画帳をこっそり見ていた。


ξ;゚⊿゚)ξ「!」


クーが戻ってくると慌てて元の場所に返し、毛布の中に潜り込んで隠れる。

36.
川 ゚ -゚)「ほら、飯だ。一緒に食べよう」

ξ ゚⊿゚)ξ


ツンが顔を少しだけ出す。

クーはツンに食事と一緒に画帳を渡した。


川 ゚ -゚)「14ページ目を開いてみろ」

ξ ゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)「いい絵だろ? 一番気に入ってるんだ」


ツンが言われた通りにすると、女性が三日月に腰をおろしてハープを弾いている絵があった。


川 ゚ -゚)「今はこんなことしてるけど、絵描きになるのがずっと夢だったんだ。

     でもお金がなくって美術学校に行けなくってね……」

ξ ゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)「どこかでやり直せればっていつも思うよ」
37.
ξ ゚⊿゚)ξ「だから……」

川 ゚ -゚)「ん!?」


ツンが初めて口を利いた。

乾き切ってかすれた、小さな声だ。


ξ ゚⊿゚)ξ「だから、わたしを……」

川 ゚ -゚)「いや、それは違うよ」


サンドイッチをかじりながらクーは首を振った。


川 ゚ -゚)「それはモララーがね。身代金が出てもわたしが貰えるわけじゃないんだ。

     ボーナス出すとか言ってるけど、どうだかね。そうだ!」


クーは改めて鉛筆と白紙を渡した。


川 ゚ -゚)「これやるよ。絵、好きだろ?」
38.
怖がってあまり口を利かない彼女の心を開かせようと、クーは絵の描き方を教えた。

我流と本で得た知識なのでかなり無茶苦茶な教え方だったが、それでもツンは

言うことをよく聞いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「ん、できた」

川 ゚ -゚)「よーし、上手だぞ。ああ、そうだ。お前、文字書けるか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「え? うん……」

川 ゚ -゚)「わたしに教えてくれないか。実は読み書きできないんだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「え……」


意外そうな顔だ。

クーは気恥ずかしくなった。


川 ゚ -゚)「学校ろくに行ってなかったんだ。ずっと運び屋してたから」

ξ ゚⊿゚)ξ「? えっと、うん。いいけど」

39.
クーがツンに絵の描き方を教え、ツンがクーに文字を教える日々が始まった。

ある日、クーはツンに窓の外の光景を描かせてみることにした。

といっても外に出すのはモララーが許さないから、鉄格子のはまった窓越しだ。

窓は高いところにあり、彼女からすると少し背が足りない。


ξ ゚⊿゚)ξ「見えない……」

川 ゚ -゚)「ん、ほい」


クーはツンを肩車した。


ξ ゚⊿゚)ξ「わっ」

川 ゚ -゚)「見えるか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん!」

川 ゚ -゚)「パースに気を配れ。絵は空間が命だぞ」

ξ ゚⊿゚)ξ「わかったわ」

40.
自分の頭の上に画帳を置いて鉛筆を走らせるツンの下で、クーはノートを開いて

文字を書きつづっていた。

物書きの二段重ねだ。


川 ゚ -゚)「できた。どう」


頭の上にノートを差し出すと、画帳から顔を上げたツンが採点をする。


ξ ゚⊿゚)ξ「つづりがちょっと違うかな」

川 ゚ -゚)「厳しいな」

ξ ゚⊿゚)ξ「できた!」


今度はツンが画帳を下ろした。

二人でノートと画帳を交換したことになる。


川 ゚ -゚)「いいぞ、上手いな。パースがちゃんと取れてるぞ。上達したな」

41.
ξ ゚⊿゚)ξ「お姉ちゃんはそうでもないよ」

川 ゚ -゚)「何だって?」


ツンが下ろしたノートには、つづりの間違いを指摘する印がいくつも入っていた。


川 ゚ -゚)「やれやれ。卒業には程遠いな」


ツンは体を前のめりにして、逆さにクーの顔を覗き込んだ。


ξ ゚ー゚)ξ

川 ゚ -゚)(あ、笑った)

ξ ゚皿゚)ξ「ムヒッ」

川 ゚ー゚)「わたしの真似か、それは」


初めて見るツンの笑顔。

クーは思わず笑い返した。

42.
川 ゚ー゚)(そうそう、ガキってのはこうでなくちゃね)


二人とも改めて画帳とノートを交換し、それぞれの仕事に戻る。


川 ゚ -゚)「お前、将来何になりたい?」

ξ ゚⊿゚)ξ「お医者さん」

川 ゚ -゚)「ん、立派だな」

ξ ゚⊿゚)ξ「お姉ちゃんは?」

川 ゚ -゚)「ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「何になりたかったの? 絵描き?」


クーは一瞬、黙った。


川 ゚ -゚)「将来が選択できる子なんて一部なんだよ」

ξ ゚⊿゚)ξ「?」

川 ゚ -゚)「お前はなりたいものになれ、ツン。きっとなれよ」
43.
川 ゚ -゚)「お前はツイてた。自分を不幸なんて思うな。

     自分を惨めと思うと本当に惨めになるぞ」

ξ ゚⊿゚)ξ「えっと、うん……」


クーは視線をノートに落とした。


川 ゚ -゚)「きっとすぐに家に帰れるからな。もうちょっとの我慢だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


一方その日の夜、ジョルジュの邸宅では。


(´・ω・`)「ちょっと旦那さん、いいですかね?」
  _
( ゚∀゚)「何だ?」

(´・ω・`)「お話したいことが。ここじゃマズイのでこっちへ」

44.
  _
( ゚∀゚)「おいおい、何だ?」


ジョルジュを家の裏手に引っ張り込んだショボンは、もったいつけて話し始めた。


(´・ω・`)「えーまあ、何て言いますかね。この事件なんですが」
  _
( ゚∀゚)「なんなんださっきから?」

(´・ω・`)「はっきり言います。狂言誘拐ですね?」
  _
(;゚∀゚)「!!」


ジョルジュは視線をさまよわせた。

  _
(;゚∀゚)「何をバカな!! お前、俺を侮辱して……」

(´・ω・`)「この手の事件では実際、そういう手合いが多くてね。

     つまり誘拐保険を使った保険金詐欺ってのが。

     あなたの会社、今火の車らしいじゃないですか?」

45.
  _
(;゚∀゚)「き、貴様……」

(´・ω・`)「しらばっくれても無駄ですよ。ほら、これ」


ショボンはレコーダーを取り出した。

盗聴器で録音したジョルジュとモララーの会話を流して聞かせる。


「おい、上手く行ってるんだろうな?」

「バカかお前!? ここへは電話してくるなって言っただろ!!」

「心配なんだ、もし失敗したら俺の地位が……次期社長の椅子が……

 やっぱり身代金は早く払った方がいいんじゃないか?」

「ダメだ、早く片付き過ぎると逆に怪しまれる。もっと待て」

「しかし……」

「うろたえんなって、必ず上手く行く。とにかくもう電話してくるな!」

  _
(;゚∀゚)
46.
(´・ω・`)「チンピラ使って娘さんをさらわせたんでしょう。ひどいお人だ」
  _
(;゚∀゚)「お、お前は勘違いしてる……俺は……」

(´・ω・`)「まあまあ、落ち着いて下さいよ。モノは相談ってやつでして」
  _
( ゚∀゚)「……。カネか?」

(´・ω・`)「いいえ、いいえ。とんでもない!

      わたしはあなたの負担を減らしたいんですよ」
  _
( ゚∀゚)「?」

(´・ω・`)「つまりこういうこと」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


(´<_` )シュゴゴゴゴ

(゚<_゚ )「フゥゥウ!! 強烈!」

(;´_ゝ`)「お前、やりすぎだぞ」

('A`)「へっへっへ、無駄無駄。言って聞くようなやつじゃねえ」
47.
三人が食卓で酒を飲みつつポーカーをしていると、モララーがやってきた。

たった今まで使っていたケータイを畳んでポケットにしまう。


( ・∀・)「話がまとまった。三日後に受け渡しだ」

('A`)「お、いよいよか!」

( ´_ゝ`)「ボーナスの件、頼むぜ」

( ・∀・)「わかってるさ」

(゚<_゚ )「あー……いい。おお、いい……」

('A`)「お前の番だぞ」

(゚<_゚ )「ん? んと……ツーペア」

( ´_ゝ`)「豚だ、くそ!」

('A`)「フォーカード」

(゚<_゚ )「ウヒヒ、負けちまったーい」

(;´_ゝ`)(ダメだなこいつ)

48.
( ・∀・)「クー、聞いたか?」


キッチンでツンの食事を用意していたクーは頷いた。


川 ゚ -゚)「ん、聞こえた」

( ・∀・)「それからな、ガキに絵描かせてただろ、お前」

川 ゚ -゚)「ああ、うん」

( ・∀・)「みんな捨てとけよ、持って行かせるな。

      何が手がかりになって俺たちの正体が割れるかわからんからな」

川 ゚ -゚)「あいよ」


テーブルの方から兄者が声を上げた。


( ´_ゝ`)「クー、お前ボーナス何に使う?」

川 ゚ -゚)「ああ。国を出る」

('A`)「おいおい、何だって?」
49.
川 ゚ -゚)「やり直したい。絵描きになる」


言った直後にクーは自分の口の軽さを後悔した。

モララーの形相がみるみる強張ってゆく。


( ・∀・)「冗談だろ?」

川 ゚ -゚)「さあね」

( ・∀・)「ダメだ。お前はここにいろ」

川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「許さんぞ。俺と一緒にいろ」


無言でキッチンを出る彼女に、モララーは怒鳴った。


( ・∀・)「おい!」


だが彼女は答えなかった。

50.
ツンとクーは一緒に独房のベッドに腰をおろしていた。

一緒に夕食を取りつつ、すっかり打ち解けたツンとお喋りする。


川 ゚ -゚)「お前の両親が金を払うってさ」

ξ ゚⊿゚)ξ「!」

川 ゚ -゚)「良かったな。家に帰れるぞ」


クーはツンの頭を撫でた。

ツンはもじもじしいている。


ξ ゚⊿゚)ξ「あのね、あのね……」

川 ゚ -゚)「ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「さらわれて、閉じ込められて、すごく怖かったけどね、だけど……」

川 ゚ -゚)「何だ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「いいこともあったよ」

51.
川 ゚ -゚)「……」

ξ ゚⊿゚)ξ「絵を教えてもらって、それで……友達ができたの。初めての友達」

川 ゚ -゚)「わたし?」


ツンは頷いた。


ξ ゚⊿゚)ξ「わたし外国人だったから、学校で誰とも友達になれなくって……

      わたしの国は嫌われてたから」

川 ゚ -゚)「そうか……」

ξ ゚⊿゚)ξ「お父さんとお母さんは喧嘩ばっかりしてるし」


独房の鉄格子のはまった窓から、まん丸い月が見えている。

ツンはかつて誰にも話したことがないであろう、自分が置かれている状況の苦しさを

ゆっくりと吐露した。

多分、これまで相談に乗ってくれるような人が誰もいなかったのだろう。

52.
川 ゚ -゚)(わたしと一緒か……)


これまでずっとクーの夢を理解してくれる人は周囲にいなかった。

貧困の底辺で育った女は体を売るか麻薬のビジネスに関わるしかない。

絵描きになるなど夢のまた夢だ。


川 ゚ -゚)「辛かったな」

ξ ゚⊿゚)ξ「ん……」


ツンの肩を抱くと、彼女はこっちに寄り掛かってきた。


ξ ゚⊿゚)ξ「もう会えない?」

川 ゚ -゚)「うん、まあ……無理かな。寂しいけど」

ξ ;⊿;)ξ

川 ゚ -゚)「泣くなって。泣くな……」


53.
川 ゚ -゚)「妹がいたんだ。ずっと昔」


今度はクーが自分の過去を話した。


川 ゚ -゚)「わたしは絵描きになりたかったけど、両親は聞いてくれなかった。

     働かないと食って行けなかったからね。

     妹だけがわたしの夢を理解してくれたんだ。いつもわたしの絵を褒めてくれた」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

川 ゚ -゚)「わたしは口減らしでモララーの家の養子になったんだけど、妹は……」

ξ ゚⊿゚)ξ「前に死んだって……」

川 ゚ -゚)「実は違うんだ。売られたみたいなんだ」

ξ ゚⊿゚)ξ「!」

川 ゚ -゚)「父さんたちがはっきり教えてくれないから、よくはわからないけど。

     借金が返せなくって、臓器ブローカーに売られたってみんな言ってる。

     だからやっぱり、死んじゃってるかな……わからない」
54.
会話が途切れ、沈黙が落ちる。

ツンはふとベッドの下から画用紙を一枚、取り出した。


ξ ゚⊿゚)ξ「見て」

川 ゚ -゚)「ん。どこの絵だ?」

ξ ゚⊿゚)ξ「わたしが一番好きな風景。まだ描きかけなの」


イチョウの木の並木通りの、描きかけの絵。


ξ ゚⊿゚)ξ「いつかお姉ちゃんとね、いつか……」

川 ゚ -゚)

ξ ゚⊿゚)ξ「一緒に歩きたいな……」


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


その晩、クーとモララーの寝室。

55.
ベッドでモララーはクーを背中から抱きしめていた。


( ・∀・)「さっきはすまなかった」

川 ゚ -゚)「ん」

( ・∀・)「頼む、どこにも行かないでくれ。俺は……」

川 ゚ -゚)「……」

( ・∀・)「俺はお前と一緒にいたいんだ。どうしても」

川 ゚ -゚)「じゃあ、お前も一緒に来ればいいじゃないか。

     この仕事を最後に堅気になるって誓って」

( ・∀・)「……」


モララーはため息をついた。

それは「無理に決まってる」と言っているも同然だった。
     
これまで麻薬と暴力だけの世界で生きて来て、今更どうやって生き方を変えればいい?


56.
モナーは先輩の刑事、ショボンに詰め寄っていた。


( ´∀`)「どういうことですかモナ」

(´・ω・`)「どうって、今言った通りさ。そういうことだよ」

( ´∀`)「狂言誘拐を黙認しろってことですかモナ!? 賄賂の見返りに!?」

(´・ω・`)「そんないきり立つな。大したことじゃないよ」

( ´∀`)「大したことですモナ!!」

(´・ω・`)「青いな、お前。いいから言う通りにしろよ。」

     でなきゃお前も連中の手先ってことにしてもいいんだぞ、ええ?」

( ´∀`)「……」


ショボンはモナーの肩を叩いた。


(´・ω・`)「お前にも充分な見返りがあるって。期待しろよ」

( ´∀`)(こんなことが許されるのかモナ……)

57.
三日後、金とツンの身柄を交換すべく、モララーたちは町へ向かった。

怪しまれないようにツンは相変わらずボストンバッグの中だ。

途中、モララーがぼそりと言った。


( ・∀・)「お前に世話を任せて正解だったな」

川 ゚ -゚)「?」

( ・∀・)「ガキはあれから逃げなかっただろ?」

川 ゚ -゚)(ああ。そういうことか)


宗教団体が洗脳に使うテクニックだ。

監禁状態にした者に唯一、外部への接触となる役目の人間をあてがう。

こうすることで世界にその人間しかいないと精神を追い詰めさせ、何でも言うことを

聞くようコントロールするのだ。

モララーの思惑通りなのはムカついたが、実際ツンのことは好きになっていた。

ツンも多分、こっちのことをそう感じているだろう。
58.
モーテルの一室を臨時のアジトとし、モララーが公衆電話から連絡を取る。

その隣で兄者が時間を計った。

逆探知で居場所を特定される一分以内に電話を切る為だ。


( ・∀・)】「三十分後にニューソク公園に行って、女子トイレの三番目の個室に金を置け。

      俺たちが金を回収し安全な場所まで来たら人質を解放する、いいか?

      金はみんな旧札だぞ」
  _
( ゚∀゚)】「わ、わかった。娘はどこで解放するんだ?」

( ・∀・)】「解放したら知らせる」
  _
( ゚∀゚)】「待ってくれ、娘の声を……」

( ´_ゝ`)(あと二十秒だぜ)

( ・∀・)】「無事だ。安心しろ」


ガチャッ。


59.
兄者の運転する車に乗ったクーは目的の公園へ向かった。

サングラスと帽子で最低限の変装をし、車を降りる。


川 ●-●)(トイレ、トイレと。あれかな)


女子トイレに入って入口から三番目の個室に向かう。

鍵がかかったままだ。

ナイフでロックを解除しドアを開くと、旅行カバンが二つ置いてあった。

ホテルを出る前のモララーの言葉を思い出す。


( ・∀・)「いいか、その場でカネだけ別のバッグに詰め替えろ」

川 ゚ -゚)「何で?」

( ・∀・)「カバンに発信機がついてる」


“かも知れない”ではなくきっちり断言したのに少し違和感を感じた。

まるであらかじめ誰かにそうであることを教わっていたかのようだ。
60.
中身の札束を持参のカバンに移し、それをを引きずってトイレを出る。


川;●-●)(くそ、重い……)


公園はベンチで暇を潰す老人や談笑する男女などで賑わっているが、明らかに堅気でない

眼光を放つ男たちが目につく。

刑事だ。

こちらを見張っているのだろう。

そのちくちくする視線に晒されつつ、クーは車のトランクにカバンを積み込んだ。

それから助手席に入る。


( ´_ゝ`)「御苦労さん」

川 ゚ -゚)「ん」


モーテルに一度戻り、金を数える。

きっちり要求した通りの金額があった。
61.
('A`)「ウヒョオ、すげえ!」

(´<_` )「これだけあったらバスタブをヘロインでいっぱいに出来るぜ!」

( ・∀・)「俺達の取り分は半分だ」

( ´_ゝ`)「え?! じゃ、残りは?」

( ・∀・)「お前らの知ったことじゃない」


男たちが金を分けている間、クーはツンと向き合っていた。

床に膝をつき、彼女と視線を合わせる。


川 ゚ -゚)「大丈夫か?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん」

川 ゚ -゚)「これからお前をラウンジ通りに連れてって下ろすからな。

     公衆電話から警察に電話して事情を説明するんだぞ。いいか?」

ξ ゚⊿゚)ξ「うん」

川 ゚ -゚)「わたしたちの事は話さないでくれよ。頼むぞ」
62.
これからモララー、ドクオ、弟者は金を持ってアジトへ戻り、兄者とクーがツンを

解放しに行くことになっている。

クーはツンとの出会いに少しだけ後悔を感じた。


川 ゚ -゚)(もう少し別の形で会いたかったな……)

ξ ゚⊿゚)ξ「お姉ちゃん」

川 ゚ -゚)「ん?」

ξ ゚⊿゚)ξ「あのね、わたしの描いた絵……」

( ・∀・)「ん!?」


札束を揃えていたモララーが突如、変な声を上げた。


('A`)「どうした?」


モララーが札束の一つをバラバラにする。

中の札の中がくり抜かれていて、空洞の中に小さな機械が入っていた。発信機だ。
63.
(;・∀・)「畜生、ジョルジュの野郎!! 裏切りやがったな!?」

(´<_` )「何だ何だ、どういうことだ!?」

(;・∀・)「金まとめて逃げるぞ!! すぐにだ!」


バッグを持ってモーテルを飛び出すと、すでにそこまでサイレンの音が近づいていた。

車に乗り込み、乱暴に駐車場を出る。


川 ゚ -゚)「どういうことだ、モララー! 説明しろ」

( ・∀・)「後にしてくれ!」


いくらも行かないうちに交差点にさしかかり、そこで横手からパトカーが飛び出して来た。


(;´_ゝ`)「うおっ!?」


運転手の兄者がハンドルを切り損ねてそこに激突する。

タイヤがアスファルトを切り付ける音がして、ガラスとライトが砕け散った。

64.
すぐにパトカーから制服警官が下りてきて、一斉に銃口をこっちに向けた。


(,,゚Д゚)「投降しろゴルァ!」

(´<_` )「うるせえ! 死ね!!」


真っ先に銃を抜こうとした弟者の眉間に、風穴が開いた。


(゚<_゚ )「あ……」

( ;_ゝ;)「弟者ぁぁあ―――!!」

('A`)「クソ、人質がいるのに撃ってきやがった!!」

( ・∀・)「ジョルジュの野郎、全員の口を塞ぐ気か?!」


クーはツンの頭を押さえて下げさせた。

こちらも拳銃を取り出して応戦するが、圧倒的多数の警官に対して分が悪い。


ξ ;⊿;)ξ「ひっ!」

65.
川;゚ -゚)「頭を上げるな! モララー、どうする?!」

( ・∀・)「兄者、何してる!? 車を出せ!!」

( ´_ゝ`)「ダメだ、エンストした! エンジンを撃たれたみたいだ」

('A`)「くそったれ!」


ドクオは足元に転がしておいたマシンガン、AK-17を拾い上げた。

マズルフラッシュが閃き、銃声が咆哮を上げる。


('A`)「死ね、死ね、死ね!! 食らえおらああ!!」

( ・∀・)「車を捨てて路地に入ろう、あそこだ」

( ;_ゝ;)「弟者を置いてけねえよ!」

( ・∀・)「諦めろ、もう死んでる」

( ´_ゝ`)「うおお、てめえら弟者を殺しやがって! 畜生ー!!」

川;゚ -゚)「あっ、バカ!!」


66.
兄者は制止を振り切り、車を飛び出した。

たちまち蜂の巣にされて道路に倒れる。


川;゚ -゚)「畜生、大バカ……!!」

( ・∀・)「ドクオ、援護してくれ」

('A`)「任せろ!」


ドクオがマシンガンを撃ちまくって一時的に警官の攻撃を妨害する。

その隙に彼らは入り組んだ路地に飛び込んだ。

ツンはクーが抱き上げて運ぶ。

しんがりを務めたドクオは路地の入口でゴミ箱の影に隠れ、警官に応戦した。


('A`)「行け、俺はここで奴らを食いとめる」

川;゚ -゚)「お前はどうするんだ?!」

('A`)「後から行くよ。とにかく行けって!」

67.
( ・∀・)「任せたぞ」


ドクオを置いて金を担いだモララー、ツンを抱いたクーが路地の奥へと向かう。


('A`)(俺はランボーだ! マクレーンだ、プレデターだ!!)

('A`)「ヒーローにてめえら雑魚の弾が当たるかよ、ゴルァァア!」


『スカーフェイス』のラストシーンさながらに弾丸の豪雨を降り注ぐドクオ。

いきり立って物陰から身を乗り出したその胴体で、血が弾けた。


(゚A゚)「ぐ……」


続いて二発、三発と、警官の放った弾丸が体に食い込んでゆく。

ドクオは膝を突いた。


('A`)(俺は、名優……世界一の……)


68.
最期の役を演じ切ったドクオは倒れ、二度と起き上がることはなかった。

自分で作った血の海へと沈んでゆく。

銃をこちらに向けて慎重に駆け寄ってくる警官の足音が拍手の音に聞こえた。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――


路地は想像以上に広く入り組んでおり、すぐにモララーとクーはどちらへ進んでいるか

わからなくなった。

ただサイレンの音と警官同士が盛んにかわす警戒の呼びかけだけが聞こえる。


川 ; -;)「ドクオ……兄者、弟者……」

( ・∀・)「よし、こっちから出られそうだ。クー、大丈夫か?」

川 ゚ -゚)「何とか。でももう弾がないよ」

(;・∀・)「クソ……!! こんなことになるとは」

川 ゚ -゚)「……」

69.
( ・∀・)「そうだよ、お前の思ってる通り、狂言誘拐だったんだ。

      そのガキの父親に頼まれてな」

ξ ゚⊿゚)ξ「!!」

( ・∀・)「どうやら裏切りやがったらしいがな……!?」


出口と思しき場所には、警官数人が待ち伏せていた。


(,,゚Д゚)「いたぞゴルァ!! 撃て、撃て!!」


たちまち銃弾が降り注ぐ。

モララーたちは路地に放置してある粗大ゴミの影に隠れ、やり過ごした。

しかしバリケードの薄い場所を貫いた弾丸の一つが、モララーの脇腹に突き刺さる。


(;・∀・)「うぐっ!」

川;゚ o゚)「モララー!」


70.
クーがお返しとばかりに愛用のリボルバーで反撃する。


(;・∀・)「いてえ……くそ、とんだドジ踏んだもんだぜ……」

ξ;゚⊿゚)ξ

川 ゚ -゚)「立てるか?」

(;・∀・)「無理だな。俺はここまでだ」

川 ; -;)「そんな……!」

( ・∀・)「いいんだ、俺は……俺は……」

川 ; -;)

( ・∀・)「すまねえ、クー。俺はお前の夢が理解できなかった。

      俺たちはみんなクソの中で生まれて、クソの中を這い回って、クソを食って

      生きてきた。

      ウジ虫に蝶になれって言っても、それは無理な話なんだよ」

川 ; -;)「モララー」

71.
( ・∀・)「行ってくれ」


クーはモララーと最後のキスを交わし、ツンを抱いて路地の奥へと向きを変えた。


川 ゚ -゚)「ツン、お前はここに残れ。お前一人なら撃たれることはない筈だ」

ξ ゚⊿゚)ξ「え!? でも……」

川 ゚ -゚)「お別れだな。これを」

ξ ゚⊿゚)ξ「?」


クーは自分の愛用の画帳を取り出し、ツンに渡した。

間にツンの描いた絵が挟まっている。


川 ゚ -゚)「モララーには渡すなって言われてたけど」

ξ ゚⊿゚)ξ「……」

川 ゚ -゚)「夢を適えろ。夢だけが人生を変えられる」

ξ ;⊿;)ξ「お姉ちゃん!」
72.
クーはツンを置いて走り出した。

めくらめっぽう走り回っているうちに袋小路に追い詰められる。


川 ; -;)(みんな死んじまった、クソ。ただでは殺されないぞ)


物陰に隠れたクーは、集結してくる警官たちに向って撃ちまくった。

頭を下げたままで狙いを点けない撃ち方なので、当たっている様子はない。


(,,゚Д゚)「いい加減諦めろゴルァア!! 銃を捨てて投降しろ!」

川 ; -;)「うるさい、バカ! よくもみんなを殺したな!!」


叫び返したものの、弾丸はあと二発。


(´・ω・`)「あいつ一人で終わりだな?」

(,,゚Д゚)「あ、ショボン刑事。ええ、他はみんな射殺しましたゴルァ」

(´・ω・`)「あいつも殺せ。やむを得ん」

73.
警官はひっきりなしに撃ってくる。


川 ; -;)(もうダメだ)


弾層を開き、弾丸を確認する。

それから銃口を自分のこめかみに押し当てた。

目をぎゅっと閉じて息を吸い込み、そして止める。


川 > -<)(ごめんな、ツン……ごめんな……)


涙がぼろぼろこぼれて地面に染みを作った。

人差し指がガクガク震えてなかなか引き金を絞れない。

警官の銃声が聞こえなくなるくらいの耳鳴りがした。


川 ; -;)(ツンの声がする……ツン?!)

ξ ゚⊿゚)ξ「お姉ちゃん……お姉ちゃん!!」

74.
銃撃戦の真っ只中にただ一人、小さな女の子が飛び出してきた。

震える両手をいっぱいに広げ、堂々と。


ξ ;⊿;)ξ「やめて、やめて!! お願い、撃たないで!」

(;´・ω・)「あれは!? 何でこんなとこに……バカ、撃つな!!」

(´・ω・`)(あのガキが死んだらジョルジュが金を出さなくなる!)

(,,゚Д゚)「は、はい」


誰もがその小さな体が放つ圧力のようなものに気圧され、動きを止めた。

ツンは銃口を自分に当てたままのクーのところまで来ると、地面に座り込んでいる彼女を

覗き込む形でしゃがんだ。


川;゚ -゚)「ツン……バカ、何で来た……!!」

ξ ゚⊿゚)ξ


ツンは折り畳んだ画用紙を拡げて見せた。
75.
イチョウの並木通りを歩く二人の人影。

一つはツンで、彼女と手を繋いで笑い合っているもう一人は……


川 ゚ -゚)「わたし……?」

ξ ;⊿;)ξ「約束したもん、一緒にここ歩くって約束したもん!!

       死んじゃやだ!」


クーは目を閉じた。

銃口はこめかみに当てたままだ。


川 > -<)「……」

ξ ;⊿;)ξ


人生は、変えられるか?

自分自身を、変えることはできるのか?


76.
いや、もうそんな自問に答える必要はない。

だってもう、とっくに自分は変わったじゃないか。

ツンが自分を変えてしまったのだ。


川 ゚ -゚)「……」


クーは目を開き、ツンを強く抱き締めた。


川 ゚ -゚)「ありがとな。さ、行け」

ξ ;⊿;)ξ「降参する?」

川 ゚ -゚)「ああ、するよ」

(,,゚Д゚)「子供を解放しろ!」


ツンが出て行って警官に保護された後、クーは両手を上げて物陰から出た。

銃を捨てて膝を突き、両手を頭の上で組む。


77.
(;´・ω・)(いかん、狂言が証言されたらまずい。保険金が下りなくなる)


ショボンが何とか適当な理由をつけてクーを撃ち殺そうと画策していると、いきなり

モナーが彼の腕を後ろにねじり上げた。


( ´∀`)「あんたを逮捕しますモナ」

(´゚ω゚`)「ひぎい! 何すんだ、狂ったか!?」


モナーはレコーダーを取り出した。

再生ボタンを押す。


「パトロンを変えませんか?」

「何だって?」

「わたしと組むんです。奴らに報酬を払うより安くつきますよ」

「ギャングの連中はどうする?」

「わたしが皆殺しにしますよ。口を封じれば問題ない」
78.
( ´∀`)「あんたの言う通り、家中に盗聴器をつけといたモナ」

(´゚ω゚`)「待て、落ち着けって! 金ならいくらでも……」

( ´∀`)「あんたと一緒にしないで欲しいモナ」

(´・ω・`)「おい、誰かこいつをぶん殴れ!」

(,,゚Д゚)「何も聞こえませんゴルァ」

( ´∀`)「ジョルジュはもう一足先に留置所モナ。仲良くしてくるモナ」

(´゚ω゚`)「やめろおおー!!」


手錠をかけられ、パトカーに押し込まれようとしていたクーは、向こうでツンと母親が

抱き合うのを見ていた。


(;、;トソン「ツン!!」

ξ ;⊿;)ξ「お母さん!! 内藤さんも」

( ^ω^)「防弾チョッキのおかげで何とか助かりましたお」


79.
一瞬、彼女と眼が合った。


川 ゚ -゚)

ξ ゚⊿゚)ξ

川 ゚皿゚)「ムヒッ」

ξ ;ー;)ξ

川 ゚ -゚)(じゃあな、ツン)


パトカーに乗せられ、ツンの姿は遠ざかってゆく。


川 ゚ -゚)「何年くらいの罪になる?」

( ´∀`)「さあな。お前がどこまで関わっていたかによるモナ。

       でもあの娘の様子からすると同情の余地はありそうモナ」

川 ゚ -゚)「……」

( ´∀`)「主犯格は死んじまったし、五年くらいで済むかもモナ」

80.
パトカーは走り続ける。

その時、イチョウ並木の通りにさしかかった。


川 ゚ -゚)(ここは……)


間違いない、あのツンが描いていた通りじゃないか。

ほんの一瞬で通り抜けてしまったが、クーにはゆっくりに感じられた。

目を閉じる。

あそこを二人手を繋いで歩いている、自分とツンの姿。

二人ともお互いに顔いっぱいに笑い合ってる。

ツンの描いた絵の中にいるみたいに。


川 ゚ -゚)(やり直そう。今度こそ本気でやり直すんだ。

     わたしは絵描きになって、ツンに会いに行くんだ。

     次は友人として)

81.
クーは目は閉じたままだったから、ずっと並木通りの中にいるような気がした。

いつまでもいつまでも同じ場所に。

風景がぼやけて線画となり、そこに絵の具が塗られてゆく。

ゆったりとした柔らかな色合いの水彩画。

自分とツンの姿に色が入った。

絵の二人はお互いに顔を見合わせ、笑い合う。


川 ゚ -゚)






今思い描いた絵を持って、いつか彼女に会いに行こう。




おしまい
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(゚q 。川カンザイ

Author:(゚q 。川カンザイ
完全犯罪(カンザイ)
プラネットライカは隠れた名作

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